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2009年に誕生した仮想通貨は、決済手段としての地位を徐々に確立しつつあります。
世界的な取引の増加を背景として、2017年4月には日本においても法律上、支払い手段として位置づけられました。
一般的にはまだまだ馴染みの薄い仮想通貨ですが、贈与税や相続税に関しての取り扱いや評価方法などについて、紹介します。
仮想通貨とはインターネット上で交換や移転ができる財産的価値
仮想通貨は、暗号資産とも呼ばれ、インターネット上で交換や移転ができる財産的価値です。
仮想通貨は、デジタルデータとして存在する通貨ですが、目に見える実体を持っていません。
また、国家や国際機関など、公的組織が発行しているものではありません。
各国通貨であれば、各国政府や中央銀行が関与し、価値が保証されていますが、仮想通貨には価値の保証もありません。
仮想通貨は、元祖とも言われるビットコイン(BTC)とアルトコインに区別されます。
ビットコインは、2009年に初めて登場した仮想通貨で、アルトコインは、ビットコイン以外の仮想通貨の総称です。
アルトコインは、世界で2000種類以上あるとも言われ、次々と新しい通貨が誕生する一方、消滅する通貨もあります。
代表的なアルトコインとしては、リップルやライトコイン、イーサリウムなどがあります。
仮想通貨に該当するかどうかについては、2017年4月に改正された資金決済法において、その性質が定義されています。
決済法では、不特定の者に対して代金の支払いなどに使用できること、また同時に、日本円や米ドルなど各国政府の法定通貨と相互に交換できることが規定されています。
また、電子的に記録されていて移転できることや、法定通貨でもなく、法定通貨建ての資産でもないこととされています。
法定通貨建ての資産は、Suicaやnanacoのような事前入金式の電子マネーを指します。
仮想通貨は、銀行などを経由せずに直接やり取りできるため、急成長をしてきました。
しかしながら、法定通貨でもなく、裏付けになる資産もないことなどから、資産価値が大きく変動しています。
このため、仮想通貨の交換が適切に行われるように、決済法において、金融庁に登録された業者のみが売買できることと規定されています。
仮想通貨は、相続税や贈与税の課税対象
相続税の課税対象は、金銭に見積もることができる経済的価値のある財産とされています。
仮想通貨はどうかというと、決済法において、代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値、と規定されています。
つまり、仮想通貨は、金銭同様の財産的価値があるとされています。
このため、仮想通貨は相続税の課税対象とされています。
相続や遺贈、贈与によって、仮想通貨を取得した場合にも、相続税または贈与税が課されることになります。
年間110万円を超える贈与は課税対象
「仮想通貨をもらった」「家族に仮想通貨を贈与しようと思っている」という人もいるでしょう。
気になるのは「いくらから贈与税がかかるのか?」だと思います。
贈与は仮想通貨に限らず、年間110万円を超えると課税の対象になります。
年間110万円以内だと、暦年贈与といわれ課税の対象になりません。
つまり相続税がかかるかどうかは、年間110万円以内に収まっているかどうかがポイントになります。
さらに、仮想通貨の場合は相場に合わせて価格がドンドン変化していきます。
もし贈与されたときよりも、高い金額で仮想通貨を売却したら、その差額を利益として申告する必要があります。
仮想通貨の課税について計算が複雑になるため、不安な方は税理士への相談がおすすめです。
相続は基礎控除を超えると課税対象
仮想通貨が相続された場合にも、相続税がかかるケースがあります。
「仮想通貨を相続したけど、自分は相続税を払う必要があるのか知りたい」と思うかもしれません。
相続税がかかるかどうかは、相続財産が基礎控除に収まっているかどうかで判断します。
基礎控除とは税金がかからない金額のことで、相続だと「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。
例えば法定相続人が3人いる場合は、3000万円+1,800万円=4,800万円が基礎控除になります。
この場合には、相続金額が4800万円以内なら相続税がかかりません。
仮想通貨に限らず、相続では全体の相続財産を把握して、基礎控除を超えているかどうかで相続税を判断します。
仮想通貨の税金を払わないのは危険
仮想通貨の贈与・相続が発生して、贈与税・相続税がかかるケースもあります。
もし自分が仮想通貨を受け取った側だと「仮想通貨をもらっただけなのに、なぜ税金を払う必要があるのか?」と思うかもしれません。
さらに「税金を払いたくないから、仮想通貨をもらったことを隠しておこう」という人もいるでしょう。
結論からいうと、仮想通貨の贈与・相続を隠して、税金を払わないのは非常に危険です。
なぜなら税務署にバレた場合に、通常よりも高い金額の税金を払う可能性があるからです。
悪質な場合だと、税務署からペナルティとして追加の課税をされる危険性もあります。
特に相続だと税務署の調査が入る確率が高く、その調査もかなり細かいです。
無申告でペナルティを受けるぐらいなら、最初から正しい申告をして税金を払った方がいいでしょう。
仮想通貨を受取ることができないケース
仮想通貨は、日本円やドル通貨などの法定通貨のように紙幣や貨幣が発行されておらず、手に入れた仮想通貨をウォレットと呼ばれる財布に保管しています。
仮想通貨の取引は、仮想通貨交換業者の取引所に口座を開設して行います。
取引所は、仮想通貨の売買を行うインターネット上の場所です。
取引所は、仮想通貨の売買や購入を行う場所となりますが、ここには取引によって得た仮想通貨を保管する機能も付いています。
仮想通貨が取引所に預けられている場合は、相続が発生したことを連絡すれば入手できます。
一方、取引所に保管しておく場合のリスク回避や、手元に保管しておく利便性のために、自分専用のウォレットで保管しておくことができる仕組みになっています。
ウォレットには、パソコン上のデスクトップウォレット、インターネット上の取引所となるウェブウォレット、モバイル端末のモバイルウォレット、紙に暗号が印刷されたペーパーウォレットなどがあります。
ペーパーウォレットを除き、ウォレットで保管している仮想通貨は、パスワードで保護されます。
このため、仮想通貨の所有者が被相続人となった場合、相続人がパスワードを知らなければ、仮想通貨を引き出すことができません。
仮想通貨の評価
仮想通貨は、決まった評価方法がありません。
このため、評価額が未決定の固定資産などと同様、「評価方法の定めのない財産の評価」方法に沿って評価することになります。
この場合は、活発な取引市場が存在するかどうかで、評価方法が分かれます。
活発な取引かどうかは、仮想通貨取引所あるいは販売所において、価格情報が継続的に提供されるために十分な数量と回数の取引が行われているかどうかで、判断することになります。
つまり、継続的に価格情報が得られれば、仮想通貨についての相場が成立し、客観的な交換価値が明らかになります。
このため、外国通貨と同じように、仮想通貨交換業者が公表する取引価格から、課税対象となる時期の価格を使って評価します。
仮想通貨交換業者が公表する取引価格は、相続人からの要請によって発行される、仮想通貨交換業者の残高証明書を利用することができます。
なお、仮想通貨の交換業者から購入価格と売却価格が公表されている場合、相続または贈与を受けた仮想通貨は、仮想通貨の交換業者への売却価格で評価することができます。
また、複数の仮想通貨交換業者で取引を行っていた場合には、相続人が仮想通貨交換業者を選択することができます。
評価の価格は、業者が公表する課税時期の取引価格で評価することができます。
これに対して、活発な市場が存在しない仮想通貨の場合には、一定の相場が成立せず、客観的な交換価値が存在しません。
このため、このようなケースでは、仮想通貨の内容や性質、取引実態などにより個別に評価することになります
この場合は、売買実例価額、精通者意見価格などを参考に評価する方法などが考えられます。
まとめ
取引が増加してきた仮想通貨について、国税庁から2018年11月に税務上の取り扱いが公表されました。
これに伴い、それまでは複雑な手続きが課されていた仮想通貨の確定申告や評価の方法が、簡素化されることになりました。
仮想通貨を相続した場合や贈与を受けた場合は、相続税や贈与税の対象となります。
仮想通貨とは何かや、どのように取引や保管されているか、どのように評価するかを知れば、遺産分割協議など相続手続きもし易くなると言えます。
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