記事の要約
- 「登記事項証明書」と「登記簿謄本」は同じ書類を指しており、法的な効力や役割に違いはない
- 取得方法は3つあり、最も手数料を抑えられるのは自宅から手続きができる「オンライン請求」
- 申請には通常の住所ではなく「地番」や「家屋番号」が必要になるため、事前の確認が大切
「相続手続きのために、登記事項証明書という書類を法務局で取ってくるように言われて困っている」
「昔聞いた『登記簿謄本』なら知っているが、今の書類とは何が違うのだろうか」
身内に相続が発生し、慣れない手続きを進めるなかで、このように書類の名称や集め方に戸惑われている方は多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、「登記事項証明書」と「登記簿謄本」は基本的には同じものです。かつては紙の「登記簿」をコピーしたものを謄本と呼んでいましたが、現在はデータ化されたため呼び名が変わりました。法的な効力や役割に違いはありませんのでご安心ください。
ただし、いざ取得しようとすると、法務局の窓口へ行く以外にもオンラインや郵送といった複数の方法があり、どれを選ぶべきか迷ってしまう方も少なくありません。また、書類の申請時に「地番」や「家屋番号」という、普段使い慣れている住所とは異なる番号を求められ、手続きがストップしてしまうというのもよくあるつまずきやすいポイントです。
この記事では、迷わず最も負担の少ない方法で書類を準備できるよう、登記事項証明書の基礎知識から状況に合わせた最適な取得方法、手続きをスムーズに進めるための注意点までを分かりやすく解説します。大切な相続手続きを滞りなく進めるための参考として、ぜひお役立てください。
目次
登記事項証明書(登記簿謄本)とは?
相続の手続きなどで法務局や金融機関に足を運ぶと、「登記事項証明書」という言葉と「登記簿謄本」という言葉が混在して使われることがよくあります。
まずは、これらの書類の違いや、そこにどのような情報が記載されているのかという基礎知識について解説します。
登記事項証明書は、登記簿謄本の「新しい呼び方」(法的効力に違いはない)
かつて法務局では、不動産や法人の情報が記載された「登記簿」という紙の帳簿をバインダーに綴じて管理していました。この原本をコピーし、登記官がハンコを押して内容が本物であることを証明した書類が「登記簿謄本」です。
しかし、現在は全国の法務局でコンピュータ化が進み、登記情報は紙ではなくデータとして管理されるようになりました。このデータ化された情報を専用の用紙に印刷し、本物であると証明した書類が「登記事項証明書」です。
つまり、紙の時代は「登記簿謄本」、データ化された現在は「登記事項証明書」と名称が変わっただけで、記載されている内容や法的な効力はまったく同じです。現在でも昔の名残で「登記簿謄本」と呼ばれることが多いため、手続きの窓口でどちらを求められても、同じ書類を指していると考えて問題ありません。
登記事項証明書で確認できる内容
登記事項証明書には、その不動産(土地や建物)や法人に関する詳細な情報が記録されています。ここでは、相続でよく使われる「不動産の登記事項証明書」を例に、確認できる主な内容を解説します。
不動産の登記事項証明書は、「表題部」と「権利部」に大別され、権利部はさらに「甲区」と「乙区」という項目に分かれています。
- 表題部
- その土地や建物が「どこに」「どれくらいの広さで」存在するのかといった、物理的な状況が記載されています。土地の場合は「所在・地番・地目(土地の用途)・地積(面積)」などが、建物の場合は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」などが確認できます。
- 権利部(甲区)
- 「誰が所有しているか」という所有権に関する情報が記載されています。現在の所有者の氏名や住所、いつ・どのような原因(売買や相続など)で取得したのかという履歴を確認できます。
- 権利部(乙区)
- 所有権以外の権利に関する情報が記載されています。たとえば、住宅ローンを組んだ際の「抵当権」が設定されているか、過去に設定された抵当権がきちんと抹消されているかなどを確認できます。借入などがない場合は、乙区自体が存在しないこともあります。
登記事項証明書の種類
登記事項証明書には、現在の情報のみが記載された「現在事項証明書」や、一部の所有者情報だけを抜き出した「一部事項証明書」など、いくつかの種類が存在します。そのため、いざ法務局の窓口やオンラインの画面に立つと、どれを選べばいいのか迷ってしまうかもしれません。
結論から申し上げますと、提出先からの特別な指定がない限り、以下の「すべてのデータが載っているもの」を選べば間違いありません。
- 不動産の証明書がほしい場合:「全部事項証明書」
- 法人(会社)の証明書がほしい場合:「履歴事項全部証明書」
これらを選んでおけば、現在の情報だけでなく、過去の所有者の変更や権利の移動といった履歴も含めてすべて網羅されているため、金融機関や役所で「情報が足りない」と再提出を求められる心配がなくなります。
相続で登記事項証明書が必要なケース
家族が亡くなり、相続の手続きを進めるなかで、登記事項証明書は具体的にどのような場面で必要になるのでしょうか。
主に、遺産の中に不動産が含まれている場合と、亡くなった方が会社を経営していた場合の2つのケースについて解説します。
相続財産に不動産が含まれる場合
亡くなった方(被相続人)の名義になっている土地や実家などの不動産がある場合、その名義を遺産を引き継ぐ相続人へ変更する「相続登記」の手続きを進めるにあたり、まずは情報の確認用として登記事項証明書が必要になります。
これは、手続きを始める前に「現在の正確な所有者が誰であるか」や「どのような権利関係が残っているか」を法的に正しく把握するためです。また、最終的に法務局へ提出する申請書に、不動産の正しい情報(地番や家屋番号など)を間違いなく記載するための手元の確認資料としても欠かせません。
なお、不動産を売却して現金化する場合や、相続税の申告を行う際にも、税理士や不動産会社、税務署などと情報を共有・確認するための書類として用意を求められるケースがあります。
被相続人が会社を経営していた場合
亡くなった方が会社(法人)の代表取締役などの役員を務めていた場合は、不動産だけでなく、法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)が必要になります。
人が亡くなっても、法人の登記上の役員情報は自動的には変更されません。そのため、役員が亡くなったことによる「役員変更登記」を法務局に申請する必要があります。
また、亡くなった経営者名義の法人口座の解約や名義変更、あるいは事業を誰が引き継ぐかといった手続きを金融機関や取引先と進める際にも、法人の現在の代表権や状況を証明する書類として提出を求められます。
登記事項証明書の取り方は3つ!費用と日数の比較
登記事項証明書を取得する方法には、「オンライン請求」「法務局の窓口」「郵送請求」の3つがあります。
それぞれの方法によって、必要となる費用(手数料)や手元に届くまでの日数が異なるため、ご自身のスケジュールや状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。まずは、それぞれの特徴をまとめた比較表をご覧ください。
| 取得方法 | 手数料(1通あたり) | 手元に届くまでの日数 | このような方におすすめ |
|---|---|---|---|
| オンライン請求(郵送受取) | 520円 | 約1〜3日 | 自宅にいながら、安く手軽に済ませたい方 |
| オンライン請求(窓口受取) | 490円 | 即日(指定した法務局へ) | 最も安く、近くに法務局があって急いでいる方法 |
| 法務局の窓口で直接請求 | 600円 | 即日(その場で発行) | パソコンの操作が苦手で、今日すぐに欲しい方 |
| 郵送で請求(書面) | 600円(+往復の切手代) | 約3〜5日(郵便事情による) | ネットの操作が苦手で、法務局が遠方にある方 |
現在、もっとも費用を抑えられるのはパソコンやスマートフォンを利用した「オンライン請求」です。法務局の窓口へ行く手間が省けるだけでなく、手数料も窓口で直接書面請求するより安く設定されています。
一方で、「インターネットの操作に不安がある」「操作方法を調べる時間がない」という場合は、直接法務局の窓口へ足を運ぶか、申請書を郵送する方法が確実です。窓口で請求する場合であっても、必要な不動産が遠方にあるからといって現地の法務局まで行く必要はなく、最寄りの法務局で全国どこの不動産の証明書でも取得することができます。
ご自身の体調や日中のスケジュールに合わせて、無理のない方法を選んでみてください。
オンライン請求による登記事項証明書の取得方法【おすすめ】
パソコンやスマートフォンを利用して、インターネット上で登記事項証明書を請求する「オンライン請求」の具体的な手順を解説します。
専用のシステムを利用しますが、手順通りに進めれば難しい操作はありません。大きく分けて以下の5つのステップで進めます。

STEP1:「登記・供託オンライン申請システム」へアクセス
まずは、法務省が運営する公式のオンライン窓口である「登記・供託オンライン申請システム(通称:登記ねっと)」のウェブサイトへアクセスします。
検索エンジンで「登記ねっと」と検索するとスムーズに見つけることができます。民間が運営している類似のサービスと間違えないよう、必ず「法務省」の公式システムであることを確認してください。
STEP2:申請者情報の登録・ログイン
システムを利用するために、まずは「申請者情報(ユーザーIDとパスワード)」の登録を行います。
画面の案内に従って、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどを入力し、アカウントを作成します。登録は無料で、一度作成すれば次回以降も同じIDでログインすることが可能です。すでに登録が済んでいる場合は、お持ちのIDとパスワードを入力してログインします。
STEP3:受取方法を選択
ログイン後、「かんたん証明書請求」というメニューを選択し、取得したい書類(不動産全部事項証明書など)を選びます。
その際、書類の「受取方法」を以下の2つから選択します。
- 郵送で受け取る(手数料:520円):指定した自宅などの住所に普通郵便(または速達など)で書類が届きます。法務局へ行く時間が取れない場合に便利です。
- 窓口で受け取る(手数料:490円):指定した最寄りの法務局の窓口へ、直接書類を受け取りに行きます。手数料を最も安く抑えたい場合や、近くに法務局がある場合におすすめです。
受取方法によって最終的な手数料が異なりますので、ご自身のスケジュールに合わせて選択してください。
STEP4:必要事項(不動産や法人の情報)の入力
続いて、証明書が欲しい不動産や法人の情報を画面に入力します。
不動産(土地・建物)の場合は、その物件が所在する都道府県や市区町村を選択し、さらに「地番」や「家屋番号」を入力します。法人の場合は、会社の「商号(社名)」や「本店所在地」を入力して検索します。
対象の物件や法人が正しく画面に表示されたら、必要とする通数(通常は1通など)を入力し、間違いがないか確認してデータを送信(申請)します。
STEP5:インターネットバンキング等で手数料の納付
申請データの送信が完了すると、システム側で内容の確認が行われ、問題がなければ「納付」のステータスに変わります。
手数料の支払いは、書面での手続きのように収入印紙を貼るのではなく、インターネットバンキング(ペイジー対応)や、ATMなどを利用して電子的に支払います。画面に表示される「収納機関番号」「納付番号」「確認番号」を控えて、お使いの金融機関の画面やATMから振り込みを行います。
手数料の納付が確認された時点で手続きは完了となり、郵送受取の場合は発送処理が進められ、窓口受取の場合は指定した法務局で発行準備が整います。
法務局の窓口・郵送による登記事項証明書の取得方法
インターネットでの操作が難しい場合や、法務局の近くに行く用事がある場合は、窓口で直接請求するか、郵送で申請書を送って取得する方法が確実です。
それぞれの具体的な手順と注意点について解説します。
窓口で取得する場合
最寄りの法務局(法務局本局、支局、出張所)の窓口に直接足を運んで取得する手順です。
- 窓口に設置されている「登記事項証明書交付申請書」に必要事項を記入する
土地や建物の所在、地番・家屋番号、または法人の商号・本店所在地などを記入します。 - 必要な分の「収入印紙」を購入する
手数料は1通あたり600円です。法務局内には通常、収入印紙の販売窓口が併設されていますので、事前に用意していく必要はありません。購入した収入印紙を申請書に貼り付けます。 - 証明書交付窓口(または専用の券売機・発券機)に提出する
申請書を窓口に提出すると、しばらく待った後にその場で登記事項証明書が交付されます。
なお、登記事項証明書は公に公開されている情報であるため、取得にあたって実印や身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)を提示する必要はありません。所有者本人でなくても、委任状なしで誰でも自由に取得することができます。
郵送で請求する場合
法務局に行けないものの、インターネットでの手続きも避けたいという場合は、郵送で請求することができます。
- 申請書を用意して記入する
法務省のホームページから「登記事項証明書交付申請書」を印刷するか、お近くの法務局や市区役所などで用紙を入手し、必要事項を記入します。 - 手数料分の収入印紙を貼る
窓口と同様に手数料は1通あたり600円です。お近くの郵便局などで600円分の収入印紙を購入し、申請書にしっかりと貼り付けます。現金や切手での支払いはできませんので注意してください。 - 返信用封筒とあわせて管轄の法務局へ送付する
自分の住所・氏名を記入し、返信用の切手を貼った封筒を同封のうえ、不動産や法人の管轄、または最寄りの法務局へ郵送します。
郵送によるやり取りになるため、ポストに投函してから手元に書類が届くまでには、一般的に3〜5日程度(土日祝日を除く)の日数がかかります。往復の郵便事情によって前後することもあるため、期日に余裕を持って投函することが大切です。
【重要】最大のつまずきポイント「地番・家屋番号」の調べ方
登記事項証明書を申請する際、多くの方が直面する最大の壁が「地番」と「家屋番号」の入力、または記入です。
私たちが普段使っている住所(住居表示)は、郵便物を届けるために割り振られた番号であり、法務局が土地や建物を管理するために使用している地番や家屋番号とは異なります。同じである場合もありますが、まったく異なる番号になっているケースが非常に多いため、普段の住所のまま申請すると「該当する物件がありません」と手続きがストップしてしまいます。
このつまずきを解消するための、具体的な3つの調べ方を解説します。
権利証や固定資産税納税通知書を確認する
自宅に保管されている公的な書類を確認するのが、もっとも確実で手軽な方法です。
まずは、毎年春頃に市区町村から届く「固定資産税納税通知書」を探してみてください。この通知書に同封されている「課税明細書」という書類には、課税の対象となっている土地や建物の情報が載っており、普段の住所と並んで、法務局に登録されている正確な「地番」や「家屋番号」が必ず記載されています。
また、不動産を購入した際や引き継いだ際に入手した「登記済権利証(または登記識別情報通知)」の「物件の表示」という欄にも、正確な地番・家屋番号が記載されています。まずはこれらの書類が自宅の手提げ金庫や引き出しの中に保管されていないか、確認してみることをおすすめします。
管轄の法務局に電話で照会する
手元に書類が見当たらない場合は、その不動産がある地域を管轄している法務局に、直接電話で問い合わせる方法が便利です。
法務局には「地番照会(ちばんしょうかい)」を受け付ける専用の窓口や担当者がおり、普段使っている住所(住居表示)を伝えることで、対応する地番や家屋番号をその場で調べて教えてもらうことができます。
問い合わせ先の法務局は最寄りの法務局ではなく、「その不動産が所在する場所を管轄している法務局」である必要がありますので、事前に法務省のホームページなどで管轄を調べてから電話をかけるようにしてください。
ブルーマップ(住居表示地番対照住宅地図)を利用する
法務局の窓口に直接行く機会がある場合は、館内に備え付けられている「ブルーマップ」という特殊な地図を利用して調べることもできます。
ブルーマップとは、通常の住宅地図の上に、青い文字や数字で法務局の「地番」が重ねて印刷されている地図のことです。見慣れた住宅地図から目的の場所(実家や所有地など)を見つければ、そこに書かれている青い数字を読み取るだけで、正しい地番を確認することができます。
その法務局が管轄している地域のブルーマップであれば必ず受付の近くなどに用意されています。窓口の職員に声をかければ見方を丁寧に教えてもらえますので、操作が分からないときでも安心です。
登記事項証明書に関するよくある質問(FAQ)
登記事項証明書を取得する際や、提出する際によくある疑問をQ&A形式でまとめました。手続きの最終確認としてお役立てください。
Q.取得した登記事項証明書に有効期限はありますか?
ただし、書類の提出先(銀行や税務署、裁判所など)が独自に「発行日から3カ月以内のものであること」といった期限を設けているケースがほとんどです。登記情報は日々更新される可能性があるため、提出先は「最新の情報であること」を確認したいという意図があります。
もし、手元に古い証明書が残っている場合、念のため提出先に期限の指定がないか確認して、手続きを進めるのが確実です。
Q.最寄りの法務局でも遠方の不動産の登記事項証明書を取得できますか?
Q.本人以外でも登記事項証明書を取得できますか?
Q.第三者の登記事項証明書の取得を所有者は把握できますか?
Q.オンライン請求の場合、手数料はどのように支払うのですか?
まとめ|登記事項証明書の基礎知識と取り方のポイント
登記事項証明書(登記簿謄本)は、不動産や法人の権利関係を証明する重要な書類です。名称は変わりましたが、法的効力や確認できる内容に違いはありません。
取得方法には「オンライン請求」「法務局の窓口」「郵送請求」の3つがあり、それぞれ手数料や手元に届くまでの日数が異なります。ご自身のスケジュールや状況に合わせて、最適な方法を選択してください。特に急ぎでない場合は、手数料を最も抑えられ、自宅から請求できるオンライン請求(郵送受取:520円、窓口受取:490円)が便利です。
不動産の証明書を申請する際は、通常の住所(住居表示)とは異なる「地番」や「家屋番号」が必要になる点が最大の注意点です。手元の固定資産税納税通知書(課税明細書)や、管轄の法務局への問い合わせなどで、あらかじめ正しい番号を確認しておくと手続きがスムーズになります。
慣れない手続きには戸惑うこともあるかもしれませんが、順を追って進めれば決して難しいものではありません。大切な相続手続きを滞りなく進めるための第一歩として、本記事がお役に立てば幸いです。
なお、ベンチャーサポートグループでは、相続に関するご相談を無料で承っています。書類の収集や相続税の申告が必要かどうかの確認も含め、専門家が丁寧にサポートします。まずはお気軽にお問い合わせください。


