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最終更新日:2026/2/26

推定相続人とは誰?法定相続人との違いや該当する人を解説

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

VSG相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、立川、千葉、埼玉、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡などの全国の主要都市24拠点にオフィス展開し、年間3,000件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
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推定相続人とは誰?法定相続人との違いや該当する人を解説

記事の要約

  • 推定相続人とは、「現時点で相続が開始した場合に、法律の規定に基づいて相続人になるはずの人」
  • 相続人が相続放棄した場合など、推定相続人が相続できないケースもある
  • 推定相続人を調べるには、被相続人となる人の戸籍謄本を取得したうえで、戸籍を出生時まで遡って取り寄せる

相続に関する用語に「推定相続人」があります。推定相続人とは、実際に相続が発生する前の現時点において、法定相続人になると推定される人を指します

相続の準備を進める際には、推定相続人の意味や該当する人、法定相続人との違いを把握しておくとよいでしょう。

この記事では、推定相続人に該当する人の範囲や法定相続人との違い、推定相続人を調べる方法などを解説します。

相続を控えている方に役立つ内容となっているため、ぜひ参考にしてみてください。

推定相続人と法定相続人や相続人との違い

「推定相続人」「法定相続人」「相続人」など、相続では紛らわしい言葉がいくつかあり、それぞれ意味や使われるタイミングは異なります。

推定相続人と法定相続人や相続人の違い
用語 使われるタイミング 意味
推定相続人 相続開始「前」 現時点で相続が開始した場合に、相続人となるはずの人
法定相続人 相続開始「後」 民法の規定により、相続権を持つと定められている人
相続人 相続手続き中〜完了後 遺産分割などを経て、実際に財産を相続する人

ここからは、「推定相続人」と「法定相続人」や「相続人」との違いについて解説します。

推定相続人と法定相続人との違い

推定相続人と法定相続人は、実際に相続が発生しているかどうかで使い分けます

推定相続人と法定相続人との違い

推定相続人
現時点で相続が開始したと仮定した場合に、遺産を相続するはずの人
法定相続人
被相続人が亡くなったことにより、民法の規定に基づいて遺産を相続する権利を持つ人

たとえば、「父・母・長男・次男・長女」の5人家族で、父の相続に備えていると仮定します。

「母・長男・次男・長女」の4人は、相続が発生する前は推定相続人であり、実際に父が亡くなり相続が発生したとき、推定相続人から法定相続人となります。

つまり、「相続が発生する前後で推定相続人なのか法定相続人なのかが異なる」と押さえておきましょう

推定相続人と法定相続人との違い

なお、遺産を相続できる人は、実際に相続が発生したときの状況や遺言書の内容を確認しなければ確定できません。

身分の変動や権利の消失など、何らかの事情で相続発生前に相続人ではなくなるケースもあるため、推定相続人と法定相続人は必ず一致するとは限りません。

推定相続人と相続人との違い

相続人とは、実際に被相続人の遺産を相続する人のことです。相続開始後に遺言書の確認(検認)や遺産分割協議を経て、はじめて相続人が確定します。

このとき、推定相続人と実際に遺産を引き継ぐ相続人は必ずしも一致するとは限らず、同様に法定相続人と相続人が一致するとも限りません

たとえば、法定相続人の権利を持っていても、本人の意思で「相続放棄」を選択した場合、その人は「最初から相続人ではなかった」とみなされます。

なお、法定相続人の範囲そのものは法律によって定められているため、遺言や遺産分割協議によって変わることはありません。

しかし、相続放棄のほか、相続欠格や相続廃除といった事由によって、「実際に相続権を持つ人(相続人)」は変動する可能性がある点に注意が必要です。

推定相続人とは

推定相続人とは、「現時点で相続が開始した場合に、法律の規定に基づいて相続人になるはずの人」のことです。

「推定」と呼ぶ理由としては、実際に相続が起きるまでの間に、相続人の状況が変わる可能性があるためです。

たとえば、相続人になるはずだった被相続人の子どもが親より先に亡くなってしまった場合、その子ども(孫)が代わりに相続する「代襲相続」が起きます。その際、孫が複数いれば、相続人の人数が増えることもあります。

このように、将来の相続人として確定しているわけではないため、あくまで「現時点での予測」という意味で「推定」の言葉が使われています。

推定相続人の範囲や相続順位

誰が推定相続人に該当するかは、法定相続人の範囲を知れば判断することができます

相続が開始したとき、被相続人(亡くなった人)の配偶者は必ず法定相続人となります。

配偶者以外の相続人の順位は以下のように決まっており、配偶者以外では被相続人の子どもが第1順位の法定相続人です。

第1順位 被相続人の子ども
※子どもが先に亡くなっている場合は孫
第2順位 被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)
※父母が先に亡くなっている場合は祖父母
第3順位 被相続人の兄弟姉妹
※兄弟姉妹が先に亡くなっている場合はその子どもである甥・姪

たとえば、「父・母・長男・次男・長女」の5人家族を例に考えてみましょう。

家族家系図

現時点において「母が亡くなって相続が開始した」と仮定した場合、「父・長男・次男・長女」の4人が推定相続人となります。

このとき、長男が既に亡くなっており長男の子ども(被相続人から見て孫)がいれば、代襲相続により長男の子どもが推定相続人となります。

「推定相続人」という言葉を用いるケースで注意したいポイント

法定相続人に該当する場合でも、実際に相続が開始する前は推定相続人という言葉を用いる点に注意しましょう。

場合によっては、推定相続人と実際に遺産を相続する人が異なるケースがあるためです。

推定相続人にはならない人

原則として、被相続人の配偶者・子ども・父母(直系尊属)・兄弟姉妹は法定相続人に該当しますが、推定相続人にならないケースがあります。

ここからは、そのような推定相続人にならない人の具体的なケースを解説します。

推定相続人にはならない人

  • 養子縁組をしていない再婚相手の連れ子
  • 父親の認知が済んでいない非嫡出子

養子縁組をしていない再婚相手の連れ子

再婚相手に連れ子がいる等の場合、連れ子は推定相続人に該当しません。連れ子は血が繋がっている子ども(血族)ではなく、相続する権利を有さないためです。

ただし、連れ子を養子縁組すると法定血族となるため、養子縁組をした連れ子は「実子」と同じ扱いになり、法定相続人として同等の権利を有します。

つまり、再婚相手の連れ子は、「被相続人との養子縁組の有無」で推定相続人に該当するかどうかが異なります

たとえ、再婚相手の連れ子と本当の親子同然の暮らしをしていたとしても、養子縁組を行わない限り、配偶者の連れ子は推定相続人にはならないことを押さえておきましょう。

推定相続人の範囲(再婚した場合の連れ子)

父親の認知が済んでいない非嫡出子

父親の認知が済んでいない非嫡出子(未婚の男女間に生まれた子ども)は、生物学的にその父親の子どもであっても推定相続人に該当しません

非嫡出子と母親との間には、出産の事実によって親子関係が認められるため、非嫡出子は母親の推定相続人となります。

推定相続人の範囲(父親の認知が済んでいない非嫡出子)

一方、父親との間では「認知」が行われない限り、法的に親子関係が認められることはなく、父親の法定相続人とはなりません。

認知とは

認知とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子と、その父親との間に法律上の親子関係を成立させる手続きを指します。

なお、「死後認知」によって、相続開始後に法定相続人として認められるケースもあります

父親が非嫡出子を認知しないまま亡くなってしまった場合、その非嫡出子は要件を満たしたうえで、「父親の死亡日から3年以内」に家庭裁判所へ死後認知の訴えを起こすことができます。

死後認知を認める判決が確定すれば、非嫡出子は法律上の親子関係が認められ、父親の相続人としての地位を得られます。

推定相続人が相続できないケース

前述の通り、推定相続人に該当しても、被相続人が亡くなったときにそのまま法定相続人になるとは限りません。

相続欠格者に該当したり、家庭裁判所から廃除される審判を受けたりした人は、法定相続人にはならないためです。

推定相続人が相続できないケース

  • 被相続人が遺言書を作成している場合
  • 相続欠格者となった場合
  • 推定相続人の廃除を受けた場合
  • 相続人が相続放棄をした場合

ここからは、そのような「推定相続人に該当しても、相続発生時に相続できないケース」について、詳しく解説します。

被相続人が遺言書を作成している場合

被相続人が遺言書を作成している場合、その内容次第では、推定相続人でも遺産を相続できません

遺産分割における基本的なルール

遺言書がある場合
相続人全員の反対がある場合や、遺言で指定された受取人が放棄する場合を除き、遺言書の内容どおりに遺産を分ける
遺言書がない場合
相続人全員の遺産分割協議により遺産を分ける

たとえば、被相続人の子どもは相続開始前までは推定相続人ですが、「子どもに一切遺産を渡さない」旨の有効な遺言書がある場合、遺産を相続できません。

ただし、兄弟姉妹以外の法定相続人には、法律で最低限の取り分が保障された「遺留分」があります

相続開始および遺留分を侵害する遺贈があったことを知ったときから1年以内に、他の相続人に対して「遺留分侵害額請求」を行えば、遺留分を請求できます。

なお、「相続が開始したこと」や「遺留分を侵害するような遺贈があったこと」を遺留分権利者が知らなくても、相続が開始してから10年が経過すると請求できなくなります。

相続欠格者となった場合

相続欠格事由に該当し、相続欠格者となっている人は相続する権利を有しません。

相続欠格者とは相続の秩序を乱す行為を行った者で、以下の事由に該当した場合、被相続人の意思に関係なく、法律上当然に相続する権利を失います。

この相続欠格事由に該当した推定相続人は、何ら特別な手続きもなく自動的に相続資格を剥奪されることになります

推定相続人の廃除を受けた場合

推定相続人に該当していても、被相続人により相続人から除外する「廃除」を受けている人は相続人になれません

暴行のみならず精神的・経済的な虐待など、被相続人へ重大な被害を与える行為をした推定相続人がいる場合、被相続人は家庭裁判所に相続する権利を失わせるための申立てが可能です。

被相続人による申立てが家庭裁判所に認められれば、申立てを受けた者には相続の権利が発生しないため、推定相続人には該当しません。

推定相続人の廃除が認められる可能性は高くない

司法統計上、廃除が認められた割合は2割程度(※)に留まっており、廃除が認められる可能性は高くありません。

また、単に推定相続人と被相続人が不仲であるなどの理由では、廃除が認められることはありません。

推定相続人が被相続人より先に亡くなった場合

親よりも先に子どもが亡くなってしまうケースなど、推定相続人が被相続人より先に亡くなった場合、推定相続人は遺産を相続できません。

ただし、推定相続人が被相続人より先に亡くなった場合でも、推定相続人に子どもがいれば代襲相続が発生します。

この場合、本来の相続人が受け取るはずだった法定相続分も代襲相続人が承継し、仮に代襲相続人が複数いる場合は、その人数で均等に分け合います

なお、相続欠格や相続廃除により推定相続人の相続する権利が失われている場合でも、代襲相続は発生します。

相続人が相続放棄をした場合

相続人が「自己のために相続開始があったことを知ったとき」から3カ月以内に相続放棄をした場合、その相続に関しては「はじめから相続人ではなかった」とみなされます。

法定相続人に該当していた場合でも、実際に相続が開始したときに相続放棄をすると、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継ぐことはありません

遺産を調べた結果、借金等のマイナスの遺産のほうが多いと判明した場合は、相続放棄を選択することで被相続人の負債を承継せずに済みます。

推定相続人を調べる方法とは

相続が開始してから相続手続きに着手する場合、役所・金融機関での手続きをはじめ、葬儀や法要の準備、財産調査、遺産分割協議などを並行して行わなければなりません。

一方、相続が開始する前に推定相続人を把握して備えれば、相続発生後もスムーズに手続きを行えます

「相続人同士の関係性」や「推定相続人それぞれの希望」を事前に把握することで、遺産分割も円滑に進められるでしょう。

ここからは、推定相続人を調べる方法を以下の順で解説します。

推定相続人を調べる方法

  • 被相続人に該当する人の戸籍謄本を取り寄せる
  • 被相続人に該当する人の戸籍を出生時まで遡って取り寄せる
  • 被相続人に該当する人の戸籍を揃えられない場合は専門家に頼るとよい

被相続人に該当する人の戸籍謄本を取り寄せる

被相続人に該当する人の戸籍謄本を取り寄せることで、その人の婚姻歴や子どもの有無を確認できます

戸籍謄本を入手するには、本籍地のある市区町村役場の窓口へ足を運ぶか、郵送で取り寄せる方法があります。

ポイント

令和6年3月1日から戸籍謄本等の広域交付制度が始まり、本人またはその配偶者および直系親族の戸籍謄本であれば、本籍地以外の市区町村役場でも取得できるようになりました。

現在の戸籍謄本の発行には450円の手数料が必要で、郵送で取り寄せる場合は発行手数料を定額小為替で用意し、返信用の切手を同封しなければなりません。

なお、戸籍の請求では、必要な戸籍の本籍地と筆頭者を明らかにする必要があります

被相続人となる方の本籍地が不明な場合は、現在の住所地の役所で、「本籍地および筆頭者が記載された住民票を入手すれば被相続人の本籍地を確認できます。

被相続人に該当する人の戸籍を出生時まで遡って取り寄せる

被相続人となる方が、出生から現在までの間に転居や婚姻などに伴って戸籍を変更しているケースがあります。

その人の出生から現在までの戸籍がわからない場合は、現在の戸籍から出生時まで遡ってすべての戸籍を取り寄せます

出生から現在(相続開始後は死亡)までの連続した戸籍謄本が揃えば、婚姻歴や離婚歴、子どもの有無(養子や認知した非嫡出子を含む)を確認できます。

推定相続人を正確に特定するには、被相続人に関するすべての戸籍謄本を集める必要がある点を押さえておきましょう。

被相続人の戸籍を揃えられない場合は専門家に頼るとよい

被相続人となる方によっては戸籍謄本が複数枚になり、すべて揃えるのが難しいケースがあります。特に離婚歴や戸籍の改製歴がある場合、推定相続人の調査が煩雑になりがちです。

被相続人の戸籍を揃えられない場合や手続きが煩雑で手が回らないときは、弁護士や司法書士、税理士をはじめとした専門家に頼るとよいでしょう

相続に詳しい専門家に調査を任せれば、古い手書き戸籍の読み解きや全国の役所への取り寄せも的確に行えるため、漏れなく正確に推定相続人を特定できます。

また、必要に応じて円満に相続を進めるためのアドバイスを受けられるでしょう。

早めに推定相続人を調査し、相続に備えてしっかりと対策をしよう

推定相続人は、「法定相続人」や「相続人」とは法律上の定義や使われるタイミングが異なります。あくまでも相続開始前の、現時点における予測の状態に過ぎない点に留意しましょう。

実際に相続が開始すると、ご遺族は死亡届の提出や社会保険の手続き、葬儀の準備など、さまざまな対応を短期間で行わなければなりません。

遺族の負担を軽減するうえでも、早い段階で推定相続人を調査し、必要な対策を考えることは有意義です。

推定相続人を調べるにあたって不明点や疑問点がある場合は、専門家に頼ることをおすすめします。

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