この記事でわかること
- 死亡した人のゆうちょ口座を引き出してもよいか分かる
- ゆうちょ銀行の残高が少額の場合の簡易な引き出し方が分かる
- ゆうちょ銀行の相続手続きの流れや必要書類が分かる
ゆうちょ銀行の貯金口座を持つ方が亡くなってしまった場合、ご家族がその口座からお金を引き出すことができるのでしょうか?
他の金融機関と同様、名義人が亡くなったことを申し出る必要があり、それによって口座は凍結され、一定の手続きが完了するまでは口座から引き出すことができません。
しかし、手続きの際に支店を気にしなくて良いことや、口座残高が100万円以下の場合は簡易な手続きが認められることなど、他の金融機関と異なる点もあります。
ゆうちょ銀行の相続手続きや口座凍結解除方法について解説していきます。
目次
亡くなった方のゆうちょ口座からお金を引き出せる?
相続が発生すると葬儀費用の支払など何かとすぐに現金が必要になるため、亡くなった方がゆうちょ銀行の口座を持っていれば、相続人はそれを引き出して利用したいという思いがあるでしょう。
しかし、相続手続を開始すると、すぐに口座凍結されてしまい、たとえ家族であっても簡単に貯金を引き出すことはできなくなります。
そこで、亡くなった方のゆうちょ口座からお金を引き出してもよいのか?どうすれば引き出せるのか?についてケース別に解説していきます。
亡くなる前に引き出す
まず、もっとも簡単かつ確実な方法は、亡くなりそうになった段階で、お金が必要になることを見越して、本人またはキャッシュカードを預かった代理人があらかじめ引き出しておくことです。
亡くなった後の手続きではないため、実行が難しいように思われるかも知れませんが、入院中から口座の管理を任されている方は多く、実際にはよくあるケースです。
ATMを利用する場合は、1日あたりの引き出し限度額50万円まで引き出せます。
ゆうちょの窓口を利用する場合は、限度額を気にせず引き出せますが、本人が窓口まで足を運ぶ必要があります。代理人が足を運ぶ場合は、通常の必要書類に加えて委任状が必要となります。
自由に引き出せるからと言って自由に使えるわけではなく、相続発生後の遺産分割にも関わるため、亡くなる前にどれだけの金額を引き出したのか、何にいくら使ったのか、必ず分かるようにしておきましょう。
口座凍結前に引き出す
ゆうちょ銀行の口座が凍結されるのは、口座名義人が亡くなったことを銀行が知ったタイミングです。
そして、ゆうちょ銀行が口座名義人の死亡を知るのはほとんどの場合、家族から死亡の連絡を受けたことによるものです。
逆に言えば、家族がゆうちょ銀行に亡くなったことを伝えなければ口座は凍結されず、口座名義人が亡くなった後もお金を引き出すことは不可能ではありません。
ルール上、口座名義人が亡くなったことはすぐにゆうちょ銀行に通知すべきではありますが、次の2つの注意点さえ守っておけば、大きな相続トラブルに発展せずに済むでしょう。
葬儀費用などの支払で背に腹は代えられずに、亡くなった方の口座からお金を引き出す場合も、次の2点には十分注意してください。
1つ目は、口座からお金を引き出した時点で、相続を単純承認したものとみなされることです。
単純承認とは、その相続において自分が相続人となり、亡くなった方の相続財産を無条件ですべて相続することを認め、相続放棄の選択肢を捨てることを意味します。
単純承認が問題となるケースは、亡くなった方に財産以上の多額の借金(債務)がある場合です。こういった場合、マイナスの財産を相続してしまわないよう、すぐに相続放棄を検討するべきです。
単純承認をした者は、その後相続放棄をすることができなくなります。
相続が発生した当初は分からなくても、財産を調べているうちに借金があったと発覚することもあります。
しかし、被相続人の口座からお金を引き出した人は、その相続を単純承認しているため、相続放棄することができなくなるという点にご注意ください。
2つ目は、他の相続人との間でトラブルになることです。
本来、相続が発生した後に、故人の口座から勝手にお金を引き出すことは認められません。なぜなら、相続が発生した瞬間から、故人の財産は相続人全員の共有財産となるからです。
引き出す場合は、他の相続人の納得が必要です。そのため、引き出したお金の使い道は1円残らず明らかにし、領収書やレシートなどすべての証拠を整えておくことで、誰から見ても文句のない状況にしておきましょう。
当然、個人的な支出に使ってしまった場合には、相続トラブルになることは避けられません。
預貯金の仮払い制度で引き出す
預貯金の仮払い制度とは、遺産分割協議が成立するまでには何か月もかかるため、遺産分割前に凍結口座から一部金額の払い戻しを受けることができる制度です。
以前は相続人全員の同意がないと仮払いを受けることができませんでしたが、2019年7月の民法改正以降は、他の相続人全員の同意がなくても仮払いを受けることが可能となっています。
家庭裁判所の判断を経る場合とそうしない場合の2通りがあり、払戻しができる金額に制限はありますが、家庭裁判所の判断を経ずに金融機関で進める手続きが便利です。
この場合、単独で払戻しができる金額は、相続開始時の口座残高✕法定相続分✕1/3が上限となります。
口座凍結を解除して引き出す
亡くなった方のゆうちょ口座を引き出す、もっとも正当な方法は、ゆうちょ銀行の定める口座凍結解除の手順の通りに進める方法です。
参考:相続手続き-ゆうちょ銀行
正当な手続きとは、相続人全員の同意により口座の凍結を解除し、相続人の口座へと貯金を移管することです。
最終的にはこの手続きを完結させないといけないですが、葬儀費用などに間に合うペースでこの手順を進めることは現実的に難しいでしょう。
ゆうちょ銀行を含む金融機関の凍結口座の解除については次の記事で詳しく解説しています。
少額の簡易手続きを利用して引き出す
ゆうちょ銀行独自の制度として、亡くなった方の口座残高が少額の場合は、上に挙げた方法の他に簡易な解約手続きが認められています。
特徴的な制度のため、章をかえて詳しく説明します。
ゆうちょ銀行の残高が少額なら簡易手続き可能
ゆうちょ銀行に少額の貯金しかない場合には、通常とは異なる簡易な手続きを行うことができます。
はたしてどのような制度なのか、その場合の手続きはどのようになるのか、確認しておきましょう。
少額とはいくらまでをいうのか
亡くなった方が保有していたゆうちょ銀行の口座の残高の合計が100万円以下の場合には、簡易な手続きを行うことができます。
合計額での判定となるため、例えば通常貯金と定期貯金の口座がある場合には、その合計で100万円以下かどうかを判断することとなります。
100万円を1円でも上回っている場合には、少額とはされず、通常の相続手続きが必要となります。
少額と判断された場合の簡易な手続きの流れ
亡くなった方が保有していたゆうちょ銀行の口座の残高が100万円以下である場合も、まずは最寄りのゆうちょ銀行の窓口に行きます。
そこで、窓口の担当者は正確な残高を調べて、少額となるのかどうかの判断を行います。
この段階で、もし100万円を超える残高がある場合には、少額とはなりません。
一方、少額と判断された場合には、その後の相続の手続きはかなり簡易になります。
貯金等相続手続請求書のすべての項目に、相続代表人が1人で記入して手続きが終了するためです。
通常の手続きでは、相続人全員の実印を押す必要があったり、全員の印鑑証明書が必要となったりします。
1枚の請求書に全員の実印を押すためには、すべての相続人が一同に会するか、あるいは書類を郵送するなどしなければなりません。
そのため、非常に手間も時間もかかる作業となるのですが、そういった必要がなくなるのは、相続人にとって大きなメリットがあります。
簡易手続きの場合の必要書類
簡易手続きの際に必要な書類は、以下の7点となります。
- (1) 相続手続請求書
- (2) 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
- (3) 被相続人と代表相続人の関係性の分かる戸籍謄本
- (4) 被相続人のゆうちょ銀行口座の通帳や証書
- (5) 代表相続人の印鑑証明書
- (6) 代表相続人の実印
- (7) 代表相続人の本人確認書類
通常の手続きでは必要となる相続人全員の印鑑証明書は、この場合必要ありません。
簡易手続きを行う際の注意点
簡易手続きの場合は、代表相続人が1人で手続きを行うことができます。
そのため、他の相続人が知らない間に解約などの手続きを行うことも可能です。
しかし、代表相続人が相続手続きを行う際には、必ず他の相続人にも了解をもらっておくようにしましょう。
もしそのような事情を伝えずに相続手続きを行った場合、勝手に解約したと誤解を招くことになりかねません。
ゆうちょ銀行のルールとして、簡易手続きにより解約をして払い戻しを行うこと自体に問題はありません。
しかし、事情を知らない他の相続人から反発を受けてしまうと、その後の手続きをスムーズに進めることは難しくなります。
全体から見ればわずかな金額であるとしても、相続全体の手続きを考えた場合には、他の相続人にも説明しながら進めていく必要があるのです。
ゆうちょ銀行の相続は他の金融機関と手続きが異なる
一般的な金融機関で行う相続手続きと、ゆうちょ銀行で行う相続手続きに大きな違いはありませんが、ゆうちょ銀行だけの特徴的な部分がいくつかあります。
ここでは、そのような特徴を確認しておき、いざという時に戸惑うことのないようにしておきましょう。
どこのゆうちょ銀行の支店でも手続きできる
金融機関の中には、相続の対象となる預金口座がある場合に、その口座が開設された支店に直接行かなければならないことがあります。
例えば、北海道に住んでいた人が北海道で預金口座を開設したとします。
その後東京に出てきて、そのまま東京で亡くなった場合でも、相続人は北海道の支店に足を運ばなければならないということです。
すべての金融機関がそのようになっているわけではありませんが、近くの支店で手続きができるかどうかは、相続人にとって大きな違いがあります。
しかし、ゆうちょ銀行の場合は、最初に口座を開設した支店に足を運ぶ必要はありません。
先ほどのケースでも、東京にあるゆうちょ銀行の支店に行けばいいため、大変便利です。
この点、ゆうちょ銀行は大変親切だということができます。
また、北海道の金融機関の支店が東京にあるかどうかは分かりませんが、ゆうちょ銀行なら必ず近くに支店があるという点も、大きなメリットといえます。
払い戻しの振込先の選択肢が少ない
ゆうちょ銀行に限らず、金融機関の預貯金の残高は、相続人の口座に名義を変更するか、解約してその残高を払い出すかのいずれかを行います。
このうち払い戻しを行う際には、被相続人の名義となっている口座を解約し、その残高を相続人の口座に振り込みます。
ゆうちょ銀行の場合、この払い戻しを行う際に、必ずゆうちょ銀行の口座を指定する必要があります。
ゆうちょ銀行の口座がない相続人の場合は、振り込みによる払い戻しを行うことができません。
つまり、現金による払い戻しを行うこととなります。
ゆうちょ銀行以外への振り込みができないというのは、利用者にとっては非常に不便です。
それでも、ゆうちょ銀行の口座を保有しているのであればまだいいのですが、現金の払い戻しとなると、安全面も含めてよく考えなければなりません。
この他にも、被相続人がゆうちょ銀行で国債を買っていた場合は、預貯金も含めてすべて名義変更しなければならないという決まりがあります。
また、投資信託を売却したい時は、まず相続人に名義変更を行い、その後相続人が売却するという流れになります。
このようなルールは厳密に守られているため、どのような相続手続きが必要か、事前に確認しておきましょう。
最低2回は窓口に行く必要がある
どれだけ効率的に相続手続きを行おうとしても、ゆうちょ銀行の場合、最低2回は窓口に行く必要があります。
なぜかというと、ゆうちょ銀行では、最初に相続手続きに来た人に対してはその手続きの説明までしかしてくれないからです。
どれだけ相続に詳しい人であっても、また何度目の相続であっても基本的に変わりません。
そのため、確実に書類を準備した場合でも、最低2回は窓口へ行く必要があるのです。
また、書類の不備や必要書類の不足がある場合には、さらに窓口へ行く回数が増えてしまいます。
平日の日中に休みを取って何度も窓口へ行くのは、かなり大変なことなのです。
当然、行く回数が増えるほど、手続きにかかる時間も伸びます。
ゆうちょ銀行の払い戻しや解約の手続きには、少なくとも1か月はかかると思っておきましょう。
窓口の担当者は相続に詳しくない場合もある
相続に関する申し込みは、ゆうちょ銀行の支店窓口で行います。
しかし、実際に相続に関する手続きを行うのは支店ではありません。
実際の事務処理は、全国に12か所ある貯金事務センターで行われます。
そのため、ゆうちょ銀行の窓口の人でも、相続に関する業務を行った経験がほとんどない場合があります。
利用者としては、窓口の人に確認しながら相続手続きを進めることとなるのですが、この場合、誰に確認すればいいのか分からなくなってしまいます。
窓口の人も相続に詳しくないという場合には、後から書類の不足が発生することもあるため、二度手間となってしまうこともあるのです。
ゆうちょ銀行の相続手続き
ここからは、実際にゆうちょ銀行の貯金口座について相続手続する際の流れについて解説します。
残高の確認は現存調査で
相続手続きをする前に、ゆうちょ銀行に貯金口座を持っているのかどうかを確認しなければなりません。
また、貯金口座を持っていることは分かっていても、その口座番号などが分からないこともあります。
そのために、ゆうちょ銀行で現存調査を行う必要があります。
現存調査に必要なものは、
- ・貯金等照会書
- ・被相続人の死亡の事実が分かる戸籍謄本等
- ・申請した人が相続人であることが分かる戸籍謄本等
- ・申請者の本人確認書類
- ・相続人の印鑑
です。
調査の結果、2週間ほどで被相続人が保有している口座の詳細が記載された「調査結果のお知らせ」という書類が郵送されてきます。
なお、該当する口座がない場合には、無しと書かれた書類が送られてくるため、相続手続きや相続税の申告の際に間違いのない対応ができます。
また、「調査結果のお知らせ」には残高は記載されていないため、口座があると確認された場合には改めて残高証明を取得します。
相続の申し出と手続きの流れの説明・相続確認表の提出
相続が発生し、相続財産の中にゆうちょ銀行の口座があると確認できたら、親族などが近所のゆうちょ銀行や郵便局の窓口または電話で相続が発生したことを伝えます。
相続が発生したことを伝えると、その口座は凍結され、取引は一切できなくなります。
その後、ゆうちょ銀行の担当者から相続手続きの流れの説明を受けます。
この時、相続確認表という書類を渡されるため、記入して提出する必要があります。
なお、窓口で説明を受けた後にその場で記入して提出してもいいのですが、いったん持ち帰って自宅で記入することもできます。
「必要書類のご案内」の入手と書類の準備
相続確認表をゆうちょ銀行の窓口に提出したら、その書類は貯金事務センターに送付されます。
その後、相続確認表をもとに作成された、「必要書類のご案内」が送付されてきます。
送付されてきた「必要書類のご案内」には、相続手続き請求書や必要書類一覧表といった書類が入っています。
相続手続きに必要な書類の準備を、これらを参考にしながら進めることができます。
必要書類の提出
「必要書類のご案内」に記載されている必要書類をすべてそろえることができたら、それらの書類をゆうちょ銀行に提出します。
この時、相続人が複数いる場合には、すべての相続人の書類を提出する必要があります。
ただ、提出する際には相続人の中の代表者が行けばよく、すべての相続人が行く必要はありません。
なお、必要な書類をそろえたら郵送すればいいように思うかもしれません。
しかし、窓口で書類の不備をチェックするために、原則として郵送ではなく窓口に提出することとされています。
事前に提出する日時を連絡していくと、窓口での対応がスムーズに進むはずです。
払戻証書・名義書換済の通帳の送付
ゆうちょ銀行の窓口に提出した書類に不備がなければ、貯金事務センターから貯金を解約するために必要な払戻証書が送付されてきます。
この払戻証書は、ゆうちょ銀行や郵便局の窓口で現金の払い出しを受けるための証書です。
この書類を他の金融機関に持って行っても払い出しを受けることはできないため、注意が必要です。
また、口座の名義変更を行う場合には、名義変更が行われた古い通帳が送られてきます。
この場合は、相続人のゆうちょ銀行の口座に振り込みが行われるため、以下の手続きを行う必要はありません。
払戻証書の提出
続いて、送られてきた払戻証書をゆうちょ銀行の窓口に持っていきます。
この時、払戻証書を持ってきた人の本人確認書類が必要となります。
もし代理の人が手続きに来た場合には、その代理人の本人確認書類も必要です。
払戻金の支払い
払戻証書を提出すると、解約した口座の残高を現金で受け取ることができます。
多額の残高がある場合でも、現金での払い戻しを受けることはできます。
ただ、あまりに大きな金額の場合は、その場で現金での支払いの手続きができない場合があります。
そのような場合は、いつ払戻しの手続きに行くのか、あらかじめ連絡しておくと二度手間にならないでしょう。
ゆうちょ銀行の相続で必要となる書類と入手方法
ゆうちょ銀行の口座の相続手続きには、決められた期限はありません。
その上で、相続による口座凍結解除手続のためにゆうちょ銀行の窓口に出かける際には、それぞれ目的を持っていくこととなります。
そのため、出かける前に必要な書類を準備しておく必要がある場合もありますし、窓口で記入する書類もあります。
ここでは、それぞれの場面で必要となる書類について確認しておきましょう。
相続の申し出の際の必要書類
はじめてゆうちょ銀行に出かけて、相続が発生したことを伝える時には、窓口で「相続確認表」を渡されます。
その場で記入してもいいですし、持ち帰って自宅で記入してもいい書類です。
記載内容が複雑で分かりにくい点もあるため、窓口で説明を受ける方がいいでしょう。
一方で、記載を間違えないように落ち着いて記載したいと考えるかもしれません。
そのため、窓口で書類の交付を受け、簡単に説明を受け確認をした後、自宅で記入するのがいいでしょう。
ゆうちょ銀行のホームページから相続確認表のダウンロードもできますが、窓口に行く前に記載して持っていく必要はありません。
また、この他の書類や印鑑などについては、この段階では必要ありません。
ただし、相続確認表を記載する時には戸籍謄本などを準備しておき、記載を誤らないようにしておくといいでしょう。
必要書類の提出時に必要な書類
ゆうちょ銀行から送付されてきた「必要書類のご案内」に書かれた書類を準備して、窓口に持っていく段階で必要になるものは、以下9点になります。
(1) 貯金等相続手続請求書
ゆうちょ銀行から送られてくる書類の中に入っています。
亡くなった方の名義となっている口座を相続人の名義に変更するのか、あるいは払い戻しを行うのかによって記入する書類が異なります。
記載例なども確認しながら、間違えないように記入しましょう。
参考:ゆうちょ銀行|「貯金等相続手続請求書(名義書換請求書兼支払請求書)」
なお、各相続人の実印を押印する必要があるため、遠方に相続人がいる場合には、この書類を郵送するなどして対応する必要があります。
(2) 被相続人の出生から死亡までが分かる戸籍謄本
まずは、被相続人の最後の本籍地のある市区町村役場に問い合わせを行います。
生まれてからの本籍地の移動がなければ、それで終了です。
ただ、本籍地が途中で変わっている場合には、さかのぼって前の市区町村役場に戸籍謄本の発行を依頼することとなります。
遠方の場合には郵送での請求も可能なため、各市区町村役場のホームページなどで確認しながら入手しましょう。
(3) 相続人全員の戸籍謄本
相続人の戸籍謄本は、被相続人のように出生までさかのぼる必要はありません。
現在の本籍地のある市区町村役場で取得することができます。
全員分が必要となるため、相続人が多いとそろえるまでに時間がかかるかもしれません。
(4) 相続人全員の印鑑証明書
貯金等相続手続請求書の記載に使用した実印と照合するために使われます。
そのため、相続人全員が用意しなければなりません。
現住所の市区町村役場で取得することができるため、準備しておきましょう。
なお、使用できる印鑑証明書は取得から6か月以内のものとされているため、この点も注意が必要です。
(5) 相続人代表者の本人確認書類
窓口を訪れる人が本人であることを確認するため、運転免許証などの本人確認書類を持参する必要があります。
(6) 被相続人の貯金通帳とキャッシュカード
亡くなった方の持っていた通帳や、キャッシュカードを持参します。
なお、紛失して見当たらない場合には、「貯金等相続手続請求書」に紛失したことを記載する欄があります。
(7) 遺言書または遺産分割協議書
遺言書がある場合には、遺言書にしたがって遺産分割が行われます。
また、遺言書がない場合や、遺言書によらないこととした場合には、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割の方法を取り決めた書類にしたがってゆうちょ銀行での手続きが行われるため、提出する必要があるのです。
(8) 委任状
弁護士や司法書士などの代理人が、相続人に代わって相続手続きを行うことも珍しくありません。
そのような場合には、相続人から相続手続きに関する権限の委任状を受け取り、窓口に提出する必要があります。
(9) 相続人の実印と銀行印
口座の名義変更を行う際には、実際に名義変更する相続人の実印と銀行印が必要です。
また、名義変更をするために新たに口座を開設する場合には、口座開設のための書類も必要となります。
払戻証書の提出時に必要な書類
被相続人の口座から払い戻しを受けるために、払戻証書をゆうちょ銀行の窓口に提出する際には、以下の3つの書類を持っていく必要があります。
(1) 払戻証書
ゆうちょ銀行の貯金事務センターから送られてきた払戻証書は、そのままゆうちょ銀行の窓口へ持ち込むことで、払い戻しを受けられます。
(2) 代表相続人の本人確認書類
運転免許証などの本人確認書類を提出する必要があります。
(3) 委任状
相続員以外の人が手続きを行う場合には、必ず委任状を提出しなければなりません。
相続で悩んだら専門家に依頼しよう
相続について困っていること・悩みがあれば、専門家への相談がおすすめです。
ここからは専門家に依頼するメリットを紹介します。
面倒な手続きを任せられる
ゆうちょ銀行の預金相続や、相続全体でも手続きは非常に大変です。
銀行・公的機関に出向く必要があり、事前に書類を不備なく揃えておかなければいけません。
もし書類に不備があれば、再提出になり時間・手間がかかります。
被相続人が亡くなったら、同時に葬儀を執りおこなったり、相続遺産の分配について話し合ったりしなければいけません。
ただでさえ忙しいのに、ゆうちょに行って手続きするのは大変でしょう。
そこで専門家に依頼すれば、書類の準備など面倒な手続きを任せられます。
「忙しくて銀行まで行く時間がない」という人は、最初から専門家に依頼して、手続きを任せるのがいいでしょう。
相続税の対策ができる
相続は手続きだけでなく、相続税の支払いも発生します。
遺産が3,600万円以下なら相続税は発生しませんが、遺産の金額が大きくなると、その分相続税が発生する可能性があります。
相続税は他の税金に比べて税率が高く、対策をしておかなければ、高い税金を払うことになるでしょう。
そこで相続に精通している専門家に依頼すれば、遺産・相続人の状態を把握して、適切な節税方法を選択できます。
相続では税金を抑えられるような「特例」という仕組みがあります。
特例をうまく使えば節税効果も大きいため、プロである専門家に相談して、使えそうな特例をフル活用するのがおすすめです。
「なるべく相続税で損をしたくない」という人は、専門家へ依頼しましょう。
相続トラブルを回避できる
相続では遺産を巡って、親族トラブルに発展することもあります。
親族だけで話し合うと感情的になりやすいため、第三者が入っていた方が冷静に話し合いを進められます。
専門家に相談しておけば「相続遺産をどうするか?」という話し合いで間に入ってくれ、トラブルを未然に防げるでしょう。
まずは無料相談から利用しよう
「税理士に依頼したいけど、相続税申告にかかる税理士費用が気になる」という方もいるでしょう。
今は、初回面談を無料で受けている税理士が多いので気軽に探してみましょう。
まとめ
ゆうちょ銀行に口座を持つ人が、亡くなった場合に必要な相続手続きについて確認してきました。
ゆうちょ銀行は、他の金融機関より厳密な手続きが必要とされる点がいくつかあります。
そのため、窓口に何度も足を運ぶ必要があるほか、ゆうちょ銀行以外の口座には振込ができないなどの制約があります。
ゆうちょ銀行での手続きは他の金融機関とは異なりますが、何をしなければならないのか、はっきりと決められています。
また、口座の残高が少額の場合には手続きが簡略化されるという決まりについても、100万円以下ということがはっきりしています。
ゆうちょ銀行の残高が少額しかない場合には、誰が手続きを行うかだけはっきり決めておいて、簡単に解約などの手続きをすることができます。
不安な場合は、他の相続手続きに関して依頼している弁護士や司法書士、税理士などのアドバイスも受けながら進めるといいでしょう。
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ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
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