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最終更新日:2024/6/5

4,000万円の遺産にかかる相続税はいくら?早見表の使い方と計算方法

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

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この記事でわかること

  • 4,000万円の遺産にかかる相続税
  • 相続財産になるもの・ならないもの
  • 4,000万円の遺産にかかる相続税の計算方法
  • 相続税を節税する方法
  • 相続税を計算・申告するときの注意点

亡くなった家族の遺産が4,000万円ある場合、相続税がかかる可能性があります。遺産の内訳に自宅が含まれていれば、土地だけで4,000万円を超えるケースもあるでしょう。

ただし、相続人の数により課税の有無は異なるため、同じ4,000万円の遺産を相続しても、相続税がかかるケースと相続税がかからないケースがあります。

今回は、遺産が4,000万円あるときの相続税について、具体的な計算方法や「相続税の早見表」の見方などをわかりやすく解説します。

4,000万円の遺産にかかる相続税はいくら?

相続税を計算するには、まず預貯金や不動産評価額などを合計して遺産総額を計算します。

続いて、基礎控除額額となる「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」を遺産総額から差し引き、課税遺産総額を計算します。この課税遺産総額をいったん法定相続分どおりに取得したと仮定し、基礎控除額を上回った金額に所定の税率をかけて、相続税の総額を求めます。

次に、各相続人が実際に取得する相続割合に応じて、相続人ごとの納税額を計算します。このとき、適用できる税額控除があれば差し引けます。基礎控除額が大きくなると、課税遺産総額は小さくなります。
法定相続人の数が多いことで相続税額が減ったり、0円になったりすることもあります。

以下では、遺産総額が4,000万円という仮定で、法定相続人が配偶者のみの場合、配偶者と子ども1人の場合、配偶者と子ども2人の場合の3パターンの相続税を計算しみましょう。

4,000万円を配偶者のみが相続したときの相続税

法定相続人が配偶者のみの場合、遺産総額4,000万円の相続税は、以下のように計算します。

計算

  • 基礎控除額の計算:3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円
  • 課税遺産総額の計算:遺産総額4,000万円-基礎控除額3,600万円=400万円
  • 相続税の計算:400万円×税率10%=40万円(配偶者の税額軽減の適用前)

相続税の税率は、国税庁のWebサイトにある「相続税の速算表」で確認できます。今回の計算では、課税遺産総額が400万円のため、取得金額1,000万円以下の税率となります。

4,000万円を配偶者と子ども1人が相続したときの相続税

法定相続人が配偶者と子ども1人の場合、遺産総額4,000万円の相続税は、以下のように計算します。

計算

  • 基礎控除額の計算:3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円
  • 課税遺産総額の計算:遺産総額4,000万円-基礎控除額4,200万円=△200万円
  • 相続税の計算:課税遺産総額がマイナスになるため0円

基礎控除額が遺産総額を上回ると相続税は0円となり、相続税の申告も不要です。

4,000万円を配偶者と子ども2人が相続したときの相続税

法定相続人が3人いる場合、遺産総額が4,800万円を超えない限り相続税はかかりません。

計算

  • 基礎控除額の計算:3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
  • 課税遺産総額の計算:遺産総額4,000万円-基礎控除額4,800万円=△800万円
  • 相続税の計算:課税遺産総額がマイナスになるため0円

法定相続人が3人いるときは、遺産が4,800万円を超えない限り相続税がかかりません。

相続財産になるもの・ならないもの

相続税を計算するには、相続財産になるものとならないものの分類が必要です。相続財産にならないものを含めて遺産総額を計算すると、必要以上に相続税が高くなってしまいます。

相続財産になるもの

相続財産になるものには、以下のような財産があります。

相続財産になるもの

  • 現金や預貯金
  • 不動産(土地・建物)
  • 株式などの有価証券
  • 投資信託
  • 資産価値のある骨董品や宝石・貴金属類
  • 自動車や船舶
  • 貸付金や未収金
  • 相続発生前7年以内に贈与されたもの(2024年1月1日から段階的に3年から7年へ延長)
  • 相続時精算課税制度によって生前贈与されたもの
  • 死亡保険金

死亡保険金は、残された家族の生活を支えるものでもあります。そのため一定の非課税枠(500万円×法定相続人の数)があり、この非課税枠を差し引いた残額が課税の対象です。

2023年12月31日までは相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算するきまりでした。2024年1月1日からはこの期間が段階的に延長され、2031年1月以降は直近7年間となります。

延長された4年間の持ち戻し額は、この期間に贈与した財産額から100万円を控除した残額です。

相続財産にならないもの

相続財産にならないものには、以下のような財産があります。

相続財産にならないもの

  • 墓地や墓石
  • 仏壇などの仏具
  • 神棚などの神具
  • 自宅の敷地内にある社や祠などの庭内神祠(ていないしんし)

なお、売却益を得るために購入した高価な仏具や神具は、相続財産に含まれます。遺産のなかに高価なものがある場合には購入価格を調べておきましょう。

4,000万円の遺産にかかる相続税の計算方法

遺産が4,000万円ある場合、相続税は以下のように計算します。ここでは、法定相続人が1人、不動産と預貯金の合計額が5,000万円、借金が1,000万円あるケースで計算してみましょう。

正味の遺産総額の計算

相続税を計算するときは、まずプラスの財産からマイナスの財産を差し引き、正味の遺産総額を算出します。

  • 正味の遺産総額:不動産と預貯金の合計額5,000万円-借金1,000万円=4,000万円

借金や未払金はマイナスの財産なので、必ずプラスの財産から差し引きましょう。

基礎控除額と課税遺産総額の計算

正味の遺産総額から基礎控除額を差し引くと、課税遺産総額がわかります。

計算

  • 相続税の基礎控除額:3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円
  • 課税遺産総額:正味の遺産総額4,000万円-基礎控除額3,600万円=400万円

相続税の総額の計算

次に、課税遺産総額をいったん法定相続分どおりに取得したと仮定して、「相続税の速算表」をもとに相続税の総額を計算します。

計算

  • 相続税の総額:課税遺産総額400万円×1/1×税率10%=40万円

各自が納める相続税の按分計算

相続税の総額を求めたら、各相続人が実際に取得する相続割合に応じてそれぞれの税額を計算します

たとえば、相続税の総額が60万円で、配偶者が相続財産の5分の3、子どもが5分の2を取得する場合、各自の相続税は以下のとおりです。

計算

  • 配偶者の相続税:60万円×3/5=36万円(配偶者の税額軽減の適用前)
  • 子どもの相続税:60万円×2/5=24万円

相続税の計算にはいくつものステップがあるので、手順を間違えないように注意しましょう。

相続税の早見表を使うと相続税が簡単にわかる

相続税の早見表を使うと、遺産総額や家族構成に応じた相続税が簡単にわかります。あくまで概算の税額ですが、子どもが成人しており、遺産分割が法定相続分どおりであれば、相続税の目安は以下のとおりです(子どもが未成年であれば未成年者控除を適用できるため、さらに税額は減ります)。

一次相続の早見表

一次相続は、夫婦のどちらかが亡くなったときの相続です。遺産総額に応じた相続税は以下のようになります。

(法定相続分で分割したと仮定し、配偶者の税額軽減を適用した場合の税額)

遺産総額 配偶者と子1人 配偶者と子2人 配偶者と子3人 配偶者と子4人
4,000万円
5,000万円 40万円 10万円
6,000万円 90万円 60万円 30万円
7,000万円 160万円 113万円 80万円 50万円
8,000万円 235万円 175万円 138万円 100万円
9,000万円 310万円 240万円 200万円 163万円
1億円 385万円 315万円 263万円 225万円
1.5億円 920万円 748万円 665万円 588万円
2億円 1,670万円 1,350万円 1,218万円 1,125万円
2.5億円 2,460万円 1,985万円 1,800万円 1,688万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,540万円 2,350万円
3.5億円 4,460万円 3,735万円 3,290万円 3,100万円
4億円 5,460万円 4,610万円 4,155万円 3,850万円
4.5億円 6,480万円 5,493万円 5,030万円 4,600万円
5億円 7,605万円 6,555万円 5,963万円 5,500万円
10億円 1億9,750万円 1億7,810万円 1億6,635万円 1億5,650万円
20億円 4億6,645万円 4億3,440万円 4億1,182万円 3億9,500万円
30億円 7億4,145万円 7億380万円 6億7,432万円 6億5,175万円
50億円 12億9,145万円 12億5,380万円 12億1,615万円 11億7,850万円

配偶者の税額軽減により、法定相続分の範囲内であれば配偶者の納税額は0円です。相続税は子どもの納税分のみとなります

二次相続の早見表

夫婦がどちらも亡くなり、子どもだけが相続人になる二次相続の場合、各自の相続税は以下のようになります。

遺産総額 子1人 子2人 子3人 子4人
4,000万円 40万円
5,000万円 160万円 80万円 20万円
6,000万円 310万円 180万円 120万円 60万円
7,000万円 480万円 320万円 220万円 160万円
8,000万円 680万円 470万円 330万円 260万円
9,000万円 920万円 620万円 480万円 360万円
1億円 1,220万円 770万円 630万円 490万円
1.5億円 2,860万円 1,840万円 1,440万円 1,240万円
2億円 4,860万円 3,340万円 2,460万円 2,120万円
2.5億円 6,930万円 4,920万円 3,960万円 3,120万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円 4,580万円
3.5億円 1億1,500万円 8,920万円 6,980万円 6,080万円
4億円 1億4,000万円 1億920万円 8,980万円 7,580万円
4.5億円 1億6,500万円 1億2,960万円 1億980万円 9,080万円
5億円 1億9,000万円 1億5,210万円 1億2,980万円 1億1,040万円
10億円 4億5,820万円 3億9,500万円 3億5,000万円 3億1,770万円
20億円 10億820万円 9億3,290万円 8億5,760万円 8億500万円
30億円 15億5,820万円 14億8,290万円 14億760万円 13億3,230万円
50億円 26億5,820万円 25億8,290万円 25億759万円 24億3,230万円

二次相続では配偶者の税額軽減がなく、法定相続人の数も減っています。そのため、一次相続に比べて相続税は高くなります

相続税を節税する方法

特例や税額控除を活用すると、相続税を節税できる場合があります。以下では、相続税の節税につながる代表的な制度を紹介します。

配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)を活用すると、配偶者は以下のいずれか多い金額までは相続財産に対して相続税がかかりません

  • 1億6,000万円まで
  • 配偶者の法定相続分相当額

配偶者が取得する財産額が1億6,000万円もしくは配偶者の法定相続分相当額までであれば、納税額は0円となります。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、被相続人の自宅の宅地などを相続する際、要件を満たせば敷地の評価額を80%減額できる制度です。適用面積は330㎡までになっており、以下の相続人が自宅を相続するときに使えます。

  • 被相続人の配偶者
  • 被相続人の同居親族
  • 一定の要件を満たした別居親族

被相続人の配偶者は無条件で小規模宅地等の特例を使えます。
一方、同居親族には「相続税の申告期限まで住み続ける」などの要件があります

別居親族については「相続発生前3年以内に持ち家に住んでいない」などの複雑な要件がいくつもあるため、税理士に確認すると良いでしょう。

相続税を計算・申告するときの注意点

相続税の計算・申告にあたって注意すべき点は多くあります。

たとえば、不動産や株式は評価額が変動するため、購入時の価格が4,000万円でも、相続時には購入時の価格よりも高くなっているかもしれません。以下では、相続税を計算・申告する際の注意点を5つまとめます。

相続税を計算・申告するときの注意点

  • 相続人が誰かを正確に把握する
  • 相続財産の評価額を正確に計算する
  • 特例や控除で相続税が0円になったときも相続税申告は必要
  • 相続税の申告期限内に申告・納税する
  • 二次相続は相続税が高額になりやすい

相続人が誰かを正確に把握する

相続人が誰になるのかは正確に把握する必要があります。ここを誤ると遺産分割協議のやり直しが必要になり、相続税の計算にも影響がおよびます。

被相続人に養子や離婚した前妻との子どもがいる場合、どちらも法定相続人になります。

また、婚姻関係にない相手との間に生まれた子どもも、認知されていれば法定相続人です。

相続財産の評価額を正確に計算する

不動産や株式は評価額が変動するため、購入時の価格が4,000万円でも、相続時には4,000万円を超えている場合があります

基本的に、建物については固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。一方、土地の評価額は路線価方式や倍率方式を用いて、道路との接し方などに応じた補正も加味して求めます。

不動産も株式も評価方法が複雑であるため、税理士に評価額の計算を依頼すると良いでしょう

特例や控除で相続税が0円になったときも相続税申告は必要

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使う場合、相続税申告が必要です。特例や税額控除で相続税が0円になっても、申告しなければ適用を受けられない制度もあるため注意しましょう

相続税の申告期限内に申告・納税する

相続税の申告・納税は「相続開始を知った日の翌日から10カ月以内」に行う必要があります。 期限を過ぎると、本来負担する必要のない無申告加算税や延滞税を支払わなければなりません。

また、相続財産を低く評価した場合、過少申告加算税が発生することもあるため注意しましょう。

二次相続は相続税が高額になりやすい

二次相続では、法定相続人の数が減っているため基礎控除額が少なくなります

また、一次相続で配偶者に相続財産を集中させると、二次相続で相続税額が高くなる傾向があります。二次相続では配偶者の税額軽減が使えないためです。一次相続の際には、二次相続も見据えた遺産分割が必要になります。

4,000万円の遺産に相続税がかかるかどうか悩んだら税理士に相談しよう

遺産4,000万円はかなり高額ですが、相続人が2人以上であれば基礎控除内となるため、納税額は0円になります。相続人が1人の場合でも、特例や税額控除の適用で納税が発生しないケースがあります。

ただし、遺産に不動産や株式が含まれていると購入時よりも値上がりしていることがあるため、相続財産の評価額の確定には注意が必要です。相続税がかかるのかどうか、財産の評価額がいくらになるのかなど、相続に関する不明点がある場合には、専門家に相談すると良いでしょう。

ベンチャーサポート相続税理士法人では、親身でわかりやすい説明を心がけ、無料相談を実施しています。

また、税理士だけでなく弁護士、司法書士も在籍しているのでワンストップで相談することが可能です。初めて相続税の申告を行う方もお気軽にご相談ください。

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