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【コロナウイルス関連の融資制度】無利子・無担保の融資制度について

弁護士 石木貴治

この記事の執筆者 弁護士 石木貴治

東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、ビジネスの実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/ishiki/

この記事でわかること

  • 新型コロナウイルス感染症による無利子・無担保の融資がわかる
  • 日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付がわかる
  • 新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資対象者や融資条件などがわかる
  • 民間金融機関が開始した実質無利子・無担保融資についてわかる
  • 各都道府県で受けることができる実質無利子融資が一覧でわかる

コロナウイルスの影響を緩和して法人破産などを回避するため、政府系の金融機関と民間の金融機関が、実質的に無利子で無担保の融資を始めています。

売上高減少などの要件を満たす中小規模の事業者なら、政府系の金融機関が取り扱う「特別貸付」には利子補給があるため、実質無利子となります。

また、同様の中小規模事業者は、都道府県などの自治体が指定する民間の金融機関から、国や自治体の負担で実質無利子になる融資を受けることもできます。

以下では、コロナ対策としての無利子無担保融資について、全体像や公庫の貸付要件などについて、詳しく紹介します。

また、各都道府県で受けることができる、民間の金融機関が取り扱う実質無利子融資について、その内容や都道府県ごとの一覧を、併せて紹介します。

新型コロナウイルス感染症による無利子・無担保の融資とは

感染症の影響を受けた小規模事業者や中小企業者に対する、無利子・無担保融資の取扱いが、政府系金融機関と民間金融機関で開始されました。

政府系金融機関が実施する融資

この融資は、日本政策金融公庫などが取り扱う「特別貸付」で、小規模事業者に最大で8,000万円、中小企業者に最大で6億円を、低利で融資するものです。

すでに公庫からの借り入れがある場合でも、他の融資制度と別枠で利用でき、当初3年間の金利が0.9%優遇されます。

また、最大5年間の据置期間があります。

さらに、要件を満たす事業者に対しては、一定期間、特別に利子相当分が別途支給され、実質無利子で融資される仕組みが併用されています。

ただし、「特別貸付」と「特別利子補給制度」両方の要件を満たす必要があることに注意が必要です。

特別利子補給制度

借入利子に対しては、別途、利子相当分が支払われる仕組みを「特別利子補給制度」と呼びます。

利子補給は、実施を政府機関の「中小企業基盤整備機構」が担うもので、融資を受けた中小企業者のうち、特に感染症による影響が大きい事業者に利子相当分が給付されます。

融資では、4,000 万円または2億円を限度として、災害発生時の融資制度に適用される利率から0.9%低減した利率が3年間適用されます。

さらに、返済した融資利息のうち、当初3年間の利子相当分が後日利子補給として支給され、実質的には3年間無利子で借りることができるのです。

ただし、特別利子補給制度の対象となるためには、以下の要件が定められています。

・「小規模事業者の要件」

・卸売業や小売業、サービス業は従業員5名以下
・製造業や建設業、運輸業、その他業種は従業員20名以下

・「売上高の減少要件」

1 個人事業主(フリーランス含み、小規模に限る)要件なし
2 小規模事業者(法人事業者)売上高15%以上減少
3 中小企業者(上記1と2を除く事業者)売上高20%以上減少

なお、売上高の比較は、最近3カ月間のうちいずれかの1カ月で比較します。

民間金融機関が実施する融資

これに対し、都道府県などが指定する民間金融機関では、地方自治体の制度融資の仕組みを活用した無利子・無担保融資が始まっています。

制度融資は、一定期間の利子補給や保証金を自治体が負担する仕組みですが、この資金に国が補助を行って3年間無利子無担保を実現しています。

この融資を受けるためには、「セーフティネット保証4号」か「5号」、または「危機関連保証」の認定と、売上の減少要件などを満たす必要があります。

【日本政策金融公庫】新型コロナウイルス感染症特別貸付

特別な利子補給の制度によって、実質的に無利子とする無担保の融資が、公庫などが取り扱う「特別貸付」です。

個人事業や小規模な事業を営む者に最大で8,000万円、これら以外の中小企業には最大で6億円が融資され、法事破産などの回避に役立ちます。

この融資は、すでに公庫からの借り入れがある場合でも、他の融資制度とは別枠で利用でき、初めの3年間は金利が0.9%優遇されます。

利子補給の対象になると実質無利子

この特別な貸付では、別に定められている要件を満たせば、特別な利子補給が適用されるため、3年間実質無利子で借りることができます。

個人事業者や小規模な事業を営む者では最大で4,000万円、その他の中小企業では最大で2億円まで利子補給の対象となります。

したがって、個人事業主や小規模事業者なら、最大4,000万円までは無利子・無担保で、さらに4,000万円までを低利で借りることができます。

また、その他の中小企業であれば、最大2億円まで無利子・無担保で、さらに4憶円までは低利の融資を受けることができるのです。

【日本政策金融公庫】新型コロナウイルス感染症特別貸付概要

公庫の特別貸付の特徴や、利子補給による実質無利子化については、すでに確認したとおりです。

では次に、融資を受けることができる対象者の要件や、融資条件について確認しましょう。

融資対象者

対象となる事業者は、コロナの影響によって、最近1カ月の売上高が5%以上減少していることが要件です。

また、影響は一時的なもので、中長期的には回復や発展が見込まれることも要件となっています。

具体的な要件は、中小企業者と小規模事業者で共通に、以下のように定められています。

なお、小規模事業者は、中小企業のうち従業員数が20人以下の事業者で、商業やサービス業では従業員数5人以下とされています。

ただし、起業や創業から3カ月未満の場合は、制度の対象とならないため注意が必要です。

1 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化を来している

2 (1)または(2)のいずれかに該当する

  • (1)最近1カ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少
  • (2)業歴3カ月以上1年1カ月未満などの場合、最近1カ月の売上高が次のいずれかと比べ5%以上減少
    • [1] 過去3カ月(最近1カ月を含む)の平均売上高
    • [2] 令和元年12月の売上高
    • [3] 令和元年10月から12月の平均売上高

3 中長期的には業況が回復し、発展することが見込まれる

融資条件

条件をまとめると以下のとおりですが、小規模事業者と中小企業事業者では、融資限度額が異なる以外は、基本的な違いはありません。

令和2年7月1日現在の標準的な基準利率は、小規模事業者に対しては年利1.36%から1.75%、中小事業者に対しては1.1%から1.30%となっています。

なお、中小企業事業者の場合は、最終期限まで固定金利を適用する方法だけでなく、契約時から5年経過ごとに金利を見直す方法を選択することもできます。

小規模事業者中小事業者
資金の使いみち設備資金や運転資金
融資限度額(別枠)8,000万円6億円
利率(年)基準利率
融資後3年目まで0.9%優遇
(最大4,000万円
融資後3年目まで0.9%優遇
(最大2億円
返済期間設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)
担保無担保

民間金融機関において実質無利子・無担保融資が開始!

国は2020年5月から、感染症の影響が拡大している状況を踏まえ、小規模事業者や中小企業者への資金繰り支援策の強化を図りました。

この支援策が、銀行や信用金庫などの民間金融機関による実質無利子・無担保の融資で、都道府県単位に全国で開始されました。

概要

当初3年間は、要件を満たす事業者には、基本的に融資額3,000万円まで実質無利子で、保証人や保証料も不要な融資を行っています。

融資限度額については、制度開始時は全国一律で3,000万円で設定されたものの、その後、都道府県ごとの判断で拡充が可能とされています。

このため、融資限度額を4,000万円に引き上げた自治体も多いとともに、無利子の期間などが都道府県ごとに多少異なります。

また、すでに受けている民間金融機関からの信用保証付き融資がある場合は、新規融資の際に、合計4,000万円まで、新規と同じ条件で借換えも可能です。

つまり、既往債務の返済負担に困窮している場合でも、3年間は4,000万円まで実質無利子にでき、最大5年の返済猶予が受けられます。

特徴

この融資は、以下のように、利用者の借入時と返済時における金銭的な負担が大きく軽減されていることが第1の特徴です。

  • ・当初3年間は実質無利子
  • ・信用保証料が半額またはゼロに減免
  • ・最大5年の据置期間

また、既存の借入を抱えて返済に行き詰まるようなケースにも配慮がなされていることが、第2の特徴です。

  • ・すでに信用保証付き融資を受けている場合は、この制度による実質無利子融資への借換えが可能

さらに、手続きの一元化が図られ、借り入れに伴う事務的な負担が経験されていることが、第3の特徴です。

  • ・融資手続きは、金融機関を一元的窓口として、ワンストップで効率的、迅速にすべて済ませることができる

このように、金銭的な負担や事務的な負担、また、既往債務の返済負担についても配慮されていることが特徴です。

この結果、経営の安定や立て直しのために、有利な融資を迅速に受けることができる仕組みが実現されているというわけです。

融資の仕組み

この融資は、地方自治体が行う「制度融資」の資金を、国が補助金で支える仕組みとなっています。

制度融資は、地方自治体が民間金融機関の融資を紹介する制度で、自治体が信用保証料や利子の一部を負担することによって、利便性を高めています。

政府系金融機関の融資が金融機関と国で支援するのに対し、制度融資は、金融機関、都道府県や市区町村、信用保証協会が支えています。

今回は、この信用保証料や利子負担に必要な自治体の資金を、国が補助して支えることにより、無利子無担保の融資が実現されているのです。

民間金融機関としては、利用者を自治体と国が支えることによって回収リスクが減るため、一層融資しやすい制度となっています。

融資の手続き窓口

融資手続きは、申請を受けた民間金融機関が一括して代行するため、利用者は金融機関の窓口に行くだけで済みます。

融資に際しては、基本的に災害時などに事業者を国が支援する「セーフティネット保証」を受けることが前提となっています。

この保証が認定された事業者は、返済が滞った場合でも、信用保証協会に立て替え返済してもらうことができるため、銀行側のリスクが減ります。

通常であれば、利用者は融資の申請前に、市区町村役場に認定書の発行を申請し、取得しておかなければなりません。

しかしながら、市区町村の窓口に申請者が殺到し、認定書の発行事務が滞る事態となったため、民間金融機関が一元的に取り扱う仕組みを導入しています。

対象者の要件

この無利子無担保による融資の対象者となるためには、「保証」の認定と売上減少が要件とされています。

認定の要件

認定されておくべき「保証」は、「セーフティネット保証4号」、「同5号」、「危機関連保証」の3種類です。

これらの認定のうち、いずれかについての認定を受けていることが、対象者となるための前提条件です。

「保証」は、基本的に本店や事業所がある市区町村長が認定するもので、保証が認定されると、通常とは別枠の保証を受けることができる事業者の資格を得ます。

セーフティネット保証については、1号から8号までの分類がありますが、新型コロナに関するものは、4号と5号です。

4号は、自然災害など突発的な災害により、売上高が20%以上減少などの影響が生じている事業者の認定です。

また、5号は、全国的に業況の悪化している業種について、売上高が5%以上減少などの影響を受けている事業者の認定です。

一方、危機関連保証は、コロナの影響によって初めて発動された保証で、通常のセーフティネット保証とは別に認定されます。

この保証は、売上高が15%以上減少などの影響を受けている事業者の認定です。

売上高減少の要件

売上高の減少については、5%以上の影響があることが要件で、そのなかでも15%未満と15%以上では扱いが異なります

小規模個人事業主については、売上高が5%以上減少している場合はすべて対象となります。

これに対して、小規模以外の事業者については、売上高が15%減少している場合だけが、無利子無担保融資の対象者となります。

なお、売上高の減少が15%未満で要件を満たさない事業者についても、信用保証料の半額が免除されるなどの恩恵を受けることができます。

対象者に関する認定の要件と売上高減少の要件、融資条件をまとめると、次表のとおりです。

小規模個人事業主個人事業主(小規模以外)・法人
前提条件

市区町村長による、いずれかの認定が前提

  • ・セーフティネット保証4号(売上20%減)
  • ・セーフティネット保証5号(売上5%減)
  • ・危機関連保証(売上15%減)
売上高の減少5%以上15%以上5%以上15%未満
認定の種類全ての認定で適用セーフティネット保証4号
または危機関連保証
セーフティネット保証5号
利子補給3年間実質無利子3年間実質無利子利子補給なし
信用保証料補助全額補助全額補助2分の1補助
担保不要
融資上限額3,000万円または4,000万円
据置期間最大5年

【各都道府県】実質無利子融資一覧

全国で開始された実質無利子の融資については、都道府県単位で実施され、融資の名称や条件などがそれぞれで若干異なっています。

多くの都道府県では「新型コロナウイルス感染症対応資金」と呼ばれていますが、独自の名称を使用している自治体もあります。

特に、融資限度額については、第2次補正予算成立時に、各都道府県の判断によって「4,000」万円への引き上げが認められたため、一律ではありません。

また、都道府県独自に限度額を拡充しているケースや独自の支援を行っているケースもあります。

都道府県独自の支援として、売上高の減少が15%未満の場合でも無利子無担保とするケースや、無利子の期間を延長するケースなどもあります。

全国47都道府県の融資を一覧にまとめると次表のとおりで、法人破産の回避などに利用されることをおすすめします。

なお、表中では、「新型コロナウイルス感染症」または「新型コロナウイルス」を「新コ」と略しています。

また、最も多い名称となっている「新型コロナウイルス感染症対応資金」については、「新コ資金」と省略していますので、ご注意ください。

都道府県民間金融機関による融資[1]都道府県独自[2]
名称融資限度額[1]の支援融資限度額
北海道「新コ資金」「4,000」万円2,000万円
青森特別保証融資制度「4,000」万円5号も保証料ゼロ・当初3年間金利ゼロ
岩手「新コ資金」「4,000」万円
宮城「新コ資金」「4,000」万円
秋田経営安定資金
(危機対策枠)
3,000万円5号も中小企業は特別枠で無利子、保証料ゼロ
山形「新コ資金」「4,000」万円
福島「新コ」対策特別資金「4,000」万円
茨城「新コ」対策融資「4,000」万円
栃木経営安定資金「4,000」万円
群馬「新コ資金」「4,000」万円利子補給は7年間
埼玉「新コ資金」「4,000」万円
千葉「新コ」対応特別資金3,000万円
東京「新コ」対応融資3,000万円
神奈川「新コ資金」「4,000」万円
山梨経済変動対策融資「4,000」万円
長野「新コ資金」「4,000」万円
静岡「新コ」対応貸付「4,000」万円
新潟民間金融機関を通じた資金繰り支援3,000万円
富山「新コ資金」「4,000」万円
石川「新コ」緊急特別融資「4,000」万円
福井「新コ資金」3,000万円
岐阜「新コ資金」3,000万円
愛知「新コ資金」「4,000」万円
三重「新コ資金」3,000万円
滋賀「新コ資金」「4,000」万円
京都「新コ資金」「4,000」万円
大阪「新コ資金」3,000万円
兵庫「新コ資金」「4,000」万円
奈良「新コ資金」「4,000」万円
和歌山経営支援資金
「新コ」対応枠
「4,000」万円
鳥取「新コ」向け資金2億8千万円5年間無利子・10年間保証料ゼロ
島根「新コ資金」「4,000」万円8,000万円
岡山「新コ資金」「4,000」万円
広島「新コ資金」「4,000」万円
山口「新コ資金」「4,000」万円
徳島「新コ資金」「4,000」万円
香川「新コ資金」3,000万円
愛媛「新コ資金」「4,000」万円運転資金
1,000万円
高知「新コ資金」3,000万円
福岡「新コ資金」「4,000」万円
佐賀「新コ資金」「4,000」万円
長崎緊急資金繰り支援資金
(「新コ」対応)
3,000万円
熊本「新コ資金」「4,000」万円
大分「新コ」対応資金特別融資「4,000」万円
宮崎「新コ資金」
(全国統一要件)
「4,000」万円
鹿児島「新コ」関連緊急経営対策資金「4,000」万円
沖縄「新コ資金」「4,000」万円

まとめ

今後は新型コロナウイルス感染症と共存しながら、その影響を最小限に抑え、経営の安定や再生を目指す必要がありそうです。

そんな折に、国が主導する金融機関からの無利子無担保による融資は、大きな支えになります。

融資ですから返済しなければなりませんが、据置期間もあることから、数年間の負担を抑えながら経営を維持していくことができます。

チャンスが巡ってきたときに、的確に対応できる基礎的な経営力を維持していくことは、この時期にとても大切なことではないでしょうか。

法人破産などに至る前の切り札とも言える制度ですから、是非とも有効に活用して、新たな発展が目指されることを祈ってやみません。

破産のお悩みは深刻で不安なものです。
弊社では、相談者様の目線に立って、
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