1億円の遺産にかかる相続税はいくら？早見表や計算方法と共に解説！

遺産を相続した場合、多額の相続税が発生するということは誰もが想定しているでしょう。

しかし、実際にどれだけの相続税が発生するのか、詳しく知っている人は多くないかもしれません。

ここでは、相続税の早見表の見方を通して、どの程度相続税が発生するのかを確認していきます。

また、相続税の計算の流れや控除・特例の内容を知っておくことで、将来的な相続税対策に役立つ情報もご紹介します。

1億円の遺産にかかる相続税はいくら？

相続が発生すると、故人が保有していた遺産を相続した人に対して、相続税が発生します。

相続税の金額は、一般的に高額であるイメージがありますが、実際にはどれくらいの金額になるのでしょうか。

ここては、1億円の遺産があった場合の相続税について解説します。

1億円に対する相続税は0円～2,300万円

相続税の計算は、基本的に遺産の金額が大きくなればなるほど大きくなります。

ただ、相続税の計算は遺産の金額だけで決まるわけではなく、法定相続人の数など遺産以外の要素により金額は変わります。

法定相続人の数が多い場合や、様々な特例などが利用できる場合には、1億円の遺産があっても相続税額はゼロとなります。

一方、法定相続人が1人で特例も利用できない場合には、最大で2,300万円の相続税が発生します。

相続税の税率と速算表

相続税の税率は、遺産の金額が大きくなるほど高くなる累進課税制度が採用されています。

そのため、課税される遺産の金額によって、適用される税率が異なるのです。

相続税の計算には下記の速算表が用いられます。

法定相続分で分割した金額	税率	控除額
1,000万円以下	10%	－
3,000万円以下	15%	50万円
5,000万円以下	20%	200万円
1億円以下	30%	700万円
2億円以下	40%	1,700万円
3億円以下	45%	2,700万円
6億円以下	50%	4,200万円
6億円超	55%	7,200万円

参照元：国税庁

詳しい計算方法は後ほどご紹介しますが、遺産の金額が大きな人の場合、最大で55%もの相続税が課されます。

相続税の早見表

相続税の税率が書かれた速算表をご紹介しました。

この速算表は、遺産の総額ではなく法定相続分に分割した後の金額に適用されるため、相続税の計算が複雑に感じるでしょう。

そこで、遺産の総額からおおよそどれくらいの相続税が発生するかを明らかにした早見表をご紹介しましょう。

こちらの早見表を見れば、遺産の総額と相続人の構成から相続税の金額を知ることができます。

配偶者のみの場合

相続人が配偶者のみの場合、相続税の早見表はありません。

これは、配偶者だけが法定相続人となりすべての遺産を相続する場合には、配偶者の税額軽減という特例制度が利用できるためです。

配偶者の税額軽減により、配偶者が相続した遺産については1億6,000万円か法定相続分のいずれか多い方の金額まで非課税となります。

配偶者のみが法定相続人となる場合、配偶者が相続した遺産はすべて法定相続分に含まれるため、相続税はかかりません。

配偶者と子どもの場合

配偶者と子どもが法定相続人となり、それぞれが法定相続分を相続した場合の、相続税の合計額を表したのが以下の早見表です。

なお、配偶者の相続分については配偶者の税額軽減が適用できるため、配偶者の相続税額はいずれもゼロとなります。

財産の評価額（基礎控除計算前）	配偶者＋子ども1人	配偶者＋子ども2人	配偶者＋子ども3人
5,000万円	40万円	10万円	0円
6,000万円	90万円	60万円	30万円
7,000万円	160万円	113万円	80万円
8,000万円	235万円	175万円	138万円
9,000万円	310万円	240万円	200万円
1億円	385万円	315万円	263万円
1億5,000万円	920万円	748万円	665万円
2億円	1,670万円	1,350万円	1,218万円
2億5,000万円	2,460万円	1,985万円	1,800万円
3億円	3,460万円	2,860万円	2,540万円
5億円	7,605万円	6,555万円	5,963万円
7億5,000万円	1億3,500万円	1億1,995万円	1億1,010万円
10億円	1億9,750万円	1億7,810万円	1億6,635万円
20億円	4億6,645万円	4億3,440万円	4億1,183万円
30億円	7億4,145万円	7億380万円	6億7,433万円

子どものみの場合

配偶者がすでに亡くなっており、子どもだけが法定相続人となる場合の相続税の合計額を表す早見表になります。

配偶者の税額軽減を適用できる人がいないため、配偶者がいる場合と比較すると相続税の負担は大きくなります。

財産の評価額（基礎控除計算前）	配偶者＋子ども1人	配偶者＋子ども2人	配偶者＋子ども3人
5,000万円	160万円	80万円	20万円
6,000万円	310万円	180万円	120万円
7,000万円	480万円	320万円	220万円
8,000万円	680万円	470万円	330万円
9,000万円	920万円	620万円	480万円
1億円	1,220万円	770万円	630万円
1億5,000万円	2,860万円	1,840万円	1,440万円
2億円	4,860万円	3,340万円	2,460万円
2億5,000万円	6,930万円	4,920万円	3,960万円
3億円	9,180万円	6,920万円	5,460万円
5億円	1億9,000万円	1億5,210万円	1億2,980万円
7億5,000万円	3億2,070万円	2億7,000万円	2億3,490万円
10億円	4億5,820万円	3億9,500万円	3億5,000万円
20億円	10億820万円	9億3,290万円	8億5,760万円
30億円	15億5,820万円	14億8,290万円	14億760万円

相続税の計算方法

相続税の早見表の見方を知ることで、おおよその相続税額を知ることはできます。

しかし、必ずしも法定相続分通り相続するとは限らず、また相続人の人数がもっと多くなる場合もあります。

次に、実際の税額を知るための相続税の計算方法について解説していきます。

(1)遺産総額を求める

被相続人が保有していた財産は、基本的にすべて相続税の計算対象となります。

そこで、遺産の相続税評価額を計算し、その合計額を求めます。

遺産に含まれる財産の種類としては、現金や預貯金、土地や建物などの不動産、有価証券、自動車などがあります。

このうち不動産や有価証券については、その評価方法が定められているため、確認しながら評価額を求める必要があります。

また生命保険金を受け取った人がいる場合は、その生命保険金も相続税の計算対象に含めます。

ただし、500万円×法定相続人の数で計算される非課税枠があるため、その金額を超えた部分だけが課税対象となります。

なお、借入金などの債務がある場合には、マイナスの財産として遺産総額から差し引きます。

また葬儀費用として支払った金額も、遺産総額から差し引きます。

(2)法定相続人を確定し基礎控除額を計算する

遺産の総額を求めるのと同時に、法定相続人を確定させなければなりません。

法定相続人となった人には相続権があるのと同時に、基礎控除額の計算に必要だからです。

基礎控除額は、「3,000万円＋600万円×法定相続人の数」で計算します。

たとえば配偶者と子ども2人が法定相続人となる場合、基礎控除額は3,000万円＋600万円×3人＝4,800万円となるのです。

(3)課税遺産総額を計算する

遺産総額から基礎控除の額を差し引いて、相続税の課税対象となる課税遺産総額を計算します。

この時、基礎控除の方が大きくなれば相続税の課税は発生せず、申告書を提出する必要もなくなります。

課税遺産総額が3億円、基礎控除額が4,800万円の場合、課税遺産総額は3億円－4,800万円＝2億5,200万円となります。

(4)相続税の総額を計算する

相続税の計算には速算表を使いますが、いきなり課税遺産総額を使って税額を計算するわけではありません。

まずは課税遺産総額を法定相続分に分け、分割した金額を速算表にあてはめて税額を計算します。

その後、すべての税額を合計して相続税の総額を求めるのです。

先ほどのケースでは、配偶者分として1億2,600万円、子ども分として1人あたり6,300万円に分けることができます。

まずは1億2,600万円を速算表にあてはめて計算すると、以下のようになります。

1億2,600万円×40%－1,700万円＝3,340万円

同様に子ども分の6,300万円については、6,300万円×30%－700万円＝1,190万円と計算されます。

これらの税額を合計すると、相続税は以下のような計算で求められます。

3,340万円＋1,190万円×2＝5,720万円

(5)相続人ごとの納税額を求める

相続税を納税するのは、より多くの遺産を相続した人でなければ不公平です。

そこで、相続税の総額を実際に遺産分割した時の割合に応じて分割し、それぞれの納税額を計算します。

たとえば配偶者が遺産の4割を相続した場合、配偶者の納税額は5,720万円×0.4＝2,288万円となります。

また子どもがそれぞれ遺産の3割を相続した場合、子どもの納税額は5,720万円×0.3＝1,716万円となります。

相続税の節税に使える控除・特例

相続税の税額を計算すると、かなり大きな税額になるケースも多いでしょう。

しかし、相続した遺産の内容や相続人の状況に応じて、様々な特例や控除の制度が設けられています。

利用者が多いであろう制度をご紹介します。

小規模宅地等の特例

自宅を相続する場合、自宅の敷地について330㎡まで、その評価額を最大8割減額できる特例です。

配偶者が相続する場合は無条件に利用できますが、子どもの場合は持ち家を持っていないなどの要件をクリアしなければなりません。

また、小規模宅地等の特例を適用して相続税が発生しなくなることがありますが、この場合も申告書の提出は必要です。

配偶者の税額軽減

配偶者が相続した遺産については、相続後の配偶者の生活に必要なものと考えられます。

そこで、1億6,000万円と配偶者の法定相続分のいずれか大きい方の金額までは、相続税が発生しないのが配偶者の税額軽減です。

なお、配偶者の税額軽減を適用するには、遺産分割協議が成立している必要があります。

未成年者控除

未成年者の相続人は被相続人に扶養されていたケースが多く、相続した遺産で相続後の生活をしなければなりません。

しかし遺産を多く相続すれば、その分相続税の税額が大きくなってしまい、相続後の生活が不安定になるおそれがあります。

そこで、「成人に達するまでの年数×10万円」の税額を控除し、相続税の負担が軽減されます。

障害者控除

障害者である相続人は被相続人の扶養に入っていた場合が多く、相続発生後の生活が不安定になりやすい環境にあります。

そこで、遺産を相続しても多くの税金を支払わなくていいように、障害者控除の制度が設けられています。

「満85歳に達するまでの年数×10万円（特別障害者の場合は20万円）」として控除額を計算します。

生命保険金の控除

被相続人の死亡により支払われる生命保険金は、被相続人の財産ではないため、民法上遺産分割の対象にはなりません。

しかし、相続税計算時には見なし財産と扱いのため課税対象です。

生命保険金の控除額は「500万円×法定相続人の数」で求められます。

相続の注意点

相続税は税務調査も入りやすく、誤りの多い税金です。

正しく申告・納税するために、注意すべき点は大きく2つあります。

• 相続財産をもれなく把握
• 法定相続人の確定

上記２つの前提が揃わない限り、正しい相続税を計算するのは不可能です。

財産の把握や相続人を確定するには正しい知識が必要のため難しければ、専門家に協力を仰ぎましょう。

相続税対策としてやるべきこと

総資産が1億円を超えそうなら、生前贈与を活用するメリットもあります。

生前贈与を活用する

生前贈与は、1年間で110万円以下であれば、贈与税がかからないことに加え、贈与のタイミング・相手を選ぶことができるため、比較的自由度の高いことがメリットです。

ただし使い方によっては、複数回に分けて贈与をしたとしても、1回の贈与と見なされ課税対象と判断されることもあるため、実施する際は専門家に相談すると良いでしょう。

また教育資金や結婚資金など特定の利用目的がはっきりした贈与の場合には、一定額まで非課税のため、相続の金額が大きい方は生前贈与も対策として検討ください。

税理士に相談する

相続税は人生でそう経験することもないため、対策を自分だけで実行するのは不安が大きいことでしょう。

実際、誤った相続税対策の結果、かえって相続税の負担が増える、あるいは相続人同士の争いになってしまうこともあります。

トラブルなく相続を進めるには、正しい知識を持った税理士に相談しながら進めるようにしましょう。

税理士に依頼すれば、生前前の相続税対策・相続人や相続財産の調査・遺産分割協議書の作成・相続税申告の代行などが受けられます。

特に税理士は税金周りの業務のスペシャリストのため、相続税の対策や相続税の計算などをメインに活用を検討してください。

税理士に相談する際、料金が気になる方も多いでしょう。

相続サポートセンターでは、初回完全無料で相談を受け付けています。

初回相談後に必要に応じて税理士を使うべきかを判断できますので、まずは無料相談をお試しください。

まとめ

相続税の税額がどれくらいになるか知りたい場合、遺産の金額から相続税の額を調べる方が多いでしょう。

しかし、遺産の金額が同じ場合でも、法定相続人の人数や構成によってその税額は大きく変わります。

特に配偶者が相続する場合は、配偶者の税額軽減が適用できるため、大幅に税額が減少する可能性があります。

簡単に税額を知りたい場合は早見表を、より細かく知りたい場合は相続税の計算方法を確認しておきましょう。

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ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか？　税務署に目をつけられてしまうのか？　疑問や不安が山ほど出てくると思います。

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