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最終更新日:2021/1/29

【ひな形あり】相続分譲渡証明書の作成方法

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
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この記事でわかること

  • 相続分の譲渡の概要がわかる
  • 相続分の譲渡のメリットがわかる
  • 相続分の譲渡の注意点がわかる
  • 相続分譲渡証明書のひな形が手に入る

被相続人が亡くなって財産の相続が始まった場合、財産を相続する相続人同士で遺産をどのように分割するかを協議することになります。

この際、相続人同士でお互いの主張に納得がいかない場合は、遺産分割協議がなかなか解決せずに争いになることがあります。

物理的にも精神的にも負担にあることで、協議から早く解放されたいと思う場合もあります。

そんなときに便利なのが相続分の譲渡です。

制度を利用すると、他の相続人などに遺産についての自分の持分を譲渡することができ、相続の手続から解放されます。

相続分の譲渡をするためには証明書を作成することも重要です。

そこで今回は、相続分の譲渡の仕組みや証明書のひな形などをご紹介します。

相続分の譲渡とは

相続分の譲渡の概要やメリット、運用する場合の注意点などをご紹介します。

相続分の譲渡の概要

相続分の譲渡とは、自分が相続するはずの相続財産の持分を他者に譲渡することです。

相続した財産を譲るのではなく、財産を相続するという相続人の地位自体を他者に譲るのが特徴です。

たとえば、自分が相続するはずの財産が1,000万円の土地だとすると、土地をいったん相続した後に他者に譲るのではなく、当該土地を相続することができる、相続人としての地位を譲渡します。

また、相続財産を個別に譲るのではなく、相続人としての地位を包括的に譲渡するため、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も譲ることになります。

たとえば、自分が相続するはずの財産が300万円の預金と100万円の借金の場合、相続分について全部譲渡をすると、30万円の預金というプラス財産だけでなく、マイナスの財産である100万円の借金も相手に譲ります。

相続分の譲渡の特徴

相続分の譲渡は他の相続人に自分の地位を譲るだけでなく、相続人ではない第三者にも譲ることができます。

相続分の譲渡を行うために他の相続人の同意を得る必要はなく、単独で行うことができます。

相続分の譲渡は、相続人の地位を譲る譲渡人と、地位を譲り受ける譲受人の双方の同意があれば成立します。

相続分の譲渡は有償で行うことができますが、無償で譲ることもできます。

相続分の譲渡を有償で行う例は、600万円の不動産を相続できる地位を譲渡するかわりに、700万円の現金をもらうなどです。

相続分の譲渡のメリット

相続分の譲渡をするメリットは、ときに煩雑になる場合がある相続の手続から早期に解放されることです。

被相続人(相続財産を残した人)が亡くなって相続が発生した場合、相続財産を相続人同士で分割するためには遺産分割協議という話し合いが必要になります。

遺産分割協議が成立するためには、原則として相続人全員が同意する必要があります。

財産の分割方法に争いがなければよいのですが、誰が何を相続するかについて争いがある場合などは、分割を終えるまでに長い期間が必要になる場合があります。

相続分の譲渡をすることで相続人としての地位を他者に譲ってしまえば、時間や手間がかかる相続の手続の負担から解放されます。

有償で譲渡をすれば経済的な利益を得られる

相続分の譲渡をするかわりに相手から相応の金銭などを受け取れば、実質的に相続財産を得たのと同じような利益を得ながら手続から早期に離脱することも可能です。

たとえば、他の相続人が遺産分割の方法に納得していないために協議がまとまらないケースにおいて、自分が相続する分を他の相続人に譲り、対価として相応の金銭を支払ってもらうなどです。

相続分の譲渡の注意点

相続分の譲渡は、他の相続人だけでなく第三者にも自分の持分を譲ることができるのが特徴です。

しかし、自分としてはよく知っている人物に譲渡したつもりでも、他の相続人にとっては見ず知らずの他人ということも少なくありません。

それまで相続に全く関係のなかった第三者に相続分の譲渡をした場合、遺産分割協議などで他の相続人との間にトラブルが生じる場合もあります。

他人が加わることで本来まとまるはずだった分割協議が紛糾する可能性もあるので、相続分の譲渡を行う前に、誰に譲渡するかは慎重に考える必要があります。

また、誰に譲渡するかに関わらず、相続分の譲渡は遺産分割協議がまとまる前に行うことが必要です。

遺産分割協議がまとまった後は、相続分の譲渡はできないので注意しましょう。

相続分の取戻権とは

相続人が他人に相続分の譲渡を行った場合など、相続人同士での遺産分割協議がうまく進行しないことがあります。

そのような場合に備えて、民法では相続分の取戻権という制度が規定されています。

相続分の取戻権とは、相続人から相続分の譲渡を受けた第三者から、譲り受けた権利を取り戻すことができる権利です。

取戻権が行使されると譲受人は持分に関する権利を失いますが、そのぶん相応の対価が支払われる必要があります。

相続分の取戻権の行使が認められるのは、第三者に対して持分が譲渡された場合に限られます。

他の相続人に対して譲渡が行われた場合は取戻権は認められません。

取戻権は権利を行使できる期間に制限があります。

第三者に対して相続分の譲渡が行われた時から、1ヶ月以内に取戻権を行使する必要があります。

権利を得たことを信じた第三者を保護するためのものです。

相続分譲渡証明書(相続分譲渡証書)の作成方法とひな形

相続分譲渡証明書とは、相続分の譲渡が行われたことを証明するための書類です。

譲渡があったかどうかでトラブルにならないために、証明書を作成して証拠を残しておくことが大切です。

証明書には必ず実印を押しておきましょう。

また、相続分の譲渡の対象となった不動産を登記する場合には、実印を押した相続分譲渡証明書と実印についての印鑑証明書が必要になる場合があるので、その点からも相続分譲渡証明書の作成は重要です。

相続分譲渡証明書の作成方法としては、被相続人の氏名や亡くなった年月日、譲渡人と譲受人の氏名や住所などが重要です。

相続分譲渡証明書のひな形として以下のものがあります。

まとめ

相続人同士の争いが激化している場合など、遺産分割協議から早く解放されたいときは相続分の譲渡が便利です。

相続財産についての自分の持分を他者に譲渡することで、相続の手続の負担から早めに逃れることができます。

相続分の譲渡を証明するために、相続分譲渡証明書を作成しておくのも重要です。

ご紹介しました証明書のひな形を活用しつつ、効率よく手続を進めていただければと存じます。

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