東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、ビジネスの実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
【この記事は2021年4月に更新しています】
Contents
持続化給付金は、幅広い規模の企業・個人事業主に向けた給付金という位置づけです。
一般的に、補助金・助成金は、不正受給防止のためにも、申請内容や要件が複雑になっていますが、持続化給付金に関しては、他の給付金・補助金よりも手続きが簡便になっています。
ただし、通常の助成金・給付金・補助金と異なり、申請がオンライン申請のみとなっています。
上記に属する法人・個人事業主を対象としています。
12ヶ月のうち1ヶ月でも、前年度の合計売上の12分の1に対し、売上が50%以上減少した月があるという条件に合致していれば、業務への利用である限り、使途を問わず給付される給付金です。(あくまで事業に活用することが前提)
大企業は含まないものの、資本金10億円以下であれば対象となるため、かなり広い範囲の企業を対象としていると言えます。
医療法人、農業法人、NPO法人など、会社以外の法人についても、幅広く対象となります(宗教法人・一部特殊な業種は除く)。
支給対象となる要件
なお、法人の経営者が、個人事業主としても持続化給付金を受給する、いわゆる「二重受給」に関しては、事業の内容が同一であるなど、条件によっては不正受給とみなされるケースもありますのでご注意ください。
1法人につき最大200万円、個人事業主は1事業主につき最大100万円が給付されます。
実質代表者のみの一人法人なども存在するかと思いますが、この場合は、法人・個人事業主のどちらかでのみ申請し、両方申請することは二重受給に該当する可能性もあるので、持続化給付金事務局に確認しましょう。
後ほど計算方法を記しますが、多くの企業・個人事業主にとっては、法人・個人事業主とも、上限額の最高となるケースが多いと推測されます。
売上減少分の計算方法は、以下のようになります。
一例として、個人事業主で、昨年の売り上げが年間800万円、2020年4月の売り上げが10万円だったとします。
この場合、計算としては、800万-10万×12ヶ月=680万となり、支給額は上限の100万円となります。
また、計算して出た金額が65万円、45万円など100万円に満たない場合は、切り上げ、それぞれ70万円、50万円の支給となります。
給付時期については、一般的にはおおむね2週間とされていますが、それ以上かかるケースも多いと考えた方がよいでしょう。
また、6月29日から、雑所得などの特例や、今年1月~3月に起業した人向けの特例も加わっており、特に特例を用いて申請する場合は、全般的により時間がかかるとみておいた方がよいでしょう。
申請期間は、電子申請の送信完了が、2021年2月15日までとされております。
申請方法は電子申請のみとなっておりますが、全国各地で行われる持続化給付金の相談会を通して申請をすることもできます。
また、商工会議所・商工会でも相談に応じるようになりましたので、商工会議所や商工会の会員の場合は、相談してみるとよいでしょう。
提出書類については、ケースにより内容が大きく異なりますので、詳しくは下記の持続化給付金のサイトをご確認ください。
持続化給付金事業 コールセンター
直通番号:0120-279-292 IP電話専用回線:03-6832-6631
受付時間:8時30分~19時00分(土曜日・祝日を除く 日曜日は運営)
となっております。
家賃支援給付金は、5月に新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が延長されたことにより、家賃・地代を最大法人600万円(複数店舗でも1法人最大600万円)、個人事業主最大350万円を上限に、一定の割合で「家賃の支払者」に給付します(貸主、つまり大家さんに直接ではありません)。
こちらも通常の助成金・給付金・補助金と異なり、申請はオンライン申請となっています。
上記に属する法人・個人事業主を対象としています。
なお、こちらも宗教法人・一部特殊な業種は対象外です。
支給対象となる要件
2020年5月~12月の売上高について、
申請時の直近1ヶ月の支払賃料(月額)に基づき算定した給付額の6倍です。
給付額の算定基準は下記の通りです。
毎月の支払賃料75万円を超える→50万+支払賃料等のうち75万円を超える金額×3分の1
毎月の支払賃料37.5万円を超える→25万+支払賃料等のうち737.5万円を超える金額×3分の1(毎月の上限は法人100万円、個人事業主50万円となります)
なお、賃料を減免・猶予してもらっていた場合、滞納していた場合は特例事項(例外⑧)として、猶予等の事情がわかる書類があれば、「申請日から最低1ヶ月以内に一月分の賃料を支払う」ことを前提に、特別に認めてもらうことができます。
申請期間は持続化給付金と同じで、申請の受付が、2021年2月15日までに完了することとされています。
また、この制度を利用すると、貸主側・賃貸契約会社にも通知が届きます。
事業主によっては、事業に供してはいけない契約をしている物件(住むのはいいけれども、仕事場として使ってはいけない)や、単なる住居用物件として契約しているケースもあるかもしれません。
この場合、貸主・賃貸契約会社から、契約違反などの指摘や、その他トラブルになる可能性もあるので、貸主・賃貸契約会社に通知が行くという点は承知しておいた方がよいでしょう。
家賃支援事業給付金は書類・条件等が複雑ですので、申請のページ・要項をよく確認し、例外事項等にも注意しながら申請手続きを行ってください。
雇用調整助成金自体は以前より存在する制度ですが、今般の新型コロナウイルスの影響をふまえ、雇用の維持を前提に、これまでより手厚く休業手当等の一部を助成する形となりました。
また、以前より書類が複雑という声も多かったため、受給条件の緩和・受給額の拡大・提出書類の簡素化が行われました。
新型コロナウイルスに対する感染症の特例措置としては、下記の条件に全て当てはまる事業主が対象となります(業種は問いません)。
「事業が新型コロナウイルスの影響を受け、最近1ヶ月間の売上高・生産量などが前年同月比5%以上減少、労使間の協定を結んでおり、協定に基づき休業を実施、休業手当を支払っている」ことが条件です。
申請企業の職員で、休業・教育訓練・出向などを行い、雇用維持が図られた者(つまり、解雇・契約解除などを行った場合)は、事後でも対象になります。
助成内容:(平均賃金額 × 休業手当等の支払率)× 助成率 (1人1日あたり15,000円が上限)
区分 | 大企業 | 中小企業 |
---|---|---|
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主 | 3分の2 (4/5 ※) | 5分の4 |
解雇をしていないなどの上乗せの要件を満たす事業主 | 4分の3 (10/10 ※) | 全額(ただし上限15,000円) |
※以下に該当する大企業は括弧内の助成率が上乗せされます。
・緊急事態宣言対象区域の知事の要請を受けて営業時間の短縮、収容率・人数上限の制限、飲食物の提供を控えることに協力する飲食店等の大企業
・生産指標(売上等)が前年又は前々年同期と比べ3か月の平均値で30%以上減少した全国の大企業
特例措置:支給限度日数は原則として1年間で100日分、3年で150日分と規定されています。
ただし、緊急対応期間中(2020年4月1日~2020年9月30日)に実施した休業に関しては、この支給限度日数にカウントされないという特別措置が取られています。
企業の場合、1日1万5,000円を上限としています。
また、従業員がおおむね20人以下の小規模の事業主に関しては、「助成額」=「実際に支払った休業手当額」×「助成率」とみなすなど、制度の緩和が図られました。
6月からの特例措置により、申請がしやすく、提出書類も簡素化されました。
申請方法は、厚生労働省の雇用調整助成金のページを参照ください。
新型コロナウイルスの影響で学校が休業になったご家庭も多かったかと思います。
そのため、子どもが家にいるため、出勤が難しくなる社員・パートの方なども相当数いたでしょう。
このように、子どもを見るため、もしくは子どもが新型コロナウイルスに罹患するなどしたケースに対し、助成金が給付されます。
通常の雇用調整助成金と異なり、今回の制度は対象が幅広くなっています。
小学校等教育機関が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規・非正規問わず、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業(年次有給を消化させるのではなく、あくまで年次有給とは別に休暇をさせた場合に限る。また、雇用保険の対象外のアルバイト・パートなども対象)が対象です。
(なお、小学校等とは、小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(全ての部)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などが含まれます)
上記の(1)か(2)に当てはまる労働者に、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主が対象です。
休暇中に支払った賃金相当額の全額(支給額は8,330円を日額上限)
加えて、2020年4月1日以降に取得した休暇等においては、日額上限額を15,000円に引き上げ
(適用日)2020年2月27日~2021年3月31日の間に取得した休暇(ただし、春休み・夏休み等、学校が開校する予定のなかった日等は除く)
なお、申請方法・詳細な条件・申請方法に関しては、厚生労働省のページを確認ください。
通常の雇用調整助成金とは別に、委託を受けて個人で仕事をする、いわゆるフリーランスの方向けに、雇用調整助成金に近い形の支援金が支給される制度があります。
子どもの保護者であり、小学校等の臨時休業等で、子どもの世話を行うため、契約した仕事ができなくなっている、もしくはできなくなってしまったフリーランスが対象です。
2020年2月27日~2020年3月31日まで 就業できなかった日について1日当たり4,100円
2020年4月1日~2021年3月31日まで 就業できなかった日について1日当たり7,500円
小学校等が臨時休業などを行う前に、業務委託契約等(契約書・電子メール・ビジネスチャット)を文書・書面等で結んでいることが前提となります。
加えて、契約を締結している本人が、個人で業務を行うことや、契約時に、下記のような条件が明確になっていることが必要です。
さらにその上で、
も条件になります。
詳細については、厚生労働省のページを確認ください。
参考:新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)のページ
本来のものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金に関しては、新型コロナウイルスの影響もあり、特別枠という形で新たに枠が設けられました。
資本金・従業員数が一定規模以下の、中小企業にあたる会社・個人・組合
中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資など、新型コロナウイルス対策を主体に、その他開発や改善を行う事業が対象です。
また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、社会経済の変化に応じたビジネスモデルへの転換に向けた前向きな投資を行う事業者には補助率を引き上げ、「新特別枠」として低感染リスク型ビジネス枠が新たに設けられました。
[一般型] 1,000万円
[グローバル展開型] 3,000万円
[通常枠] 中小企業:2分の1 小規模企業者・小規模事業者:3分の2
[低感染リスク型ビジネス枠] 3分の2
以下を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行
補助要件
なお、詳細に関しては、ものづくり補助金総合サイトを確認ください。
小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取り組みの経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とした制度です。
小規模事業持続化補助金については、計画の作成し、結果を報告することや、販路開拓等の実施の際に、商工会議所の指導・助言を受けることが必要です。
そのため、受給後も適切に改善のために用いて、「この補助金を利用した結果、これだけ改善されました」と報告する必要があります。
商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいる「小規模事業者」および、一定の要件を満たした特定非営利活動法人(「小規模事業者」の詳しい定義については、後ほどの持続化補助金公式サイトを確認ください)。
上限額:50万円、ただし特例事業者の場合100万円が上限
開業日が2020年1月1日以降の場合は100万円が上限
複数の小規模事業者等が連携して取り組む共同事業の場合、50万円~1,000万円(連携する小規模事業者等の数により異なる)。
補助対象経費の3分の2
機械装置等費、広報費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、専門家謝金、専門家旅費、設備処分費(補助対象経費総額の2分の1が上限)、委託費、外注費
下記全ての条件を満たすことが必要です。
経費の条件
詳細は、日本商工会議所の小規模事業持続化補助金サイトをご覧下さい。
テレワーク導入や業務改善を目的とした事業者向けの補助金です。
中小企業・小規模事業者(具体的な定義は後ほど掲載するIT導入補助金の公式ページで)
サプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備等、新型コロナウイルス対策を念頭に置いた対応、ビジネスモデル転換のIT投資が対象です。
30万~450万円(上限と下限。この中で、さらに3分の2、4分の3など補助率が変わる)
3分の2以内(C類型-1:サプライチェーンの毀損への対応)、4分の3以内(C類型-2:非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備のどちらか一つ以上を導入)
あらかじめIT導入支援事業者が事務局に登録し、認定を受けたITツールに限られるが、ソフトウェアや付帯サービスの導入経費が主体です。
ハードウェアの場合はレンタルに限られ、ハードウェアの購入は含まれません。
具体的な内容は下記のIT導入補助金の公式ページをご覧ください。
参考:IT導入補助金2021
以上のような様々な制度で、中小企業・零細企業・個人事業主向けの支援制度が整備されています。
助成金・給付金・補助金の種類によっては、募集期間があるものや、予算に上限がありなくなり次第終了となるもの、採択される必要があるものがあり、申し込んだだけでは補助を受けられるとは限りませんので、商工会議所・専門家のアドバイスが必要なケースも多くあります。
また、各種申請は、税理士・社会保険労務士の専門家に依頼できるものも多くあります。
受給の際に、要件に合致していることが前提ですが、対象になる制度があればぜひ活用し、新型コロナウイルス後の「新しい生活様式」に対応できるビジネスの構築に取り組んでいきましょう。