東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、ビジネスの実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
日本各地で急速に感染が拡大している、新型コロナウイルス。
愛知県においてもますます感染が広がり、企業の経済活動にも多大な影響を与えています。
経済活動が滞ることによって、倒産や廃業に追い込まれる企業も少なくありません。
このような事態を避けるためには、国の対策措置や自治体の支援事業を把握しつつ、必要に応じてその救済を受けることも検討すべきです。
今回は、新型コロナウイルスの影響で倒産するケースの特徴や、愛知県のコロナウイルス関連の倒産情報を見ていきましょう。
そのうえで、愛知県が独自で行う補助金や融資制度などについてご紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
Contents
まず、愛知県の産業構造や業種の特徴について解説します。
愛知県の産業別総生産では、産業構造に次のような特徴があります。
愛知県は第二次産業と第三次産業が盛んで、愛知県内の産業別総生産のうち、非常に大きい割合を占めています。
第二次産業の割合は40%を超え、そのほとんどは製造業が占めています。
全国的に見ても、製造業の構成比が極めて高いのが特徴です。
また、第三次産業の割合は過半数を超え、全体の60%近くにまで届くほどです。
とりわけ、卸売・小売業が盛んで、第三次産業の中枢を支えています。
全国的な割合では、東京都と大阪府に次いで、事業所数・従業者数・年間商品販売額が多くなっています。
一方、第一次産業の比率は低く、その割合は約0.5%程度であるものの、全国的には中位から上位を占めています。
農業の産出額では全国第8位、木材産業の木材・木製品出荷額は第4位、漁業・養殖業の総生産額も中位となっているようです。
ここからは、コロナ禍での倒産の特徴と愛知県のコロナウイルス関連の倒産情報をご紹介します。
帝国データバンクの情報によると、2020年8月時点で、新型コロナウイルスの影響による倒産は全国で400件を超えたと確認されました。
このうち、愛知県での新型コロナ関連の倒産件数は、20件となっているようです。
この件数は、東京、大阪、北海道に次いで4番目に多く、そのうちの多くは飲食業や宿泊業などのサービス業関連だと言います。
営業時間短縮や休業要請の他、外出自粛という影響を受けたことにより、苦しい経営状況に陥ったことが原因のようです。
倒産や廃業に追い込まれる企業だけでなく、水面下で厳しい資金繰りを強いられている企業が多数存在していることから、今後はさらに倒産件数が増加していく可能性があると見られています。
愛知県では、新型コロナウイルスに対応するべく、愛知県内の企業や個人事業主などの特定対象者に対して、独自の支援対策を行っています。
また、支援事業だけでなく、支払い猶予や減免など様々な支援対策があるので、お困りの場合には愛知県の各相談窓口へ相談してみましょう。
ここからは、愛知県内において利用することができる融資制度や補助金などをご紹介します。
愛知県で利用できる主な支援事業は次の表のとおりです。
【愛知県における主な支援対策一覧表】
種類 | 名称 | 取扱期間・申請期限 |
---|---|---|
融資 | 新型コロナウイルス感染症対策緊急小口つなぎ資金 | 令和2年12月31日 |
融資 | 経済環境適応資金 | 令和3年3月31日 |
融資 | 愛知県新型コロナウイルス感染症対応資金 | 令和2年12月31日 |
補助金 | タクシー事業者感染拡大予防対策事業費補助金 | 令和3年1月31日 |
補助金 | 医療機関・薬局等における感染拡大防止対策等支援事業(医療機関院内感染防止対策事業費補助金) | 令和3年2月末日 |
慰労金 | 愛知県新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金 | 令和3年2月28日 |
応援金 | 愛知県文化芸術活動応援金 | 令和3年2月28日 |
※この他、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた農業者・漁業者向け金融支援などもあります。
それぞれの支援事業の詳細を確認していきましょう。
新型コロナウイルス感染症対策緊急小口つなぎ資金とは、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業や小規模企業に対して、正常な経営環境を整えるための融資制度です。
経済活動の低迷にある中小企業や小規模事業者は、この融資制度を利用することで当座の資金繰りが可能になります。
融資対象者は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことにより、直近1か月の売上高などが、前年同月または2年前同月の売上高などに比べて減少している中小企業や小規模企業です。
融資限度額は500万円で、融資期間は2年以内となっています。
利率は愛知県が全額補助するほか、信用保証料も契約時の額を全額負担してもらえるため、実質無料です。
申し込み期間は令和2年12月31日までとなっています。
経済環境適応資金とは、愛知県内の中小企業などの安定的な経営を図ることを目的とした、既存の融資制度です。
この制度は、新型コロナウイルスの影響を受けている中小企業などへの経済的な支援のため、適用対象の範囲が拡充されました。
直近3か月間の月平均売上高が、前年同期の月平均売上高と比べ3%以上減少している中小企業だけでなく、新型コロナウイルスの影響で直近1か月の売上高が前年同期よりも3%以上減少することに加えてその後の売上高が前年同期の売上高よりも3%以上減少すると予想される中小企業も対象です。
ただし、この経済環境適応資金の適用を受けるには、業界ごとに異なって定められている特定の条件に該当する必要があります。
融資限度額は8,000万円、融資期間は3年から7年です。
利率は融資期間によって異なりますが約1~1.5%程度で、融資期間が長期化するほど利率が上がります。
なお、保証料率については年0.4~2%です。
取扱期間は、令和3年年3月31日までとなっています。
愛知県新型コロナウイルス感染症対応資金とは、新型コロナウイルスによる影響の拡大・長期化を考慮し、経営状況が低迷する中小企業や小規模企業への経済的支援を促進していくための融資制度です。
融資対象となるのは、次のような事業者です。
融資限度額は4,000万円まで、融資期間は3年から7年となっています。
利率については融資期間によって異なり、約1~1.5%程度で、融資期間が長期化するほど利率が上がります。
なお、保証料率は基本的には年0.85%であり、保証料補助も全額または半額受けることができます。
取扱期間は、令和2年12月31日までです。
タクシー事業者感染拡大予防対策事業費補助金とは、タクシー事業者などが新型コロナウイルスの感染対策に取り組みにあたり、その必要な設備を整えるための費用を一部補助するものです。
愛知県内に営業所がある般乗用旅客自動車運送事業者の保有する車両のうち、申請日時点で国土交通省中部運輸局愛知運輸支局に登録されている車両が補助対象となります。
車両1台あたり8,000円を限度として、製品購入費や設備費などが1/10補助されます。
申請受付期間は、令和3年1月31日までです。
医療機関院内感染防止対策事業費補助金とは、新型コロナウイルスの感染拡大防止の取組を行う医療機関などに対して、必要な設備や体制を整えるためにかかる費用を一部補助するものです。
補助限度額については、次の通りです。
補助対象となるのは、感染拡大防止対策に要する費用などのうち、令和2年4月1日から令和3年3月31日までのものに限ります。
申請受付期間は、令和3年2月末日までです。
愛知県新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金とは、新型コロナウイルスが猛威を振るう中、率先して感染拡大の防止や収束に向けて奮闘する医療従事者を労うために設けられた支援金のことをいいます。
新型コロナウイルス医療機関などに勤務する医療従事者や職員が対象です。
勤務状況等により金額は変動しますが、最高20万円まで支給されます。
なお、申請受付期間は令和3年2月28日までとなっています。
愛知県文化芸術活動応援金とは、新型コロナウイルスによって著しい影響を受けている愛知県内の文化芸能活動関係者を支援するための給付金です。
一定で法人20万円、個人事業者10万円が支給されます。
対象となるには、特定の条件を満たす文化芸術活動関係者(愛知県芸術文化振興条例 第7条から第10条に列挙された分野に関係する事業を営む者)に限ります。
申請受付期間は、令和3年2月28日までです。
今回は、愛知県におけるコロナ関連の倒産情報などについてご紹介しました。
飲食業・宿泊業をはじめとして、その他の業界においても苦しい経営状況が続いているようです。
愛知県では、倒産や廃業を回避するため、補助金や融資制度などを独自に設けて支援対策を行っているので、必要に応じて活用を検討してみましょう。
また、愛知県では市ごとによって別途、独自の融資制度や補助金などを設けています。
詳しくは、各市役所のホームページをご覧のうえ、相談窓口へお問い合わせください。