この記事でわかること
- 新型コロナの影響を理由に相続税申告の延長申請ができることがわかる
- 相続税申告の延長申請が認められる具体的なケースを知ることができる
- 申告期限の延長申請書の記載方法や提出方法を知ることができる
新型コロナの感染拡大の影響は、税金の申告の現場にも大きな影響を及ぼしています。
感染の急拡大や緊急事態宣言などに対応するため、特例として申告期限の延長が行われてきました。
しかし、2021年4月以降は特例的な対応が見直され、延長申請の手続きが別途必要となっています。
ここでは、相続税の延長申請を行う方法や申請書の書き方などを解説していきます。
目次
新型コロナの影響を理由に相続税申告の延長申請をする方法
新型コロナの感染拡大の影響により、税務署に提出する申告書が期限内に提出できないケースがあります。
そのような場合、当初は申告書に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載するだけで延長が認められました。
しかし、このような対処はあくまで例外的なものであり、従来の税務署では認められるような方法ではありません。
そこで、2021年4月16日以降に相続税の期限延長を行う場合は、別に申請書を作成し提出しなければならないこととされました。
この時作成する申請書は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」です。
従来から、災害等が発生した場合には、この申請書を利用して申告期限や納付期限を延長する措置が行われていました。
新型コロナが理由となる場合についても、その原則に則って延長申請が必要とされることとなったのです。
なお、この期限延長申請書を提出しても、必ずその延長が認められるわけではありません。
延長が認められるためには、やむを得ない理由が必要とされるからです。
具体的に、どのようなケースがやむを得ないと認められるのか、確認していきましょう。
延長申請が認められる「やむを得ない理由」の例
相続税の申告・納付の期限延長が認められる「やむを得ない理由」には、以下のようなものが考えられます。
(1) 相続人(納税者)や担当の税理士が新型コロナウイルスに感染した、あるいは濃厚接触者となった
この場合、一定期間外部との接触が制限されることとなるため、遺産分割協議や相続手続に支障が出てしまいます。
その結果、申告・納付期限に間に合わなくなるのは、やむを得ない理由があると認められます。
(2) 相続人(納税者)が保健所や自治体、医療機関などから外出自粛の要請を受けた
濃厚接触の疑いがある場合や、発熱など感染症に感染した疑いがある場合に、外出自粛の要請を受けることがあります。
この場合も、相続手続を予定どおりに進められず、期限内に申告・納付できないため、やむを得ない理由があると認められます。
(3) 生活のための最低限必要な場合を除き、自宅から外出しないように要請されている
基礎疾患があるため感染すると重症化するおそれがある人や、そのような人が周辺にいる人は特に感染対策を徹底しています。
そのため、買い物など最低限の外出以外は自宅から出ないという人もいます。
そのような人についても、やむを得ない理由があると認められます。
(4) 遠方に住んでいる相続人がいたり、密を避けたりするために遺産分割協議ができなかった
相続税の申告を行う大前提となるのは、遺産分割協議です。
遺産分割協議はすべての相続人が集まって、何度も話し合いを行ってはじめて成立するものです。
しかし、県をまたぐ移動が制限される中で、遠方に住む相続人がいると、簡単に集まることができません。
また、密になるのを避けるため、頻繁に遺産分割協議を開催することができないケースも考えられます。
このような場合も、やむを得ない理由があると認められます。
実際にはこれ以外にも、新型コロナウイルスの感染を防ぐための対策をしたために相続手続が進まないケースがあります。
そのため、他にも相続税の申告・納付の延長申請が認められる場合があります。
どうしても申告期限に間に合わない場合は、期限延長申請書を提出するようにしましょう。
申告期限の個別延長の申請書の書き方・提出方法
では「災害による申告、納付等の期限延長申請書」には、どのような内容を記載するのか確認していきましょう。
「申請者」の欄には、相続人の住所や氏名を記載します。
複数の相続人がまとめて申請書を作成することはできないため、相続人ごとに申請書を作成しなければなりません。
申請書には「自 令和 年 月 日 至 令和 年 月 日」と、期限延長を行う期間を記載する欄があります。
「自 令和 年 月 日」には、新型コロナウイルスにより最初に被害を受けた日を記載します。
また「至 令和 年 月 日」には、新型コロナウイルスの影響がおさまった日、あるいは申告書の提出日を記載します。
申請内容を記載する欄には、期限の種類、法定期限、申請期限を記載することとなっています。
このうち「期限の種類」には、「相続税の申告及び納付」と記載します。
また、「法定期限」には、相続税の申告期限である相続開始の翌日から10か月後の日を記載します。
「申請期限」には、申告書と申請書を同時に提出する場合は、その提出日を記載します。
また、申請書のみを記載する場合は、期限延長の指定を受けようとする日を記載します。
「被災状況」には、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を記載します。
なぜ相続税の申告・納付が遅れることとなったのか、その状況を具体的に記載しましょう。
相続人ごとに申請書を作成したら、書面で税務署に提出します。
この時、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に提出しなければならないため、注意しましょう。
相続税申告の延長申請をする注意点
相続税申告の延長申請を行う場合、いくつかの注意点があります。
それらの注意点を把握したうえで、期限延長申請書を作成・提出するようにしましょう。
相続人ごとに作成しなければならない
「災害による申告、納付等の期限延長申請書」は、相続人がそれぞれ判断して提出するものです。
すべての相続人が延長の適用を受ける場合でも、各相続人が個別に申請書を作成しなければなりません。
何人かで1枚の申請書にまとめて記載することは認められないため、必ず人数分の申請書を用意しましょう。
相続税申告の日が相続税の納期限となる
期限延長申請書を提出すると、申告期限が延長されると同時に、相続税の納期限も延長されます。
この時、納期限は自動的に相続税の申告期限と同じ日となります。
延長申請をした上で相続税の申告を行った場合、その日が納期限となるため、相続税の納付を忘れないようにしましょう。
もし相続税の納付を忘れてしまうと、延滞税が発生する可能性があるため、注意が必要です。
必ず延長申請が認められるわけではない
相続税の申告・納付期限の延長申請を行っても、必ず認められるわけではありません。
延長申請が認められるためには、やむを得ない理由が必要とされるためです。
「被災状況」の欄に、新型コロナウイルスの影響がどのような形で発生しているのか、具体的に記載するようにしましょう。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大は、日常生活においてもまだ大きな影響を及ぼしています。
その結果、決められた期限内に相続税の申告ができないケースも数多くあると考えられます。
やむを得ない理由により申告や納付が間に合わない場合は、必ず期限延長申請書を作成し提出しましょう。
また、延長は認められますが、できるだけ相続手続を早く進めて、期限内に申告できるようにすることが大切です。
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