この記事でわかること
- マンションを相続したときにかかる相続税
- マンションの相続税評価額の計算方法
- マンション相続で使える節税対策
- マンションを相続した後の選択肢と注意点、手続きの流れ
「相続したマンションに相続税はいくらかかる?」「相続税を節税する方法は?」「今後マンションを売るべきか、住むべきか、貸すべきか?」 など、マンションの相続で失敗しないための重要ポイントを相続税の専門家がわかりやすく解説します。
目次
マンションを相続したときにかかる相続税とは?
マンションを相続した場合は、その不動産の相続税評価額をもとに相続税を計算します。
相続税は、「遺産の総額」から非課税枠や各種控除額などを差し引いた金額に対して課税されるため、まずはマンションの相続税評価額を正確に算出することが非常に重要です。
相続税のしくみ(基礎知識)
相続税は、以下のステップで計算します。
ステップ1:遺産の総額を計算する
現金や預貯金、不動産、有価証券などのすべての財産の評価額を合計し、このとき、マンションの「相続税評価額」も含めて算出します。
ステップ2:債務と葬儀費用を差し引く
借入金や未払い医療費などの債務、葬儀費用などがあれば、控除可能です。
ステップ3:課税遺産総額を算出する
上記から、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた残額が「課税遺産総額」となります。
ステップ4:各相続人の法定相続分に応じて按分し、税率を適用する
各相続人が法定相続分どおりに取得したものと仮定し、それぞれの取得分に応じた税率(10〜55%)で相続税の総額を計算します。
ステップ5:各相続人の税額を計算し、配偶者控除や未成年者控除などを適用する
相続税の総額を、各相続人の実際の取得割合に応じて按分し、各相続人の税額から配偶者控除や未成年者控除などの税額控除額を差し引くことで、最終的な納税額が確定します。
マンションが相続税に与える影響
不動産、特にマンションは相続財産の中でも高額になりやすく、相続税の課税対象となります。ただし、マンションには評価額を圧縮できる特例やしくみがあり、これらを正しく活用することで相続税の負担を大きく軽減できます。
- 建物は「固定資産税評価額」で評価されるため、実勢価格よりも低く評価されることが多い
- 土地は「路線価方式」または「倍率方式」で評価され、小規模宅地等の特例を適用できる場合は、評価額を最大80%減額できる
- マンションの評価額は、共有持分や敷地権割合によって細かく調整される
これらのポイントを正しく理解し、状況に応じて適切な特例を活用することで、相続税を大幅に抑えられます。
相続税がかかるかどうかの目安
相続税がかかるかどうかは、「遺産の総額」が、法定相続人の数によって決まる「基礎控除額」を超えるかどうかが一つの目安になります。
たとえば、法定相続人が配偶者と子ども1人の場合、基礎控除額は
3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円
この4,200万円を超える相続財産がある場合、相続税の申告と納付が必要になる可能性があります。
- 都市部のマンションは評価額が高額になりやすく、不動産だけで基礎控除額を超えるケースも珍しくない
- 小規模宅地等の特例を適用すれば評価額を大幅に圧縮できるが、適用には要件がある
相続税がかかるかどうかを正しく判断するには、相続財産の評価額を正確に把握することが不可欠です。基礎控除額の範囲内かどうかを確認し、必要に応じて早めに相続専門の税理士に相談することで、不要な税負担や申告漏れを防げます。
マンションの相続税評価額の計算方法
マンションの相続税評価額は、「土地部分」と「建物部分」に分けてそれぞれ評価する必要があります。評価方法は、マンションの所在地や利用状況、権利関係によって異なるため、正確に理解しておくことが重要です。
土地部分の評価(路線価方式・倍率方式)
マンションの土地部分は、原則として「敷地利用権」として共有されています。この土地の評価方法には、以下の2種類があります。
- 都市部などで道路に面している土地の場合に適用される
- 国税庁が毎年7月に公表する「相続税路線価」をもとに評価する
- 計算式:路線価 × 地積 × 補正率(間口や奥行き、形状などによる)
- マンションの場合は、土地全体の総面積に敷地権割合(持分割合)を掛けた面積が対象となる
- 路線価が設定されていない地域で使用される
- 固定資産税評価額 × 倍率(国税庁が定める地域ごとの倍率)で算出する
土地の評価は、評価方法次第で相続税額が大きく変動します。そのため、正確な評価額の算定と、適用できる特例の確認が重要です。
建物部分の評価(固定資産税評価額ベース)
建物の評価額は、市区町村による「固定資産税評価額」を基準に算出します。
この評価額は、毎年4~6月頃に送付される固定資産税納税通知書の課税明細書に、「評価額」として記載されています。課税明細書には、建物と土地の評価額が別々に表示されているため、建物部分の金額を使用します。
- 市場価格(実勢価格)よりも低く評価される傾向がある
- 築年数が経過するほど評価額は下がる
- 構造(鉄筋コンクリート造・木造など)によっても評価額に差がある
マンションならではのポイント(共有持分・敷地利用権など)
マンションは戸建てとは異なり、専有部分・敷地利用権・共有部分が一体となった複雑な権利構造を持っています。これらの権利は相続税評価額の算定に直接関わるため、しくみを正しく理解することが重要です。
- マンションの各住戸には、建物の専有部分には、土地の持分(敷地利用権)がセットで付いている
- マンションの敷地利用権は、各部屋の床面積の割合に応じて、マンション全体の敷地を按分したもの
- 相続税評価額は、この(持分割合)をもとに土地全体の評価額を按分して算出する
- エントランスやエレベーター、廊下などの共用部分は、区分所有者全員の共有財産
- マンションの共有部分は、法律上、建物の一部として扱われ、各住戸の敷地権割合に応じて按分され、建物部分の評価額に含まれる
タワマン節税と国税庁の対策(2024年以降の評価見直し)
かつてタワーマンションは、市場価格に比べて相続税評価額が極端に低く抑えられる傾向がありました。特に、高層階や築浅物件では、実勢価格の3~4割程度の評価額となることもあり、現預金を不動産に変えて節税する「タワマン節税」が広く行われてきました。
国税庁の懸念と制度改正の背景
- 対象物件:居住用の区分所有財産(分譲マンション)
※2階建て以下の低層マンションなど一部は除く - 評価方法の見直し:実勢価格との乖離を補正するために、新たに「区分所有補正率」を導入
新たな評価方法では、「評価乖離率」「評価水準」「区分所有補正率」という3つの数値を用いて、マンションの相続税評価額を計算します。評価乖離率とは、従来の相続税評価額と理論上の時価との乖離度を示す数値です。評価乖離率をもとに評価水準を計算し、評価水準に応じた区分所有補正率を従来の相続税評価額に掛けて、相続税評価額を算出します。
評価乖離率の計算方法
- (1)=マンションの築年数×△0.033(築年数1年未満は1年として計算)
- (2)=マンションの総階数÷33×0.239(総階数÷33が1を超える場合は1で計算、小数点以下第4位切り捨て)
- (3)=評価対象となる部屋の所在階×0.018(地階は0として計算)
- (4)=敷地持分狭小度×△1.195(敷地持分狭小度は敷地利用権の面積÷専有面積で計算、小数点以下第4位切り上げ)
- 評価乖離率=(1)+(2)+(3)+(4)+3.22
評価水準の計算方法
1÷評価乖離率=評価水準
区分所有補正率の計算方法
- 評価水準が0.6未満の場合:区分所有補正率=評価乖離率×0.6
- 評価水準が0.6以上1以下の場合:区分所有補正率なし
- 評価水準が1を超える場合:区分所有補正率=評価乖離率
新ルールによるマンションの相続税評価額の計算方法
従来の方法で計算した相続税評価額×区分所有補正率=マンションの相続税評価額
評価乖離率は、数値が大きいほど理論上の時価よりも相続税評価額が低いことを表しています。そして評価水準は、相続税評価額が時価の何割に相当するかを示す割合です。新たな評価方法では、従来の方法で計算したマンション1室の相続税評価額に区分所有補正率を掛けるため、たとえば評価水準が0.6未満の場合、相続税評価額の計算方法は以下のとおりです。
評価水準が0.6未満の場合の計算方法
従来の方法で計算したマンション1室の相続税評価額×評価乖離率×0.6=マンション1室の相続税評価額
この計算では、従来の方法で計算したマンション1室の相続税評価額×評価乖離率が理論上の時価となり、その6割が相続税評価額になるということです。
マンション相続で使える節税対策
小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等・貸付事業用宅地等)
小規模宅地等の特例とは、被相続人(亡くなった人)が住んでいた土地や、賃貸などの貸付事業に用いていた土地について、一定の要件を満たす場合に土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度です。マンションの場合も、土地の敷地利用権に対して小規模宅地等の特例を適用できます。
- 対象:被相続人が居住していたマンションの敷地利用権
- 適用要件:
- 被相続人の配偶者または同居の親族が相続する
- 同居の親族が相続する場合は、相続税の申告期限までその宅地(マンションと一体化した敷地利用権)を保有し、居住し続けている
- 被相続人と生計が一の親族が相続し、その親族が申告期限まで継続して自己の居住の用に供し、かつその宅地を申告期限まで継続して保有している
このほかに、配偶者、同居親族がいない場合は別居親族が適用可能な場合もあります。適用要件について、詳しくは下記の記事をご参照ください。
- 対象:被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族が、不動産貸付業などに用いていた土地
- 適用要件:
- その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を営んでいること※
- その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
- ※
- 被相続人と生計を一にしていた親族の貸付事業に用いていた土地の場合には、相続開始前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行い、その宅地等を相続税の申告期限まで有している
- 小規模宅地等の特例の適用を受けるには相続税の申告が必要
- 相続税の申告期限(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月)より前に売却すると適用を受けられない(配偶者が相続する場合を除く)
- 相続時精算課税制度を利用して贈与した土地には、小規模宅地等の特例を適用できない
貸していた場合の評価引き下げ(貸家・貸家建付地)
賃貸マンションを相続した場合、入居者がいることで所有者が自由に利用できず、利用価値が下がるため、「貸家」や「貸家建付地」として相続税評価額を減額できます。
貸家の相続税評価額=自用家屋の評価額×区分所有補正率×(1-借家権割合×賃貸割合)
- 借家権割合は全国一律30%
- 入居者がいる部分について、借家権割合に応じて減額可能
- 減額対象は、実際に貸している専有部分のみ(空室や自己居住部分は対象外)
貸家建付地の相続税評価額=自用地の評価額×区分所有補正率×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
- 建物を貸している場合、借家権の制約を受けるため一定割合で減額可能
- 減額対象は、実際に貸している専有部分の敷地利用権に限る(空室や自己居住部分の敷地利用権は対象外)
マンションを相続した後の選択肢と注意点
マンションを相続したら、すぐに「マンションをどうするか」を決める必要があります。住む・貸す・売るの3つの選択肢があり、どの選択をするかによって、将来的な税負担に大きな差が出る可能性があります。
住む・貸す・売る の判断基準
【住む】(自己居住用として活用)
相続したマンションに自ら「住む」という選択は、特に相続税の節税効果が期待できます。
- 現在賃貸に住んでおり、住宅コストを下げたい
- 相続人が高齢で将来的な住まいの確保を重視している
- 小規模宅地等の特例を活用したい
- 建物が老朽化している場合、リフォーム費用がかかる
- 共有名義の場合、居住には他の相続人の同意が必要
- 将来的に住まなくなると維持コストがかさむこともある
【貸す】(第三者に賃貸する)
相続したマンションを「貸す」という選択は、収益を得ながら資産を保有し続けられ、節税効果も見込めます。
- 毎月の安定収入を得たい(老後資金・納税資金として)
- 市場価値が高く、需要のあるエリアに立地している
- 売却のタイミングを見計らいたい
- 空室リスクや修繕・維持管理コストが発生
- 借家権や貸家建付地として評価額は下がるが、維持管理の手間が増える
- 相続人が複数いる場合、収益や維持管理をどう分配するかを明確にしておく必要がある
【売る】(売却して現金化)
相続したマンションを「売る」という選択は、納税資金や生活資金を確保するのに有効な手段です。
- 他に現金がなく、相続税の納税資金が不足している
- 相続人全員が物件を必要としていない
- 将来的な不動産リスク(空き家・修繕・価値の下落)を避けたい
- 譲渡所得税が発生する
- 売却には時間がかかることもあり、早めの準備が必要
- 共有名義の場合、売却には全員の同意が必要
売却時にかかる税金(譲渡所得税・取得費加算の特例)
相続したマンションを売却すると、売却益に対して「譲渡所得税」がかかります。ただし、条件を満たせば「取得費加算の特例」を使って税額を抑えることが可能です。
譲渡所得税の概要
譲渡所得とは、不動産を売却して得られた利益のことで、以下の式で計算されます。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却価格) - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額(一定の場合)
- 取得費:被相続人がマンションを購入した金額やリフォーム費用、仲介手数料 など
- 譲渡費用:売却時の仲介手数料、測量費用、登記費用 など
この譲渡所得に対して、所得税と住民税が課されます(長期譲渡(所有期間5年超):20.315%、短期譲渡(所有期間5年以下):39.63%)。相続したマンションの売却では、被相続人の取得日を引き継ぐため、長期譲渡に該当するケースが多いでしょう。
取得費加算の特例
取得費加算の特例とは、相続または遺贈により取得した不動産などの財産を、相続開始日の翌日から3年10カ月以内に売却した場合、譲渡所得税の計算の際に、納付した相続税の一部を取得費として加算できる制度です。
取得費が増えることで、譲渡所得が圧縮され、結果として譲渡所得税が軽減されます。
- 相続や遺贈により財産を取得し、相続税を納めていること
- 空き家特例(相続した空き家の3,000万円特別控除)との併用は不可
- 確定申告時に「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」の添付が必要
- 取得費加算の特例の適用によって譲渡所得税がかからない場合も確定申告が必要
取得費加算の特例について、詳しくは下記の記事をご参照ください。
【シミュレーション】マンションの相続税はいくらかかる?
ここでは、実際にマンションを相続したケースを想定し、相続税がどの程度かかるのかを具体的にシミュレーションしてみましょう。
事例の概要
- 従来の方法で計算した相続税評価額:1億円
- 築年数:10年
- 総階数:33階
- 所在階:10階
- 敷地面積:3,000㎡
- マンション1室の持分割合:1/100
- マンション1室の専有面積:50㎡
評価乖離率
- (1)=マンションの築年数×△0.033=10年×△0.033=△0.33
- (2)=マンションの総階数÷33×0.239=33÷33×0.239=0.239
- (3)=評価対象となる部屋の所在階×0.018=10階×0.018=0.18
- (4)=敷地持分狭小度×△1.195=敷地利用権の面積÷専有面積×△1.195=3,000㎡×1/100÷50㎡×△1.195=△0.717
- 評価乖離率=(1)+(2)+(3)+(4)+3.22=△0.33+0.239+0.18+△0.717+3.22=2.592
評価水準
評価水準=1÷2.592=0.3858…
区分所有補正率
- 評価水準が0.6未満であるため、区分所有補正率は評価乖離率×0.6
- 区分所有補正率=2.592×0.6=1.5552
マンション1室の相続税評価額
マンション1室の相続税評価額=従来の方法で計算した相続税評価額1億円×区分所有補正率1.5552=1億5,552万円
相続したマンションの名義変更・手続きの流れ
マンションを相続した際には、被相続人から相続人へ所有権を移す「相続登記」が必要です。あわせて、相続税の申告をはじめとした重要な手続きも発生します。これらの手続きを滞りなく行うために、以下の流れに沿ってできるだけ早めに対応を進めることが大切です。
ステップ1:遺言書の有無を確認
相続手続きの最初のステップとして、遺言書があるかどうかを確認することが重要です。
遺言書には「自筆証書遺言(本人が手書きで作成)」「公正証書遺言(公証人に遺言の内容を伝えて作成)」「秘密証書遺言(遺言の内容を秘密にしたまま公証役場で手続き)」の3種類があります。これらの遺言書は、公証役場、法務局、あるいは被相続人の貸金庫などに保管されている可能性があります。必ず遺言書の有無を確認しましょう。
ステップ2:法定相続人や相続財産の確定
遺産分割や相続税の申告を行うためには、まず法定相続人と相続財産の内容を正確に把握することが必要です。
法定相続人を確定するには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取り寄せて確認します。また、遺言書や財産目録がない場合は、被相続人の預金通帳や証券会社の取引報告書、固定資産税納税通知書、生命保険証券などの書類をもとに相続財産を調査します。
ステップ3:遺産分割協議・遺産分割協議書の作成(遺言書がない場合)
遺言書がない場合は、誰がどの財産を相続するのかを法定相続人全員で話し合い、「遺産分割協議書」として書面に合意内容をまとめます。これは、マンションの所有権を誰が取得するかを決めるうえでも非常に重要な手続きです。
遺産分割協議書には、相続放棄した人も含めた法定相続人全員の署名と実印による押印が必要です。さらに、押印が「実印」であることを証明するため、市区町村が発行する印鑑登録証明書(発行から3カ月以内のもの)を添付します。
ステップ4:相続登記の申請(名義変更)
財産の分割方法が決まったら、法務局に相続登記を申請します。申請には以下のような書類が必要になります。
- 登記申請書
- 不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
- 被相続人の住民票の除票
- 被相続人の出生から死亡までの連続するすべての戸籍謄本
- 法定相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書
- 不動産の新たな所有者となる相続人の住民票
- 遺産分割協議書または遺言書
- 固定資産評価証明書または固定資産税課税明細書 など
相続登記について、詳しくは下記の記事をご参照ください。
ステップ5:相続税の申告と納付
相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告と納税が必要です。
原則として、納税は現金一括となりますので、相続発生後は速やかに手続きを進め、必要に応じて司法書士や税理士に相談することをおすすめします。
【よくある質問】マンション相続と相続税(FAQ)
Q1. マンションに住宅ローンが残っていたらどうなりますか?
相続したマンションに住宅ローンが残っている場合、相続人がその返済義務を引き継ぐことになります。なお、住宅ローンの残債は「債務控除」として相続税の計算上、相続財産の価額から差し引くことが可能です。
被相続人が団体信用生命保険(団信)に加入していた場合、亡くなったときに残債が保険で完済されるため、債務控除はできません。
Q2. 修繕積立金は相続税の対象になりますか?
分譲マンションの修繕積立金は、管理組合が管理する共有の資金であり、個人が自由に使える財産ではないため、相続税の課税対象とはなりません。
ただし、未納の修繕積立金がある場合、その未納分は債務として次の所有者が引き継ぐことになります。
なお、修繕積立金が適切に積み立てられているマンションは、資産価値の維持・向上につながるため、売却時に有利となる可能性があります。
Q3. 借地権付きマンションは評価額が低くなりますか?
借地権付きマンション(借地上に建つマンション)の場合、土地の所有権がないため、土地の評価額は通常の所有権付きマンションに比べて低くなります。特に、定期借地権の場合、契約期間満了時に土地を返還する必要があるため、建物の残存期間によって評価額が大きく変動します。
相続税における借地権の評価は、借地権の種類(普通借地権・定期借地権など)などによって異なりますが、基本的には土地全体の評価額に借地権割合を掛けて算出します。
なお、借地権付きマンションを相続した場合、相続後に借地権の地代や更新料などの負担が発生します。
マンション相続は正しい相続税評価額の計算と節税対策がカギ!
マンションを相続する際、相続税の負担を大きく左右する最大のポイントは「正しい評価額の把握」と「特例の適用可否」です。マンションを含む土地や建物の相続税評価額は計算が複雑ですが、適切な特例を活用することで、相続税を大幅に抑えることが可能です。
ただし、評価方法を誤ると、相続税を払い過ぎてしまったり、逆に申告漏れとして税務調査の対象となるリスクが高まります。特に不動産の評価額は高額なため、わずかな判断の違いが数百万円単位の税額差につながることもあります。
マンションの相続に不安がある場合は、早めに相続専門の税理士に相談することをおすすめします。
相続専門税理士の無料相談をご利用ください
ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
我々VSG相続税理士法人は、相続人の皆さまのお悩みについて平日夜21時まで、土日祝も休まず無料相談を受け付けております。
具体的なご相談は無料面談にて対応します。弊社にてお手伝いできることがある場合は、その場でお見積り書をお渡ししますので、持ち帰ってじっくりとご検討ください。
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