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相続という手続きは、被相続人の財産を承継するための手続きですが、この「そうぞく」という音をもじって「争族」と揶揄されるほど、実は争いが起きやすい手続きでもあるのです。
遺産分割の場面で、このように争いが生じてしまった場合には、私たちはどのようにして解決をすればよいのでしょうか?
家庭裁判所に調停申立てをする
遺産分割協議も法律手続きの一種です。
したがって、本来は当事者同士で解決を図るべきですが、これが適わないのであれば、裁判所に案件を持ち込むことになります。
具体的には、遺産分割協議の場合、いきなり訴訟をするのではなく、家庭裁判所に調停の申立てをすることになります。
ここで、すべての相続人が調停の結果に満足いくことができた場合には、そこで本事案は無事に終了ということになります。
遺産分割調停はどこの裁判所で行われるのか?
さて、遺産分割のための調停を家庭裁判所にて行うということですが、一口に家庭裁判所といっても全国には数多くの家庭裁判所が存在します。
それでは、一体どこの家庭裁判所に申立てを行うのが適切といえるのでしょうか。
家庭裁判所に限らず、法律手続き上私たちが裁判を行うことができる裁判所というのは、あらかじめ管轄が決まっているものです。
そのため、ご自身の住所に近い家庭裁判所で行うことができれば一番望ましいですが、申立ての相手方の都合も考えて相手方のいずれかの住所に近い家庭裁判所に申立てを行うことになるでしょう。
遺産分割調停は訴訟と違う点として、解決策の模索をより積極的に行うための場として機能しますので、遺産分割調停案に対して特に異議のない相続人は無理に参加する必要はありません。
調停に参加するには、そこに行くまでの交通費に加え、お金もかかります。
メリット・デメリットを比較の上、調停に望むのも一つ賢明な態度といえるでしょう。
遺産分割調停の管轄は、当事者で合意した家庭裁判所に申立てをすることもできます。
例えば、申立てをしようとする者が北海道で、相手方が沖縄である場合に、わざわざ沖縄まで出向くことは非常にコストがかかります。
そこで、相手方と交渉をして、自分の住所地と相手の住所地のおよそ中間地点での家庭裁判所で申立てを行うなど柔軟に対応をすることも重要です。
申立てを行うための書類について
遺産分割調停の申立てを行うためには、申立先である家庭裁判所に申立てを行うに至った事由を説明し、その証拠となる事実関係を集めた資料を提出しなければいけません。
例えば、相続が起こったことを証明するために、被相続人に関する出生から死亡までの戸籍、相続対象財産を表す資料、そして財産の評価額を表す資料等の提出が求められることになります。
ここで、相続手続きを経験されてきた方が気を付けなければいけないこととして、各種相続手続きとは異なり、相続の調停申し立てをした場合には、提出書類の原本は返却されないということです。
したがって、調停の申立てが成立後に相続手続きを完了させるためには、別途同様の資料を用意しなければいけないということです。
なお、申立てを行うための申立書そのものは家庭裁判所のホームページにアクセスをし、これをダウンロードすることにより入手することができます。
この申立て手続きは、少々複雑ですのでご自身で行うことが難しい場合には、法律専門家に相談することも検討しましょう。
遺産分割調停はどのように進むのか
初めて、遺産分割調停を申立てるという方は、どのように進むのかよく分からないということもあるでしょう。
ここでは、その手続きについて解説をしていきます。
遺産分割調停は調停委員会によって話し合いが行われます
遺産分割調停の場合には、家庭裁判所で行われるといっても裁判官が中心となって判断をするのではありません。
裁判官ももちろん参加しますが、主に調停委員と呼ばれる有識者を用意し、この調停委員と当事者の話し合いによって問題の解決を図るという訳です。
この調停委員は実際には、法律専門士業、あるいは一定の専門知識を有する人など調停を進めるのに相当であると認められた人の中から選ばれますので、いいかげんな人によって議論が進められるという心配はあまりありません。
調停委員によって公平な遺産分割を図ります
調停の当事者は一種の紛争関係にある者同士ということで、同じ場所で議論をすることは避けられます。
その代わりとして、当事者の一人一人が調停委員のいる部屋に入り、自身の言い分を主張します。
同時に意見徴収をするのではなく、個別に行うことにより、より意見を公平に出しやすい環境づくりに寄与しているといえます。
遺産分割調停はどのように進めるのか
遺産分割調停を無事に完結させるためには、すべての相続人が結論に対して満足しなければいけません。
裁判ではありませんので、上から一方的に「こうしなさい」という決定を押し付けられるのではなく、あくまで自分がそれに納得しないのであれば、提案を拒否してもよいということです。
調停の目的は、自分たちだけではうまく解決できないから、客観的な意見として第三者としての有識者を交えて、再度冷静に話し合いをすることにあります。
そう意味では、話し合いの割合が大きいのですから、裁判の粛々とした進行とは一線を画しているといえます。
交渉の仕方によっては相手方も折れてくれやすいということもありますので、あまり感情的になって自分の意見を何が何でも通したいという態度をとるのではなく、相手の立場にも共感を示しつつ、法的な権利を主張するのがよろしいかと思います。
まとめ
今回は、遺産分割協議の話し合いがうまくまとまらなかった場合の遺産分割調停の解決法についてみてきました。
遺産分割調停を行う可能性があるという方は、本記事を参考に遺産分割調停はどのような人によって行われ、どのような進行によって解決を図ることになるのかという遺産分割の調停の仕組みに関する参考にしていただければ幸いです。
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