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最終更新日:2022/3/10

相続税の按分割合とは?節税に影響する端数処理の方法

古尾谷 裕昭

この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
YouTube:相続専門税理士チャンネル【ベンチャーサポート相続税理士法人】

相続税の按分割合とは?節税に影響する端数処理の方法

この記事でわかること

  • 相続税の按分割合の考え方がわかる
  • 相続税の計算方法を理解でき自分で計算できるようになる
  • 按分割合を調整する場面がわかる
  • 按分割合を調整した場合の節税効果を理解できる
  • 按分割合を考える際の注意点がわかる

相続人同士の話し合いで遺産の分け方を決めると、それぞれの取得割合に応じて相続税も変わります。

税額軽減の特例を使える相続人は有利ですが、特例を使えない、または加算要素のある相続人は取得割合を調整する必要があるでしょう。

各相続人の取得割合を「按分割合」といい、それぞれの負担額をみながら調整するため、ひとまず相続税がいくらになるか計算しなければなりません。

また実際の按分割合はきちんと割り切れないケースが多く、小数点以下の端数についても扱い方を知っておく必要があります。

端数といっても取得金額によっては高額になるため、相続税が数十万~百万円単位で変わる場合もあります。

遺産の分け方や端数の扱いは節税対策にも繋がるので、今回は相続税の按分割合や割り切れない場合の端数についてわかりやすく解説します。

相続税の按分割合とは

亡くなった方の遺産を分け合う際には、分割の目安となるよう法定相続分が定められています。

遺産総額の1/2や2/3など相続人の状況によって割合は決まっていますが、現実には各人が均等に分け合うなど、法定相続分どおりにならないケースが多いようです。

実際の相続割合を「按分割合」といい、以下のように計算します。

按分割合:各相続人の課税額÷課税遺産総額

按分割合は相続税に影響しますが、被相続人の配偶者や未成年には税額軽減措置があるため、按分割合が大きくても相続税を低く(または非課税)できます。

しかし、前述したように特例などを使えない相続人は税負担も大きくなるため、相続税対策として按分割合も慎重に決める必要があります。

相続税の計算方法

複雑そうなイメージのある相続税ですが、一つ一つの計算はそれほど難しくないため、手順に従えば誰でも相続税額を算出できます。

相続税の計算は大きく5段階に分かれているので、わかりやすいように一例を挙げて計算してみます。

按分割合を考慮する部分もわかるので、遺産分割について考える際の参考にしてください。

正味の遺産総額を計算する

相続税を計算する場合、まずプラスの財産からマイナスの財産や葬儀費用を差し引きし、正味の遺産総額を計算します。

プラスの財産には預貯金や不動産などがあり、相続開始前3年以内の贈与額や、相続時精算課税制度の適用財産も加算します。

マイナスの財産には住宅ローンなどがあり、葬儀費用とともにプラスの財産から差し引きします。

では以下のような例で正味の遺産総額を計算してみましょう。

  • (1)預貯金等のプラス財産:1億2,000万円
  • (2)住宅ローン:1,800万円
  • (3)葬儀費用:200万円

計算は(1)-(2)-(3)になるので、正味の遺産総額は1億円です。

では次に、1億円のうち課税対象になる財産額を計算します。

基礎控除を差し引いて課税遺産総額を計算する

相続税には基礎控除があり、以下の計算式で控除額を求めます。

相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×相続人の数)

相続人が配偶者と子2人(合計3人)の場合、基礎控除は以下のようになります。

  • ・相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

正味の遺産総額から基礎控除を差し引くと、課税遺産総額がわかります。

  • ・課税遺産総額:1億円-4,800万円=5,200万円

法定相続分どおりに分割して相続税の総額を計算する

次に相続税の総額を計算するため、一旦法定相続分どおりに分割します。

被相続人の配偶者と子は1/2ずつの法定相続分ですが、子は2人いるためそれぞれ1/4ずつになります。

  • ・配偶者の法定相続分:5,200万円×(1÷2)=2,600万円
  • ・子の法定相続分:5,200万円×(1÷4)=1,300万円(2人なので合計2,600万円)

上記の金額に相続税の速算表から税率や控除額を適用させます。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

引用:相続税の速算表(国税庁)

  • ・配偶者の税額:2,600万円×15%-50万円=340万円
  • ・子の税額:1,300万円×15%-50万円=145万円(2人なので合計290万円)

各人の税額を合計すると相続税の総額は630万円になります。

実際の按分割合から各相続人の相続税を計算する

相続税の総額を算出できたら次に実際の取得割合、つまり按分割合で各人の相続税を計算します。

仮に按分割合を配偶者3/5、子が1/5ずつとした場合、相続税は以下のようになります。

  • ・配偶者の相続税:630万円×(3÷5)=378万円
  • ・子の相続税:630万円×(1÷5)=126万円(2人なので合計252万円)

直前の計算で法定相続分どおりに分割していますが、このステップがなければ相続人の数によって相続税の総額が変わってしまいます。

按分割合に直接税率を掛けると、相続人が少ない場合は相続税が高く、逆に多い場合は相続税が低くなってしまうため、調整用の計算だと理解してください。

相続税の控除や加算を適用させて税額を確定する

被相続人の妻や夫は配偶者の税額軽減により1億6,000万円、または法定相続分のどちらか多い金額まで相続税はかかりません。

また未成年者にも控除があり、次の計算で求められる金額を控除できます。

未成年者控除:(20歳-相続時の年齢)×10万円

なお被相続人の配偶者や一親等の血族以外の相続人には、相続税の2割加算が適用されます。

各人の相続税に控除や加算を適用させると、最終的な納税額が確定します。

相続税の按分割合のルール

按分割合によっては割り切れない場合もあり、相続人全員が1/3ずつ均等に相続する場合、按分割合は「0.33333333・・・」となり端数が延々と続きます。

按分割合の合計は「1」にする必要がありますが、端数の扱いについては国税庁の法令解釈通達により、小数点以下第2位未満の調整を可としています

参考:相続税法第16条《相続税の総額》関係(国税庁)

つまり、相続人全員の合意があれば「0.332」「0.332」「0.336」のように調整して差し支えないとされており、合計は必ず「1」になるようにします。

相続税の申告書は小数点以下第10位まで記入できるようになっていますが、上記の例のように調整しているケースも多いようです。

小さな数値なので微々たるものと思われがちですが、調整次第で数十万円の節税になるケースもあるため、次に調整方法の具体例を解説します。

按分割合の調整で相続税を節税する方法

相続が発生した際、配偶者の税額軽減によって被相続人の妻や夫は非課税相続できるケースが多く、未成年者にも控除があります。

一方で特例や控除のない相続人や、兄弟姉妹など相続税が2割加算される相続人もいるため、按分割合の調整は控除や加算を考慮するとよいでしょう。

では具体的な計算例で、按分割合を調整した場合の節税効果をみてみましょう。

四捨五入で按分割合を調整した場合の相続税

各相続人の按分割合を調整した場合にどれだけの節税効果があるのか、父親(夫)が死亡した例を挙げて計算してみます。

  • ・課税遺産総額:1億円
  • ・相続人:妻、子A、子B(子Bは10歳の未成年者)
  • ・各相続人の取得分:妻は5,820万円、子Aは2,670万円、子Bは1,510万円
  • ・按分割合:妻は0.582、子Aは0.267、子Bは0.151

節税を意識していなければ、小数点以下第2位未満は四捨五入による切り上げや切り下げを考えてしまいがちになります。

では四捨五入した場合の按分割合から各人の相続税を計算します。

  • ・妻の相続税:841万円(按分割合0.58)
  • ・子Aの相続税:391.5万円(按分割合0.27)
  • ・子Bの相続税:217.5万円(按分割合0.15)

妻は配偶者の税額軽減により非課税となり、子Bも未成年者控除で100万円を減額できますが、控除のない子Aは按分割合の工夫で節税が可能になります。

按分割合の工夫で10万円以上の節税効果になる

先ほどの例では小数点以下第2位未満の数値を四捨五入しましたが、以下のように工夫すると按分割合の調整だけで子Aも相続税を減額できます。

  • ・妻の按分割合:0.587
  • ・子Aの按分割合:0.261
  • ・子Bの按分割合:0.152

子Aの小数点以下第2位未満の数値を妻と子Bに分散させ、合計が「1」になるよう調整すると、各人の相続税は以下のようになります。

  • ・妻の相続税:851.15万円
  • ・子Aの相続税:378.45万円
  • ・子Bの相続税:220.4万円

では子Aの相続税について、先ほどの四捨五入の例と比べてみましょう。

  • ・子Aの相続税の差額:391.5万円-378.45万円=13万500円

本来、子Aに相続税の減額要素はありませんが、按分割合を工夫すると13万円以上の節税が可能になりました。

按分割合の調整で相続税を節税するときの注意点

相続税の節税には特例や控除の利用が一般的ですが、対象者は限られています。

特例などを使えない相続人は按分割合の調整で節税できますが、安易に考えないよう次に紹介する点に注意してください。

按分割合の調整は必ず相続人全員の承諾を得る

相続財産の按分割合を調整する場合は、必ず相続人全員の承諾を得てください。

相続財産が1億円の場合、0.001の数値を変えるだけでも10万円の違いになるため、節税したい相続人はもちろん、按分割合が高くなる相続人にも重要な問題となります。

後日のトラブルを防止するため、相続人全員で協議しながら按分割合を決めるとよいでしょう。

相続税の控除や加算を考慮して按分割合を調整する

按分割合を調整する場合、なんらかの減額措置を使える人は割合を高くし、減額措置のない人や加算対象者の割合を低くするよう工夫してください。

被相続人の配偶者や未成年者、数次相続控除などを使える相続人の場合、按分割合を少々高くしても大きな影響がないケースもあります。

一方で2割加算の対象者となる兄弟姉妹などが相続した場合、按分割合を低くして加算額を調整することも可能になります。

按分割合は何度もシミュレーションして最適値を決める

相続人全員が納得する按分割合は、1回の計算だけではなかなか出せません。

減額や加算の要素を考慮しつつ、いくつかの調整案をシミュレーションする必要もあります。

相続税には申告・納税の期限もあるため、早めに調整案を用意すれば話し合いの時間にも余裕が持てるでしょう。

まとめ

相続によって取得する金額が大きいほど按分割合は重要になり、わずかな調整でも数十万の差額になります。

兄弟姉妹や遺贈によって財産を取得する孫などは2割加算になるため、相続税の負担もかなり大きくなるでしょう。

一方では様々な減額措置によって非課税、あるいは少額の税負担で済む相続人もいるため、按分割合は有利・不利の調整に活かすことができます。

ただし、相続税の控除や加算などに詳しくなければ按分割合の調整に失敗する可能性もあり、数次相続まで想定すると初心者にはなかなか最適値が出せません。

節税効果のある按分割合の調整ですが、「これでよいのか?」と迷ってしまった場合は、必ず相続専門の税理士へ相談してください。

相続に強い税理士は控除や加算などの制度にも詳しく、次回の相続まで想定した節税対策を提案してくれるでしょう。

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