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最終更新日:2023/6/30

遺族厚生年金が非課税の理由とは?節約・社会保険を安くする方法や確定申告が必要なケースも解説

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
YouTube:相続専門税理士チャンネル【ベンチャーサポート相続税理士法人】

遺族厚生年金が非課税の理由とは?遺族厚生年金が非課税である理由、遺族厚生年金を受給していても節税できるケース、遺族厚生年金の受給者も確定申告が必要なケース

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この記事でわかること

  • 遺族厚生年金に対してまったく税金がかからないことがわかる
  • 遺族厚生年金を受給していても節税できると知ることができる
  • 遺族厚生年金の受給者も確定申告が必要な場合があることがわかる

老齢厚生年金の受給者は、税金を納めなければなりません。

しかし、遺族厚生年金については税務上非課税とされ、課税対象とはされていません。

つまり、所得税、復興特別所得税、住民税、相続税など、すべての税金がまったくかからないということです。

では、どうして遺族厚生年金は非課税とされているのでしょうか。

また、遺族厚生年金を受給している人は税金がかからないとは言っても、節税とはまったく無関係ではありません。

遺族厚生年金を受給していても節税できる場合や、確定申告が必要になる場合について、確認しておきましょう。

遺族厚生年金が非課税の理由とは

最初に確認しておきたいのは、なぜ遺族厚生年金は税金が非課税とされているのかです。

老齢厚生年金を受給すれば税金が発生しますが、遺族厚生年金が非課税となるのはなぜなのでしょうか。

遺族厚生年金が非課税となるのは、厚生年金保険法という法律の規定を根拠としています。

厚生年金保険法第41条は「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない」としています。

そして、この続きとして「ただし、老齢厚生年金については、この限りではない」としています。

つまり、国から給付された年金をはじめとする給付金は、原則課税されないということを定めているのです。

その一方で、老齢厚生年金については、課税の対象になることを明らかにしています。

この条文からも分かるように、どれだけ大きな金額であっても、遺族厚生年金は非課税となることに間違いはありません。

遺族厚生年金を受給する際に、遺族基礎年金も同時に支給される場合があります。

この遺族基礎年金についても、国民年金法により非課税になることが定められています。

遺族厚生年金の金額は、本人が老齢厚生年金として受給していた金額の4分の3程度の金額になります。

このように、遺族厚生年金は非課税ですが、そもそも老齢厚生年金を丸々受け取ることはできませんので、一概に「非課税なのは不公平」とはいえない仕組みになっていると言えます。

遺族厚生年金の節税方法


遺族厚生年金を受給しても税金は非課税とされているのであれば、節税をする方法はないと考える人もいるかもしれません。

確かに、遺族厚生年金を受け取っている人は、それ以上節税をすることはできません。

しかし、家族も含めて考えると、節税ができる場合があるのです。

遺族厚生年金の受給者を扶養家族にする

遺族厚生年金を受け取っている人の中には、1年で数百万円もの年金を受け取っていることがあります。

これだけ多くの金額を受け取っているのであれば、他の家族の扶養家族となることはできないと考える人もいるのではないでしょうか。

この時、扶養控除の適用を受けることができるかどうかの要件について、改めて考える必要があります。

他の家族の扶養に入って扶養控除の適用を受けるための要件は、1年間の所得金額が48万円以下とされています。

ところが、遺族厚生年金については、どれだけ受け取っても税務上非課税とされています。

つまり、どれだけ遺族厚生年金を受け取っても所得は発生しないのです。

そのため、遺族厚生年金を受給しているかどうかは、扶養控除の適用を受ける際の判定には影響しません。

つまり仮に、多額の遺族厚生年金を受給していても、他の家族の扶養家族になることは可能なのです。

扶養控除の額と税額への影響

遺族厚生年金の受給者が扶養家族になることで、所得税は38万円、住民税は33万円の扶養控除が適用されます。

また、その受給者が70歳以上の場合、扶養控除の金額は所得税が48万円、住民税が38万円に増額されます。

さらに、その人と同居している場合には、扶養控除の額は所得税が58万円、住民税が45万円となるのです。

たとえば、年間所得金額が500万円の人について、扶養家族が1人増えるとどれくらい税額が変わるのか計算してみましょう。

70歳未満の家族を扶養に入れると、所得税が約77,600円、住民税が33,000円少なくなります。

70歳以上の扶養家族の場合、所得税は約98,000円、住民税は38,000円の節税となります。

さらに70歳以上の扶養家族と同居している場合は、所得税が約118,400円、住民税は45,000円少なくなります。

結果的に、扶養家族に入れるか入れないかで、16万円以上も差が出る場合もあるのです。

扶養控除の適用を受けるためには、納税者側から年末調整や確定申告で扶養に入れることを申告しなければなりません。

自動的に税金の計算上考慮されるわけではないため、必ず申告の際に漏れのないことを確認しておきましょう。

扶養に入ることで社会保険料も節約できる

遺族年金の受給者でも、社会保険上の扶養に入ることができる場合があります。

社会保険の扶養に入ることができれば、自分で国民健康保険料の納付を行う必要はありません。

60歳~75歳の場合、年収が180万円以下で、同居している被保険者本人の年収の2分の1未満であれば、扶養に入ることができます。

また、同居していない場合には、年収180万円以下で、被保険者からの仕送り額より年収が少ない場合に、扶養に入ることができます。

なお、60歳未満の場合には、要件となる年収の額が180万円以下ではなく、130万円未満となります。

この要件は、遺族年金があってもなくても変わりはありません。

遺族年金を受給していても、金額によって社会保険の扶養に入ることができる場合があることに注意しましょう。

遺族厚生年金の受給者でも確定申告が必要なケース


収入が遺族厚生年金だけの人は、どれだけ金額が大きくても非課税であるため、確定申告が必要となることはありません。

しかし、他に収入がある場合には、遺族厚生年金を受給している人でも確定申告が必要になるケースがあります。

ここでは、確定申告しなければならないケースについて、確認しておきましょう。

給与以外の所得が年間48万円以上あった場合

遺族厚生年金以外に収入がある場合は注意が必要です。

特に、給与以外の所得が48万円以上発生した場合、所得金額について確定申告を行い、発生した税額を納税しなければなりません。

給与以外の所得としては、たとえば自分で事業をして発生した事業所得や、家賃収入からなる不動産所得などがあります。

また、本人が亡くなったときに未支給であった年金を受け取った場合や保険金を受け取った時に発生する一時所得、保険会社の年金を受け取る際に発生する雑所得があるかもしれません。

遺族年金を受け取るようになった最初の年は、それまでになかった所得が発生するケースもあります。

事業を引き継いで発生した事業所得、不動産を相続して発生した不動産所得などがある場合は、特に注意しましょう。

給与所得があり年末調整を受けなかった場合

一般的に、サラリーマンやパート・アルバイトとして給料を受け取る人は、勤務先で年末調整を受けることとなるため、確定申告を行う必要はありません。

しかし、このような給与所得者でも、状況によっては確定申告が必要となるケースがあります。

たとえば、年の途中で勤務先を退職し年末まで就職しなかった場合、年末調整を行っていないこととなります。

このような場合、1年間の税額の最終的な計算を行っていないこととなるため、確定申告をしなければなりません。

また、2か所以上の勤務先から同時に給料を受け取っていたような場合も、1年間のトータルの税額を計算していません。

そのため、確定申告をしなければならないのです。

このようなケースは、遺族年金を受け取っていなかったとしても、確定申告が必要になるものばかりです。

遺族年金を受け取っている場合でも、確定申告が必要となるケースがあるため、注意してください。

確定申告しなかったらどうなるのか?

期日までに確定申告をしなかった場合ペナルティが発生します。

ペナルティは無申告加算税と延滞税の2つです。

無申告加算税とは、確定申告書を期日までに提出しなかった場合に、本来納付すべき税金に加えて課される税金です。

  • 税務調査後(納付額50万円まで):15%
  • 税務調査後(納付額50万円以上):20%
  • 税務調査前:5%

税務調査前に申告して支払う場合は税率が低くなりますが、さらに申告期限から1カ月以内に自主的に納付した場合は無申告加算税は課されません。

延滞税とは、期日までに報告しなかった税金に対してかかる罰則的な税金です。

納期限の翌日から2カ月を経過する日までは原則年7.3%、2カ月を経過した日以後は原則年14.6%です。

なお延滞税の計算は国が計算するため、自身で計算する必要はありません。

確定申告で困ったら税理士に相談しよう

自身の収入に加えて家族を扶養している場合は、控除が適用できるのか調べる手間が掛かり間違えやすいポイントです。

確定申告がわからなければ、税理士に相談してみましょう。

確定申告の必要があるのか教えてくれる

企業に従事している場合、源泉徴収により確定申告が原則不要ですが、別で収入を得ている場合など会社員であっても確定申告が必要なことがあります。

税理士に相談をすれば、申告者の状況に応じて確定申告の有無の判断から税金の計算も正しく行ってもらえます。

また企業に従事している方でも、確定申告を行うことで控除を受けられることもありますので、余分な税金を支払わないように困ったことがあれば相談してみましょう。

確定申告の手続きを任せられる

確定申告に慣れていなければ、どこに何を記入すればよいかわからず断念する方も多くいます。

税理士に依頼すれば、確定申告の手続きも委託可能です。

税理士に代行してもらえば、本来確定申告に使うべき時間を節約でき趣味や仕事など別の時間に使えます。

確定申告がよくわかっていない方は、税理士に任せるのも1つの手でしょう。

まずは初回の無料相談を利用しよう

税理士に確定申告した場合、費用が気になるところですよね。

費用が気になる人は初回無料を使って、税理士のサポートが必要かどうか判断しましょう。

相続サポートセンターでは、初回の相談を無料で受け付けています。

自分の状況でどんな控除が受けられるのか、必要な書類はあるか?などを確認したうえで、必要があれば依頼をするかどうかを決められます。

無料の範囲内ならキャンセルしても費用は発生しないので、気軽に無料相談を利用ください。

まとめ

遺族厚生年金を受給している人の多くは、他に大きな所得が発生していないというケースが多いです。

このような場合、税金がかからないばかりでなく、他の家族の扶養に入ることができます

家族が負担する税金についても節税を意識して、少しでも税金を少なくするようにしましょう。

一方、遺族厚生年金以外に所得があると、確定申告義務が発生する場合もあります。

このような場合は、申告や納税を忘れないよう気を付けましょう。

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