この記事でわかること
- 相続における税理士費用は控除されるのか
- 税理士費用が発生した場合の費用負担者
- 相続税申告における税理士費用の目安
「相続税申告にかかる税理士費用を誰が負担するべきなのか」相続税申告において、このような疑問をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。
相続税申告で税理士費用の負担が生じる場合、相続人の代表者が全額を負担する場合や、均等に分けて支払う場合、相続した財産の割合で支払う場合など様々です。
この記事では、「そもそも税理士費用は控除できるのか」といった内容をはじめ、「税理士費用は誰が負担すべきか」について詳しく解説していきます。
目次
相続税の計算上、税理士に支払った費用は控除できる?
相続税申告を税理士に依頼した場合に、その相談料や申告書作成料などの費用を、相続税の財産計算から経費として控除することはできません。
相続税の計算上、債務控除及び相続財産の評価額からマイナスできるもの(相続税を下げられるもの)は相続税法で定められており、税理士費用はその中に含まれていません。
債務控除として相続財産からマイナスできる支出の代表例は葬儀費用です。
国税庁のホームページでは、以下のように「亡くなった時点で支払いの確定していたものは債務控除ができて、そうでないものは債務控除できない」という旨が記載されています。
遺産総額から差し引くことができる債務
(1)債務
差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときに現に存在した被相続人の債務(借入金や未払金など)で確実と認められるものです。
なお、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付または徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないものであっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできません。
(2)葬式費用
葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができます。
税理士費用を生前に前払いしたら「預け金」として相続財産に持ち戻しが必要
生前に税理士に相続税対策を依頼している場合などに、相続税申告の報酬の一部を前払いしているケースもあるようです。
報酬の一部前払いにより相続財産はその報酬分少なくなりますが、生前に債務は確定していないため、前払い報酬は「預け金」として相続財産に持ち戻しをしなければなりません。
税理士費用は相続人の誰が負担すべき?【相続税申告】
相続に関連する費用に関して、「相続人の中で誰が支払うべきなのか」「代表者が支払ってあとで割り勘を請求していいのか」といった疑問が浮かぶ人もいるのではないでしょうか。
ここからは、相続税申告における税理士費用について、相続人の誰が負担すべきかについて取り上げます。
相続税申告における税理士報酬の目安についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
基本的には相続人代表者が1人で負担するか、全員均等に割って負担する
相続税申告で複数の相続人がいる場合の多くは、連名で1つの相続税申告書を作成します。
1つの相続税申告書を作成して提出する基本のケースでは、税理士に依頼する相続人代表者が1人で負担するか、全員均等に割って負担することが多いです。
あるいは、このような諸々の出費を見越してほとんどの現預金を誰か1人の相続人が承継した場合は、現預金を相続した人が全額負担することもあります。
複数の申告をする場合はそれぞれの相続人が費用負担する
家族間で揉めているような場合は複数の相続人がそれぞれ別の税理士に依頼して、複数の申告をすることもあります。複数の申告をする際はもちろん、それぞれの相続人が費用負担することとなるでしょう。
相続税申告における税理士報酬の目安とは
相続税申告における税理士報酬は、遺産総額の0.5%~1%程度がだいたいの報酬相場と言われています。
つまり、遺産総額が8,000万円の場合は税理士報酬が40万円~80万円程度、遺産総額が2億円の場合は税理士報酬が100万円~200万円程度が目安となります。
「遺産が預金のみでかつ相続人1人」のような場合は、相続税額の計算がシンプルなので税理士報酬も割安になることが多いです。
一方、遺産に土地が複数含まれる場合や、非上場株式が含まれる場合には、財産評価が複雑で手間がかかるため、税理士報酬は高くなる傾向にあります。
ホームページに相続税申告報酬の記載がない税理士事務所は、報酬が割高になる傾向
税理士事務所の中には、ホームページに相続税申告報酬の記載がないケースもあります。
このような場合、明確な報酬基準が設定されておらず、報酬の算出が個別見積もりの可能性があります。報酬基準の根拠が不明瞭だと報酬が割高になる傾向にあるため、注意が必要です。
相続税申告の税理士費用がいくらかかるか気になる方は、ぜひ以下の記事をご参考ください。
二次相続を考慮して配偶者に負担させる方法
将来、二次相続の対象となる配偶者が税理士費用を負担しておくことで、相続税申告にかかる税理士費用を控除しているのに近い状況を作り出すことができます。
相続税には「配偶者の税額の軽減」という制度があり、「被相続人から配偶者への相続」のような一次相続のタイミングでは相続税は大きくかなり軽減されます(ほとんどのケースで納税額0円とすることが可能です)。
一方、「親から子への相続」に代表されるような二次相続こそ、相続税がしっかりと課税されるタイミングと言えます。残された配偶者の財産を少しでも減らしておくということが、相続税の節税ではとても重要になるのです。
そのため、一次相続における相続税申告の税理士費用は、残された配偶者の財産から負担しておくことが二次相続の際の相続税を節税できる工夫となります。
司法書士・行政書士費用は相続人の誰が負担すべき?【名義変更手続き等】
相続に関する手続きを司法書士または行政書士に依頼した際の費用を誰が負担すべきかについて検討しましょう。
司法書士・行政書士費用も税理士費用と同じく、誰が支払うべきかは明確に決まっているわけではありません。
一次相続にかかる費用であれば、残された配偶者の財産から負担しておくことが二次相続の際の相続税を節税できる工夫となります。
弁護士費用は相続人の誰が負担すべき?【相続争い】
相続人同士で遺産を巡る争いがあって弁護士をつける場合、必ずそれぞれ別の弁護士に依頼することになります。そのため、それぞれの弁護士報酬は依頼した相続人が負担することになります。
司法書士費用は相続人の誰が負担すべきか
司法書士の独占業務として相続登記(不動産の名義変更)があります。不動産の名義変更とは、亡くなった方からその不動産を相続した方への名義の書き換えです。
したがって、それぞれの不動産を相続した方が、自分の名義に書き換えるための司法書士費用を負担することが一般的です。
なお、相続して共有名義にする場合は、その共有割合に応じて負担するのが妥当と言えます。
行政書士費用は相続人の誰が負担すべきか
行政書士が代行することの多い、株式や預金口座の名義変更なども、司法書士の場合で紹介したのと同じ考え方です。
それぞれの財産を相続した方が、自分の名義に書き換えるための行政書士費用を負担することが一般的と言えます。
ただし、行政書士による手続き費用は数万円以下の少額になることもあるため、相続人代表者がまとめて支払うこともあるでしょう。
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