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最終更新日:2024/2/21

相続税の税務調査は8割の人が追徴課税!修正申告と不服申立て方法を解説

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
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相続税の申告・納付を行った場合でも、その内容に間違いなどがあることが判明した場合には、追徴課税というペナルティを受ける可能性があります。

そこで、本稿では、現実に、税務調査などによって追徴課税を受ける場合がどの程度あるのか、その実態を確認すると共に、修正申告を行う場合の手続き、追徴課税などの処分に納得がいかない場合にどのような対応が可能かについて見ていきたいと思います。

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追徴課税

相続税の申告について、納付期限までに相続税を申告・納付しなかった場合や、申告・納付を行ったものの、その内容が不適切であり、過少申告であった場合などには、ペナルティとして追徴課税の処分を受けることがあります。

そしていわゆる「追徴課税」と言われるものとしては、以下の4種類があります。

過少申告加算税

相続税を申告・納付したが、それが本来納めるべき相続税の額よりも過小だった場合に課されます。

不足額のうち、実際に申告した金額または50万円のいずれか多い金額までの部分については10%、それを超える部分については15%の税率による加算税が課されます。

無申告加算税

相続税の納付期限である相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に、相続税を申告・納付しなかった場合に課される税金です。

本来納税すべき額について50万円までは15%、50万円を超える部分については20%の税率による加算税が課されます。

重加算税

重加算税とは、過少申告や無申告が悪質な場合に課される加算税で、通常の過少申告加算税や、無申告加算税よりも税率が大幅に高くなっています。

具体的には過少申告の場合には35%、無申告の場合には40%の税率による加算税が課されることになります。

延滞税

修正申告等をして納期限後に税金を納付する場合には、ペナルティとして延滞税が課されることになります。

税率は、納付期限の翌日から2ヶ月を経過するまでは年7.3%(ただし、令和元年12月31日までは2.6%)、それ以降は14.6%(ただし、令和元年12月31日までの期間は8.9%)となります。

追徴課税処分の実態

平成30年12月に国税庁から発表された統計によると、平成29年度は、平成27年に発生した相続案件を中心として12,576件の税務調査(実地調査)が実施されました。

このうち、申告漏れ等の非違があった件数は10,521件で、調査した件数の83.6%で非違が見つかったことになります。

それによる追徴課税額は783億円となっています。

また、重加算税が課された件数は1,504件となっていて、重加算税が賦課された割合は、非違が見つかった件数のうち14.3%に上ります。

非違が指摘された場合の対応

ここからは、税務調査による指摘に納得がいかない場合の手続き方法について、流れに沿って解説します。

税務調査

更正処分

意義申立

審査請求

訴訟

修正申告

税務調査において過少申告などが指摘された場合、通常はその指摘に従って修正申告を行うことになります。

その場合の手続きの流れは以下の通りとなります。

①追加で納付する税金額の確認

②修正申告用の納付書を作成し、不足分の本税を納付します。

③修正申告書を作成し、相続人全員が押印して、税務署に提出します。

この際、本税の不足分を納付した後に、修正申告書を提出する必要があります

この修正申告を提出した日が納付期限となります。

この順番を逆にして、修正申告を先に提出してしまうと、本税の納付が納付期限後となってしまい、さらに余計なペナルティが課される可能性がありますので注意が必要です。

④税務署より加算税、延滞税などを支払うようにとの通知が送付されますので、それにしたがって加算税や延滞税を納めることになります。

延滞税は、修正申告を提出した日から発生します。

また、その支払が修正申告提出日の翌日から2ヶ月を経過してしまうと、延滞税の税率が上昇するため、こちらも注意が必要です。

修正申告をしない場合

納税者が自主的に修正申告を行わない場合には、税務署が更正処分を行います。

その結果、税務署から税金の支払いを命じる通知が送付されてくることになります。

税務調査による指摘に納得がいかない場合

税務調査の結果に納得がいかないからといってこれを放置しておくと税務署による更正処分がなされてしまいます。

そこで、通常は処分内容に納得がいかない場合でも、いったんそれに従って追加の納税を行ってその上で異議申立を行います。

この場合、後日、この異議申立に理由があると認められれば、いったん支払った税金を取り戻すことが出来ます。

一方、この時点で税金を納めず、最終的に争って負けた場合には、それまでの期間にわたる延滞税を含めて支払わなければならず、争う期間が長期にわたれば渡るほど、延滞税の額が多額となってしまう危険があります。

したがって、納得がいかなかったとしても、いったんは納付をしておいて、その上で争う方法をとることが妥当ということになります。

異議申立の手続きは以下の通りとなります。

①更正処分を受けた日の翌日から2ヶ月以内に、処分を行った税務署長に対して、異議申立書を提出する必要があります。

②この異議申立が却下された場合(通常、却下されます)、異議申立却下の通知があった日の翌日から1ヶ月以内に国税不服審判所に対して審査請求書を提出して、審査請求を行うことになります。

③国税不服審判所への審査請求も棄却された場合には、最終的に裁判で争うことになります。

この場合、国税不服審判所の裁決があったことを知った日の翌日から6ヶ月以内に裁判所に対して訴訟を提起することが出来ます。

まとめ

以上、税務調査後における追徴課税の取り扱い、および、その実態、さらに、追徴課税等の処分に対して納得がいかない場合に取り得る手続きの流れについて整理してきました。

相続税についての争いについては、一般的にいって、納税者に分が悪いという事実はあります。

しかし、どうしても納得いかない場合には、相応の労力や弁護士費用等も係りますが、しっかり争ってみるという対応方法もありかもしれません。

ただ、いずれの場合でも、相応の覚悟が必要になるということは認識しておく必要があるでしょう。

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