この記事でわかること
- 葬式費用を控除できる費用とできない費用がわかる
- 葬式費用を控除できない人がわかる
- 相続税申告書第13表の書き方がわかる
- 相続税を控除する際に注意する点がわかる
相続が発生するとき=家族の死が訪れたときであり、残された遺族は故人の葬式を執り行います。
葬式費用は安いものではないため、「葬式代は誰が負担するのか?」「葬式を2回した場合はどうなるのか?」など、疑問を持つことが多くあるでしょう。
実は、葬式で支払った費用の多くは相続税からマイナスできるのです。
ただし、葬式で支払ったものが全て対象ではなく、「控除できるもの・できないもの」があります。
こちらの記事では、相続税を申告される方・ご自身の葬式について考えている方に知っておきたい葬式費用の控除について解説します。
目次
相続税計算時に控除できる葬式費用
被相続人が亡くなり、葬儀をした場合に葬儀費用は相続財産から控除できます。
相続税は、相続財産から控除金額を引いた金額に対して課税されます。
例えば相続財産が1,000万円あったとして、400万円が控除金額だったとします。
1,000ー400=600万円となり、残った600万円に対して相続税がかかります。
上記の例で、葬儀に200万円使ったとしたら控除金額が600万円となり、1,000ー600=400万円が課税対象となります。
葬儀のために使ったお金は、相続財産からマイナスできるため、節税効果もあります。
ただし「葬儀のため」といえばすべての費用が控除できるわけではありません。
ここからは、相続税計算時に控除できる葬式費用を紹介します。
- ・死亡診断書の費用
- ・遺体の捜索・遺骨の運搬費用
- ・通夜・告別式の費用
- ・納骨費用
- ・仮位牌
- ・会葬御礼の費用
- ・供花・果物費用
- ・会費・飲食代
- ・お布施・戒名代・お車代
- ・心付け
- ・火葬料・埋葬料
死亡診断書の費用
死亡診断書の取得費用は、相続税からマイナスできます。
人が亡くなると、役所に死亡届を出しますが、公的な資料として死亡診断書の添付が必要です。
死亡診断書は、人の死亡を医学的および法律的な面から証明する書類であり、故人を診療した医師もしくは死亡を確認した医師が記入します。
かかる費用は、医療機関にもよりますが3,000円~10,000円程度です。
遺体の捜索や遺骨の運搬費用
遺体の捜索や遺骨を運搬した費用も、相続税からマイナスできます。
たとえば、山中の捜索にヘリコプターを使用し、遺体発見後に葬式会場へ輸送した費用、病院から葬式会場へ遺体を搬送した費用などです。
これらの出費は葬式と一見結びつきがないと思われがちですが、葬式費用で控除できます。
通夜や告別式の費用
葬式費用(通夜・告別式)として、相続税からマイナスできる内訳は下記の通りです。
その他、注意が必要な費用は項目別に説明します。
- ・祭壇費
- ・遺体や遺骨の回送
- ・遺体の安置費用
- ・枕飾り
- ・棺代
- ・メイクアップ
- ・遺影や葬式時の写真
- ・音響
- ・受付
- ・施設利用費
- ・霊きゅう車
- ・看板
- ・葬式担当者の人件費
納骨費用
納骨時に支払った費用は、相続税からマイナスできます。
一般的に四十九日に納骨することが多く、追善供養の費用と考えがちですが、税法上は追善供養の費用から外れるでしょう。
納骨は葬式にまつわる儀式であり、葬式費用と認められているのです。
納骨は、石材店に墓石を開けてもらい遺骨をお墓に納めます。
近年の納骨は、自然葬(樹木葬・海洋葬)や散骨など多極化していますが、こちらの費用も対象です。
位牌の費用は仮位牌のみ対象
位牌の費用は、最初に作る「仮位牌(白木位牌)」のみ相続税からマイナスできます。
仮位牌は、故人の戒名・法名が記され、葬式の際に必ず使用される仏具のため葬式費用に含まれるのです。
仮位牌は木で作られており、漆や金峰などの塗りがなく装飾もない簡素な作りの位牌を指します。
葬式時から四十九日まで使用する「仮位牌」と、四十九日の忌明けを迎えてから仏壇に安置される「本位牌」があり、相続税から控除できるのは仮位牌だけです。
会葬御礼の費用
全ての参列者に一律で同じ品物を渡す「会葬御礼」は、相続税からマイナスできます。
会葬御礼は、足を運んでくださった方にお礼の意味を込めて渡す品物であるため、葬式費用に入ります。
挨拶状とお清めの塩にハンカチやお茶など、だいたい1,000円程度が一般的でしょう。
会葬御礼は、高額ではなく香典返しと同等とは言えず葬式費用の範囲です。
一方、会葬御礼をお返しとした場合では、会葬御礼=香典費用と扱われるため相続税から控除できません。
供花(生花・花輪)や果物費用
葬式時に使う供花や果物は、喪主負担分に限り相続税からマイナスできます。
供花は、故人を慰め会場を花で彩る葬式時の必需品であり葬式費用に含まれるのです。
もし、喪主以外の人が負担したケースは、立替えた分を喪主に請求し清算すると喪主の支払いとして扱えます。
通夜・葬式時の会食・飲食にかかる費用
通夜・葬式時に参列者にお出しする会食費用は、葬式において不可欠であり相続税からマイナスできます。
一見、飲食代は葬式費用とは結びつきがないように見えますが、時間を作り参列してくれた人をもてなす意味を持ちます。
ちなみに、通夜の席でのおもてなしは「通夜振る舞い」、葬式・初七日は「精進落とし」と呼ばれています。
弔問に訪れた方にお出しするお茶菓子や、葬儀を手伝ってくれた人に感謝の気持ちとして準備した飲食代も対象です。
お布施や戒名代・お車代
仏教では、僧侶が読経し故人に戒名を授けられますが、僧侶に渡す「戒名代・お車代」は相続税からマイナスできます。
戒名を付けることは一般的であり、葬式の必需品として控除の対象と考えられています。
僧侶に支払うお布施、会食を辞退されたときにお渡しする御膳料も葬式費用として扱えます。
心付け
葬式に携わってくれた人に心付けを渡した場合、相続税からマイナスできます。
心付けは、葬式でお手伝いしてくれた人や、霊きゅう車の運転手などにお渡しする「気持ち」であり、葬式代に含まれるのです。
心付けはチップとも意味合いが似ており、お世話になった人・お世話になる人に感謝の気持ちを示す金銭・品物を指します。
相場は、あいまいですが社会常識的な観点から、2,000円~5,000円です。
火葬料・埋葬料
遺体の火葬費用・埋葬料も相続税からマイナスできます。
火葬・埋葬も葬式後に必然的に執り行われるため、葬式代に入るのです。
役所に死亡届・死亡診断書を出すと、火葬時に提出する火葬許可証が発行されます。
火葬後は、火葬許可証に証印・日付などが記されたものが返却され、これが埋蔵許可証となり納骨時に持参します。
火葬自体にかかる費用と火葬許可証の発行にかかった出費が控除の対象です。
相続税計算時に控除できない葬式費用
相続税を計算するときに、控除の対象にできない費用があります。
原則として、香典返し・墓跡や墓地の買入れ・初七日や法事の費用は対象外になります。
- ・特別な処理に要した費用
- ・非課税財産(墓地等)の購入費用
- ・香典返しの費用
- ・喪服の購入・レンタル費用
- ・親族の交通費・宿泊費は基本的に対象外
- ・初七日の費用
- ・四十九日・一周忌法要の費用
こちらの章では、控除の対象外となる費用について説明します。
特別な処理に要した費用
死因を特定するために、司法解剖で支払った費用は相続税からマイナスできません。
死亡後に解剖されることは一般的に少なく、葬式費用の対象外です。
東京都福祉保健局のデータによると、2017年に全国で解剖された人の割合は12.4%でした。
過去10年の推移を見ても、9.7%~12.4%であり解剖される人は少数となっています。
非課税財産(墓地等)の購入費用
墓地やお墓の購入費用は、相続税からマイナスできません。
法律上、お墓は必ず用意する定めはなく、葬式とは関連づかず控除に含められないのです。
仏壇・仏具なども墓地等と同じ扱いであり、「祭祀財産」と呼ばれています。
祭祀財産は、資産として相続税が課税されない「非課税財産」です。
相続がはじまってから祭祀財産を購入しても、税金がかからない財産のため相続税からマイナスできません。
つまり、生前にお墓を買うと、お墓分の財産が減り、祭祀財産は相続税が課税されないため自動的に節税となるでしょう。
香典返しの費用
香典返しの費用は、相続税からマイナスできません。
香典は参列者からいただいた気持ちにお返しする性質の物であり、相続財産とは結びつきがないためです。
一般的に「香典返し」とは、四十九日法要を終えてから、香典をいただいたお礼として香典額に相応する品物をお返しすることです。
香典は、相続税から控除できず、課税の対象外であり受け取っても所得税や贈与税が発生しない費用です。
喪服の購入・レンタル費用
葬式の参列時に着用する喪服の購入費用・レンタル代は、相続税からマイナスできません。
喪服の着用は、法律上の義務とは言えず控除の対象から外れます。
親族の交通費・宿泊費は基本的に対象外
遠方から参列する親族の交通費・宿泊料金は、相続税からマイナスできません。
法律上において、親族が葬式に要した交通費や宿泊費について定めはありません。
ですが、葬式自体にかかる出費と参列者の交通費は同じ扱いとは考えにくく控除の対象とは言えないでしょう。
葬式会場や火葬場までのタクシー・バス代は、相続税の控除対象です。
これらは葬式の中で不可欠であり葬式費用に含められるのです。
初七日の費用
初七日法要は、葬式費用として相続税からマイナスできません。
初七日法要は「追善供養」であり、追善供養にかかる費用は控除の対象外です。
最近の傾向では、身内が遠方などにより再び初七日で集まることが難しいため、葬儀と初七日を同時に執り行うことが増えています。
初七日法要を葬式と一緒に行う「繰り上げ初七日」の場合、繰り上げ初七日の費用は葬式費用に含められるでしょう。
初七日の費用は、基本的には葬式代として控除できませんが、繰り上げ初七日により同時に執り行われた場合のみ、相続税から控除できます。
四十九日・一周忌法要の費用
四十九日・一周忌法要も追善供養にあたるため、相続税からマイナスできません。
前述しましたが、四十九日の際に納骨で石屋に支払う納骨費用は、相続税の控除に含められます。
葬式費用以外で質問が多いものとして、相続税申告にかかる税理士費用があります。税理士費用は相続税計算から控除できるか?また専門家報酬は誰が負担すべきか?について気になる場合はこちらの記事を参考にしてください。
葬式費用を控除できない人
葬式費用は誰でも控除できますが、例外的に控除できない人もいます。
葬式代を控除できない人は「制限納税義務者」であり、以下に該当する人です。
- ・日本に住所がない被相続人(相続する人)
- ・相続する人も日本に住所がない
- ・外国籍もしくは日本国籍であっても、この10年以内は日本に住んでいない
法定相続人以外に、遺言により特定の財産を遺贈された「特定受遺者」についても、葬式費用の控除ができません。
相続放棄した人も、原則として控除の対象外です。
相続放棄した人は原則的に控除できませんが、日本に住みながら葬式代を負担した場合に限り、葬式費用のみマイナスできます。
相続税の計算方法
相続税の計算方法は、財産額に税率を掛けるだけという単純な仕組みではありません。
こちらの章では、相続税の出し方について順番に説明します。
財産の合計金額を出す
亡くなった人が保有する財産の合計金額を出します。
この合計金額から、債務をマイナスした額が「課税価格」となるのです。
プラスの財産としては、預貯金や現金・不動産・保険金・退職金、生前贈与された金額などが相当します。
マイナスの財産は、借入や未払い金・葬式費用も計上でき、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いて実際の課税価格を算出します。
基礎控除をマイナスする
上記で計算した課税金額から、「基礎控除額」をマイナスします。
基礎控除額とは、その名前の通り「全ての納税義務者が無条件で課税標準額から差し引くことのできる一定の金額」という意味です。
基礎控除額を求めるには、【3,000万円+(600万円×法定相続人数)】で算出します。
もし、財産の総額が3,600万円に届かない場合は相続税の支払い義務はありません。
財産を相続する人が3人いる場合、基礎控除額は4,800万円となり、4,800万円まで相続税の負担はなくなります。
課税遺産総額が決まる
これまでに財産の合計額と基礎控除額が出たので、この段階で「課税遺産総額」を求めます。
たとえば、財産額が9,000万円で法定相続人が3人(妻、子供2人)なら、基礎控除額4,800万円を差し引いた4,200万円が事実上課税される金額です。
法定相続人の仮相続税額を計算する
課税対象となる金額がわかると、仮に法定相続分の割合で分配し計算します。
財産の分け方は、民法によって定められており「法定相続分」と呼ばれています。
法定相続分は、妻が1/2・子が1/4です。
- ・妻1/2→4,200万円→2,100万円
- ・子1/4→4,200万円→1,050万円
- ・子1/4→4,200万円→1,050万円
法定相続人で分けた税率で計算し合計する
国税庁のホームページにある速算表を見て、上記で分けた割合に掛けます。
そのあと、控除額欄にある金額をマイナスした金額を出します。
- ・妻2,100万円×税率15%-50万円=265万円
- ・子供1,050万円×税率15%-50万円=107.5万円
- ・子供1,050万円→税率15%-50万円=107.5万円
家族3人の相続税は、480万円となりました。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続人の取得分に振り分ける
実際に相続した取得分で、もう一度計算します。
たとえば、妻が70%・子供がそれぞれ15%ずつとします。
- ・妻は480万円の70%で×0.7=336万円
- ・子供2人はそれぞれ15%で×0.15=72万円ずつ です。
妻の相続税は336万円、子供はそれぞれ72万円ずつが、実際に支払う相続税の金額です。
妻は、配偶者控除により全額控除され、相続税の支払いはありません。
葬式費用を控除する際の相続税申告書第13表の書き方
葬式費用を控除するには、「相続税申告書代13表」に必要事項を記入し申告します。
こちらの章では、見本に基づいて申告書の記入方法を確認しましょう。
(1)債務の明細
1番上の欄は、故人の債務について記入します。
(2)葬式費用の明細
真ん中の欄には、葬式の内容について記入します。
支払いを複数人でした場合、段を分けてそれぞれの名前・金額を書きましょう。
(3)債務および葬式費用の合計額
1番下の欄は、葬式費用の支払いが確定している場合、「負担することが確定した債務欄」に記入します。
負担することが確定していない債務(葬式費用)とは、相続税の申告書を出す際に遺産分割が終わっていない場合、仮に法定相続分で割り振った金額で書きましょう。
葬式費用を相続税から控除する際によくある質問
相続税の控除が適用される葬式代については、前述しました。
それ以外に、よくある質問について説明していきます。
葬式を2回した場合は控除の対象
葬式を2回したケースでも、相続税からマイナスできます。
相続税法基本通達13条4項には、 「葬式もしくは葬送に際し、またはこれらの前において、埋葬、火葬、納骨または遺がいもしくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用)」と定められているのです。
たとえば、生まれた場所と生活拠点が離れており、参列者の便宜を考慮し葬式を2回したケースが相当します。
どちらの葬式も死者を葬るための儀式に該当し、2回目の葬式が追善供養ではないことが条件です。
お別れの会・偲ぶ会の費用は原則控除対象
お別れの会・偲ぶ会は、家族葬に参列できなかった人達で葬式を執り行ったと考えられるため、相続税からマイナスできます。
お別れの会とは、一般的に葬式を家族葬などでしたあとに、友達や知り合い・ビジネス関係の方々を招きます。
開催場所や時期にとらわれず、故人を偲べるのがお別れ会などのメリットでしょう。
実のところ、控除対象の判断は、「葬式との関連性・法要の意味合いを持つか」によります。
死者の追悼供養のための儀式と判断されるケースでは、相続税の葬式費用として計上できません。
非常に線引きが難しく、葬儀色が強いか追悼よりなのか催す会によって見解が分かれ、専門家に判断を仰ぐのが賢明です。
そもそも葬式代は誰が支払うのか?
葬式費用は、一般的には喪主が支払うことが多いでしょう。
喪主は、長男など法定相続人が多く、葬式から相続手続きにおいて故人と関係の深い人が務めます。
法律上で明確な規定はないのですが、名古屋高裁では「喪主負担が妥当」と判決があります。
とはいえ、家庭によってケースバイケースであり、生前時に決めていない場合は親族同士で話し合いましょう。
香典費用は誰のものになる?
香典費用は、故人の霊を供養するために葬式を挙げる遺族に渡すものですが、一般的には喪主のものです。
前述しましたが、喪主は葬式代を負担する役割があり、香典は喪主の負担を軽減するために贈るものと考えられています。
皆様からいただいた香典を葬式費用にあて、残金を喪主が負担する流れが多いでしょう。
もし、葬式代より香典費用が多く残金がある場合、喪主が得るケースと相続人全員が法定相続分によって得るケースがあります。
ですが、葬式が終わったら全ての法要が終わるわけではなく、四十九日や一回忌など法要に関する費用はかかります。
今後の法要にかかる費用も想定し、しっかりと家族で話し合っておきましょう。
故人の凍結口座から葬式費用は引き出せる?
人が亡くなると、預金口座は凍結され引き出せなくなりますが、2019年に相続税の改正により死亡後でもお金を引き出せるようになりました。
この改正によって、葬式代を準備する親族の負担が少なくなるでしょう。
ただ、引き出す金額には上限が決められており、故人の預貯金額 × 1/3 × 相続人の法定相続分 =単独で引き出しできる金額です。
また1つの口座で150万円を超える引き出しもできません。
たとえば、相続人が3人で引き出したい口座の預金額が900万円のとき、相続人1人が引き出せる金額は以下の通りです。
900万円×1/3×1/3=100万円
この場合、100万円となるため「1つの口座150万円」の上限には達しておらず、100万円が引き出せる金額です。
葬式費用を相続税から控除するときの注意点
葬式費用を相続税から控除するときに、注意すべきことはあるのでしょうか。
こちらの章では、相続税から控除するときの注意点について説明します。
控除が利用できる範囲は一般的な葬儀費用
基本的に、葬儀費用は相続税の控除が利用できます。
しかし控除の範囲は、一般的な葬儀費用に限られます。
例えば葬儀費用の相場を大きく上回るような過度な出費、通常では発生しない特別な支払いに関しては、控除の対象外になるかもしれません。
支払った葬儀費用に対して控除が使えるかどうかは、その支払いが一般的なものなのかで判断しましょう。
ただし費用の細かい内容によっては、控除が使えたり、そもそも控除の対象外だったりするので困ったら専門家である税理士・弁護士に相談するのが確実です。
領収書は保管し領収書がないものはメモを取る
葬式費用にかかったものは、領収書を保管し領収書がないものはメモを取りましょう。
葬式の前後は慌ただしく忘れがちですが、相続税控除の申告で支払いを証明するために必要です。
冠婚葬祭にまつわるお金の性質上、領収書をもらえない費用も存在します。
たとえば、葬式を手伝ってもらった人への心付け、僧侶のお車代・お布施・戒名料など、領収書が存在しない費用があるのです。
メモには、日時・支払先の名前・金額・支払の内容を記録しましょう。
これらの費用は、領収書がなくてもメモに記しておくことで、相続税からマイナスできます。
不正をすると税務署に見つかる
葬式の費用は控除できますが、使ってもない費用を申告したり、高い金額で申告するのは危険です。
相続では税務署からの調査が入りやすくなっています。
もし税務調査が入った場合には、細かい入出金履歴までチェックされます。
「現金で支払ったからバレにくい」「自分しか関わってないから水増ししても大丈夫」と思うかもしれませんが、バレるリスクが非常に高いです。
不正が発覚すると、ペナルティとして通常よりも高い税金を払うことになります。
不正をしてもメリットは一切ないため、正しく申告しましょう。
相続税の申告・納税は10カ月以内に
相続税の申告と納税は、故人が亡くなった日の翌日から10カ月以内です。
期間内に申告しないと、ペナルティや特例があったときに受けられなくなる場合があります。
たとえば、1月7日に亡くなった場合は、同じ年の10月7日が期限でしょう。
葬式費用の控除対象については、控除とすべきか見解が曖昧なものもあります。
早めに税理士になどの専門家に相談し、期限内に提出しましょう。
互助会を利用したときは取り扱いが異なる
葬儀を執り行う会社には、「互助会」という葬式費用を積み立てる制度があります。
この費用を使って葬式をした場合、相続税控除の取り扱いは、積み立ての契約者によって異なります。
たとえば、以下のケースで見ていきましょう。
- ・葬式代の請求額 150万円
- ・互助会積立金 30万円
故人が契約者の場合、互助会の積み立て分30万円を支払いに充て実際の葬式費用は120万支払います。
請求額150万円から30万円を差し引いた額である120万円を相続財産から控除します。
互助会費用を支払っていたのが故人の場合、互助会費用は相続財産と判断されるからです。
息子が契約者の場合、その積立金は契約者である息子の財産のため、息子の財布から葬式費用を支払ったことになります。
そのため、積立金を充てた150万円全額が葬式費用であり相続税控除の対象です。
実際の葬式費用は、互助会の積立金30万円があるので120万円を支払います。
つまり、息子が積み立てた30万円と葬式費用の支払い120万円の合計150万円を相続財産からマイナスできるのです。
葬儀・相続税で悩んだら専門家に依頼しよう
葬儀や相続税について悩んでいるなら、専門家である税理士・弁護士へ相談するのがおすすめです。
初回の相談を無料で受けつけている場合も多いため、まずは気軽に相談してみましょう。
下記では、専門家に相談するメリットを紹介します。
葬式費用として控除可能か判断してくれる
葬式費用として控除できるもの・控除できないものがあります。
自分で調べて判断もできますが、もし間違えて申告をすると、相続税の支払い金額も変わってくる可能性があります。
そこで相続に精通している税理士に相談することで、どの費用が控除可能か正しく判断してくれます。
ミスがない正しい申告ができるというメリットがあります。
「自分で手続きを進めてミスしたくない」という人は、税理士への相談がおすすめです。
効果的な節税方法を教えてくれる
相続では利用できる控除がたくさんあります。
ただし条件が限定されていたり、事前に申請が必要だったりと、知識がなければ充分に活用できません。
そこで専門家に依頼すれば、相続財産・相続人数などをふまえたうえで、一番効果的な節税方法をアドバイスしてくれます。
相続税は他の税金に比べて税率が高いため、使える節税・控除はどんどん使った方がいいです。
また頻繁に法改正もされるため、相続税に精通している専門家への相談が確実でしょう。
面倒な手続きを任せられる
専門家に依頼すれば、面倒な相続手続きを任せられます。
相続では手続きが複雑なのに、期限が短く設定されており、自分だけで手続きするのは難しいです。
さらに相続放棄・相続税の申告など、重要な手続きも期限が設定されており、期限を過ぎると手続きができなくなる可能性があります。
葬儀や相続財産の調査・他の相続人と話し合いながら、相続自体の手続きを進めなければいけません。
そこで専門家に依頼しておけば、手続きをすべて任せられるため、自分のことに専念できます。
余計な相続トラブルを避けられる
相続では財産をめぐって、トラブルになることも多いです。
親族の間で揉めるのは、なるべく避けたいですよね。
そこで専門家に依頼すれば、親族との交渉にも入ってくれたり、第三者としてトラブルを避けながら手続きを進めてくれたりします。
「余計な相続トラブルを避けたい」「財産のことで揉めたくない」という人は、専門家に相談して間に入ってもらうのがいいでしょう。
まとめ
葬式代の相続税控除にまつわる疑問について、説明しました。
一口に葬式費用と言っても、さまざまな種類があり、費用の多くは控除できることがおわかりいただけたと思います。
家族が亡くなると、葬式の準備などに忙殺され悲しむ間もなく時が過ぎていくでしょう。
現実的な問題として、相続する財産が多ければ多いほど相続税は高額になり、節税できる葬式代の管理は必然です。
相続税控除の可否については、見解がはっきりするもの・しないものがあり、専門家の判断を仰ぎ慎重に申告を進めることが大切です。
あとあとの問題に発展しないよう、控除できる費用の把握・葬式費用を誰が負担するのかなど、親族間で協議しておきましょう。
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ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
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