この記事でわかること
- 遺言書を弁護士に依頼することのメリットついて理解できる
- 弁護士に依頼する際の書類の準備が自分でできる
- 自分は弁護士に遺言書作成を依頼すべきかどうかがわかる
遺言書は、自分でも作成することができます。
ですから、お金をかけてまで、弁護士に頼むべきかどうか迷っておられる方も多いでしょう。
遺言書を弁護士に依頼することは、確かなメリットがあります。
今回は、遺言書作成を弁護士に依頼すべき理由(メリット)と、依頼する際にかかる費用についてご説明します。
目次
遺言書作成を弁護士に依頼するメリット4つ
遺言書は一人でも作成することができます。
なぜ、わざわざ法律のプロである弁護士に依頼する必要があるのでしょうか。
弁護士に遺言書の作成を依頼するメリットを4つご紹介します。
正しい遺言書を作成することができる
まず、弁護士は法律にとても詳しい専門家なので、法律の観点から見て正しい遺言書を作成することができます。
たとえば、通常の生活の中で話す言葉や、書く文章は二重の意味に捉えることができてしまいます。
二重の意味に読めてしまう文を作ってしまうと、本当は何が言いたかったのかよくわからなくなってしまいますし、後日トラブルの元になってしまうかもしれません。
さらに、遺言書とは本人が亡くなってからの話を書くものですので、二重の意味に読めてしまう文ができてしまったとしても、本人が亡くなった後であれば、本来の意味合いを確認する方法がありません。
二重の意味に読めてしまう文を書かないためには、法律文書を読んだり書いたりするのに慣れている弁護士が最適です。
どのような遺言書を書くべきかアドバイスをもらえる
弁護士は、本人の包括的な代理人として、本人の代わりにあらゆることをすることができます。
また、依頼人の利益を第一に考えてくれます。
遺言書の内容そのものに悩んでいるときに、どうすべきなのかアドバイスできるのは弁護士だけです。
司法書士や行政書士は、本人の意向の通りに代書をしてくれるスタンスですので、どうすべきであるかまではアドバイスすることができません。
さらに、弁護士は様々な判例についての知識があります。
過去に類似の案件があって、どういったところでもめてしまい、裁判になり、その結果勝った、あるいは負けたのかということについても詳しいのです。
弁護士は遺言書の中のどの部分がもめやすいのか、また財産の分け方についてもどのように分けるともめやすいのか、そうではないのかといったことが具体的にアドバイスできます。
相続財産を正確に調べることができる
言書を正しく書くためには、相続財産を正しく把握していることが重要です。
本人が持っている財産についてよくわかっていないケースもあるでしょうし、持っている財産はわかるが分けるにも分けづらいといったケースがあります。
弁護士は、本人が持っている財産についての調査のほか、分割しづらい財産についてどのように分けるべきかということについてアドバイスが可能です。
分割しづらい財産といえば、土地や家といった不動産です。財産らしき財産が不動産の他にない場合は、トラブルが起こりやすくなります。
たとえば、財産をもらえない人と、もらえる人がどうしても出てしまう場合に、もらえない人にはお金をあげるなどの対策を取ることができます。
他の財産がある場合は、他の財産を渡すこともできるでしょう。
後日万が一訴訟に発展した場合に対応してもらえる
残念ながら、相続にトラブルはつきものです。
弁護士は後日トラブルになるかもしれないということを頭に置きつつ、トラブルが起こらないように遺言書を作成してくれますが、それでもなおトラブルが起きてしまうことはあります。
家族間の感情のもつれなどが原因となってもめてしまうこともあり、弁護士ができる相続対策にも限界があります。
残念ながら訴訟になってしまった場合に、弁護士であれば本人の代わりに裁判をすることが可能です。
司法書士や行政書士は、訴訟になってしまった場合の代理人をすることはできません(司法書士は訴訟の目的の金額によります)。
弁護士に依頼した場合にかかる費用
弁護士報酬は、現在自由化されているので事務所ごとによって報酬の算定基準が異なります。
また財産の価格によって、遺言書の作成費用は異なります。そこで、今回は大まかな目安の金額をご紹介しましょう。
アンケートによると相場は20万円以内
日本弁護士連合会による「アンケート結果にもとづく市民のための弁護士報酬の目安」によると、定型的な遺言書を作成、資産の内訳が不動産、預金と株券、評価額の総額が5,000万円であるとき、公正証書遺言作成手数料の弁護士の報酬額で一番多い金額帯は10万円前後です。
2番目に多いのが20万円前後です。財産評価額が5,000万円程度の場合は弁護士報酬20万円以下が全体の8割程度になります。財産額におおよそ比例して弁護士報酬も上がるという傾向が読み取れます。
弁護士の手数料が高くなるケース
弁護士の報酬が高くなってしまうケースもあります。
どのような場合かというと、たとえば遺産に色々な種類の財産が含まれており評価が複雑だというケースや、相続人の関係が複雑であるため、遺産の分け方に工夫が必要な場合など、弁護士の報酬が高くなりがちです。
費用の面で弁護士に不信感を抱かないように、事前に必ず見積書を請求してください。
複雑なケースであればなおさらです。複数の弁護士に相談して、見積を作ってもらってください。
弁護士報酬の種類
弁護士報酬の種類について解説します。
相談料
弁護士に相談した時に発生するのが相談料です。
30分5,000円程度が相場ですが、事務所によっては初回相談無料のところもあります。
予約をする前に、よく調べてから予約をしてください。
遺言書作成費用
遺言書を作成するのにかかる報酬です。遺言書を公正証書にするときの公証人の手数料などは含まれていません。
遺言書保管費用
遺言書の保管にかかる費用です。できあがった遺言書は、自宅で保管しておくものですが、紛失や汚損、相続人に書き換えられるなどのトラブルが発生することがあります。
自宅に置いておくのが難しい場合は、弁護士事務所での保管も可能です。
事務所で作成した遺言書については、保管料が無料という事務所もありますし、有料の事務所もあります。費用についてですが年間数千円〜1万円台が相場です。
執行費用
弁護士に遺言執行を依頼すると、執行費用がかかります。
遺言書が執行されるときは、遺言書を作成した本人は亡くなっています。遺言執行者には、あらかじめ遺言執行者として定められた人や相続人になります。
必ずしも弁護士である必要はありませんが、親族の仲が悪いなどの問題で、血の繋がっていない誰かが遺言執行者になった方が良いこともあるのです。
遺言を作成するときにお世話になった弁護士事務所に、遺言の執行もお願いするパターンがあります。
弁護士に遺言執行者になってもらう場合には、執行費用がかかり、相場は財産の多さによります。
財産が少ない場合で30万円、多いと100万円以上の報酬になります。
弁護士とともに遺言書を作成する流れ
弁護士に遺言書作成を依頼したときの流れについて見てみましょう。
弁護士事務所訪問
弁護士事務所に電話やメールなどで連絡を取り、初回の面談をします。
どういった家族構成なのか、なぜ遺言書を作成しようと思ったのか、予算はどれくらいかなどといったことを尋ねられるのです。
2回目の面談
2回目の面談では、推定相続人を相続関係図にまとめたものを一緒に確認します。
また、相続財産目録を作成し、遺言書の原案を作成します。
相続財産目録には、資産と負債の両方を記載します。この時点で間違ってしまうと相続の手続きが滞ってしまうことがあるので注意してください。
最悪の場合、裁判になることもあるので正確に作成することが重要です。
弁護士は相続財産の調査や目録の作成を専門的にしているので、自分で作成するよりも安心です。
公正証書遺言にする場合
公正証書遺言の場合は、公証役場で公正証書として認証してもらいます。公正証書ではない遺言書は、公証役場に行く必要は特にありません。
遺言書の内容を確認するために、公証役場には本人が行く必要があります。
完成とサポート
遺言が完成したら、保管を引き続き事務所に依頼する場合があります。完成しても、もう一度書き直したくなったときも、事務所に依頼することになります。
弁護士に依頼する際に必要な書類
弁護士に遺言書の作成を依頼する際に必要な書類は以下の通りです。以下では、公正証書にする場合を想定しています。
- 遺言者の戸籍謄本
- 遺言者の印鑑登録証明書
- 遺言者の身分証明書
- 財産に不動産がある場合は、土地・建物の登記事項証明書や固定資産税の納税通知書
この他、必要な書類は初回の相談時に案内されますので、その都度集めましょう。
書類によっては弁護士の側で集めてもらうことも可能です。
特に、家族関係が複雑な場合などは、戸籍を集めるのも一苦労です。相続関係を確定するのに戸籍集めは重要ですが、戸籍集めが大変な場合は弁護士に任せてください。
まとめ
今回は、遺言書の作成を弁護士に依頼することのメリットをご紹介しました。
弁護士に依頼すると、法律的に間違いの起こらない正しい文面の遺言書を作成してもらえます。
また、どのように遺産を分割すべきかといったことについてもアドバイスをもらえます。
弁護士は、万が一裁判に発展してしまった時も対応が可能です。
費用はかかりますが、後々のことを考えると弁護士に依頼することのメリットは大きいのです。
特に財産が多かったり、家族関係が複雑だったりする人の場合は、弁護士のアドバイスをもらうと良いでしょう。
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