この記事でわかること
- 夫の実家の墓へ入るのが義務なのかどうか理解できる
- 遺言に夫の実家の墓に入りたくないと書いた場合の効力がわかる
- 夫の実家の墓に入りたくない場合の5つの対処法わかる
夫婦別姓の考え方など、婚姻後の夫婦のあり方も多様化しつつありますが、民法や戸籍法などの関係から実現はまだ難しいようです。
また、「死んだ後まで嫁ぎ先の家に縛られたくない」と考える女性も多く、別々のお墓に入る「あの世離婚」も増えているようです。
義父母との折り合いが悪かったり、夫婦の不仲など理由は様々ですが、死亡後でさえ叶えたい願いですから、思いの強さは並大抵ではないでしょう。
また、宗教の違いから実家のお墓を希望するケースもあり、嫁ぎ先の家族とは円満であっても夫の実家のお墓に入らない女性もおられます。
中には自分だけのお墓を建てる方もおられますが、埋葬方法の希望はどうやって叶えるのでしょうか?
また希望が叶いそうにない場合、どのような対策が考えられるでしょうか?
今回は、「夫の実家のお墓に入りたくない!」という妻の希望について、どのような方法があるのか解説していきます。
目次
そもそも妻が夫の実家の墓に入ることは義務なのか?
お墓への埋葬については法律も整備されていますが、妻が夫の実家のお墓に入らなければいけないといった内容はどこにも書かれていません。
嫁ぎ先のお墓に入るのが当たり前という考え方は単なる慣習ですから、法的根拠もない考え方に長く縛られてきたということですね。
ご自身の実家のお墓や自分だけのお墓をつくるなど埋葬してもらうお墓は自由に選べますが、問題はどうやって実現するかです。
本人はすでにこの世にいませんから、何の対策もなければ慣習に従って嫁ぎ先のお墓に入れられる可能性が高いでしょう。
ではどのような対策を打てば、嫁ぎ先のお墓に入らなくてもよくなるのでしょうか?
「夫の実家の墓に入りたくない!」という遺言は有効か?
死後に効力が出るものといえば「遺言」が思い浮びます。
遺言は遺産の承継先を決めるものと思われがちですが、遺言執行者や祭祀承継者の指定も可能であり、付言事項に希望する埋葬方法を記すこともできます。
祭祀承継者とはお墓や仏壇などのお世話をする人のことで、その家の長子(長男、長女)が受け継いでいるケースが多いため、あらかじめ相談しておくとよいでしょう。
あくまでも願望や希望になるため、確実に実行される保証はありませんが意思表示はしておくべきです。
「夫の実家の墓には入りたくない」との強い意思を汲み取り、遺族によって希望の埋葬が実現するかもしれません。
夫の実家の墓に入りたくないときの対処法
希望する埋葬方法を確実にするためには、遺言以外の方法も検討しておかなければなりません。
一般的に、前例のない葬儀や埋葬方法はあまり歓迎されず、今でも「嫁ぎ先のお墓に入るのは嫁として当然」と思われているケースが多いようです。
夫の実家の墓に入りたくない場合、次に紹介する5つの対処法がありますが、婚家の世間体もあるため、感情を逆なでしないよう慎重に対応してください。
周囲の関係者に気持ちを伝えておく
家族や親戚、実家の親や兄弟など、気持ちを打ち明けやすい関係者には、あらかじめ希望の埋葬方法を伝えるようにしてください。
遺言を補完する根回しになりますが、希望するお墓に入れるかどうかは、自分自身や周囲の気持ちによるところが大きいため、関係者の理解は大きな意味を持ちます。
ただし、別のお墓に入ることで嫁ぎ先の家と実家の関係が崩れてしまう可能性もあります。
両家の親戚づきあいが良好であれば、あえて関係を崩す必要もないため、根回しは慎重に行ってください。
実家のお墓に入れるよう祭祀承継者に相談する
嫁ぎ先のお墓に入らない場合、埋葬先に実家のお墓を選ぶ方は多いでしょう。
実家のお墓は親族が祭祀承継者をしていることが多く、承継者の承諾がなければ埋葬はしてもらえないため、事前に気持ちを伝えるようにしてください。
ただし、墓地や霊園によっては名字の違う人は同じお墓に入れないなど、墓地管理規約を定めている場合もあります。
お寺が管理運営する寺院墓地にも一定のルールがあるため、そのままの名字で埋葬可能か、あるいは死後離婚で名字を戻す必要があるのか確認しておきましょう。
また嫁ぎ先に合わせて宗教を変えていた場合、改宗していることを必ず伝えてください。
最近の寺院墓地は考え方も柔軟になっていますが、一部ではまだ異なる宗教の埋葬を認めていないところもあります。
夫婦だけのお墓を購入する
夫の実家のお墓に入りたくない理由が義父母との関係であり、夫婦仲が円満であれば夫婦だけのお墓を購入してもよいでしょう。
墓参りや掃除などもあるため周囲の理解は必要ですが、実家のお墓へ埋葬されるケースより波風は立ちにくいようです。
しかし新たなお墓の建立には費用もかかり、墓地や霊園を探す時間も必要です。
人気の墓地は抽選になることが多く、1年以上待つことも珍しくはないため、夫婦墓の実現には早めの行動がポイントになります。
お墓参りしてくれる方にも配慮し、極端に交通の便が悪い場所は避けるべきかもしれません。
自分だけのお墓を購入する
死後はすべてから解放され、自由でありたいと考える方も増えています。
また実家のお墓への埋葬や、夫婦墓の建立が難しい場合もあるため、個人墓も選択肢に入れておくとよいでしょう。
墓石を建てるタイプや樹木葬、海洋散骨などスタイルも多様化しているので、希望の埋葬方法がきっと見つかるはずです。
死後事務の委任契約を結んでおく
周囲の理解が得られたら、次は希望どおりの埋葬を実現してくれる人を見つけたいところです。
死後事務委任契約は、自分が亡くなった後の事務処理を委任できる契約をいい、親族または第三者へ役場への届出や埋葬など、様々な事務を任せることができます。
契約である以上、契約書の作成や取り交わしは必要となりますから、効力を確実にするためには公正証書にしておくとよいでしょう。
受任者に相応しい方が周囲にいない場合は、相続に詳しい弁護士や司法書士へ依頼することもできます。
まとめ
令和の時代になった現在でも、「嫁は嫁ぎ先の事情に合わせるもの」といった考え方が根強く、亡くなった後のお墓でさえ夫の実家に縛られてしまいます。
しかし法律上の規制はないため、誰にも気兼ねせず、希望のお墓に入れることが本来あるべき姿でしょう。
世間の認識が変わるまでには相当な時間がかかるので、今のところは遺言や関係者への根回しで対応するしかありません。
しかし対策を練るのであれば実効性の高いものが理想的なので、遺言の書き方や、死後事務委任契約などを専門家に相談しておくとよいでしょう。
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