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最終更新日:2023/5/2

遺言書を行政書士に相談するメリットや費用についてくわしく解説

本間 剛 (行政書士)
この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

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この記事でわかること

  • 遺言書を行政書士に相談するメリットがわかる
  • 行政書士に依頼した場合の料金・費用がわかる
  • 遺言書について行政書士にできないことがわかる

遺言書の相談といえば、相続トラブルの問題だからと弁護士にしか相談できないと思っている方もいるのではないでしょうか。
実はそんなことはなく、遺言の相談に乗るのに必要な資格はありません。そのため弁護士、司法書士、行政書士や税理士などあらゆる国家資格の方が、遺言相談を受け付けています。

弁護士は法律の専門家、司法書士は街の法律家、そして、行政書士は書類作成のエキスパートとそれぞれ役割は異なり、行政書士に相談する大きなメリットもあります。
もちろんメリットばかりではなく、弁護士にできて行政書士にできないこともあるので注意が必要ですが、ここでは主に遺言書を行政書士に相談するメリットや費用について解説します。

行政書士が遺言書作成においてできること

行政書士が遺言書作成をできると知らなかった人に向けて、行政書士が遺言書作成においてできることを紹介します。

遺言書の作成のアドバイス

実際に遺言書を書くのは本人しかできないので、行政書士がお手伝いできるのは厳密にいうと、遺言書の文案・内容についてのアドバイスになります。
遺言書には、基本的には何をどのように書いてもかまいませんので、自分で作成できます。
しかし、遺言書が法的に効力を持つには、定められた書き方があります。
依頼者は遺言書に書きたい内容を伝え、行政書士は書き方を教えながら、遺言書の案を作成します。

遺言の執行

遺言書を作成する際、遺言の執行する人、つまり遺言執行者を定めることがあります。
遺言の執行とは、遺言の内容を実現するために、相続の手続きを行うことです。
相続の手続きは、預金の解約手続き、金融資産の名義変更、土地家屋の不動産登記の移転登記など、多岐にわたります。
遺言に記載された内容の実行については、相続人の誰かがやることも多いですが、行政書士など第三者を介入させることで感情的なもつれを無くし、淡々と進めていくことを希望される方も多くいます。

財産目録の作成

遺言書は、相続財産の配分を定めるもので、誰に、何を、どのくらい、配分するかを示します。
財産を分けるためには、財産の内容を正しく把握しておく必要があります。
きちんと評価額を算定して、財産の総額を把握します。
もちろん、遺言作成時と相続時では財産の評価額は異なりますが、ここで必要なのは財産の棚卸をしておくことです。

相続人の調査

相続人が簡単に特定できれば、問題はありません。
しかし、相続人が多い、関係が複雑なときは、相続人を正しく把握する必要があります。
家族が知らない相続人が存在した、ということも考えられます。

相続関係図の作成

相続人が正しく把握出来たら、相続関係図を作成することをお勧めします。
法定相続分といって、被相続人と相続人の関係によって、決められた相続の配分があります。
相続人調査の内容を正確な関係図に落とし込むことで、法律的にだれがどれだけの遺産相続権を保有するかという基本が定まります。
基本となる法定相続分を知った上で、そこに遺言者の意図をどれだけ組み込んでいくかと考えて作成するために、相続関係図は欠かせません。

戸籍の取得

相続人の調査には、戸籍を取得する必要がありますが、その方法は複雑です。
まず、戸籍は被相続人の住所の所在地の役所ではなく、被相続人の戸籍の所在地の役所で請求しなくてはなりません。
「原戸籍」といって、現在の戸籍の原本が必要になります。
古い戸籍や、遠方の戸籍をもつ方になると、役所を回るのだけでも一苦労です。働いている方や、平日日中に用事がある方は、この戸籍収集を行政書士に丸投げ依頼する方も多いです。

行政書士に遺言書を相談するメリット

遺言書作成は、弁護士に依頼するメリット、司法書士に依頼するメリット、そして、行政書士に依頼するメリットがあります。
ここでは、行政書士に遺言作成を依頼するメリットについて解説します。

頼みやすい

弁護士、司法書士、行政書士の登録者数を比較すると、行政書士が最も多いです。
行政書士、弁護士、司法書士の順になります。
弁護士は東京に集中しているため、東京を除けば、行政書士、司法書士、弁護士の順になり、地方になると、弁護士はほとんどいません。
司法書士の登録者数は、行政書士の半分くらいですので、もっとも気軽に見つけられる・相談しやすい遺言の専門家といえば行政書士を挙げられるでしょう。

費用が安い

弁護士に比べて、司法書士、行政書士の報酬は安くなります。
一般的な報酬で比較すると、弁護士が約20~30万円、司法書士が約15~25万円、行政書士が約10~20万円となります。
この報酬の差は、後で説明しますが、弁護士にできて、司法書士、行政書士にできないことがあるためです。
また、司法書士と行政書士を比較しても、登録者数の違いからか、行政書士のほうが安い傾向にあります。

行政書士に依頼した場合にかかる費用

行政書士に依頼した場合にかかる費用について、おもに行政書士の報酬額の統計調査をもとに解説します。
個別の業務について解説しますが、遺言作成サポートとして、一括して報酬を設定しているケースがあります。

遺言書の起案及び作成指導

10万円前後が相場といえます。

遺言執行手続

約30万円が相場といえますが、相続財産評価額の数パーセントと定めているケースも多いです。

相続人及び相続財産の調査

1~5万円前後が相場といえます。

その他の費用

その他の費用として、公証人の手数料、証人への費用弁償があります。

公正証書遺言書

公正証書遺言書を作成するには、公正証人役場で作成してもらう必要があります。
これは、遺言者が公証人に遺言の内容を口述して、公証人が遺言書を作成するものです。
そして、2名の証人の立会が必要です。
公証人への手数料、証人への費用弁償が別途必要になることがあります。
公証人への手数料は、相続財産の総額によりますが、5,000円から249,000円まで定められています。
証人への費用は1万円前後で設定されているようです。
行政書士に証人を依頼することもでき、遺言サービスの報酬にこの証人立会いの費用が含まれていることも多いです。

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秘密証書遺言書

秘密証書遺言書を作成するには、公正証人役場で証明してもらう必要があります。
これは、遺言者が公証人に自分の遺言であることを申述し、公証人がそれを証明するものです。
そして、公正証書遺言書と同様に2名の証人の立会が必要です。
公証人への手数料、証人への費用弁償が別途必要になることがあります。
公証人への手数料は、定額で11,000円です。
証人への費用は、公正証書遺言同様、1万円前後で設定されているようです。
公正証書同様、行政書士に証人を依頼することもでき、遺言サービスの報酬にこの証人立会いの費用が含まれていることも多いです。

行政書士ができないこと

弁護士、司法書士、行政書士は、それぞれの法律で定められた業務の範囲があります。
結論から言いますと、遺言書作成で一番多く相談が寄せられる内容のアドバイスについては、資格関係なくお手伝いができるので、身近な専門家にまずは相談して頂くのがベストです。

一部の専門的な相談やお手伝いに関しては、弁護士にしかできないこと、司法書士にしかできないこと、税理士にしか聞けないこと(節税相談)などが出てくることがあるので、
ここでは弁護士にしかできないことと、司法書士にできて行政書士ができないことの2つをチェックしていきます。

法律相談

具体的な法律相談は、弁護士にしかできません。
すでに家族内で揉めているような場合や遺留分をめぐって争う場合は、弁護士に直接相談するようにしましょう。

ただし、遺言内容を確実に有効にするための原稿作成や、法定相続分から遺留分など相続のルールを分かりやすくお伝えしながら書きたい遺言内容をできるだけ正確に文章に落とし込むことは行政書士でも可能です。

なお、繰り返しになりますが、遺言書を実際に書くことは、遺言者本人しかできません。

不動産の移転登記

相続財産に不動産がある場合は、法務局ですみやかに移転登記をしなければなりません。
不動産登記は本人が行なうか、専門家が代理する場合は弁護士と司法書士のみが可能です

しかし、遺言執行者として行政書士法人や行政書士を指定することが可能な理由として、たとえば同じグループ内の司法書士法人や提携している司法書士に業務委託することができるからです。

依頼内容によって得意な専門家が変わる

遺言書の作成を専門家に依頼するなら、依頼内容で相談する専門家が変わります。

  • ・司法書士:不動産を相続予定
  • ・税理士:相続税/贈与税他の作成もしたい
  • ・弁護士:相続トラブルを解決したい
  • ・行政書士:遺言書の作成だけしたい

遺言書の作成自体は、どの専門家でも可能ですが、得意分野が異なります。

例えば遺言書の作成だけでなく、相続税・贈与税の対策もしたいなら、税理士への依頼がおすすめです。

「遺言書の作成だけお願いしたい」という場合は、行政書士に依頼するのが適切です。

遺言書の自作は可能

「遺言書は専門家に依頼せず、自分で作りたい」という人もいるでしょう。

遺言書は、自作しても問題ありません。

ただし注意すべきポイントもあるので、くわしく紹介します。

適切に作成できるか

遺言書には正しい書式が決まっており、なにをどうやって書くのかといったルールを守らなければいけません。

もし遺言書を自分で作ったときに、正しい書式が守れなかったり、記入のミスがあったりすると相続時に効力を発揮できません。

適切な遺言書を作成しないと、法的な効力を持たないものになり、作成自体が無駄になります。

そのため遺言書を自作するなら、書式ルールを守り、法的な効力をもった遺言書を作らなければいけません。

トラブルの起きない分配か

遺言書の内容として、遺産をどのように相続するか指定します。

遺産の分配では、相続人が不公平感を抱いたり、遺言書によってトラブルが起きないように注意しましょう。

自分の好き嫌いだけで、遺産を分配したり、特定の相続人だけ優遇するとトラブルが起きるかもしれません。

また相続では、遺留分といって最低限もらえる遺産の金額が決まっています。

もし遺言でひとりに相続を集中させたとしても、他の相続人が遺留分を請求すれば、遺留分の請求が優先されます。

そのため相続のトラブルが不安な人は、遺留分も踏まえた遺産の分配を考えておきましょう。

不安な人は専門家に依頼しよう

遺言書は自作も可能ですが、少しでも不安があるなら専門家に相談するのがおすすめです。

なぜなら自作した遺言書が間違っていた場合は、法的な効力を発揮できずに、無駄になってしまうからです。

専門家であれば、遺言書だけではなく、相続税・相続トラブルの対策も相談できます。

相続サポートセンターでは初回の相談を無料で受け付けているので、まずは無料相談から利用してみてください。

まとめ

遺言書に関して行政書士に相談することのメリットや費用について解説しました。
弁護士や司法書士ほどのハードルの高さを感じることなく、身近な行政書士に相談するメリットを感じて頂けたと思います。

相続トラブルがすでに起こっている(弁護士)、相続登記を代行して欲しいという目的が決まっている(司法書士)、相続税の節税対策をアドバイスして欲しい(税理士)という目的ごとに専門家を使い分けられるようにしておきましょう。

なかには弊社のように「相続・遺言書」というご相談にすべての資格者が対応できるワンストップ型の士業総合事務所もございますので、相続に関するすべてのアドバイスを受けたい場合は、そのような事務所を選ぶのが良いでしょう。

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