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最終更新日:2025/2/25

定款の絶対的記載事項とは?定款の記載事項と定款の変更について解説します

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること

  • 定款の絶対的記載事項とは何か
  • 定款の絶対的記載事項の内容
  • 定款の絶対的記載事項の変更方法

定款は、株式会社の設立時に作成する「会社の憲法」です。定款は会社運営において重要な役割を果たします。定款にはさまざまなことが書かれていますが、そのなかでも「絶対的記載事項」は会社法で定められている必須項目です。これが欠けていると定款は無効になります。

この記事では、絶対的記載事項の詳細な内容や変更の方法について、わかりやすく解説します。株式会社設立を計画している方や、会社の定款の見直しを考えている方にとって役立つ情報を提供します。定款を適切に作成し、会社設立や事業運営をスムーズに行うための参考にしてください。

定款の絶対的記載事項とは?

定款の絶対的記載事項とは、定款に必ず書く必要がある項目です。絶対的記載事項が記載されていなければ、定款は無効となり成立しません。

定款は「会社の憲法」と呼ばれる大切な書類です。定款がどのようなものなのかについては以下の記事で詳しく解説しています。

絶対的記載事項は会社法で決まったルール

絶対的記載事項を定款に記載しなければならないというルールは、国内のすべての会社に適用される会社法という法律で決まっています。

株式会社を設立する際には、必ず定款を作成し定款認証という「お墨付き」をもらう必要があります。公証人によって認証を受けた定款がなければ、株式会社は設立できないのです。

つまり、株式会社を新しく作るときには必ず、絶対的記載事項が正しく書かれた定款を作ることになります。

参考:会社法 第二十八条|e-Gov 法令検索

5つの絶対的記載事項

定款に必ず記載する絶対的記載事項は、以下の項目です。

定款の絶対的記載事項

  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名(法人の場合はその名称)と住所

参考:会社法 第二十七条|e-Gov 法令検索

目的とは、事業目的のことです。事業目的とは会社を設立する目的のことで、定款には具体的にどのような事業をするのかを記載します。何のために作られてどのような活動をするための会社なのかを明確にするために記載します。

商号は、会社の名前です。会社の名称も絶対的記載事項ですので、定款を作成する前に商号を考えておきましょう。

本店所在地は、会社の本店を置く住所のことです。自宅の住所のように番地まで詳細に指定することもできますし、最小行政区画(東京の場合は「区」それ以外では「市町村」)で指定しても構いません。

設立に際して出資される財産の価額またはその最低額とは、出資金のことです。出資金は会社運営のために発起人が支出するお金です。

発起人は、出資金を払って設立する人や団体のことです。会社を設立したあとは、発起人は株主となります。定款には、発起人の情報を詳細に記載する必要があります。

絶対的記載事項が必要な理由

定款に絶対的記載事項を書くべき理由は、以下のとおりです。

絶対的記載事項を書くべき理由

  • 会社の方針を示すため
  • 株主と会社の経営陣のパワーバランスを保つため
  • 第三者の保護のため

定款は、会社の基本的な方針が定められた文書です。さまざまな取引を行う会社にとっては、会社の方針をはっきりさせて内外に示すことが重要になります。特に、絶対的記載事項は、その会社が「誰が作ったどのような会社で、どこにあるのか」を知るために必要な重要情報です。

会社の持ち主である株主は、会社の経営を取締役などの役員に任せています。大きな権限を持つ役員が自分のために勝手なことをしないよう抑制するためにも、株主総会の特別決議がないと変更できない定款の存在は重要です。

なかでも、定款の絶対的記載事項は極めて重要で基本的な会社情報です。この情報を必ず記載することで、株主と取締役のパワーバランスが保たれます。

最後に、第三者を保護するという意味合いも絶対的記載事項には含まれます。第三者に対して「どこのどんな会社で、誰が作ったのか」をはっきりさせれば安心して重要な取引ができるというわけです。

相対的記載事項との違い

定款には、絶対的記載事項だけでなく相対的記載事項と任意的記載事項があります。

必ず書かなければならないのは絶対的記載事項のみで、相対的記載事項は書かなくても定款として成立します。

相対的記載事項には、取締役会に関する記載や、監査役や委員会の設置といった重要な事項が多く含まれます。これらは「記載しないと実施できないこと」でもあるため、可能な範囲で書いておくほうが設立後の会社運営がスムーズになります。

参考:会社法 第二十九条|e-Gov 法令検索

任意的記載事項とは?

任意的記載事項は、絶対に記載しなければならないものではありません。また、相対的記載事項のように書かなければ効力がないという内容でもありません。

任意的記載事項は、書かなくてもいいけど最初からはっきりさせておきたい項目です。事業年度や公告の方法などが任意的記載事項に該当します。

絶対的記載事項の決まり

会社を設立する際に明記する「絶対的記載事項」の項目について詳しく説明します。

商号

商号は、会社の名前です。会社のアイデンティティーを表す重要な情報ですので、必ず記載します。

商号にはいくつかのルールがありますが、どのような商号にするかは基本的に自由です。取引先や会社の信頼性を示す重要な役割を担うため、慎重に考えましょう。

目的

目的とは、会社が行う事業活動の内容を明記する項目です。会社の事業範囲を明確にするために記載します。

絶対的記載事項の事業目的については以下の記事で詳しく解説しています。

本店所在地

会社の本店の住所を記載します。番地まで詳細に指定することもできますし、最小行政区画までの指定でも問題はありません。

実際に事業を行う場所と本店所在地は一致しているほうがよいでしょう。

出資金

定款には出資金の金額を明記します。出資金は、発起人が会社のために支出するお金のことです。金額に上限はありません。会社設立時の資金がいくらなのかを記載します。

会社の規模や事業計画に適した金額を設定することが重要です。

発起人

発起人とは、会社設立のために出資金を支払い、定款作成や法人登記などの設立手続きを行なった人や団体のことです。発起人の氏名(法人の場合は会社名)、住所を定款に明記します。

定款の絶対的記載事項の内容は変更できる

絶対的記載事項は定款の記載事項のなかでも特に重要なものですが、定款認証を受けて登記が完了した後でも変更できます。

一度、定款を作ってしまったら二度と変えられないということではありません。

株主総会の特別決議

定款を変更する場合は、株主総会の特別決議が必要です。取締役などの経営陣が勝手に定款を変えることはできません。

定款を変更する決議は株主総会の「特別決議」です。

株主総会の特別決議は以下の条件を満たしている場合に可決されます。

  • 議決権の過半数を持つ株主が出席する
  • 出席した株主の3分の2の賛成

株主総会の特別決議で可決されれば、定款の絶対的記載事項でも変更可能です。

登記が必要になるケースもある

定款を変更した場合には、内容によって登記変更が必要になります。絶対的記載事項を変更する場合は、必ず法務局で登記変更の手続きを行います。

相対的記載事項や任意的記載事項の変更登記が必要になるケースがあります。

定款と登記の違い

会社設立をするときに「定款」と「登記」という言葉がよく出てきますが、この両者の違いについて簡単に解説します。

定款とは「会社の基本ルール」を定めた文書

定款とは「会社の基本的なルール」です。なかでも絶対的記載事項は、会社の名前や所在地、何のために誰が作った会社なのかといった基本的な情報を明確にするものです。

定款は会社の最も重要な文書であり、会社の土台といってもいいでしょう。この定款に従って会社はさまざまな取引を行います。

株式会社の場合は定款認証という手続きを行なって「定款にお墨付き」をもらいますが、あくまでも定款は会社の内部文書です。

定款認証については以下の記事で詳しく説明しています。

登記は「会社情報を公にする」方法

定款が会社の内部文書であるのに対し、登記は情報を公に開示するための手続きです。

登記された会社の基本情報は、登記簿という公的な帳簿に記録されます。登記簿は会社にとっての戸籍のようなものです。

定款の絶対的記載事項の記載方法

定款の絶対的記載事項は、どのように記載すればいいのでしょうか。

決まったフォーマットはない

定款の絶対的記載事項は、項目と内容に関しては法律で決められていますが、フォーマットは自由です。

定款は自分で作成することも可能で、絶対的記載事項の部分についても自分で作成できます。作成手段は、WordやGoogleドキュメントなどの一般的な文書作成ツールで問題ありません。重要なのは、定款に絶対的記載事項が漏れなく正しく記載されているということで、フォーマットが重要なわけではありません。

定款の作成方法については以下の記事で詳しく解説しています。自分で定款を作りたいという人は参考にしてください。

定款の作成や絶対的記載事項の変更は依頼できる

定款の作成や、絶対的記載事項の変更などは専門家に依頼することもできます。会社設立はとても複雑で、定款作成(に含まれる絶対的記載事項の検討)はその膨大な作業の一部に過ぎません。

また、定款の絶対的記載事項の変更は慎重に行う必要があります。株主総会の議事録を作成する必要があるほか、株主総会の決議についてもルールがあるため内容を精査しなければなりません。

専門家に依頼することで、自分ですべての手続きを行う作業から解放されます。

司法書士に依頼できる

会社設立や定款変更に関する相談は、司法書士に依頼できます。司法書士は、会社設立や定款変更などをすべて代行できるため、定款の絶対的記載事項の変更に伴う、書類作成や登記手続きまですべて任せることができます。

会社を設立する際の手続きや書類の準備は極めて煩雑です。定款作成も含めて専門家に依頼することで、手間を省いてスムーズに会社設立を行えます。

定款の絶対的記載事項は必ず記載する重要事項

定款の絶対的記載事項はどのような会社の定款であっても必ず記載しなければなりません。これは会社法で定められたルールで、絶対的記載事項が書かれていない定款は無効となります。

定款は会社の基本的なルールを定めた重要な内部文書であり、株式会社を設立する際には認証を受けた定款が必要です。

定款の絶対的記載事項は、会社を設立した後でも株主総会の特別決議の可決で変更できます。

定款の作成や変更は自分でもできますが、登記手続きが必要になる場合もあるため複雑に感じられるかもしれません。そのようなときには司法書士に依頼して手続きを代行してもらうこともできます。

会社設立の手続き

会社設立の手続きは、設立内容の決定から始まり、事業目的のチェック、定款認証、出資金の払い込み、法務局への登記申請を行います。株式会社の設立、合同会社の設立立手続きの基本的な流れを知り、スームーズに手続を行えるにしましょう。

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会社設立内容の決定

会社設立で決めるべき項目について見ていきます。ここで決める内容は定款を作成する際に必要な事柄です。それぞれの項目についての留意点を確認して、会社設立後に問題の起きない内容にしておきましょう。

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会社設立の費用

会社設立にかかる費用は株式会社か合同会社かといった会社の種類によって変わってきます。会社設立にかかる実費と専門家に依頼した場合の費用(報酬)について見ていきます。

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