最終更新日:2026/6/11
会社設立を司法書士に依頼すべき人・自分で進めてよい人:費用相場と判断基準を解説

ベンチャーサポート司法書士法人代表司法書士。
東京司法書士会所属(登録番号:第7627号)
1987年生まれ、香川県出身。
青山学院大学卒業後、都内の司法書士法人に補助者として勤務しながら、2014年司法書士試験に合格。合格後から今日に至るまで、多岐にわたる知識、経験を培う。
2018年ベンチャーサポート司法書士法人の代表社員に就任。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tana

会社設立を進めるとき、「司法書士に依頼すべきか」「自分で手続きできるのか」と迷う人は少なくありません。
司法書士に依頼すれば、定款の作成・認証や登記申請を専門家に任せられるため、書類不備や手続きの遅れを防ぎやすくなります。
一方で、設立内容がシンプルで、書類作成や法務局とのやり取りに時間をかけられる人であれば、自分で会社設立を進めることも可能です。
また、設立後に税理士との顧問契約を予定している場合は、税理士の「0円設立」を利用して、設立時の費用を抑えるという選択肢もあります。
この記事では、会社設立を司法書士に依頼すべきかどうかの判断基準から、司法書士に依頼した場合の費用相場、税理士の0円設立との違いなどについてを整理します。


目次
会社設立を司法書士に依頼すべき人・不要な人【判断フロー】
ここでは、どのような人が司法書士への依頼に向いているのか、自分で進められるのはどんな場合か、判断の目安を整理します。
まずは、以下のフローチャートで自分の状況に近いルートを確認してみましょう。

ただし、会社設立では行政書士や社会保険労務士など、特定の士業のみが代行できる作業がほかにも複数存在します。
詳しくは「会社設立で各士業に依頼できることの違い」で解説します。
司法書士への依頼が向いている人
司法書士への依頼が向いているのは、登記手続きに時間をかけたくない人や、定款・登記内容について法的な検討が必要な人です。
また、税理士の0円設立を利用せず、登記手続きだけを専門家に任せたい場合も、司法書士への直接依頼が選択肢になります。
その1:登記手続きにかける時間や手間を抑えたい人
会社設立時に行う登記申請では、登記申請書や定款、就任承諾書、印鑑証明書、払込証明書など、複数の書類を準備する必要があります。
それぞれに記載ルールや形式があり、ひとつでも不備があると法務局から補正を求められます。
司法書士に依頼すれば、これらの書類の作成から申請までを代理で進めてもらえるため、依頼者は書類作成や法務局とのやり取りにかかる負担を大きく減らせます。
事業の準備に集中したい人や、不慣れな手続きでミスをするのが不安な人にとって、司法書士への依頼は現実的な選択肢になるでしょう。
その2:機関設計や定款の内容について法的な検討が必要な人
設立時から取締役会や監査役を置く場合や、株式の譲渡制限を細かく定める場合などは、こうした会社の運営方針に合わせて定款や登記内容を整える必要があります。
会社法や登記実務に精通した司法書士に相談することで、設立後の運営も見据えた定款作成や登記手続きを進めやすくなります。
あとから定款変更や変更登記が必要になる手間を抑えたい人は、設立段階から司法書士に相談しておくと安心です。
その3:現物出資や外国籍発起人など、登記手続き自体が複雑な人
不動産や設備などを資本金として拠出する現物出資、外国籍の人が発起人や取締役になるケース、役員構成や本店所在地に特殊な事情があるケースでは、必要書類や確認事項が通常よりも複雑になります。
こうした登記では、書類の不備による補正や設立日のずれが起きやすくなります。
手続き上のリスクを抑えるためにも、会社設立の実務に慣れた司法書士へ依頼することを検討しましょう。
自分で進めても問題ない人
会社設立の登記手続きは、必ず専門家に依頼しなければならないわけではありません。
設立内容がシンプルで、書類作成や法務局とのやり取りに時間をかけられる人であれば、自分で手続きを進めることも可能です。
より具体的な、自分自身で会社設立を行う方法が知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
その1:書類作成や法務局とのやり取りに時間を割ける人
自分で会社設立を進める場合、定款の作成、公証役場での認証手続き、登記申請書類の準備、法務局への申請までを自分で行う必要があります。
平日に公証役場や法務局へ対応する時間を確保でき、必要書類を確認しながら進められる人であれば、専門家に依頼せずに設立手続きを進める選択も現実的です。
司法書士報酬がかからないため、設立時の費用を抑えられる点もメリットです。
その2:会社設立クラウドサービスを利用する人
近年は、画面の案内に沿って情報を入力することで、定款や登記申請書類を作成できる会社設立クラウドサービスも増えています。
代表的なサービスとして「マネーフォワードクラウド会社設立」などがあり、専門知識が少ない人でも、必要書類の作成を進めやすくなっています。
参考:電子定款対応でお得に会社設立 - マネーフォワード クラウド会社設立|株式会社マネーフォワード
ただし、クラウドサービスを利用する場合でも、入力内容の確認や公証役場・法務局への対応は自分で行う必要があります。
その3:設立後の税務や経理も自分で対応し、費用を最小限に抑えたい人
司法書士に依頼すると、10万円前後の報酬が発生します。
一方、自分で電子定款を作成して手続きを進めれば、設立時の支出を法定費用のみに抑えられます。
設立後の税務届出や経理も自分で対応する予定で、会社の構成もシンプルであれば、専門家を介さずに手続きを進める選択も考えられます。
ただし、税務や経理の対応に不安がある場合は、設立後の運営まで含めて税理士などへ相談することも検討しましょう。
税理士の「0円設立」が向いている人
設立後すぐに税理士との顧問契約を予定している人は、税理士の「0円設立」も選択肢になります。
0円設立は、設立後の顧問契約を前提に、会社設立にかかる司法書士報酬相当額を税理士側が負担または割引するサービスです。
登記申請は提携司法書士が担当し、その後の税務届出、役員報酬の設定、経理体制の整備などを税理士に相談できます。
そのため、設立時の現金支出を抑えつつ、設立後の税務や経理までまとめて相談したい人に向いています。
ただし、顧問契約の月額料金、契約期間、対応範囲は事務所ごとに異なります。
設立費用の安さだけで判断せず、顧問契約を含めた総額で比較することが大切です。
0円設立についてはこちらの記事でも個別に解説していますので、よければご確認ください。
会社設立で司法書士は何をしてくれるのか
会社設立における司法書士の中心的な役割は、法務局への登記申請を代理することです。
そのほか、定款の作成、必要書類の準備、公証役場とのやり取り、登記完了後の確認など、設立登記に関わる一連の手続きをサポートしてもらえます。
司法書士の独占業務:登記申請の代理
登記申請の代理は司法書士の代表的な業務であり、会社・法人登記の申請手続きを専門家に依頼する場合、司法書士が中心的な相談先になります。
行政書士や税理士も、会社設立に関連する手続きに関わります。
ただし、行政書士は許認可申請、税理士は税務届出や税務相談が主な担当範囲であり、会社設立の登記申請を代理することはできません。
登記申請の代理に含まれる主な業務は、次の通りです。
| 業務内容 | 詳細 |
|---|---|
| 登記申請書の作成 | 法務局に提出する設立登記申請書を作成する |
| 添付書類の作成・取りまとめ | 就任承諾書、印鑑届書、払込証明書など、登記に必要な書類を準備する |
| 法務局への申請 | 管轄の法務局へ登記申請を行う |
| 補正対応 | 法務局から書類の修正を求められた場合に対応する |
| 登記完了後の確認 | 登記完了後の内容確認や、登記事項証明書・印鑑カードの取得などを行う |
不慣れな手続きで書類不備が起きると、補正対応が必要になり、希望する設立日に間に合わないこともあります。
設立日を決めている人や、事業準備に集中したい人にとって、司法書士へ依頼するメリットは大きいでしょう。
定款の作成と認証手続きの代行
会社設立では、登記申請の前提として定款の作成が必要になります。
定款は会社の基本ルールを定めた書面で、会社の目的、商号、本店所在地、機関設計、株式に関する事項などを記載します。
株式会社の場合、作成した定款は公証役場で公証人による認証を受けなければ効力が生じません。
司法書士に依頼すると、この一連の手続きを代行してもらえます。
なお、合同会社の場合は定款の認証は不要ですが、定款の作成自体は必要になります。
定款の作成段階では、会社の目的の記載方法や機関設計の選択について、後々の事業展開に影響する論点が出てくることもあります。
こうした論点について、登記実務の観点からアドバイスを受けられる点も、司法書士に依頼する価値のひとつです。
会社設立で各士業に依頼できることの違い
会社設立に関する手続きは、司法書士だけでは完結しません。
許認可申請、税務届出、社会保険・労働保険の手続きなどは、別の士業が担当する領域です。
以下の画像は、会社設立の大まかな流れと、それぞれの作業で関わる士業をまとめたものです。

たとえば事業計画の段階で、業種によっては飲食店営業許可や建設業許可、宅建業免許など、行政機関への許認可申請が必要になります。
これらの申請書類の作成や提出代理は、行政書士の専門領域です。
また、行政書士は定款の作成や認証にも対応できますが、登記申請の代理はできません。
そのため、行政書士に定款作成を依頼した場合でも、登記申請は司法書士または自分が行う必要があります。
さらに経営を開始したあとに、補助金の申請を考えている場合、その申請書類の作成を代行できるのも行政書士だけとされています。
行政書士が会社設立において果たす役割などについては、以下の記事でより詳しく解説しています。
会社設立後には、税務署や都道府県税事務所、市区町村への届出(法人設立届出書、青色申告承認申請書など)が必要です。
これらの手続きや、設立後の記帳・決算・税務申告は税理士の専門領域となります。
税理士が会社設立において果たす役割などについては、以下の記事でより詳しく解説しています。
さらに、法人を設立した場合、健康保険・厚生年金は、事業主のみの法人であっても原則として加入対象になります。
従業員を雇用する場合は、労働保険の加入手続きも必要です。
これらの社会保険・労働保険の手続きは、社会保険労務士の専門領域です。
このように、会社設立では、登記、許認可、税務、労務など、複数の手続きが発生します。
まずは自社に必要な手続きを整理し、それぞれの専門領域に応じて相談先を選びましょう。
【一覧表】会社設立で各士業に依頼できること比較
以下の表は、会社設立に関わる主な手続きと、それぞれを担当できる士業の対応範囲をまとめたものです。
| 手続き内容 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | 社会保険労務士 |
|---|---|---|---|---|
| 定款の作成 | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ |
| 定款の認証手続き(株式会社) | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ |
| 登記申請の代理 | ◯ | ✕ | ✕ | ✕ |
| 許認可申請 | ✕ | ◯ | ✕ | ✕ |
| 税務署への届出 | ✕ | ✕ | ◯ | ✕ |
| 青色申告の承認申請 | ✕ | ✕ | ◯ | ✕ |
| 社会保険・労働保険の届出 | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
| 会計顧問・税務顧問 | ✕ | ✕ | ◯ | ✕ |
会社設立を司法書士に依頼した場合の総額費用の目安
会社設立を司法書士に依頼する場合、費用は大きく「司法書士への報酬」と「法定費用」に分かれます。
司法書士への報酬は、書類作成や登記申請の代理に対して支払う費用です。
一方、法定費用は、登録免許税や定款認証手数料など、会社設立の際に必ず発生する実費です。
ここでは、司法書士報酬の相場と法定費用の内訳を分けて整理し、株式会社・合同会社それぞれの総額の目安を解説します。
あわせて、自分で手続きした場合や税理士の「0円設立」を利用した場合との費用差も確認していきます。
なお、会社設立にかかる費用については、以下の記事でも詳しく解説しています。
司法書士への報酬の目安:約11万円
会社設立を司法書士に依頼した場合の報酬は、約11万円がひとつの目安になります。
日本司法書士会連合会が公表している「報酬に関するアンケート」によると、会社設立登記における司法書士報酬の全国平均は10万7,887円です。
回答の分布をみると、10万円台が最も多く、次いで11万円台、8万円台と続きます。
おおむね8万〜12万円の価格帯に回答が集中しており、多くの司法書士事務所がこの範囲で報酬を設定していることがわかります。
ただし、この平均値は「発起人2名、資本金500万円の株式会社を発起設立する場合」という前提条件のもとで算出された数値であり、実際の依頼内容によって、報酬は前後します。
たとえば次のような場合、平均より安くなる傾向があります。
- 発起人・取締役が1名のみのシンプルな構成
- 合同会社の設立(定款認証が不要なため、株式会社より工数が少ない)
逆に、次のような条件では平均より高くなる傾向があります。
- 機関設計が複雑な場合(取締役会設置、種類株式の発行など)
- 現物出資がある場合
- 発起人や役員が多い場合
- 急ぎの対応や紙定款での認証を希望する場合
司法書士報酬は2003年の報酬基準撤廃以降、各事務所が自由に定めているため、事務所ごとに金額には幅があります。
依頼先を選ぶ際は、見積もりの段階で「報酬に含まれる業務範囲」と「追加費用が発生する条件」を明確に確認しておくことをおすすめします。
会社形態別の法定費用:株式会社は約20万円~・合同会社は約7万円~
司法書士報酬とは別に、会社設立では登録免許税や定款認証手数料などの法定費用がかかります。
法定費用は、株式会社と合同会社で大きく異なり、大まかな目安としては株式会社で約20万円、合同会社で約7万円が必要になります。
主な内訳は次の表のとおりです。
| 法定費用の項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 定款認証手数料 | 1万5,000〜5万円 | 不要 |
| 電子定款の収入印紙代 | 0円 (紙定款の場合4万円) |
0円 (紙定款の場合4万円) |
| 定款謄本交付手数料 | 約2,000円 | 不要 |
| 登録免許税 | 15万円〜 | 6万円〜 |
| 合計(電子定款の場合) | 約20万円〜 | 7万円〜 |
株式会社では、公証役場で定款認証を受ける必要があります。
この際に公証人手数料として、資本金の額などに応じて1万5,000〜5万円がかかります。
電子定款であれば収入印紙代4万円は不要ですが、紙の定款で認証する場合は印紙代も追加で必要です。
また、定款の謄本交付手数料として、約2,000円がかかります。
一方、合同会社は定款認証が不要なため、公証人手数料や定款謄本交付手数料はかかりません。
ただし、定款の作成自体は必要です。
紙の定款を作成する場合は、合同会社でも収入印紙代4万円がかかる点に注意しましょう。
登記申請時にかかる登録免許税も、株式会社と合同会社で最低額が異なります。
株式会社の登録免許税は「資本金の額✕0.7%」で計算しますが、最低額は15万円です。
そのため、資本金が約2,143万円以下であれば、登録免許税は15万円になります。
合同会社も計算式は「資本金の額✕0.7%」ですが、最低額は6万円です。
一般的な小規模会社の設立では、株式会社は15万円、合同会社は6万円を登録免許税の目安として考えるとよいでしょう。
なお、登録免許税は「特定創業支援等事業」を利用することで、半額まで軽減することも可能です。
詳しくは以下の記事で解説しています。
司法書士報酬+法定費用の総額目安
司法書士に会社設立を依頼した場合は、ここまで説明した法定費用に、司法書士報酬が加わります。
株式会社の場合、司法書士報酬は約11万円、法定費用は約20万円が目安です。
そのため、総額は約31万円を見込んでおくとよいでしょう。
合同会社の場合は、定款認証が不要なので、株式会社よりも司法書士報酬が低く設定されることがあります。
司法書士報酬を約7万〜10万円、法定費用を7万円〜とすると、総額は約14万〜17万円が目安です。
ただし、実際の費用は、会社の機関設計、発起人や役員の人数、現物出資の有無、急ぎ対応の有無などによって変わります。
依頼前には、司法書士報酬だけでなく、法定費用を含めた総額で見積もりを確認しましょう。
自分で手続きした場合や税理士の「0円設立」との費用比較
司法書士に依頼するかどうかを判断するためにも「自分で手続きした場合」や「税理士の0円設立サービスを利用した場合」との費用差を把握しておきましょう。
ここでは株式会社を設立する場合を想定し、全体の費用相場を以下の表にまとめました。
| 項目 | 自分で手続き | 司法書士に依頼 | 0円設立(税理士) |
|---|---|---|---|
| 司法書士報酬 | 0円 | 約11万円 | 0円(税理士側が負担または割引) |
| 法定費用(株式会社) | 約20万円 | 約20万円 | 約20万円 |
| 設立時の総額目安 | 約20万円 | 約31万円 | 約20万円 |
| 税理士との顧問契約 | 任意 | 任意 | 月額2万〜5万円程度 |
| 電子定款の対応 | 自分で環境整備が必要 | 対応可能なケースが大半 | 対応可能なケースが大半 |
具体的な内容について、詳しく解説します。
自分で手続きを行う場合:約20万円
自分で設立手続きを行えば、司法書士報酬は不要です。
ただし、電子定款を自分で作成する場合は電子署名用のマイナンバーカードやICカードリーダーなどの環境整備と、申請用ソフトのインストールなどが必要になります。
これらを用意できない場合は紙の定款で認証することになり、収入印紙代として4万円が追加でかかります。
税理士の「0円設立」サービスを利用した場合:約20万円
先述のとおり、近年は設立後の顧問契約を前提として「設立手数料0円」や「会社設立0円」を掲げる税理士事務所・税理士法人も増えています。
費用だけを見ると、自分で手続きする場合と同じく、株式会社では約20万円が目安になります。
ただし、0円設立は、設立後の税理士顧問契約を前提としているケースが多いため、月額顧問料や契約期間、解約条件、対応してもらえる業務範囲まで含めて検討しましょう。
会社設立を司法書士に依頼したときの流れ【5ステップ】
司法書士に依頼すると、どこまで自分で動き、どこから司法書士が動いてくれるのかを把握しておくと、設立スケジュールが立てやすくなります。
会社設立の手続きは、大きく次の5ステップで進みます。
ステップごとに「依頼者が行うこと」と「司法書士などが代行すること」が分かれているため、それぞれを順に確認していきます。
Step1:会社の基本事項を決める(依頼者の作業)
最初に行うのは、設立する会社の基本情報の決定です。
ここで決めた内容が定款や登記申請書に反映され、設立後の経営にも直接影響します。
主に決定するのは次の項目です。
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 資本金の額
- 発起人(出資者)の構成
- 事業年度(決算期)
- 役員構成(取締役・代表取締役など)
これらは定款や登記申請書に記載する必須事項であり、設立後の経営にも直接影響するため、慎重に決める必要があります。
司法書士に依頼する場合は、この段階で相談を始めるのがおすすめです。
登記実務の視点から、書き方や設計についてアドバイスを受けながら進められます。
Step2:定款の作成・認証(司法書士が代行)
基本事項が決まったら、それをもとに定款(ていかん)を作成します。
定款は会社の基本的なルールを定めた書面で、商号、事業目的、本店所在地、機関設計、株式に関する事項などを記載します。
司法書士に依頼した場合、定款の作成はほぼすべて代行してもらえます。
依頼者は基本事項や必要書類を提供し、内容を確認・承認するのが主な役割です。
株式会社の場合は、作成した定款を公証役場で認証してもらう必要があります。
この認証手続きも司法書士が代理で行うため、依頼者が公証役場に出向く必要はありません。
Step3:資本金の払込み(依頼者の作業)
定款の認証(合同会社の場合は定款の作成)が完了したら、発起人の個人口座に資本金を払い込みます。
このステップは依頼者自身が行う必要があり、司法書士が代行することはできません。
払込みの際の主な注意点は次の通りです。
- 払込先は発起人個人の銀行口座(設立前のため法人口座は作れない)
- 振込名義人が発起人本人であることが通帳から確認できるようにする
- 発起人が複数いる場合は、代表者の口座にそれぞれが振り込む
払込みが完了したら、通帳の表紙、1ページ目、該当の入出金明細のコピーを用意し、「払込みがあったことを証する書面」を作成します。
書面の作成方法については、司法書士から案内を受けられるのが一般的です。
Step4:法務局への登記申請(司法書士が代行)
資本金の払込みが完了したら、いよいよ法務局へ登記申請を行います。
登記申請の代理は、司法書士の独占業務であり、依頼の最も中心的な業務領域です。
司法書士は、登記申請書の作成から添付書類の取りまとめ、法務局への申請、補正対応までを一貫して代理で行います。
実際に必要な書類は会社の形態や機関設計によって異なりますが、株式会社では主に次のような書類を準備します。
- 設立登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 定款
- 発起人同意書
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 設立時取締役の就任承諾書
- 資本金の払込証明書
- 取締役の個人実印の印鑑証明書
- 法人印の印鑑(改印)届書
- 印鑑カード交付申請書
- 委任状
- 登記すべき事項を記載した別紙またはCD・DVD等
多くの書類は司法書士が作成・確認してくれるため、依頼者の負担を大きく減らせます。
なお、登記申請を行った日が、その会社の設立日になります。
設立日に明確な希望がある場合は、事前に司法書士へ伝えておくことで、その日付に合わせて申請の準備が進められます。

希望日が休日に当たる場合は、指定登記日の直前の開庁日に申請する必要があるため、早めに司法書士へご相談ください。
Step5:設立後の税務・社会保険手続き(税理士・社労士の領域)
登記が完了すれば会社は法律上成立しますが、設立後にもいくつかの届出手続きが必要です。
これらの届出は司法書士の業務範囲外となるため、税理士や社会保険労務士に依頼するか、依頼者自身で対応する必要があります。
主な届出は次の通りです。
| 主な届出 | 届出先 | 期限 | 担当士業 |
|---|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 税務署・都道府県税事務所・市町村役場 | おおむね会社設立日から1〜2カ月以内 | 税理士 |
| 青色申告承認申請書 | 税務署 | 設立日以後3カ月を経過した日と、第1期事業年度終了日のいずれか早い日の前日まで | 税理士 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 給与支払事務所等を開設した日から1カ月以内 | 税理士 |
| 健康保険・厚生年金新規適用届 | 年金事務所 | 会社設立日から5日以内 | 社会保険労務士 |
| 被保険者資格取得届 | 年金事務所 | 会社設立日から5日以内 | 社会保険労務士 |
従業員を雇用する場合は、労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)への各種届出も必要になります。
司法書士は登記の専門家であり、設立後の税務や労務手続きは扱えないため、これらの届出までを見据えて準備するのであれば、税理士・社労士との連携体制がある事務所に相談しておくとスムーズです。
会社設立後の届出については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
失敗しない司法書士の選び方
司法書士であれば誰でも会社設立の登記申請を代理できますが、対応のスピードやアドバイスの内容には、事務所ごとに差が出ます。
依頼したあとに「想定と違った」と感じることを避けるため、依頼先を選ぶ段階で確認しておきたい観点を整理します。
司法書士を選ぶ際にチェックしたいポイントは、主に次の3つです。
それぞれ順に確認していきます。
その1:会社設立の実績があるか
司法書士の業務範囲は幅広く、不動産登記、相続、成年後見など、事務所によって得意分野は異なります。
会社設立の登記を日常的に扱っている事務所と、年に数件しか対応しない事務所では、手続きのスムーズさやアドバイスの具体性に差が出ることがあります。
確認の方法としては、事務所のWebサイトに会社設立の実績やサービスページがあるか、設立に関するコラムやQ&Aを発信しているかといった点が参考になります。
「年間◯件の設立実績」のように具体的な数字を公開している事務所であれば、経験値の目安になるでしょう。
その2:トータル費用を明示してくれるか
司法書士の報酬は、各事務所が自由に設定しています。
そのため、同じ「会社設立」の依頼でも、表示されている金額にはばらつきがあります。
ここで注意したいのは、見かけの報酬額だけで比較しないことです。
たとえば「設立登記:報酬◯万円」と表示されていても、それに含まれる範囲は事務所によって異なります。
確認しておきたいのは、次のような点です。
- 定款の作成は報酬に含まれているか、別料金か
- 電子定款に対応しているか(紙定款の場合は印紙代4万円が追加で発生する)
- 登録免許税や定款認証手数料などの法定費用は表示金額に含まれているか
- 現物出資や役員が複数いる場合の追加費用の有無
- 急ぎ対応や出張対応に別途料金が発生するか
信頼できる事務所であれば、初回の見積もり時に法定費用を含めた総額を明示してくれます。
見積もりを依頼する際は「法定費用込みの総額はいくらになりますか」と確認してみてください。
複数の事務所から見積もりを取って比較する場合も、この総額ベースで揃えることで、正確な比較ができます。
なお、依頼者側の設立内容(発起人の人数、資本金の額、機関設計の複雑さなど)によって追加費用が発生することがあるため、自分の状況を具体的に伝えたうえで見積もりを依頼することが大切です。
その3:他士業との連携体制があるか
会社設立は登記だけで完結するものではありません。
税務署への届出や社会保険・労働保険の加入手続き、業種によっては許認可申請などが発生します。
そのため、司法書士がほかの士業と連携体制を取っているかどうかは、設立後の手続きをスムーズに進めるうえで重要なポイントです。
連携体制があると、次のようなメリットがあります。
- 設立から設立後の手続きまでを、ひとつの窓口で相談できる
- 必要な書類や情報を士業間で共有してもらえるため、依頼者の手間が減る
- 「この手続きはどの士業に頼めばよいか」を自分で判断する必要がなくなる
- 設立段階で税務や許認可の論点を踏まえた助言を受けられる
連携体制の確認方法としては、事務所のウェブサイトで「税理士」「行政書士」「社労士」と提携または同一グループであることが明示されているかをチェックしましょう。
初回相談で「設立後の税務届出はどう進められるか」と質問すると、より確実です。
設立後の経営まで見据えて相談先を選ぶのであれば、複数の士業が連携している事務所や、士業グループに所属している事務所を検討する価値があります。
依頼前に必ず聞くべき5つの質問
ここまで挙げたチェックポイントを踏まえて、初回相談や見積もり依頼の際に確認しておきたい質問を5つにまとめました。
依頼を検討している事務所に投げかけてみることで、その事務所が自分に合っているかを判断しやすくなります。
| 質問 | 確認したいポイント |
|---|---|
| 電子定款に対応していますか | 印紙代4万円が不要になる電子定款に対応しているか |
| 法定費用込みの総額はいくらになりますか | 登録免許税・定款認証手数料を含めた最終的な支払額 |
| 設立日の指定は可能ですか | 希望日に設立できる体制があるか、その場合の所要日数の目安 |
| 現物出資や役員が複数いる場合、追加費用は発生しますか | 自分の設立内容で追加費用が出るか |
| 設立後の税務届出や社会保険の手続きは、税理士・社労士に引き継いでもらえますか | 他士業との連携体制と、引き継ぎ時の依頼者の負担 |
これらの質問に対する回答が明確な事務所であれば、依頼後のミスマッチが起きにくくなります。
逆に、回答があいまいな事務所は、依頼後にトラブルになる可能性があります。
複数の事務所に相談し、回答内容を比較したうえで判断することをおすすめします。
会社設立を司法書士に依頼するときのよくある質問
会社設立を司法書士に依頼するにあたって、多くの人が疑問に感じるポイントを質問形式でまとめました。
記事内で触れた論点も含めて、よくある疑問にお答えしていきます。
その1:電子定款とは何か
電子定款とは、紙ではなく電子データとして作成・認証する定款のことです。
会社設立における定款作成方法には「紙の定款」と「電子定款」の2種類があり、どちらを選ぶかでコストが変わります。
紙の定款を作成する場合、収入印紙代として4万円がかかります。
一方、電子定款であれば収入印紙代がかからないため、設立時の費用を4万円抑えられます。
司法書士に会社設立を依頼する場合、多くの事務所が電子定款に対応しています。
そのため、依頼者が電子署名や申請ソフトの環境を自分で整えなくても、電子定款による費用削減のメリットを受けやすくなります。
自分で手続きを進める場合は、電子署名用のマイナンバーカード、ICカードリーダー、申請用ソフトなどの準備が必要です。
会社設立クラウドサービスを利用すれば、こうした準備の負担を抑えながら電子定款に対応できる場合もあります。
その2:司法書士に依頼した場合の会社設立にかかる期間はどのくらいか
司法書士に依頼した場合、準備開始から設立登記の完了までは、おおむね2〜3週間が目安です。
ただし、これは依頼者側の準備がスムーズに進んだ場合の期間であり、実際には状況によって前後します。
期間の内訳としては、まず会社の基本事項の決定(商号、事業目的、役員構成、資本金額、決算期など)に数日〜1週間ほどかかることが多いです。
これは司法書士側の作業というよりも、依頼者自身が検討・判断する時間です。
基本事項が決まったあとは、司法書士が定款を作成し、公証役場での認証を経て、法務局へ登記申請を行います。
必要書類がそろっていれば、登記申請まで比較的スムーズに進められますが、繁忙期や確認事項が多いケースでは1カ月ほどかかることもあります。
設立希望日が決まっている場合は、早めに司法書士へ相談しましょう。
依頼者側の意思決定が遅れたり、必要書類の準備に時間がかかったりすると、希望日に間に合わない可能性があります。
その3:合同会社でも司法書士に依頼すべきか
合同会社でも、複数人で設立する場合や定款の内容に不安がある場合は、司法書士に相談するのがおすすめです。
合同会社は株式会社と比べて設立手続きがシンプルです。
定款認証は不要で、登録免許税の最低額も6万円と低く設定されています。
しかし、合同会社でも定款の作成は必須です。
そして、定款の認証が不要ということは、公証人による定款内容のチェックを受けないということでもあります。
定款の内容に不備があると、設立後に変更登記が必要になる場合があります。
変更登記には登録免許税が発生するため、結果的に費用や手間が増える可能性もあります。
また、合同会社では業務執行社員の設計、利益配分のルール、代表社員の決め方などを定款で定めることがあります。
特に複数人で出資する場合は、定款の内容が将来のトラブル防止に関わります。
そのため、合同会社であっても、複数人で設立する場合や、定款の内容を自分で判断するのが不安な場合は、設立前に司法書士へ相談しておくと安心です。
まとめ:会社設立で迷ったら専門家に相談しよう
会社設立を司法書士に依頼すれば、定款作成や登記申請を専門家に任せられるため、書類不備や手続きの遅れを防ぎやすくなります。
特に、機関設計に法的な検討が必要な場合や、現物出資・外国籍の発起人など複雑な事情がある場合は、司法書士へ相談するメリットが大きいでしょう。
一方で、会社設立は登記だけで完結するものではありません。
設立後には、税務署への届出、社会保険・労働保険の手続き、業種によっては許認可申請も必要になります。
ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立・運営に関する無料相談を実施しています。
士業グループとして司法書士や行政書士、税理士、弁護士、社労士、土地家屋調査士などさまざまな士業が在籍し、互いに連携しているため、経営者が自分の事業に専念できる環境を実現します。
特に起業初期の不安定な時期において、法務、税務、許認可のすべてを横断的に相談できるパートナーを持つことは、不測の事態を回避し、最短ルートで事業を軌道に乗せるための大きなアドバンテージとなります。
初めて会社設立を行う方や、できるだけ早めにミスなく設立を行いたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。


















