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最終更新日:2023/7/13

正しい相続手続きVOL29 相続税の仕組みを知って実際にいくらかかるか計算してみよう!

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

私たちが相続手続きを進める中で最も心配すべきこととして、相続税額がいくらになるのかという問題があろうかと思います。この相続税額については、たとえ専門家ではないとしても、きちんと計算方法を理解してさえいれば、誰でも算出することができるようになります。本記事を参考に、ご自身が納めるべき相続税額を把握して不安を払拭してしまいましょう。

相続税納付までの計算の流れについて

相続税額を計算するためには、遺産総額を求め、それに対して実際に収めるべき相続税計算のための加算・控除等の調整を行います。最終的に、各相続人が納めるべき具体的な相続税額を確定させて、納付手続きを行うという流れになります。

相続税の計算の仕組みについて

相続税を計算するためには、まず各種財産金額を求め、それを下図の通り調整することによって課税相続財産総額を求めることになります。


参考元:国税庁「財産を相続したとき」

相続税総額に対して基礎控除超過部分に対して相続税率をかける

相続税の実際の計算の場面では、基礎控除が問題となります。つまり、基礎控除として「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超過することによって初めて、相続税額を算出することができます。

ここで、まず各人の相続税金額を算出する前に、相続税総額を算出しなければいけません。そこで、実際に各相続人がどれほどの金額を相続するのかということはさておき、民法の法定相続分のルールに則って、全体的な相続税金額を確定させることが必要となります。

その上で、下図を参考に相続税率をかけ、「法定相続分に応ずる取得金額」に応じて、控除金額を差し引くことによって、相続税を計算することができます。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1000万円以下 0.1
1000万円超から3000万円以下 0.15 50万円
3000万円超から5000万円以下 0.2 200万円
5000万円超から1億円以下 0.3 700万円
1億円超から2億円以下 0.4 1700万円
2億円超から3億円以下 0.45 2700万円
3億円超から6億円以下 0.5 4200万円
6億円超から 0.55 7200万円

引用元:国税庁「財産を相続したとき」

各人の納付する相続税額を確定させる

上述の確定した相続税額を今度は各相続人が負担すべき金額まで分けていく作業が必要となります。これには、実際に相続する金額を決めておかなければいけません。

各相続人の具体的な相続金額を算出する上で、押さえておくべき相続法制度の仕組みとして、被相続人の1親等の血族並びに配偶者以外の者が相続に伴い、財産を受け取った場合において、その相続税額に2割加算して負担をしなければいけないことになっています。

この確定した相続金額からいくつかの控除を行うことが認められています。具体的には、以下のようなものが挙げられるでしょう。

  • (1)数次相続税控除
  • (2)未成年者控除
  • (3)配偶者控除
  • (4)贈与税額控除
  • (5)外国税額控除
  • (6)障害者控除

なお、被相続人の生前に相続時精算課税制度を利用して贈与を行っていたという場合において、相続税よりも多額の贈与税を支払っていたという場合には、適切な手続きを経ることにより、差額分の税金の還付を受けることができます。

実際のケースを題材に相続税金額を算出してみましょう

まず、想定されるケースとしては、相続財産総額は1億円、相続財産から控除しうる借入金・未払金並びに葬儀費用は4,000万円である場合を考えます。

相続人は、妻の他に子供が一人存在します。この相続財産総額の相続人毎の内訳は、妻が8,000万円であり、子供が2,000万円であることが分かりました。なお、相続財産から控除しうる借入金・未払金並びに葬儀費用は、すべて妻が負担するものとします。

すると、各人の相続税課税価格は次のようになります。
妻: 1億円 - 4,000万円 = 6,000万円
子: 2,000万円 - 0万円 = 2,000万円  

よって、相続課税合計額は、8,000万円(=6,000万円 + 2,000万円)ということになります。

なお、相続税を算出するためには、基礎控除を検討する必要があります。今回の場合には、基礎控除が以下のようになります。

4,200万円(= 3,000万円 + 600万円 × 2)

よって、相続財産課税額は、上記基礎控除を控除して、以下の通りとなります。

8,000万円 - 4,200万円 = 3,800万円

これに対して、各相続人における法定相続分をかけます。
妻:3,800万円 ×1/2 =1,900万円
子:3,800万円 ×1/2 =1,900万円

これに対して、相続税率をかけます。
妻:1,900万円 × 15% - 50万円 = 235万円
子:1,900万円 × 15% - 50万円 = 235万円

したがって、相続税総額は470万円(=235万円 + 235万円)ということになります。
ここから具体的な各人の相続税額は、各相続人の課税価格の割合で按分していきます。

妻:470万円 × 6,000万円/8,000万円 = 352.5万円
子:470万円 × 2,000万円/8,000万円 = 117.5万円

ここから、各相続税の控除が適用されます。例えば、本事例では、配偶者控除が適用され、妻の相続税額は0円となります。

まとめ

今回は、相続税の計算の仕組みについて解説しました。手続きの流れをまずは把握して、実際の計算例を元に計算の手順を押さえておくことが重要となります。

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