もらい事故は通常の事故とは違う?!もらい事故で請求できる慰謝料相場とその計算方法について

コンフリクトチェックの為「ご相談者様」「相手側」のお名前をお伺い致します。  コンフリクトチェックとは?
交通事故被害者
無料相談フォーム
交通事故弁護士
相談ダイヤルに電話
交通事故に精通している弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所 > 交通事故弁護士コラム > 慰謝料・示談金・賠償金 > もらい事故は通常の事故とは違う?!もらい事故で請求できる慰謝料相場とその計算方法について

もらい事故は通常の事故とは違う?!もらい事故で請求できる慰謝料相場とその計算方法について

この記事でわかること

  • もらい事故と通常の事故との違いが理解できる
  • 慰謝料の種類の違いがわかる
  • 慰謝料の相場と計算方法がわかる

毎日のように交通事故のニュースで取り上げられています。

自分に過失がなくても(悪くなくても)このような事故は残念ながら起きてしまいます。

もらい事故であるのならば、なおさら怒りや悲しみに暮れ、肉体的に辛いことはもちろんのこと、日常生活が奪われ精神的に病んでしまうこともあります。

昨今では、小さな子どもと母親が巻き込まれて亡くなってしまうという無残なケースも記憶に新しいのではないでしょうか。

怒りの矛先を加害者に向けても大切な家族は戻ってきません。

体に大きな障害が残るほどの怪我をした方には、今までどおりの日常は戻ってきません。

いったいどのようにして相手方から損害賠償をしてもらえばよいのでしょうか?
ここでは、「もらい事故」で請求できる慰謝料の相場とその計算方法、また慰謝料を引き上げるポイントについて解説していきます。

もらい事故とは?もらい事故と通常事故の違い

いわゆる「もらい事故」とは、被害者には全く過失がない(無過失)事故のことです。

一般的な事故では、両当事者に何らかの過失がありますが、もらい事故では被害者に全く過失がありません。

具体例を以下に挙げてみます。

  • ・信号待ちで停車中に後続車に追突された
  • ・歩行中に車にはねられた
  • ・センターラインを超えて加害者の車が正面衝突してきた
  • ・加害者の車が信号無視をして追突してきた

など

一般的な事故(両当事者の過失があるケース)では、自身が加入している保険の示談代行サービス(多くの保険会社で付帯されている)を利用して、その保険会社が相手方と示談交渉を行います。

もらい事故の場合は、被害者自身が相手方と示談交渉をしなければなりません。

勘違いしやすいのは、被害者に過失がない場合には、被害者が加入している保険会社は示談交渉を代行できないという点です(非弁行為として違法になります)。

保険会社が示談を代行するのは「自分の会社が示談金を支払う場合のみ」です。

「自分たちのお金を持ち出すから、そのための交渉はしてもOK」という認識になります。

もらい事故の場合は自分の過失が一切ないため、自分の保険会社から示談金が支払われることがありません。

示談金は100%相手の保険会社が支払います。

支払いのない保険会社は示談交渉ができないため、自分だけで相手の保険会社と交渉しなければいけません。

法的な知識やテクニックがなければ、本来得られるはずであった適正な額の慰謝料を得ることは難しいでしょう。

早期解決と適正な慰謝料を得るためにも、経験豊富な「交通事故専門の弁護士」に依頼することをおすすめします。

もらい事故で慰謝料が発生する条件とは

「慰謝料」とは、精神的苦痛に対する損害賠償金のことをいいます。

慰謝料は損害賠償の一部です。

以下に、慰謝料が発生する条件を挙げました。

  • ・警察署に人身事故として届出をしている
  • ・治療(通院・入院)を最後まで継続する
  • ・後遺障害等級認定をとる

物損事故として警察に届け出てしまうと、後になって体に痛みが出てきても「人身事故」として扱ってもらうことができなくなる可能性があるので注意が必要です。

事故に遭ったときは、誰しもパニックになるものです。

事故に遭ったらまずは警察を呼び、実況見分を経た後、すぐに病院へ行き受診してください。

むち打ちなどは自覚症状がすぐに出ないことが多いので、注意が必要です。

事故直後に大丈夫だと思っても、後から症状が出てくることが多いのです。

物損事故だと慰謝料請求が難しい

事故は人身事故・物損事故の2種類に分かれます。

人身事故は被害者に怪我がある事故、物損事故は被害者に怪我ない事故です。

慰謝料は精神的な苦痛に対する賠償金なので、物損事故の場合は請求が難しくなります。

物損事故として扱われると慰謝料請求できないため、なるべく人身事故として扱ってもらいましょう。

そのためには、事故に遭ったときに目立った怪我がなくても、必ず病院に行ってください。

医者に診断書を書いてもらうと、物損事故から人身事故に切り替えるときに役立ちます。

もらい事故の解決までの流れ

もらい事故に遭ってしまったら、いったいどのようにして解決していけばよいのでしょうか。

解決までの大まかな流れは以下のようになります。

事故発生

加害者との連絡交換
警察を呼ぶ

人身事故として届出
実況見分

病院受診(※この後も治療継続が必須)

加入している保険会社に連絡
(「弁護士特約」に加入していれば、弁護士に依頼したい旨を伝える)

弁護士に相談・依頼

治療を続けながら各種手続き・示談交渉を弁護士が本人に代わって代理する

示談成立・和解
交渉決裂した場合→裁判へ

交渉が決裂して、和解が成立しなかった場合、最終手段として「裁判」で決着をつけることになります。

早い段階で弁護士に依頼すれば、場合によっては裁判にもつれ込む可能性も低くなることが予想されます。

もらい事故で請求できる慰謝料の相場

前述したとおり、当事者双方に過失がある場合は、過失相殺されるので満額請求はできません。

ですが、もらい事故の場合は被害者に過失がないので満額請求が可能です。

なぜなら、もらい事故の場合は、被害者に過失がないため、被害者に賠償義務が発生しないからです。

そのため、被害者の加入している保険会社は、被害者に対して保険金を払う必要がないのです。

被害者に慰謝料を支払うのは、被害者に対する賠償義務のある加害者(加害者が加入している保険会社)ということになります。

また、以下のような3種類の基準で、得られる額が違います。

  • ・自賠責保険基準
  • ・任意保険基準
  • ・弁護士基準(裁判基準)

被害者が損をしないためにも是非知っておいていただきたい事柄です。

では、実際にどのくらいの慰謝料を得ることができるのでしょうか。

下記で、例を挙げて解説していきたいと思います。

入通院慰謝料の相場・自賠責保険基準

「自賠責保険基準」とは、自賠責保険から損害賠償を受ける場合の、計算方法の基準となるものです。

自賠責保険基準を用いて、入通院慰謝料の上限額を4,200円とした場合の入院慰謝料を、「病院に通った回数」「入院した日数」を基に計算してみましょう。

自賠責保険基準の計算では、

  • ・初診から治療終了日までの総日数
  • ・入通院日数を2倍した日数

上記2つのうち、いずれか少ない日数に4,200をかけます。

(例)治療にかかった総日数 50日
入通院日数 30日(2倍すると60日)
この場合は、入通院日数30日×2倍=60日よりも、治療にかかった日数である50日の方が少ないので、50日を基準にして計算します。

結果として、50日×4,200円=210,000円となります。

入通院慰謝料の相場・任意保険基準

「任意保険基準」とは、保険会社が各社独自に定めている基準のことです。

任意保険基準における相場については、公開されているわけではないので、具体的な金額を示すことはできません。

平成11年以前は任意保険には統一基準がありましたが、平成11年以降は旧任意保険基準が撤廃となり、現在は保険会社各社が自由に基準となる額を定めることができることとなりました。

以下の表にあるおおよその金額は、旧任意保険基準を踏襲した設定となっています。

(単位:万円)

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 25.2 50.4 75.6 95.8 113.4 113.4 128.6 141.2 152.4 162.6
1ヶ月 12.6 37.8 63 85.6 104.7 120.9 134.9 147.4 157.6 167.6 173.9
2ヶ月 25.2 50.4 73 94.6 112.2 127.2 141.2 152.5 162.6 171.4 176.4
3ヶ月 37.8 60.4 82 102 118.5 133.5 146.3 157.6 166.4 173.9 178.9
4か月 47.8 69.4 89.4 108.4 124.8 138.6 151.3 161.3 168.9 176.4 181.4
5ヶ月 56.8 76.8 95.8 114.6 129.9 143.6 155.1 163.8 171.4 178.9 183.9
6ヶ月 64.2 83.2 102 119.8 134.9 147.4 157.6 166.3 173.9 181.4 185.4
7ヶ月 70.6 89.4 107.2 124.3 136.7 149.9 160.1 168.8 176.4 183.9 188.9
8ヶ月 76.8 94.6 112.2 128.6 141.2 152.4 162.6 171.3 178.9 186.4 191.4
9ヶ月 82 99.6 116 131.1 143.7 154.9 165.1 173.8 181.4 188.9 193.9
10ヶ月 87 103.4 118.5 133.6 146.2 157.4 167.6 176.3 183.9 191.4 196.4

縦軸が通院、横軸が入院した月数(期間)で、両者を掛け合わせた数が一覧表記されています。

入通院慰謝料の相場・弁護士基準(裁判基準)

「弁護士基準」とは、交通事故の被害者から依頼を受けた弁護士が慰謝料などを決定する際の基準となるものです。

弁護士基準(裁判基準)による入院慰謝料の相場の例を、以下の表でみてみましょう。

弁護士基準(裁判基準)の相場:むち打ち症などの多角的初見がないケース(単位:万円)

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195
1ヶ月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202
4ヶ月 67 955 119 136 152 165 176 185 192 197 203
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205
7ヶ月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206
8ヶ月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207
9ヶ月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208
10ヶ月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209

参考:(損害賠償額算定基準:別表Ⅱ)

弁護士基準(裁判基準)の相場:上記以外の重症(骨折など)なケース(単位:万円)

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 326 323
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286 301 316 324 329
8ヶ月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331
9ヶ月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333
10ヶ月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335

参考: (損害賠償額算定基準:別表Ⅰ)

基準ごとの慰謝料を比較してみましょう。

(例)交通事故で骨折の怪我を負った場合

  • ・初診から治療終了まで約150日間=5ケ月
  • ・実際に通院した日数は90日間
  • ・30日間(1ケ月)は入院日数
  • ・自賠責保険基準  64.5万円
  • ・任意保険基準   64.9万円
  • ・弁護士基準(裁判基準) 130万円

弁護士基準(裁判基準)は、他の基準に比べて高額になることが多く、上記のように最も低い基準である自賠責保険基準と比較すると2倍ほどの差が出るケースもあります。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の相場を基準ごとに比較すると、以下のとおりになります。

等級ごとの相場比較

等級 自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
第14級 32万円 40万円 90~120万円
第13級 57万円 60万円 160~190万円
第12級 94万円 100万円 250~300万円
第11級 136万円 150万円 360~430万円
第10級 190万円 200万円 480~570万円
第9級 249万円 300万円 600~700万円
第8級 331万円 400万円 750~870万円
第7級 419万円 500万円 900~1,100万円
第6級 512万円 600万円 1,100~1,300万円
第5級 618万円 750万円 1,300~1,500万円
第3級 861万円 1,100万円 1,800~2,200万円
第2級 998万円 1,300万円 2,300~2,700万円
第1級 1,150万円 1,600万円 2,700~3,100万円

引用:2020年赤本

一目瞭然で弁護士基準(裁判基準)での相場が最も高額であることがわかります。

後遺障害等級認定の手続きは時間がかかる上に煩雑な手続きを要するので、慎重に行わなければなりません。

ただでさえ怪我で辛い思いをしているのですから、今後の生活の一助とするためにも少しでも多くの慰謝料をもらえるようにしなくてはなりません。

煩わしい手続きは弁護士に任せて、少しでも以前の生活に近づけるように、ご自身のことに大切な時間を使われてはいかがでしょうか。

死亡慰謝料の相場・自賠責保険基準

死亡事故の場合には、被害者の遺族は以下の2つの慰謝料を請求することができます。

  • ・亡くなった被害者本人への慰謝料
  • ・亡くなった被害者の家族または近親者の方への慰謝料

【亡くなった被害者本人への慰謝料】
自賠責保険基準では一律400万円と定められています。

【亡くなった被害者の遺族への慰謝料】
この場合の慰謝料は、請求権者の(慰謝料を請求する権利のある人)の人数により異なります。
(例)被害者の父母(養父母含む)、配偶者、子ども(養子、認知した子ども、胎児を含む)

内縁関係の場合は「扶養利益の喪失」を根拠に加害者に対して損害賠償を請求することが可能です。

請求者数別の慰謝料額は以下になります。

請求権者数(慰謝料を請求する遺族の数) 慰謝料額
1人 550万円
2人 650万円
3人以上 750万円

(参考:2017年版 損害賠償額算定基準)

※被害者に被扶養者が存在する場合は、上記の金額に200万円が追加されます。

被扶養者とは、亡くなった被害者の収入で生計を立てている一定範囲の扶養家族のことをいいます。

死亡事故における慰謝料の算定基準もまた、前述した3つの基準に分かれます。

慰謝料やその他の損害金を含めると、数千万円規模の額となり、どの基準で計算するかにより大きな差が出てしまいます。

死亡慰謝料の相場・任意保険基準

任意保険基準による慰謝料は保険会社各社が独自に定めており公開されていないため、はっきりとはわかりません。

ですが、自賠責保険よりは高く、弁護士基準(裁判基準)よりは低いのが一般的です。

また、自賠責保険基準とは異なり、前述のように「亡くなった被害者本人」、「亡くなった被害者のご家族または近親者の方への慰謝料」というように計算方法が分かれていません。

もともと任意保険は、自賠責保険でカバーしきれない部分を保証するという側面があります。

ですので、一概には言えませんが加入状況により慰謝料の額も変動します。

目安となる任意保険基準での慰謝料の相場は以下のとおりです。

亡くなった被害者の属性 慰謝料額
一家の大黒柱(家庭の生計を支えている) 約1,500万円~2,000万円
配偶者・専業主婦(主夫) 約1,300万円~1,600万円
子ども・高齢者・その他 約1,100万円~1,500万円

亡くなった被害者の家庭内での立場(属性)により慰謝料の金額は異なります。

死亡慰謝料の相場・弁護士基準(弁護士基準)

示談交渉を弁護士に依頼することにより、得られる慰謝料の額は大幅にアップします。

弁護士基準(裁判基準)は、他の基準の中で最も慰謝料の額が最も高く、以下のとおりとなります。

亡くなった被害者の属性 慰謝料額
一家の大黒柱(家庭の生計を支えている) 2,800万円
配偶者・専業主婦(主夫) 2,500万円
子ども・高齢者・その他 2,000~2,500万円

(参考:2020年版 損害賠償額算定基準)

また、弁護士に依頼することにより、場合によっては上記の金額以外にも遺族への慰謝料として請求できるケースも可能性があります。

  • ・治療費
  • ・入院中の雑費
  • ・病院への交通費
  • ・付き添い看護費
  • ・葬儀代
  • ・車両の修理費
  • ・逸失利益

逸失利益とは、亡くなられた方が、生存していれば将来得られるはずであった収入に対する賠償金のことです。

年齢や職業その他の事情により異なりますが、子どもや無職のケースでも請求することができます。

ケース別慰謝料の計算例

慰謝料の計算方法は一定の基準で定められています。

「もらい事故」のような、被害者に過失無しのケースでも違いはありません。

交通事故における3つの慰謝料は以下の通りです。

3つの慰謝料
入通院慰謝料 怪我の治療のための通院や入院をした場合に支払われる
後遺障害慰謝料 完治することなく後遺症が残存した場合に支払われる
死亡慰謝料 死亡事故の場合に被害者の遺族に対して支払われる

また、上記3種類の慰謝料それぞれに、基準が設けられています。

自賠責保険基準<任意保険基準<弁護士基準(裁判基準)

※右に行くほど高い金額で算出され、結果として一番高額な慰謝料を受け取れることになります。

慰謝料算出のための33つの基準
自賠責保険基準 法令により定められた最低限の補償
任意保険基準 加害者が加入している保険会社により独自の基準
弁護士基準(裁判基準) 過去の裁判例を基に弁護士及び裁判所が参考にする一つの基準

自賠責保険基準は、主に加害者が任意保険に加入していないケースで用いられることが多いです。

以下で、ケースごとの慰謝料計算例をみていきましょう。

死亡事故(事故当時2歳女児)損害賠償金約5,024万円のケース

(仙台地方裁判所 平成22年9月9日)

青信号の横断歩道を母親と2人で渡っていたところ、右折してきた車が横断歩道を確認せずに交差点に侵入し衝突しました。

2歳女児は脳挫傷により死亡し、母親は両足を怪我しました。

損害賠償金  計約5,024万円
(内訳)
死亡慰謝料 2,400万円
逸失利益  2,000万9,158円
遺族への慰謝料  亡くなった被害者の死亡慰謝料に含む

死亡事故(事故当時28歳研修医男性)損害賠償金約1億1,170万円のケース

(千葉地方裁判所 平成17年6月23日)

立体交差点の合流地点で発生し2台の車に轢かれてしまった二重事故です。

亡くなられた被害者の方は、ジョギング中立体交差点のゼブラゾーンに進入してしまいました。

その後、飲酒運転の加害車両にはねられ道路上に転倒し、同じく飲酒運転の加害車両にひかれてしまいました。

被害者の方は、能挫傷及び頭蓋骨骨折や全身の骨を骨折し亡くなりました。

加害者らはいずれも救護活動をせずに、その場を立ち去りました。

損害賠償金 計約1億1,170万円
(内訳)
死亡慰謝料 2,200万円
逸失利益 1億1,307万6,263円
遺族への慰謝料(父母)1,000万円
葬儀費用、その他   約185万円
過失相殺(2割)   ×0.8

このケースでは、亡くなられた被害者の方が研修医であるため、医師の平均賃金が基礎収入額として反映されたと推測できます。

また、ゼブラゾーンには本来歩行者はいないと仮定されるため、その場所に被害者が立っていたということで過失あり(2割)とされています。

慰謝料以外に請求できる賠償金

交通事故に遭うと、慰謝料以外に請求できる賠償金があります。

種類 内容
慰謝料 精神的な苦痛に対して支払われる
治療費・入院費 治療にかかる費用、入院雑費なども含まれる
通院交通費 タクシーも含め通院にかかった交通費
通信費 交通事故によりかかった通話代など
修理費 車両の修理にかかった費用(レッカー代・代車の費用も含む)
付き添い看護費 入通院で付き添いが必要になった際に認められる費用
器具等購入費 治療や後遺症が残った際にかかる必要(車椅子・松葉杖など)
家具等改造費 後遺症が残ることによってかかる自宅のバリアフリー化などの費用
物損費用 交通事故が原因で破損したものの費用
葬儀関係費 葬儀に関する費用
休業損害 休まずに働いていれば得られた現在の収入減少に対する損害賠償
逸失利益 交通事故がなければ将来得られたであろう経済利益

病院の通院費用・交通費などはまとめて請求できるため、必ず領収書を取っておきましょう。

相手の保険会社が代わりに支払うケースもあるので、事前に確認してください。

また請求する賠償金をまとめたものを「示談金」と呼びます。

慰謝料も示談金の中に含まれる賠償金の一部になります。

事故の示談金は、過失割合によって金額が異なります。

例えば示談金が100万で、自分4:相手6の過失割合だとしたら、もらえる金額は60万円です。

もらい事故の場合は過失割合が自分0:相手10になるため、満額の100万円もらえます。

もらい事故の示談交渉で慰謝料を引き上げるポイント

もらい事故の示談交渉において、慰謝料を引き上げるポイントを解説します。

弁護士に依頼する

前述したとおり、弁護士に依頼して示談交渉を行うことにより、より多くの「適正な額の慰謝料」を得ることが期待できます。

自賠責保険基準<任意保険基準<弁護士基準(裁判基準)

被害者本人が示談交渉を進めていくと、保険会社は会社独自の基準(任意保険基準)を用いて計算した慰謝料額を提示してくることがほとんどです。

ですが、この任意保険基準は、弁護士が通常用いる基準(弁護士基準)を下回ることがほとんどです。

結果的に、弁護士に依頼し「裁判基準」で慰謝料を算出し、示談交渉を行うことで、より多くの慰謝料を得ることが期待できるというわけです。

提示された金額を鵜呑みにしない

示談交渉においては、相手方が提示してきた金額を鵜呑みにしないでください。

少しでも腑に落ちない点や疑問が残る場合は、躊躇せずに、経験豊富な「交通事故の専門弁護士」に相談してください。

治療のための通院を怠らない

交通事故の慰謝料請求で最も大事なことの一つとして「通院実績」が挙げられます。

例えば、仕事が忙しいことなどを理由に我慢して通院治療を怠ってしまうケースです。

「治療がもう必要ないのではないか」と判断されてしまい、慰謝料が減額されてしまう恐れがあるので注意してください。

原則、治療終了日以降に「通院慰謝料請求」はできません。

ですので、医師の指示に従いお怪我が完治するまでは継続的に通院治療をすることをおすすめします。

まとめ

もらい事故と通常の事故では、さまざまな違いがあることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

もらい事故は、自分に過失がないだけに、精神的にも肉体的にも耐え難い苦痛です。

事故が起きなければ、失うことのなかったものが数多くあることでしょう。

適正な額の「慰謝料」を損なく得るためには、弁護士に依頼することが早期解決にもなり有益です。

お怪我の治療に専念して、一日でも早く元どおりの生活に戻るには、自分一人で全てをこなすことは大変な労力であり、ストレスとなります。

治療をしても今までどおりの生活に戻れないほどの後遺症を負われた方は、少しでも多くの慰謝料を得ることが、今後の生活を左右することになります。

対応によっては、1,000万円以上の差が出てしまうこともある慰謝料です。

また、弁護士にも専門分野があるため、経験値の差が慰謝料額に影響することも否定できません。

ご自身の今後の生活のためにも、経験豊富な交通事故専門の弁護士に是非相談してください。

弁護士は、被害者であるあなたの味方です。

top