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最終更新日:2022/11/17

教育資金贈与の特例が2年延長へ。ただ要件は厳しく

古尾谷 裕昭

この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

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書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
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教育資金贈与の特例が2年延長へ。ただ要件は厳しく

この記事でわかること

  • 教育資金贈与制度の概要について理解できる
  • 2021年(令和3年)4月1日以降の改正ポイントについて、しっかり把握できる
  • 教育資金贈与がお勧めなのはどんな人かが分かる

令和3年度の税制改正によって、教育資金贈与の特例が大幅に改正されます。

改正後の要件が厳しくなったため、これまでのように教育資金贈与制度を活用すると、将来、思いがけない税金を支払うことになるかもしれません。

この記事では、教育資金贈与制度の概要について説明するとともに、今回の改正の重要ポイントを、改正前と比較しながらわかりやすく解説しています。

また、改正後の教育資金贈与制度がどんな人にお勧めかについても書いています。

この記事を読むことで、教育資金贈与制度の活用方法と注意点について、しっかり理解することができるでしょう。

教育資金贈与とは?

教育資金贈与とは、直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母など)から、30歳未満の直系卑属(子・孫・ひ孫など)へ教育資金を贈与した場合、受贈者1人につき、1,500万円まで(習い事などは最大500万円)贈与税が非課税となる制度のことです。

2020年3月末期限を2年延長へ

教育資金贈与制度は、2021年(令和3年)3月31日に適用期限を迎えることになっていましたが、令和3年度税制改正大綱で適用期間が2年延長されることになりました。

適用期間は延長されましたが、節税目的で利用されることを是正するため、適用要件は厳しくなっています。

改正内容

改正内容に関するポイントを、以下で解説していきます。

今回の改正によって、相続税の対象範囲が広がり、相続税額は上乗せされることになりました。

これらの点を踏まえて改正点を把握していくと、理解が深まるでしょう。

贈与者死亡時における相続税の課税対象拡大

今回の改正の最大のポイントは、この制度を利用して贈与された資金のうち、相続税の課税対象に含まれる範囲が拡大したことにあります。

教育資金贈与は分割ではなく、一括で行われます。

そのため、贈与者が死亡した時点で、贈与された多額の資金を使い切っていないことがあります。

この残っている資金が、相続税の課税対象となります。

改正前は、贈与者が死亡した時点から3年以内に贈与された資金に係る残額についてのみ、相続税の対象となっていました。

しかし、改正後は、全ての贈与に係る残額が相続税の対象となります。

たとえば、祖父が孫に対して、教育資金とし1,500万円を一括贈与し、その5年後に死亡したとします。

改正前は、1,500万円のうち教育資金として500万円しか使っていない場合でも、残りの1,000万円は相続税の課税対象となりませんでした。

しかし、改正後は、上記のケースにおいて、教育資金として使わなかった1,000万円は、そのまま相続税の課税対象となることになります。

今回の改正により、教育資金贈与の特例を、相続税の節税目的として利用することは難しくなったといえるでしょう。

受贈者が孫・ひ孫の場合、相続税額の2割加算の適用

また、今回の改正で、教育資金贈与制度にも、相続税額の2割加算が適用されることになりました。

相続税法により、相続人以外の人(孫やひ孫など)への遺贈は、相続税額が2割加算されると定められています。

しかし、改正前は、贈与者が死亡した時点から3年以内の贈与に係る残額について相続税の課税対象となったとしても、相続税の2割加算が適用されることはありませんでした。

ところが、今回の改正により、相続税の対象となる教育資金贈与の残額については、2割加算したうえで相続税が計算されることになります。

たとえば、祖父が孫に対して、教育資金とし1,500万円を一括贈与し、その2年後に死亡し、500万円が残額として残ったとします。

改正前は、残額500万円は相続税加算の対象とはなりましたが、2割加算は適用されませんでした。

しかし、改正後は、残額500万円が相続税加算の対象となる上に、2割加算の適用もされ、改正前に比べて多額の税金を納める必要が生じます。

教育資金の範囲が一部拡大

他に、今回の改正で、認可外保育施設であっても、都道府県知事等から一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けたものに支払われる保育料等は、教育資金の範囲に含まれることになりました。

相続税加算の対象にはならない人のパターン

このように、令和3年度税制改正大綱に基づいて相続税加算の対象となる範囲が拡大しましたが、受贈者が以下のケースに当てはまる場合は、相続税加算の対象にはなりません。

23歳未満である場合

受贈者が23歳未満である場合は対象になりません。

学校等に在学している場合

受贈者が学校等(たとえば大学)に通っている時点で贈与者が死亡した場合が当てはまります。

教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

受贈者が教育訓練(たとえば職業訓練)を受講している時点で贈与者が死亡した場合が当てはまります。

以上が、相続税加算の対象にはならないケースであり、この部分は改正前と変更ありません。

相続税加算の対象となる範囲をしっかり把握しておくことは、この制度を利用する上で大切なポイントとなっていきます。

教育資金贈与をお勧めできる人

今回の改正により適用要件が厳しくなりましたが、教育資金贈与をお勧めできる人の対象に何か変化はあったのでしょうか?

改正前と改正後を比較して考えていきましょう。

改正前に教育資金贈与をお勧めできた人

改正前は、贈与者が死亡した時点から3年以内の贈与に係る残額についてのみ相続税の対象となるという規定を利用し、受贈者が以下の条件のどれかに当てはまる時は、教育資金贈与をお勧めすることができました。

(1)19歳以下の人、(2)30歳未満で3年以上は学校に通う予定の人、(3)30歳未満で3年以上は職業訓練に通う予定の人。

上記の条件に当てはまるならば、仮に教育資金を使い切ることができなかった場合でも、残額が相続税加算の対象とはなりません。

結果として、非課税で残額の贈与を受けることができるようになり、制度の利用価値は十分ありました。

改正後に教育資金贈与をお勧めできる人

しかし、今回の改正により、全ての贈与に係る残額が相続税の対象となったため、これまで教育資金贈与を勧められた人に、そのままこの制度を勧めることは難しくなりました。

改正後には、以下の条件に当てはまる場合には、教育資金贈与をお勧めできると考えられます。

まず、受贈者が低年齢のうちに贈与可能な人です。

贈与者が死亡した時点で受贈者が23歳未満であれば、贈与資金の残高は相続税加算の対象外となります。

受贈者が低年齢のうちに贈与しておくなら、贈与資金の残高が相続税加算の対象となるリスクを軽減することができます。

また、数年以内に、贈与された資金を使い切るような多額の出費が予定されている場合にも、教育資金贈与をお勧めすることができます。

短期間で贈与資金を使い切ることができるなら、贈与者死亡時に多額の資金が残るリスクを減らすことが可能だと考えられるからです。

改正の適用時期

このように、制度の活用自体にも大きなインパクトを与える今回の改正ですが、適用時期は、2021年(令和3年)4月1日からになります。

この日以降、贈与等により取得する金銭等については、今回の改正が適用となります。

一方、2021年(令和3年)3月31日までに行った贈与等については、改正の適用対象外となるため、駆け込みでの利用が増えることも予想されます。

教育資金贈与の特例を検討している人が知っておくべきこと

教育資金贈与の特例は、うまく使えば大きな節税効果が期待できます。

しかしデメリットもあるため、贈与を受ける側の年齢・金額などを考えたうえで、教育資金贈与をするか決めなければいけません。

そこでここからは、教育資金贈与の特例を検討している人が知っておくべきことを紹介します。

都度贈与ならそもそも贈与税がかからない

教育資金の贈与には「都度贈与」という仕組みがあります。

都度贈与とは、教育費が必要になったタイミングで、贈与することです。

例えば孫が高校進学するときに、祖父母が進学費用を贈与するのは、都度贈与になります。

都度贈与は、実際にかかる費用を大きく超えていなければ、基本的に贈与税がかかりません。

そのため「教育費を渡したいけど、贈与税は払いたくないから、特例を検討している」という人でも、都度贈与が認められれば非課税になる可能性があります。

都度贈与が認められるためには、使い道・金額を証明する必要があるため、必ず領収書を取っておきましょう。

使え切れなかった教育資金は贈与税がかかる

教育資金贈与の特例を使えば、最大1,500万円まで非課税で贈与できます。

贈与を受けた側の年齢が30歳になると、特例自体が使えなくなります。

そのため、教育資金贈与の特例期限が過ぎてしまったけど、教育資金が使い切れないケースもあります。

使い切れなかった教育資金に対しては、贈与税が課せられます。

例えば30歳になったときに、教育資金が300万円残っていれば、19万円の贈与税がかかります。

また教育資金の特例を使って数年経ったときに、贈与した側が死亡することもあります。

贈与した側が死亡すると、教育資金贈与の特例は終わり、その時点で残った教育資金が相続財産としてカウントされます。

さらに教育資金贈与の特例を使った場合に、残った教育資金は通常よりも20%高い税率で相続税がかかります。

このように教育資金が残ったり、贈与した人が死亡したりすると、贈与税・相続税を払うことになります。

教育費用の専用口座を開設する

教育資金贈与の特例を使うには、金融機関で専用口座を開設しなければいけません。

専用口座を開設したら、口座の管理は金融機関が行います。

贈与を受けた教育資金であったとしても、お金を引き出すには、領収書を提出して教育費を認められる必要があります。

贈与する人は、金融資産にある程度の余裕がないと、困ったときにすぐ引き出せません。

「教育資金として1,500万円贈与したけど、お金に困ったから100万円だけ自分用に戻したい」という柔軟な対応はしてくれません。

教育資金贈与の特例を使うなら、贈与する人は長期的なライフプランを考えて、金銭的に問題がないか確認しておきましょう。

まとめ

令和3年度税制改正大綱により、教育資金贈与の特例は大きく改正されました。

適用期間が2年延長になり、引き続きこの制度を利用することができる一方で、相続税加算の対象範囲が広がりました。

今後、この制度を利用するためには、(1)贈与者の財産を事前に十分把握しておくことと、(2)贈与された資金をどのタイミングでどれ位使うのかを事前にしっかりシュミレーションしておくことが必要となってきます。

相続税額の計算も必要になってくるため、今回の改正により、教育資金贈与制度は、専門家の力を借りながら利用すべき制度となってきたといえるでしょう。

特に、2021年(令和3年)4月1日以降に教育資金贈与制度を利用することを検討されている方は、一度、税理士や金融機関に相談の上で、活用方法を検討していきましょう。

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