この記事でわかること
- タワーマンション節税がなぜ節税対策になるのか
- タワーマンション節税にどのようなメリットがあるか
- 2024年1月から変更された評価方法がどのような内容なのか
目次
この記事では、タワーマンション節税について、その内容や仕組みなども含めて詳しく解説します。
改正の内容や改正後のタワーマンション節税への影響も取り上げるため、ぜひ参考にしてください。
タワーマンション節税とは
相続税評価額は、現金や預貯金だと相続発生時そのままの時価が金額となる一方、不動産だと時価よりも低い金額となります。
このような相続税評価額と不動産の関係にタワーマンション独自の特徴を踏まえることで、相続税負担の軽減を図る節税方法です。
タワーマンション節税の仕組み
相続税評価額と時価に乖離が出る理由に関しても詳しく解説するため、タワーマンション節税に興味のある方は必見です。
タワーマンションの特性
高さ31m超、60m超など、建築物の高さに応じて段階的に構造強度を高めるよう、建築基準法では規定がされており、31m超のものが高層マンション、60m超のものが超高層マンションと呼ばれています。したがって、一般的に「超高層マンション」に該当する建物がタワーマンションに該当します。
これだけの大型マンションを建築するには建てられるエリアは限られ、主に再開発エリアに建てられる傾向があります。比較的立地に恵まれている再開発エリアは近隣の商業施設も充実しているうえに、高層階は眺望も良く、デベロッパーのブランドなどで非常に高い価格で販売されています。
相続税評価額と時価との乖離が出る理由
相続税を計算するにあたり、財産は「時価」で評価する必要があります。とはいえ、土地や建物のより正確な時価は、実際に売却したり不動産鑑定士に鑑定依頼をしたりしないとわかりません。
正確な時価ありきでは計算ができないため、相続税の計算時には、国税庁が発表している「財産評価基本通達」に沿って評価しています。
財産評価基本通達とは
必ずしも納税者は通達に従う必要はありませんが、主に利便性の点から、納税者や税理士はこの決まりに沿った評価で相続税額を計算するのが主流となっています。
建物評価におけるタワーマンションならではの傾向
タワーマンションは資材費や労務費など建築費用とは関係のない、眺望やデベロッパーのブランド力なども市場価格に反映されています。
そのため、市場価格よりも固定資産税評価額の方が低くなる傾向があります。
土地評価におけるタワーマンションならではの傾向
路線価は時価の8割に抑えられていますが、その理由は路線価による評価が時価を超えると課税上問題となるためです。
時価の8割であれば、一見するとそれなりの相続税評価額になりそうですが、タワーマンションは一棟に何百戸とあり、高額な敷地であっても割る分母(戸数)が大きいため、一戸に対する敷地の値段はさほど高額にならないのです。
なお、マンションに係る財産評価基本通達に関する第1回有識者会議(令和5年1月30日)の資料によると、市場価格と相続税評価額の乖離は東京だと3倍以上となっていました。
タワーマンション節税で期待できる効果
ここからは「小規模宅地等の特例の適用が可能」をはじめとする、タワーマンション購入で期待できる相続税の節税効果を紹介します。
節税に繋がる理由も取り上げるので、ぜひ一読してみてください。
借入による他の財産の圧縮効果
相続税を計算する場合は、借入の金額は市場価格を踏まえる一方で、タワーマンションの評価は固定資産税評価額と路線価のため、借入の金額の方が大きくなります。
この差によって他の財産を圧縮することができ、相続税の節税が可能となります。
小規模宅地等の特例を適用できる
この特例には面積の制限があります。タワーマンションの場合、敷地を戸数で按分するため非常に面積が小さくなり、所有する敷地所有権全体に対して小規模宅地等の特例が適用可能なケースが多いため、節税につながります。
2024年1月からマンション1室の相続税評価額の評価方法が変更
ここからは、2024年1月以降に発生した相続(贈与)分より適用される、マンション1室の相続税評価額の新たな評価方法を紹介します。
評価方法が変更された背景や変更後のマンションの相続税評価額の計算方法など、具体的に解説します。
相続税評価額の評価方法が変更された背景
納税者側としては最大限これを利用したいところですが、財産評価基本通達には*「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」(*財産評価基本通達第1章総則6項より引用)とあります。
この記載を根拠に、国税局はとある相続税申告で財産評価基本通達に基づいた評価を否認し、納税者が裁判を起こしたのです。
最高裁の判断は金融機関から借入したうえでタワーマンションを購入して節税を図るという、富裕層でしかできない節税方法は租税負担の公平に反すると、国税局側を支持するものでした。
また、最高裁は、課税庁が財産評価基本通達の従って画一的に評価をしていることは、公知の事実であると認めながらも、通達評価自体の正誤を判断の理由にしませんでしたが、この裁判を機に国税庁は通達改正に踏み切りました。
2024年1月以降のマンションの相続税評価額の計算方法
区分所有補正率は、評価乖離率と評価水準によって決まります。
評価乖離率は、時価が相続税評価額の何倍かを示すものです。平成30年の売買実例価額に基づいて評定され、市場価格と相続税評価額が乖離する要素とされる4指数から構成されています。
加えて、評価乖離率は、築浅かつ高層階で敷地利用権が狭い物件ほど大きくなります。
相続税評価額に評価乖離率を乗じると時価(理論上の時価)となり、仮に相続税評価額が1億円の物件で評価乖離率が3だとすると、時価は3億円です。
一方、評価水準は評価乖離率の逆数であり、相続税評価額の時価に対する割合を示しています。上述した例だと1/3(0.333・・・)となります。
評価乖離率が大きいほど評価水準は低くなって、時価と相続税評価額が乖離していることを示しています。
評価水準が0.6以下の場合、時価と相続税評価額の乖離が激しいとみなし、従来の相続税評価額に評価乖離率を乗じて理論上の市場価格を算出し、それに0.6を乗じた額を相続税評価額とします。
評価水準が0.6以上で1以下の場合、補正は行わず、従来の相続税評価額となります。評価水準が1より大きい場合は、相続税評価額に評価乖離率を乗じます。
理論上の時価に0.6を乗じる理由は、、戸建ての時価と相続税評価額の平均乖離率が1.66倍であり、これに平仄を揃えたためです。今回の通達改正は、相続税評価額を理論上の市場価格の6割にすることといえます。
改正後もタワーマンション節税は効果があるのか
ここからは、ルール改正後のタワーマンション節税への影響について解説します。ルール改正後の節税効果に関しても併せて取り上げるため、ぜひ参考にしてください。
タワーマンションならではの節税効果は小さくなる
東京のような市場価格と相続税評価額の乖離が激しい地域の場合、相続税評価額が時価の3割だったところが6割となります。
実質的に評価額が倍になるため、節税効果は縮減されるといえます。
今後もタワーマンションによる節税対策は有効
タワーマンションの販売価格が高額であればあるほど、他の財産への圧縮効果が期待でき、高額なタワーマンションの人気は当分続くことが予想されます。
また、不動産自体の評価額は、依然として現金や預貯金よりも低く算出されるため、相続税対策としての不動産購入は引き続き効果的と言えます。
タワーマンションなどの不動産を購入・売却・相続するときは専門家に相談しよう
加えて、前述の財産評価基本通達第1章総則6項があるかぎり、通達評価を否定される可能性は依然として残っています。
相続後にタワーマンションをすぐさま売却してしまうと、通達評価と時価の差を自分で証明してしまうことになり、税務当局から節税目的での購入と判断されることになりかねません。ご自身にとってベストな選択をしていただくためにも、専門家に相談したうえでの判断をおすすめします。
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