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生前贈与の手法にはさまざまなものがありますが、その中の一つに「贈与」があります。
ところが、この贈与を適正に行ったと思っていたにもかかわらず、後から無効ではないかと主張されやすいのもこの相続時における「遺言」の特徴なのです。
それでは、相続手続き上問題なく贈与を行うためにはどのようにすればよいのでしょうか?
生前贈与とは?
相続対策として贈与を行うことは、生前贈与として機能することになります。
生前贈与が成立するためには、贈与契約として、「私は○○をあなたに贈与しますよ」という意思表示をし、財産を移転させることを言います。
契約当事者がこのような意思表示をしていなかったにもかかわらず、財産が移転したような場合には、法律構成として問題が生じることになります。
つまり、「なんでこのお金は動いているの?」という指摘をされてしまうことになります。
贈与を受けていない相続人にとっては、生前贈与が成立しないことにより、自分たちにより多くの相続分が分配されますから、何とかして生前贈与の成立を阻止したい訳です。
贈与契約書を作成しておきましょう
もしも、あなたが本当に生前贈与を受けていたとしましょう。
そうであるならば、他の人に対して「自分と被相続人は適法に生前贈与を行っていた」ということを主張したいはずです。
これを阻害する要因の一つとして、まず「認知症」があります。
認知症が問題となってしまうのは、私たちが法律行為を有効に成立させるためには、きちんと事理弁識能力のある判断能力を有している必要があるからです。
認知症の方は、この「判断能力」が十分ではないと判断されてしまうと、せっかく法律行為を行っても効果が帰属しないことになってしまいます。
一言で「認知症」といっても、人によって程度の差はありますから、あまり重度ではない認知症の方の場合には、判断能力が悪い訳ではないと判断され、場合によっては法律行為をすることができるケースもあります。
判断能力に問題がない場合を想定してみましょう。
ここで、贈与が適法に成立していると主張するためにはどのようなことが必要なのでしょうか?先ほどの例では、当事者同士が口頭にて「贈与をします」という口約束によって、贈与を行いました。
ところが、これは他の人から見て検証することはできません。
他の人から見ても問題なく贈与があったといえるためには、贈与契約書を作成しておく必要があります。
贈与契約書があれば一定程度まで贈与があったと推定することができます。
ところが、やはり判断能力の観点から適正に贈与がされたのかが問題となることがあります。
このような場合には、贈与が問題なく行われたことを相続人となる者にきちんと説明をして理解を得ておくこと、あるいは贈与を行ったときの判断能力に問題がなかったことを証明するための証拠を残しておく必要があるでしょう。
贈与契約対策を十分に検討しましょう
最近の生前贈与に関する情報を誤って理解しておられる方が少なくありません。
例えば、生前贈与の金額だけに着目して、きちんとした書面化をしないで、何も問題ないとお考えの方も少なくないようです。
実際には、前述の通り、後から客観的に主張をするために、まず贈与があったことに対して書面を残す、そして、その時の判断能力が問題となりそうであれば、判断能力に問題がなかったことを示す資料を残しておくことが効果的です。
判断能力に問題があった場合の取り扱いについて
贈与者の判断能力に大きく問題があり、例えば、認知症の程度が重くなってしまった場合には、もはや有効な法律行為をすることは難しくなるでしょう。
例えば、すでに支払いを受けた贈与については、法律上の原因がないということで不当利得返還請求権を行使されて、元の人の財産に戻さなければいけません。
相続の場合には、「元の人」は既に亡くなっておられるので、代わりに相続財産として加算されることになります。
重度の認知症になってしまったら、生前贈与は行うことができないのか?
判断能力と並んで重要な概念として、「意思能力」があります。
これは行為の結果を弁識するための精神能力のことを言います。
ところが、重度の認知症の方は、この意思能力がない場合がほとんどです。
そうなると、残念ながらもはや生前贈与を行うことはできません。
この場合、有効な法律行為を行うためには成年後見人等を付ける必要がありますが、この成年後見等人はご本人の利益に反するような行動をとることを禁止されていますので、相続人にとって利益となる生前贈与を行うこともできないという訳です。
まとめ
今回は、生前贈与を有効に成立させるために必要なことについてお伝えしました。
他の方から指摘を受けることがないように、きちんと証拠を残し、法的に問題のない主張をできるようにしておきましょう。
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