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最終更新日:2023/10/30

準確定申告は電子申告(e-tax)もできる!必要なものや手順・注意点まとめ

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

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書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
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準確定申告は電子申告(e-tax)もできる!必要なものや手順・注意点まとめ

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この記事でわかること

  • 準確定申告書の提出は電子申告(e-tax)を利用できる
  • 準確定申告書を電子申告する際に必要となるもの
  • 準確定申告書を電子申告する時の流れ

被相続人が亡くなった年の1月1日から、被相続人が亡くなるまでの間に所得が発生していると、相続人は準確定申告しなければなりません。

また、被相続人の亡くなった年の準確定申告をすることで、税金の還付が受けられることもあります。

準確定申告は、相続人全員で行う手続きとされており、書面で申告する場合には、かなり手間がかかることが想定されます。

そこで、準確定申告を行う際には、電子申告を利用するのがおすすめです。

電子申告とはどのような手続きなのか、何が必要になるのか、解説していきます。

準確定申告は電子申告(e-tax)できる

準確定申告は、通常の確定申告と同じく、所得税に関する手続きです。

ただし、申告書の作成方法や、実際に申告書を作成する人などに違いがあります。

そのため、確定申告は電子申告(e-tax)を利用できるにもかかわらず、準確定申告は長らく電子申告できませんでした。

しかし、2020年分の準確定申告から、通常の確定申告と同じく電子申告(e-tax)が利用できるようになりました。

その結果、準確定申告書を税務署に提出する手間や、申告書類を税務署に取りに行く手間が省けるようになりました。

準確定申告を電子申告するときに必要なもの

準確定申告書を電子申告する際には、どのような申告内容であっても、必要になるものが2つあります。

それは、「マイナンバーカード」と「利用者識別番号」です。

マイナンバーカード

マイナンバーカードは、電子申告を行う際に納税者本人が署名押印するのに代えて、本人が電子申告した証明として用いるものです。

取得のためには、まずインターネットなどで申請を行います。

その後、マイナンバーカードが交付されるのは、各自治体の役場となります。

なお、準確定申告は相続人全員で行いますが、マイナンバーカードは代表者1人が保有していれば問題ありません

利用者識別番号

利用者識別番号は、電子申告を行う人や法人が電子申告する前に、税務署に申請して交付を受ける16桁の番号です

また、12桁のマイナンバーとはまったく異なるので注意してください。

利用者識別番号は、納税者本人が税務署に申請しなければ、交付を受けることができません。

相続人が複数いる場合は、代表者1人が取得すればいいこととされています。

なお、マイナンバーカードを使って電子申告する場合、利用者識別番号を事前に取得しなくても電子申告ができます。

この場合は、マイナンバーカードを使って事前登録する必要があるため、その手続きを行ってください。

準確定申告を電子申告する手順と必要書類

それでは、実際に準確定申告を電子申告する際には、何から始めればいいのでしょうか。

ここでは、準確定申告の電子申告を行うための必要書類とやり方の手順を解説していきます。

①被相続人の所得計算を行う

準確定申告が必要かどうか、あるいは準確定申告により還付される税金があるかどうかを確認します。

計算のポイントは、大きく2点あります。

  1. 亡くなった年に所得が発生しているか
  2. 亡くなった年に源泉徴収されている税額があるか

このいずれかに該当すると、準確定申告を検討しなければなりません。

その上で、源泉徴収票や収入金額・必要経費のわかる書類など、計算のもととなる資料を集める必要があります。

②e-taxソフトを準備する

準確定申告の電子申告を行う際に、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用することはできません

そのため、電子申告に対応した申告書ソフトを準備しておく必要があります。

国税庁のホームページからe-taxソフトをダウンロードすることができるため、あらかじめ準備しておいてください。

③電子証明書を取得する

電子申告を行うと、税務署に提出するデータに申告者の署名は付されません。

そこで、署名の代わりに申告者が間違いなく本人であることを証明するのが、電子証明書です。

本人が電子証明書を発行する手続きを行い、発行された電子証明書を電子申告のデータに添付することで、間違いなく申告者本人から申告が行われたことが証明されます。

電子申告に利用できる電子証明書には、以下のようなものがあります。

発行機関 電子証明書の種類
地方公共団体情報システム機構 公的個人認証サービスに係る電子証明書
商業登記認証局 商業登記に基づく電子証明書(商業登記電子証明書)
株式会社帝国データバンク TDB電子認証サービスTypeAに係る認証局が作成する電子証明書
東北インフォメーション・システムズ株式会社 TOiNX電子入札対応認証サービスに係る認証局が作成する電子証明書
日本電子認証株式会社 AOSignサービスG2に係る認証局が作成する電子証明書
株式会社NTTネオメイト e-Probatio PS2サービスに係る認証局が作成する電子証明書
セコムトラストシステムズ株式会社 セコムパスポート for G-IDに係る認証局が作成する電子証明書
三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 DIACERTサービスまたはDIACERT-PLUSサービスに係る認証局が作成する電子証明書
地方公共団体組織認証基盤(LGPKI) 地方公共団体(LGPKI)の認証局が作成する電子証明書
政府共用認証局(官職認証局) 政府共用認証局(官職認証局)が作成する電子証明書

実際には、マイナンバーカードの交付を受けたうえで、地方公共団体情報システム機構の「公的個人認証サービス」に係る電子証明書を利用する方がほとんどです。

そのため、マイナンバーカードを持っていない人は、電子証明書の交付を受けるために、マイナンバーカードを取得しておきましょう。

④利用者識別番号等の取得を準備する

前述したように、電子申告を行うために必ず準備しなければならないのは、マイナンバーカードと利用者識別番号です

このうちマイナンバーカードは、申請してから実際に交付を受けるまでに時間がかかります。

すでにマイナンバーカードを持っている相続人がいる場合は、その人のマイナンバーカードを利用するのが確実です。

また、利用者識別番号を取得するには、税務署の窓口で申請するか、インターネットで申請する方法があります。

インターネットで申請すれば、その場で利用者識別番号を入手することができるため、早く次の手順に進むことができます。

⑤申告書を作成する

e-taxソフトを利用して、申告書を作成します。

ただし事業や不動産賃貸による収入がある場合は、帳簿を作成しなければならないため、帳簿を作成するところから始めます。

また、年金や給与だけを受け取っている場合は、その金額を申告書に入力してください。

入力する項目や金額を間違えると、税額の計算も変わってしまいます。

委任状が必要な場合

準確定申告は相続人全員で行わなければならず、確定申告付表には相続人全員の連署が必要です。

そのため、準確定申告による還付金を相続人の代表者1人が一括で受け取る場合は、委任状を用意します。

委任状には、代表者以外の相続人全員の記名と認印が必要なため、あらかじめ連携しスムーズに対応できるようにしてください

⑥電子申告を行う

準確定申告書を作成したら、その申告書を税務署に電子申告します。

利用者識別番号をソフトに登録すれば、その申告書データにマイナンバーカードの電子証明書を付与して送信するだけです。

送信する準確定申告書の書類は、以下のとおりです。

  • 所得税及び復興特別所得税の準確定申告書(第一表、第二表)

申告書自体の書式は、通常の確定申告書と同じです。

氏名欄には、被相続人であることがわかるようにして、被相続人の氏名を記載します。

  • 死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表

納税額が発生した場合の各相続人の納付額、あるいは還付になった場合の各相続人の還付税額を記載します。

電子申告を行う場合は、必ず提出しなければなりません。

  • 準確定申告の確認書

相続人が2名以上いる場合に作成します。

書面で作成した後、PDFデータに加工して電子申告のデータに添付します。

  • 委任状

相続人が2名以上いる場合で、相続人代表が還付金をまとめて受け取る場合に作成します。

このほか、所得税の計算において青色申告決算書や収支内訳書を作成した場合には、これらの書類も一緒に送信します。

電子申告すると、すぐに結果がメールで通知されてきます。

もし何らかの不備があった場合は、再度電子申告を行うこともできます。

準確定申告を電子申告するときの注意点

準確定申告を電子申告する場合は、準確定申告であること、そして電子申告を行うことによる注意点があります。

どのような点に注意しなければならないのか、ご紹介していきます。

確定申告書等作成コーナーは利用できない

確定申告を手軽に行うことができるツールとして広く利用されているのが、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」です。

しかし、前述したように準確定申告書を電子申告する際には、確定申告書等作成コーナーを利用することはできません

電子申告ができるソフトとして、e-taxソフトが準備されているので、こちらを利用して準確定申告書を作成します。

e-tax対応のパソコンを利用する

確定申告を電子申告するために、パソコンを利用する他、近年ではスマホを利用することもできます。

しかし、準確定申告の電子申告を行うにはe-taxソフトをダウンロードしなければならず、その利用環境に制約を受けることとなります。

具体的には、MacOSを利用しているパソコンについては未対応となっているため、注意が必要です。

電子申告しても節税になるわけではない

電子申告すると、何らかの税務上の恩典を受けられると思っている方もいるかもしれません。

しかし、電子申告したからといって節税になるわけではありません

特に年金や給与だけを受け取っている人の場合、電子申告によるメリットは、手間を省けるなど手続き面に限られます。

場合によっては、書面で申告した方が早いケースも多いです。

一方、青色申告を行っている人の場合は、電子申告により青色申告特別控除の金額が変わります。

電子申告によるメリットがあるため、できるだけ電子申告を行うようにしてください

準確定申告の期限は4カ月

通常の確定申告は、2月16日から3月15日までの間に申告・納税を行いますが、準確定申告は違います。

準確定申告は相続発生日(被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から4カ月以内に申告しなければなりません

通常の確定申告のように、毎年決められた時期に行うものではないことに気を付けてください。

電子申告のメリット

今まで書類による確定申告しかできませんでしたが、電子申告ができるようになりました。

電子申告は使い慣れていないと今まで通り、書類で対応しても変わらないのでは?と考える方もいますが、メリットもあります。

ここからは電子申告のメリットについてご紹介します。

節税効果がある

被相続人が事業所得などを得ており、青色申告の承認を事前に得ているのであれば電子申告することで節税可能です。

青色申告特別控除が使え、書類で申請していた青色申告を電子で行った場合、65万円まで控除が受けられます。

今まで紙で申告していたなら55万円が上限だったところ、電子申告に変えると、電子帳簿保存をすると+10万円控除枠が増えます

自宅から24時間申告ができる

節税以外には物理的な手間の削減にもつながります。

紙で申請した場合自宅からポストや郵便局から出向かなければならず、また発送しても受け渡しまで数日掛かっていました。しかし電子申告なら自宅から24時間いつでも申告可能です

また還付金があった場合、紙でのやり取りより電子申告の方が還付までの期間が短くなるメリットもあります。

スマホでも手続き可能

電子申告というとパソコンから申告するのを想像しますが、スマートフォンからも申告が可能です

電子申告ではマイナンバーカードが必要で、パソコンから申告をするならカードを読み取る装置が別途必要になります。

しかしスマートフォンならカメラを使用し、マイナンバーカードを読み取ることができるため手軽に手続きできます。

まとめ

準確定申告は、相続人全員が一緒に申告するというのが原則的な考え方です。

書面で税務署に提出する際は、全員のマイナンバーカードのコピーなどを添付しなければならず、手間がかかってしまいます。

そこで、電子申告を行って、必要書類や申告書の作成にかかる手間を減らしてみてください。相続手続きで忙しい中ですが、期限が4カ月と短いため、早めに準確定申告が必要かどうか確認することが大切です。

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