この記事でわかること
- 相続税申告書を自分で作成する際に注意すべきポイント
- 相続税申告書の記載例を見ながら申告書の書き方
- 相続税申告書提出時の必要書類
相続税の申告書を作成するには多大な労力が必要となるため、大切な人を亡くして間もない内に相続税申告を自分で行うのは、簡単とは言えないでしょう。しかし、書く順序やポイントをしっかり押さえれば、自分で申告を行うことも不可能ではありません。
この記事では、相続税の申告書の書き方や必要書類、作成時の注意点などについて解説します。
目次
- 相続税申告書を自分で作成する際に必要な準備
- 【記載例付き】相続税申告書の書き方
- 1. 相続財産・債務を把握して記載する(第9表~第15表)
- 第9表(生命保険などの明細書)
- 第10表(退職手当金などの明細書)
- 第11表(相続税がかかる財産の明細書)
- 第11の2表(相続時精算課税適用財産の明細書、相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書)
- 第11・11の2表の付表1(小規模宅地等についての課税価格の計算明細書)
- 第12表(農地等についての納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書)
- 第13表(債務及び葬式費用の明細書)
- 第14表(純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額・出資持分の定めのない法人などに遺贈した財産・特定の公益法人などに寄附した相続財産・特定公益信託のために支出した相続財産の明細書)
- 第15表(相続財産の種類別価額表)
- 2. 相続税を計算する(第1表~第3表)
- 3. 加算・控除金額を算出して最終的な相続税額を計算する(第4表~第8表)
- 1. 相続財産・債務を把握して記載する(第9表~第15表)
- 相続税申告書の用紙の入手方法
- 相続税申告書の提出方法
- 相続税申告書作成時の必要書類
- 相続税申告書を自分で作成する際の注意点
- 相続税の申告書を作成する場合は、税理士の力を借りることも検討しよう
「相続税申告」の手順や申告書の作成法を解説!申告期限を過ぎたら?
動画の要約この動画では、相続税申告に関する手順や期限、特例や税額控除について詳しく解説しています。
相続税申告書を自分で作成する際に必要な準備
相続が発生した場合、必ず相続税の申告が必要になるわけではありません。
自分で相続税申告書を作成しようと考えた際は、申告書の作成に取りかかる前に、以下の5つの準備を行いましょう。
1. 遺言書があるかどうか確認する
相続税の申告を考える際に最初に行うのが、遺言書があるかどうかの確認です。相続発生後は、相続人同士で話し合って遺産分割の方法を決定しますが、遺言書がある場合は、基本的に遺言書に従って遺産分割をしなければいけません。
遺言書の保管場所は、自筆証書遺言であれば被相続人の自宅や貸金庫、法務局などが考えられますが、公正証書遺言の場合は公証役場で保管されています。自筆証書遺言を自宅や貸金庫などで発見した場合、家庭裁判所で「検認」を受けなければならないため、勝手に開封しないように注意しましょう。
遺言書があるかどうかの確認について不安がある場合は、行政書士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
2. 相続人が誰か確認する
遺言書を確認したら、相続人が誰なのかを特定します。
被相続人とどのような関係にある人が相続人になるのかは、事例ごとに異なります。法律上、相続人になれる人は法定相続人と呼ばれ、被相続人の配偶者は常に法定相続人です。配偶者以外の親族には相続できる優先順位があり、第1順位は子どもで、子どもがいれば法定相続人は配偶者と子どものみとなります。子どもがいない場合は、第2順位の直系尊属(父母や祖父母)が法定相続人となり、直系尊属もいない場合の法定相続人は、第3順位の兄弟姉妹です。
相続発生時点で、第1順位の子どもや第3順位の兄弟姉妹の中に亡くなっている人がいた場合、その子ども(孫や甥、姪)がいれば親に代わって法定相続人になります。これは代襲相続と呼ばれます。
法定相続人の確定は、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本を取得し、その記載内容を確認して行いましょう。
代襲相続がある場合や、被相続人が前夫・前妻とのあいだに子どもがいる、または認知している子どもがいる場合など、戸籍の確認が難しいケースもあるため、不安を感じるようであれば行政書士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
3. 財産と債務の一覧を作成する
相続人を確認したら、被相続人の財産と債務の一覧を作成することが必要です。被相続人が保有していたすべての財産と債務が相続税の計算対象となるため、漏れのないように洗い出さなければなりません。
預金口座や土地・建物などの不動産、有価証券だけでなく、自動車、保険、書画・骨董など、あらゆる財産がその対象となります。
また、財産だけでなく債務も相続の対象となるため、金融機関への借入金や車・カードのローン、亡くなった時点で未払いの医療費、水道光熱費、税金、クレジットカードの支払いなどがないか確認しましょう。なお、住宅ローンは、亡くなった時点で団体信用生命保険により消滅するケースが多く、その場合は債務には含まれません。
相続税の計算では、相続または遺贈によって財産を取得した人に対する相続開始前7年以内(改正により従来の3年から段階的に延長されます)の贈与と、相続時精算課税制度を利用した贈与も加算しなければいけないため、贈与があったかどうか、あった場合はその金額を確認しましょう。
漏れなく財産・債務を調査できるか不安な場合は、相続税申告の経験が豊富な税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。
財産より債務のほうが大きいなどの理由により遺産相続をしたくない場合は、相続放棄を行うこともできます。相続放棄をするには、相続人であることを知ってから、3カ月以内に家庭裁判所で手続きが必要なため、遺産を相続するかどうかの判断は早めに行いましょう。
4. 財産の評価額を求める
すべての財産と債務の一覧を作成したら、その評価額を求めます。評価額の求め方は、基本的には財産評価基本通達という国税庁が公表しているルールに基づいて計算します。
なかでも、土地の評価額の計算方法は複雑です。財産の評価は、相続税の計算を行う上で重要なポイントとなるため、不安な場合は経験豊富な税理士などに相談してください。
5. 相続税の申告義務の有無を確認する
財産の評価額を求めたら、相続税の申告義務の有無を確認します。相続が発生しても、財産の評価額から債務を差し引いた金額が、相続税の基礎控除額の範囲内に収まれば、相続税の申告は必要ありません。
相続税の基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算するため、法定相続人の数が確定していれば、相続税の基礎控除額がわかります。
財産額から債務を差し引いた遺産総額と基礎控除額を比べ、遺産総額が基礎控除額を超えている場合に相続税の申告書を作成が必要となります。
基礎控除額の計算における法定相続人の数は、養子がいる場合や相続放棄した人がいる場合は民法上の相続人の数と異なります。基礎控除額や財産の評価額の算出に不安を感じるのであれば、税理士に相談するのがおすすめです。
【記載例付き】相続税申告書の書き方
相続税申告書を作成する際には、さまざまな情報を集めて計算した結果を、正しく申告書に記載する必要があります。相続税の申告書には第1表から第15表まであり、付表も含めるとさらに多くの種類があります。
ただし、相続税申告書は事例に応じて記載が必要になる書類だけを作成すればいいため、数十種類の書類すべてに記載が必要なわけではありません。以下の順序で各書類を作成していけば、スムーズに作成することが可能です。
1. 相続財産・債務を把握して記載する(第9表~第15表)
相続税の申告書は、第1表から書き始めるのではなく、相続財産や債務を把握して、第9表から記載することをおすすめします。第1表は、最後に相続人ごとの相続財産の額や相続税額を記載する書類で、第2表以下で記載した内容を集約しなければならないため、第1表を最初に作成することはできません。
第2表以下の書類の中では、相続財産を記入する第9表から作成するのがスムーズです。国税庁のWebサイトで公開されている資料「相続税の申告のしかた(令和5年分用)」でも、P75以下で第9表から作成する手順が掲載されています。
一般的な相続で作成が必要になる、相続財産や債務を記載する第9表以下の主な書類としては、以下の書類が挙げられます。
第9表 | 生命保険などの明細書 |
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第10表 | 退職手当金などの明細書 |
第11表 | 相続税がかかる財産の明細書 |
第11の2表 | 相続時精算課税適用財産の明細書、相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書 |
第11・11の2表の付表1 | 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書 |
第12表 | 農地等についての納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書 |
第13表 | 債務及び葬式費用の明細書 |
第14表 | 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額・出資持分の定めのない法人などに遺贈した財産・特定の公益法人などに寄附した相続財産・特定公益信託のために支出した相続財産の明細書 |
第15表 | 相続財産の種類別価額表 |
※ 申告書は令和6年現在のもの
それぞれの書類の概要と記載内容を確認していきましょう。ほとんどのケースで作成が必要になる書類については、記載例も掲載します。
第9表(生命保険などの明細書)
第9表は、死亡保険金の受取金額を記載する書類です。被相続人が掛金を支払っていて、被相続人の死亡によって支払われる死亡保険金を受け取った場合、その死亡保険金にも相続税がかかります。ただし、死亡保険金は残された遺族の生活を守るための資金であることを考慮し、全額に課税されるわけではなく、「500万円×法定相続人の数」が非課税枠として設定されており、この範囲内は相続税がかかりません。
第9表には、受け取った死亡保険金の額と非課税枠の金額を記載する必要があり、記載例は以下のとおりです。
第10表(退職手当金などの明細書)
第10表は、被相続人が亡くなったことで、被相続人に支給されるはずだった退職手当金や功労金などを被相続人の勤務先から相続人が受け取った場合に記載する書類です。死亡時に退職金や功労金が相続人に支払われた場合も、死亡保険金と同様、相続税の対象になります。「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がある点も同様です。
第10表では、受け取った退職手当金などの金額と非課税枠の金額を記載します。
第11表(相続税がかかる財産の明細書)
第11表は、相続税がかかる財産を列挙して、誰がどの財産を相続したのかを記載する書類です。被相続人の財産を漏れなく記載するようにしてください。第11表の記載例は、以下のとおりです。
第11の2表(相続時精算課税適用財産の明細書、相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書)
第11の2表は、被相続人が相続時精算課税制度を活用して生前に贈与をしていた場合に作成しなければならない書類です。相続時精算課税制度とは、累計2,500万円までの財産について、贈与税を支払わずに子どもや孫へ贈与できる制度であり、この制度を利用して贈与した分の財産は、贈与した人が亡くなった際に、相続財産に加算(持ち戻し)して相続税を計算する決まりとなっています。
第11・11の2表の付表1(小規模宅地等についての課税価格の計算明細書)
第11・11の2表の付表1は、相続した宅地について小規模宅地等の特例を使う場合に、記載が必要になる書類です。小規模宅地等の特例とは、相続税を計算する際に、一定の要件を満たした宅地の評価額を最大80%減額できる制度のため、適用できれば大幅に相続税の負担を軽減できます。
小規模宅地等の特例を使う場合は、特例を適用する宅地の所在地や面積、特例適用後の評価額などを記載する必要があります。
小規模宅地等の特例の適用ミスは税額に大きく影響するため、以下の関連記事も参考にして、判断が難しそうであれば税理士に相談しましょう。
第12表(農地等についての納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書)
第12表は、農地などを相続して相続税の納税猶予の特例を適用したい場合に作成する書類です。農地の相続税負担で農業の継承を諦めることのないように、相続人が農地を相続して引き続き農業を営むような場合に、相続税の納税を猶予する特例があります。
その適用を受ける場合は、相続する農地の区分や所在地、面積のほか、土地の評価額などを第12表に記載します。
第13表(債務及び葬式費用の明細書)
第13表は、相続財産から差し引くことのできる被相続人の債務や葬式費用を記載する書類です。被相続人の債務の明細や、債務や葬式費用を負担する相続人と負担する金額などを記載しなければなりません。以下の記載例のように記入してください。
第14表(純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額・出資持分の定めのない法人などに遺贈した財産・特定の公益法人などに寄附した相続財産・特定公益信託のために支出した相続財産の明細書)
第14表は、主に相続開始前7年以内に、被相続人が相続で財産を取得した人に贈与していたケースで作成しなければならない書類です。相続時精算課税制度を利用していた場合を除いて、相続税の計算では、相続開始前7年以内に行われた贈与については相続財産に含めなければなりません。そのため、贈与された人や財産の詳細を第14表に記載します。
なお、この7年という期間は、令和5年度税制改正によって3年から7年に期間が変更されたものであり、令和6年1月以降に行われる贈与から段階的に延びていきます。
第15表(相続財産の種類別価額表)
第15表は、第11表から第14表までで計算した内容をまとめた書類です。相続人ごとに、相続する財産や債務の金額を記載します。財産、債務の記載では、以下の記載例のように種類別に記載します。
2. 相続税を計算する(第1表~第3表)
相続財産と債務の評価額などを把握して第9表から第15表まで作成したら、以下の第1表から第3表で、相続税の総額と相続人ごとの相続税額を計算します。
第1表 | 相続税の申告書 |
---|---|
第2表 | 相続税の総額の計算書 |
第3表 | 財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合の各人の算出税額の計算書 |
※ 申告書は令和6年現在のもの
相続税は、いったん法定相続分に従って取得したものと仮定して相続税の総額を算出し、それを各相続人が実際に取得する相続財産の割合で按分します。
書類の作成順序としては、まず第1表で相続税の課税対象となる財産の総額を計算し、その計算結果をもとに第2表で相続税の総額を算出して、第1表や第3表で相続人ごとに按分した相続税額を導き出します。それぞれの概要や記載内容は、以下のとおりです。
第1表(相続税の申告書)
第1表は、相続財産などの合計額や相続人ごとの取得額、相続税額などを記入し、相続税申告の最終的な結論を記載する書類です。
第1表には、まず課税対象となる相続財産の合計額と相続人ごとの相続財産の額を記入します。その情報をもとに、第2表で相続税の総額を算出して、計算結果を第1表に転記し、実際の相続財産の割合で按分した相続税額を第1表に記載します。
第1表の記載例は、以下のとおりです。
第2表(相続税の総額の計算書)
第2表は、法定相続人が法定相続分で相続した場合の相続税額を計算する書類です。第1表に記載した相続財産の合計額をもとに、以下の記載例のように法定相続分で分割した法定相続人ごとの相続税額を計算して、合計します。書式の下段に記載されている速算表を参照して、各相続人の相続税額を計算してください。
第3表(財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合の各人の算出税額の計算書)
第3表は、農地について相続税の納税猶予の特例を適用する場合に作成する書類です。特例を適用するには農業相続人であることの証明と農地であることの証明が必要になります。農業相続人であることの証明は農業委員会が行いますが、手続きに時間がかかるため早めに請求しておきましょう。
3. 加算・控除金額を算出して最終的な相続税額を計算する(第4表~第8表)
相続人ごとの相続税額が算出しても、それで申告書の作成が完了するわけではなく、場合によっては第4表から第8表を作成しなければなりません。相続税額に関する加算や控除の適用がある場合、以下のような第4表から第8表の作成が必要です。
第4表 | 相続税額の加算金額の計算書 |
---|---|
第4表の2 | 暦年課税分の贈与税額控除額の計算書 |
第5表 | 配偶者の税額軽減額の計算書 |
第6表 | 未成年者控除額・障害者控除額の計算書 |
第7表 | 相次相続控除額の計算書 |
第8表 | 外国税額控除額・農地等納税猶予税額の計算書 |
※ 申告書は令和6年現在のもの
たとえば、被相続人の一親等の血族(父母や子ども)および配偶者以外の人が相続した場合、その人の相続税額の2割を税額に加算する必要があるため、第4表を作成しなければなりません。
また、相続時精算課税を使わずに、相続開始前7年以内に被相続人が今回の相続で財産を取得した人に贈与していたケースで、受贈者が贈与税を支払っていた場合、贈与税額を相続税額から控除できるため、第4表の2を作成します。
ほかには、被相続人の配偶者については、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは相続で財産を取得しても相続税がかからない配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)という制度があり、適用を受ける場合は以下のように第5表を記載します。
ほかにも、未成年者が相続する場合や、被相続人が過去10年以内にほかの相続で相続人になって相続税を支払っていた場合、外国にある相続財産についてすでに外国に相続税に類似した税金を支払っていた場合などでも、相続税の控除制度を活用可能です。控除制度を活用する場合は、第6表から第8表のうち該当する書類を作成しましょう。
相続税申告書の用紙の入手方法
相続税の申告義務がある場合、相続税申告書の用紙を入手する必要があります。
税務署の窓口で受け取ることもできますが、国税庁のWebサイト「B1-2 相続税の申告手続」から相続税申告書をダウンロードし、印刷して利用することも可能です。ほかにも、e-Tax(電子申告)のシステム上で申告書を作成し、提出する方法もあります。詳細は、「【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)」を確認してください。
相続税申告書の提出方法
相続税申告書の用紙を入手して記入し終えたら、その申告書を税務署に提出しなければなりません。提出方法は、税務署の窓口への持参、郵送、e-Taxのいずれかを選択できます。いずれの方法であっても、提出する税務署は、相続人の住所地ではなく被相続人の最後の住所地を管轄する税務署となる点に注意が必要です。
また、書類の不備や記入漏れなどの問題が発生する可能性があるため、申告書の提出は期限の直前ではなく、余裕を持って行いましょう。
相続税申告書作成時の必要書類
相続税申告書を作成する際には、さまざまな書類を添付しなければなりませんが、相続の状況に応じて、必要となる書類も異なります。以下では、状況別の必要書類・添付書類を解説します。
すべての人が提出する書類
どのような相続税の申告であっても必要になるのが、以下の書類です。
- 被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍の謄本または法定相続情報一覧図(いずれもコピー可)
- 被相続人の住民票除籍
- 遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書
法定相続人や遺産分割の内容を税務署が把握するために、これらの書類が必要となります。また、相続人の本人確認書類として、免許証やマイナンバーカードのコピーなどが必要です。
遺産分割が相続税の申告期限に間に合わない場合の必要書類
遺産分割が相続税の申告期限に間に合わない場合、「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出も必要になるケースがあります。たとえば、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は遺産分割を完了していないと適用できませんが、この書類を提出して、相続税の申告期限後3年以内に遺産分割を完了させて更正の請求という手続きを行えば、特例の適用が可能になります。
相続財産に不動産がある場合の必要書類
不動産を保有している場合は、評価額の計算が複雑になるため、計算で必要になった数値が参照できる資料も添付しましょう。
市区町村から取り寄せた名寄帳(なよせちょう)や、路線価図、登記簿謄本、公図・測量図、住宅地図などが代表的な例です。
また、賃貸物件がある場合には、その賃貸物件のうち実際に賃貸されている部分の割合(賃貸割合)がわかる書類も添付してください。土地に借地権が設定されていたり、借地権を相続したりする場合は、借地に関する資料も集める必要があります。
相続税申告書を自分で作成する際の注意点
相続税の申告書は、相続人みずから作成することも不可能ではありませんが、注意点があります。以下の2点を念頭に置いて、作成を進めましょう。
申告期限に間に合うように提出して納税する
相続税申告書の提出と納税には、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月という期限がある点に注意してください。もし提出と納税が期限に間に合わなければ、無申告加算税や延滞税を課税される可能性があります。
遺産分割を確定させないと相続税の計算はできませんが、遺産分割協議は難航する場合があります。相続人を集めて財産を調査し、遺産分割協議を行っていると、10カ月の期限がすぐに到来するようなケースも珍しくありません。
また、納付期限は申告期限と同様に10カ月以内で、原則として現金一括納付する必要があります。相続財産に現預金が少なければ、相続人が準備しなければならず、遺産分割が決まらないのであれば、被相続人の預貯金の口座から引き出せる額も制限されています。
遺産分割協議や納税資金の準備に時間がかかることを想定して、早めに対応してください。
相続税の申告書の作成に悩む場合は、税務署や税理士に相談する
ほとんどの人にとって相続税申告書の作成は初めての経験となるため、資料の収集や申告書の作成が難しいと感じたら、税務署や専門家に相談することも念頭に入れ、自力の作成にこだわりすぎないように注意しましょう。
相続税の計算を間違えたり、特例の適用を誤ったりすると、相続税を払いすぎる可能性があります。また、相続財産を把握しきれずに申告漏れとなるケースにも注意が必要です。
相続税申告で悩む場合は、税務署が相談窓口や電話で無料相談を受け付けています。ほかにも、税理士に相談したり、申告書の作成を依頼したりする選択肢もあります。
正しい申告を行い、相続税を納税するために、専門家の力を借りることも検討してください。
相続税の申告書を作成する場合は、税理士の力を借りることも検討しよう
財産評価や相続税の計算、特例の適用を正しく判断し、ミスなく相続税申告書を作成するのは、簡単ではありません。相続税の税額は数百万円を超えることもあるため、申告書の作成ミスは大きな損失につながる可能性もあります。自分で作成することも不可能ではありませんが、少しでも不安がある場合は、税理士の力を借りることも検討しましょう。
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