最終更新日:2026/6/11
会社設立を司法書士に依頼するべき人とは?税理士・自分で進める場合との違いを解説

ベンチャーサポート司法書士法人代表司法書士。
東京司法書士会所属(登録番号:第7627号)
1987年生まれ、香川県出身。
青山学院大学卒業後、都内の司法書士法人に補助者として勤務しながら、2014年司法書士試験に合格。合格後から今日に至るまで、多岐にわたる知識、経験を培う。
2018年ベンチャーサポート司法書士法人の代表社員に就任。

会社設立の登記を自分で行わず専門家へ任せる場合、まず依頼先として候補になるのが司法書士です。
ただし、会社設立後に税理士との顧問契約を予定しているかどうかによって、最初から税理士へ相談した方が費用や手間を抑えられる場合もあります。
すでに顧問税理士がいる場合や、設立手続きだけを任せたい場合は司法書士へのスポット依頼が向いています。
専門家報酬をできるだけ抑えたいのであれば、会計ソフトの設立サービスなどを利用して自分で手続きを進める方法もあります。
この記事では、司法書士に依頼できることや費用相場を確認したうえで、司法書士・税理士・自分で設立する場合の違いを比較し、自分に合った会社設立の進め方のポイントを解説します。
【要点まとめ】司法書士への依頼は設立後の税理士契約も含めて考える

会社設立において必須となる「設立登記申請」は、創業者自身で行うか、司法書士(あるいは弁護士)へ依頼するかの2択です。
資格を持たない者が、業務として登記申請を代行することは法律で禁じられています。
株式会社の設立を司法書士に依頼するときの報酬額の相場は、およそ10万円ほどです。
ただし司法書士への報酬以外に、登録免許税など「会社を作ることそのもの」に発生する費用もあるので注意しましょう。
司法書士に依頼した場合、会社の設立登記まではサポートを受けられるものの、設立後の税務署への届出書類の作成・提出代理などは税理士の独占業務のため、サポートは受けられません。
もし設立後に税理士との顧問契約を結ぶ予定があるのであれば、税理士経由で設立すると、司法書士への報酬額を税理士が肩代わりしてくれる「0円設立」というサービスがあります。
顧問契約を必要とせず、会社設立のみを依頼したい場合は、司法書士に頼むといいでしょう。

司法書士
田中千尋
会社設立全体を見据えると、個別の士業に依頼するより、多くの士業が集まった「士業グループ」に依頼をするのが最もスムーズです。
ベンチャーサポートグループには、税理士や司法書士、行政書士、社会保険労務士、弁護士など、主要な士業の資格保持者が集まっているため「顧問税理士を付けたい」「設立だけしてほしい」「許認可や法律面で不安がある」といったさまざまなケースにワンストップで対応が可能です。
会社設立に関して不安があるときは、お気軽にご相談ください。
会社設立で司法書士に依頼できること|税理士・行政書士などとの違い

会社設立で司法書士に依頼できるのは、定款や登記に必要な書類の作成から、法務局への設立登記の申請までです。
司法書士は、登記手続きの代理や法務局へ提出する書類の作成と相談を、独占業務としています。
そのため、登記申請を専門家へ任せたい場合は、司法書士が中心的な依頼先になります。
ただし、会社設立で必要な作業のすべてを司法書士が代行できるわけではありません。
士業ごとにできることを、以下の表にまとめました。
| 専門家 | 会社設立での主な役割 | 設立後の主な役割 |
|---|---|---|
| 司法書士 | 定款や登記書類の作成、定款認証の手続き、設立登記の申請代理など | 役員変更、本店移転、増資などの変更登記 |
| 税理士 | 資本金・決算期・役員報酬などの税務面の相談など | 税務署への届出、記帳・決算・税務申告、税務相談など |
| 行政書士 | 定款作成、事業に必要な許認可の申請など | 許認可の更新・変更など |
| 社会保険労務士(社労士) | 会社設立後の社会保険・労働保険の加入手続き | 入退社に伴う社会保険・労働保険の手続き、給与計算、就業規則など |
たとえば設立登記の申請代理は司法書士の代表的な業務であり、税理士や行政書士が、それぞれの資格だけで会社設立登記を代理することはできません。
同じように司法書士が、税理士の独占業務である税務署への届出などを代行することもできません。

司法書士
田中千尋
この表だけ見ても、結局だれに会社設立を依頼すればいいのか?というのは分かりにくいかもしれません。
「会社を設立する」だけであれば、司法書士の業務範囲ですべて対応できます。
「税務面を整えたうえで設立したい」「設立後の税務関連の届出や相談もしたい」という場合は、税理士への依頼が有効です。
許認可が必要な事業を行う場合は行政書士に、従業員を雇う場合や、設立後の社会保険の手続きまで任せたい場合は社会保険労務士にも相談するとよいでしょう。
会社設立を司法書士に依頼した場合の費用相場

会社設立を司法書士に依頼する場合、必要な費用は「司法書士に支払う報酬」と「会社設立自体にかかる法定費用」の2つに分かれます。
司法書士報酬には一律の料金がなく、依頼する司法書士や会社の設計、必要な書類などによって異なります。
また、株式会社と合同会社でも報酬額が異なることがあり、合同会社は株式会社より設立手続きが少ないため、司法書士報酬をやや低く設定している事務所も多く見られます。
まずは司法書士報酬そのものの相場を確認したうえで、株式会社・合同会社それぞれを司法書士に依頼した場合の費用を見ていきましょう。
司法書士報酬の相場
会社設立を司法書士に依頼した場合の報酬額は、株式会社では10万円前後、合同会社では5万~10万円程度が1つの目安です。
日本司法書士会連合会が2024年3月に実施した「報酬に関するアンケート」では、株式会社の設立登記に関する司法書士報酬の平均は10万7,887円でした。
報酬アンケート結果
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ただし、この金額は「発起人2名・資本金500万円の株式会社について、定款や議事録など必要な書類を作成し、定款認証から設立登記の申請まで司法書士が代理する」という条件で調査したものです。
発起人の人数や会社の設計、司法書士へ任せる範囲などによっては、これよりも高く、あるいは安くなります。
あくまで1つの目安として参考にしてください。
合同会社には、同様の報酬に関する調査がありません。
複数の司法書士事務所が公開している料金を見ると、5万~10万円程度に設定されているケースが多く、株式会社よりやや低く設定される傾向があります。
合同会社は株式会社と異なり、公証人による定款認証が不要なため、司法書士が行う手続きが少なくなります。
そのため、報酬を株式会社より低く設定している司法書士事務所もあります。

司法書士
田中千尋
なおベンチャーサポートグループでも、会社設立のみのご依頼にも対応しており、手数料は株式会社は5万5,000円、合同会社は4万4,000円となっております。
参考:会社設立サービス 起業・会社設立の全てを徹底解説!|ベンチャーサポート税理士法人
株式会社を司法書士に依頼した場合の費用
株式会社を司法書士に依頼して設立する場合は、登録免許税や定款認証手数料などの法定費用に、司法書士報酬が加わります。
主な費用は次のとおりです。
| 費用 | 金額の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 資本金の額×0.7% ※最低額は15万円 |
| 定款認証手数料 | 1万5,000~5万円 |
| 定款の謄本交付手数料 | 2,000円程度 |
| 定款の収入印紙代 | 電子定款:0円 紙定款:4万円(司法書士に依頼する場合は、基本的に電子定款になる) |
| 司法書士報酬 | 約10万円 |
これらを合計すると、およそ30万円前後が、株式会社の設立を司法書士に依頼するときの目安になります。
合同会社を司法書士に依頼した場合の費用
合同会社は株式会社と異なり、公証役場で定款の認証を受ける必要がありません。
また、設立登記の登録免許税も株式会社より低く設定されているため、会社設立にかかる法定費用を抑えられます。
| 費用 | 金額の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 資本金の額×0.7% ※最低額は6万円 |
| 定款認証手数料 | 不要 |
| 定款の収入印紙代 | 電子定款:0円 紙定款:4万円(司法書士に依頼する場合は、基本的に電子定款になる) |
| 司法書士報酬 | 約5万~10万円 |
これらを合計すると、およそ11万~16万円程度が、合同会社の設立を司法書士に依頼するときの目安になります。
会社設立を司法書士に依頼するメリット
会社設立を司法書士に依頼する最大のメリットは、定款や登記書類の作成から法務局への設立登記の申請まで、専門知識が必要な手続きをまとめて任せられることです。
会社設立の登記は自分でも申請できますが、その場合は登記申請書や添付書類を自分で作成・収集する必要があります。
必要となる書類はおよそ10種類に及び、それぞれを正確に作成するのは、はじめて会社を設立する人にとっては高いハードルとなります。
司法書士にこうした手続きを依頼する主なメリットは、以下のとおりです。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 設立登記までまとめて任せられる | 定款や登記に必要な書類の作成から、法務局への登記申請まで依頼できる |
| 手続きにかかる時間や負担を減らせる | 自分で必要書類や申請方法を調べ、書類を作成する負担を減らせる |
| 定款や登記事項を専門家に確認してもらえる | 商号や事業目的、役員など、定款・登記に記載する内容を確認しながら手続きを進められる |
特に初めて会社を設立する場合は、必要な書類や手続きについて一から調べなければならず、多くの手間と時間がかかります。
会社設立の準備中は、事業計画の作成や取引先との調整、店舗や事務所の準備など、登記以外にもやるべきことが少なくありません。
司法書士へ報酬を支払うことで、会社設立の手続きにかける時間を減らし、本業の準備に集中しやすくなります。
会社設立は司法書士・税理士・自分のどれを選ぶ?
会社設立の手続きを専門家へ任せる場合、設立だけを依頼するなら司法書士、設立後の税務・会計まで継続して任せるなら税理士へ相談するという考え方が基本です。
一方、専門家への報酬をできるだけ抑えたい場合は、会計ソフトなどの会社設立サービスを利用しながら、自分で手続きを進めるという方法もあります。
司法書士への依頼が向いているケース
税理士との顧問契約は必要ないものの、会社設立の手続きは専門家へ任せたい場合は、司法書士への依頼が向いています。
司法書士には、定款や登記書類の作成から法務局への設立登記まで、会社設立に必要な手続きをスポットで依頼できます。
設立後の税務を自分や従業員などが行う、あるいはすでに知り合いの税理士がいて、設立後はその人に任せると決めているのであれば、設立登記だけを司法書士へ依頼するのが最もシンプルでしょう。

司法書士
田中千尋
なお、設立だけを依頼する場合であっても、建設業や運送業などの許認可が絡む業種の場合は、行政書士への相談をおすすめします。
こうした業種の場合、定款の作成時点で、将来取得する許認可や実際に行う事業内容を踏まえて事業目的を定めておくことが重要です。
行政書士に相談すれば、許認可を見据えた定款作成から、その後の申請までサポートしてもらえます。
税理士への相談が向いているケース
会社設立後も税理士と顧問契約を結ぶ予定であれば、設立前から税理士へ相談することをオススメします。
税理士へ相談するメリットは、資本金や決算期、役員報酬などを税務面から検討できることだけではありません。
税理士事務所・税理士法人の中には、設立後の顧問契約を前提として、会社設立時に発生する司法書士・行政書士などの専門家手数料を税理士側で負担し、依頼者の負担を実質0円とするサービスを提供しているところがあります。
こうしたサービスは、一般に「0円設立」と呼ばれます。
税理士側にとっては、会社設立から支援することで、その後の税務・会計まで継続して顧問契約を結べるため、設立時の専門家手数料を負担できるしくみになっています。
通常、会社設立を司法書士へ直接依頼すれば、司法書士報酬が発生します。
しかし、もともと税理士との顧問契約を予定しているのであれば、0円設立を利用することで、設立手続きの手数料を抑えながら、設立後の税務・会計までまとめて依頼できます。

司法書士
田中千尋
弊社ことベンチャーサポートでも、税理士顧問契約とセットで会社設立をご依頼いただく場合、行政書士手数料と司法書士手数料を税理士側で負担しています。
ただし、登録免許税などの法定費用は別途必要になり、さらに設立後は税理士への顧問料が継続して発生します。
顧問税理士は必要ないのに、手数料の割引だけを目的に0円設立を利用すると、トータルで支払う金額は逆に多くなってしまいがちなので注意が必要です。
税理士に会社設立を依頼する場合のメリットや費用、顧問契約を結んだ際にしてくれることなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。
自分で設立する方法が向いているケース
会社設立にかかる専門家報酬をできるだけ抑えたい場合は、自分で手続きを進めるのも1つの選択肢です。
近年は、マネーフォワードなどの会計ソフト会社などが提供する会社設立サービスを利用することで、個人でも設立業務を進めやすくなりました。
参考:電子定款対応でお得に会社設立 - マネーフォワード クラウド会社設立|株式会社マネーフォワード
ただし、自分で設立する場合は、必要事項を調べたり、入力内容や書類に不備がないかを自分で確認したりする必要があります。
時間や手間をかけてでも、専門家への報酬を抑えたい人に向いている方法といえるでしょう。
定款の作成や登記申請の概要や必要書類については、以下の記事で解説しているのでご確認ください。
司法書士に依頼した場合の会社設立の一般的な流れ
司法書士に依頼した場合の、司法書士がしてくれるサービスと、自分自身が行う作業を整理します。


司法書士
田中千尋
こちらの画像はあくまで一般的な流れです。事務所によっては順序が異なることもあります。
特に定款認証と資本金の払い込みは、先に資本金の払い込みをお願いすることも多いです(この順序はどちらが先であっても実務上問題はありません)。
司法書士に依頼した場合でも、会社の基本事項の決定や資本金の払込み、作成された書類の押印などは、依頼者側で行うことになります。
司法書士が主に行うのは、定款などの書類作成や定款認証、登記申請、書類の取得などです。
会社設立全体の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
会社設立を依頼する司法書士の選び方
会社設立を司法書士へ依頼する際は、報酬の安さだけではなく、会社設立をどこまで任せられるのか、必要に応じてほかの専門家とも連携できるのかを確認することが大切です。
主に確認したいポイントは、次のとおりです。
| 確認ポイント | 理由 |
|---|---|
| 会社設立・商業登記を扱っているか | 司法書士によって主に扱う業務が異なるため |
| 費用総額と内訳が明確か | 司法書士報酬だけでなく、法定費用を含めた総額を把握するため |
| どこまで依頼できるか | 定款作成、定款認証、登記申請など、料金に含まれる範囲を確認するため |
| 税理士・行政書士などと連携しているか | 税務や許認可など、登記以外の相談が必要になる場合があるため |
同じ「会社設立◯万円」と書かれていても、司法書士事務所によっては、定款作成や定款認証、登記申請まで含まれている場合もあれば、一部の手続きが別料金になっている場合もあります。
見積もりを取る際は、「会社設立が完了するまでに専門家へ支払う金額はいくらになるのか」「自分で対応する必要がある手続きは何か」を確認しておきましょう。
この記事のまとめ:会社設立後も税理士が必要なら設立前からまとめて相談する
会社設立の登記を自分で行わず専門家へ任せるのであれば、司法書士へ依頼できます。
司法書士に依頼すれば、定款や登記書類の作成から法務局への設立登記の申請まで任せられるため、自分で手続きを調べながら進める時間や負担を減らせます。
ただし、会社設立の依頼先を考える際は、設立時の手続きだけでなく、その後にどのようなサポートが必要になるかまで確認しておきましょう。
設立手続きだけを任せたい場合は司法書士、設立後も税務・会計を継続して任せたい場合は税理士へ相談するとスムーズです。
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