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最終更新日:2024/4/1

口座凍結された場合に解除・再開する手順|凍結がわかる方法はある?

本間 剛 (行政書士)

この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

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口座凍結された場合に解除・再開する手順|凍結がわかる方法はある?

この記事でわかること

  • 死亡したことを知る方法と銀行口座が凍結される理由がわかる
  • 凍結されている銀行口座から払い出しを受ける方法がわかる
  • 銀行口座が凍結されることに備える方法を知ることができる

亡くなった人が保有していた銀行口座は、相続財産として相続人に引き継がれます。
ただ、遺産分割協議などにより遺産分割が確定し、相続の手続きが正式に完了するまで銀行口座は凍結され、原則として一切の手続きができなくなります。

口座の凍結を確認するには、ATMによる残高照会を行う方法が有効で、実際には残高照会はできず他のアナウンスが表示されます。

では、どうして銀行口座は凍結されてしまうのでしょうか。

本記事では銀行口座の凍結について詳しく解説します。
凍結されるタイミングや理由、解除するための手続きを確認していきましょう。

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口座凍結とは

口座凍結とは、預貯金の引き出しや引き落とし、振込などの現金の出し入れができなくなる状態を指します。

預金口座の名義人が亡くなると、金融機関によって口座は凍結される仕組みです。

死亡後銀行口座が凍結されるタイミング

死亡後銀行口座が凍結されるタイミング銀行が死亡を知る方法

死亡した人の名義となっている銀行口座は、死亡の事実が確認されれば凍結されます。

凍結された銀行口座は払い出しや引き落としができず、入金もできません。

銀行が口座を凍結するのは、その人が亡くなったことを知ったときです。

家族から銀行の窓口へ亡くなった申し出がある場合が大半ですが、実際にはそれだけではありません。

銀行は新聞の訃報欄に載っている情報から、亡くなったことを知ることもあります。

また、他の取引先からの情報からわかる方法もあるでしょう。

直接本人の家族などから聞いていない場合であっても、死亡が確認できれば、そのタイミングで対象の口座は凍結されます。

そのため、「死亡したことを家族は銀行に知らせていなかったのに、銀行口座が凍結されていた」ということは実際に起こり得ます。

家族や親族が知らない間に口座凍結が行われると、公共料金や家賃などの支払いが止まってしまう恐れも考えられるでしょう。

この問題を防ぐためには、できるだけ早く引き落とし口座の変更など手続きを進めることが大切です。

銀行口座が凍結される理由

そもそもどうして銀行口座の持ち主が亡くなったときに、銀行口座が凍結されてしまうのでしょうか。

そこには、口座を凍結すべき以下2つの理由があるためです。

口座を凍結すべき2つの理由

  • 銀行口座が相続の対象となる遺産であるため
  • 相続人に勝手に引き出させないため

銀行口座が相続の対象となる遺産であるため

被相続人の持っていた銀行口座の預金は、遺産分割の対象です。

亡くなった時点の残高で遺産分割を行い、相続税の計算が行われます。

しかし、銀行口座は毎日のように残高が変化し、引き落としで急激に減ることもあれば、どこからか振込があって突然増えることもあります。

そのような状態を放置したまま遺産分割を行うと、実際にその銀行口座を相続しようとした際に残高がない・想定よりも多いということにもなりかねません。

そこで、口座凍結によって亡くなった日の残高を確定させて、その金額をもとに遺産分割や相続税を計算します。

実際には亡くなった日から銀行口座が凍結されるまでタイムラグがあるため、その間にも動きがあることは想定されます。

しかし、その間に大きな動きがなければ、遺産分割や相続税の計算において困ることはないでしょう。

相続人に勝手に引き出させないため

銀行口座の名義人の死後、銀行口座を凍結しないと、その口座から勝手にお金を引き出す人が現われる可能性があります

このような人がいると、遺産分割の際にトラブルが起きる恐れが考えられます。

通常相続は、遺言書があれば遺産はその遺言書で指定された人のものとなり、遺言書がない場合には相続人全員による遺産分割を行わなければいけません。

しかし、そのようなプロセスを無視して勝手に自分のものとしてしまう相続人がいると、他の相続人から反発を受けたり、遺産分割がスムーズに進まなかったりなどの問題が発生するでしょう。

銀行としてはこのようなトラブルに巻き込まれないために、そして他の相続人からクレームを言われることのないようにします。

そのため、死亡が確認された時点でその人の銀行口座は凍結されるのです。

銀行口座の凍結期間中に解除する方法は2つ

銀行口座の凍結を解除する2つの方法

銀行口座の名義人が亡くなってその口座が凍結された場合でも、葬儀費用や入院費などの支払いを行うためにその凍結を解除できます。

凍結を解除するには大きく分けて2つの方法があるため、その内容を確認しておきましょう。

自分で書類を集めて凍結を解除する方法

銀行口座の名義人の法定相続人であれば、凍結されている銀行口座を解除できます。

このことを仮払いといいます。

銀行口座は遺産分割が完了するまでは法定相続人全員の共有財産であると認識されているため、その一部の払い出しが可能です。

法定相続人自身が書類を集めて銀行の窓口に行くのであれば、問題なく凍結を解除できます。

専門家に依頼して凍結を解除する方法

銀行口座の凍結解除の手続きは、銀行の窓口で行う必要があります。

しかし、法定相続人の中には介護が必要で外出がままならない人がいたり、葬儀など他の手続きで忙しく銀行に行く時間がない人がいたりするでしょう。

こうした場合は専門家に代理人になってもらい、手続きを進めることが可能です。

相続に関してすでに何らかの相談をしている、弁護士や司法書士がいるなら代理人を依頼してみると良いでしょう。

また、専門家に何も相談していない人でも、銀行口座の凍結解除だけ弁護士や行政書士などに依頼できます。

専門家に代理人として手続きを依頼すれば、窓口での申請だけでなく書類の収集をしてもらうことも可能です。

代理人に口座凍結の手続きを進めてもらう場合は、委任状を作成し代理人が銀行に提出する必要があります。

ほとんどの場合、専門家が委任状の作成もしてくれます。

ただし銀行口座の凍結解除を依頼した場合、その専門家に対する報酬が発生することは覚えておきましょう。

報酬がいくらになるか決まりはないため、前もってその金額を確認することが大切です。

凍結解除する際の注意点

本来、被相続人の銀行口座は、遺言書で指定された人や遺産分割協議により相続することが決まった人が受け取る財産です。

相続人以外の人が受け取ることはもちろんできませんし、誰が相続するか確定していない段階で銀行口座を相続することも本来はできません。

しかし、実際に遺産分割協議が確定して銀行口座を相続する人が決まるまでの数か月間に、さまざまな支払いをしなければならない場合があります。

特に、被相続人の入院費や亡くなった後に発生する葬儀費用などは、亡くなった人の口座から支払おうとするケースが多いです。

そのため、このような支払いについては例外的に、銀行口座が凍結されている時でも引き出すことが認められています。

ただ、このように必ず引き出す理由を説明しなければならないのは、相続人にとって煩わしいものです。

そこで、2019年7月から「預貯金仮払い制度」と呼ばれる制度が始まっています

この制度は、銀行で必要な手続きを行えば、その理由に関係なく一定の金額の払い戻しを受けることができるものです。

出金できる金額は、「亡くなった時の預貯金残高×1/3×引き出す相続人の法定相続分」で計算される金額と150万円のいずれか低い方の金額です。

とくに、ゆうちょ銀行の口座引き出しについては預貯金仮払い制度のほかにも簡易手続きがあり、詳しくは「ゆうちょ銀行の名義人が死亡した場合の引き出し・相続手続きについて【少額の簡易手続きや口座凍結解除方法を解説】」で紹介していますのでご参考ください。

銀行口座の凍結解除に必要な書類

銀行で実際に凍結を解除する際に準備しなければならない書類には、どのようなものがあるのでしょうか。

他の相続手続で必要となるものもあるため、あわせて準備するようにしましょう。

必要な書類の一覧

銀行口座の凍結を解除するために、一般的に必要となる書類は以下のとおりです。

銀行口座の凍結解除に必要な書類

  • 法定相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本等
  • 法定相続人全員の印鑑証明書
  • 預金通帳・キャッシュカード・銀行印等

金融機関によってはこれ以外の書類が必要になる場合もありますし、相続関係が複雑な場合もさらに書類が必要になります。

詳しくは、各金融機関で事前に確認しておくようにしましょう。

各金融機関の必要書類

口座凍結は、店舗を持つ金融機関だけでなく、店舗を持たないインターネットバンク(ネット銀行)も同様に実施されます。

凍結されてしまった口座を解除するためには、対象の金融機関のカスタマーサポートへの連絡が必要です。

ただし、インターネットバンクの場合は対面で手続きを行うことができません。

店舗を持つ金融機関よりもセキュリティ面において手続きが煩雑になる可能性があるため、注意が必要です。

必要書類の取得方法

  1. 法定相続人全員の戸籍謄本は、その人の本籍地のある市区町村役場で取得することができます。
  2. 被相続人のすべての戸籍謄本等については、まずは亡くなった時の本籍地のある市区町村役場で取得します。
    その後、転居などに伴って本籍地が移動している場合には、戸籍謄本に書かれている従前の市区町村役場で戸籍謄本を取得していきます。
  3. 印鑑証明書は、相続人の住所地のある市区町村役場で取得します。

銀行口座の凍結期間に期限はない

銀行口座が凍結される期間は決められておらず、時間が経過することで自動的に解除されるわけではありません。

これは、遺産分割協議の期間が具体的に決められているわけではないこととも関連しています。

銀行口座を亡くなった人の名義のままにしている間は、仮払いなどを行わない限り払い戻しを受けられません。

それでは、亡くなった人の名義から変更するためには何が必要かというと、遺産分割について相続人での合意が必要となるのです。

遺産分割協議は、亡くなってからいつまでにすべきという期限が決められていません。

相続人間で合意するまで、長い場合には何年間も話し合いが続けられることがあります。

遺産分割の内容にしたがって、実際にその銀行口座を取得した人の名義に変更したときに、初めて凍結は解除されます。

つまり、銀行口座の凍結を解除するためには、解除するための手続きが必要です。

遺産分割にしたがって具体的に行われるのは、銀行口座の名義変更か解約のいずれかです。

通常は、相続税の申告期限となる被相続人の死亡後10か月以内に、遺産分割を行い、遺産分割協議書まで作成します。

凍結解除後の解約・名義変更の手続き

凍結された被相続人の銀行口座を解約して相続人の名義に変更する際の手続きの流れについて確認しておきましょう。

名義変更を行う際には、遺言書か遺産分割協議の内容にしたがって行うのが基本です。

相続のケースごとに銀行口座の凍結を解除する際に必要となるものを確認します。

銀行口座の解約

銀行口座凍結解除後の解約の手続き

相続における銀行口座の解約とは、亡くなった人の名義となっている銀行口座からその残高の払い戻しを受けることです。

払い戻しの際には、現金で受け取る場合と相続人の口座に振り込まれる場合とがありますが、振り込みが一般的です。

名義変更と異なるのは、亡くなった人の口座を開設したときの条件でその口座を維持できないことです。

たとえば定期預金などの場合、その口座を開設した時期によって利率などに差があります。

解約するとその定期預金は途中で払い出され、以前の条件は維持されなくなります。

ただ、超低金利が長年続いている状態では、定期預金の利率を維持できなくても大きなデメリットはありません。

なお、亡くなった人がゆうちょ銀行の口座を保有していた場合は、注意しなければならない点があります。

それは、ゆうちょ銀行の残高はゆうちょ銀行にしか振込できないということです。

もし相続人がゆうちょ銀行に口座を保有していない場合には、新たに口座を開設するか、現金で払い出しを受ける必要があります。

銀行口座の解約の流れ(1) 書類の準備

銀行口座の解約をする場合にも、必要な書類が多くあります。

銀行口座の解約に必要な書類

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の預金通帳、キャッシュカード
  • 遺産分割協議書もしくは遺言書

銀行口座の解約の流れ(2) 銀行での手続き

必要な書類を準備したら、その書類を持って銀行へ出かけます。

電話一本で解約手続きはできないため、営業時間中に銀行の窓口へ行かなければなりません。

また前述のとおり、解約するときには現金で払い戻しを受けるか、相続人の口座に払い込むかを選択することとなります。

何百万円、何千万円にもなる可能性のある預金を現金で払い出すのは危険ですから、相続人の口座に振り込むことが多いです。

払い戻したお金をどの口座に振り込んでもらうのか、あらかじめ決めてから銀行に行くようにしましょう。

銀行口座の名義変更

銀行口座凍結解除後の名義変更の手続き

銀行口座の名義変更を行うと、口座を残したまま名義だけを相続人に変更できます

ただ、相続の際にはその口座を解約し、相続人の口座に残高を振り込むことが多く、この手続きを名義変更という場合もあります。

いずれの場合も、遺言書や遺産分割協議書でその銀行口座を相続するものとされた人が、その銀行口座を引き継ぐこととなります。

銀行口座の名義変更の流れ(1) 書類の準備

銀行口座の名義変更を行う際には、多くの書類を準備しなければなりません。

銀行によっても多少異なりますが、一般的に必要とされるのは以下のような書類です。

銀行口座の名義変更に必要な書類

  • ①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • ②相続人全員の戸籍謄本
  • ③相続人全員の印鑑証明書
  • ④被相続人の預金通帳、キャッシュカード
  • ⑤遺産分割協議書もしくは遺言書

なお、遺言書がある場合には、(2)は相続する人の戸籍謄本、(3)は相続する人の印鑑証明書となります。

また、銀行で準備されている預金名義書換依頼書には、相続人全員の署名・押印が必要です。

銀行口座の名義変更の流れ(2) 銀行での手続き

必要な書類を準備し、相続人全員の署名・押印までできていれば、全員で銀行に出かける必要はありません。

銀行によっては、遺産分割協議書がなくても名義変更できる場合があります。

事前に確認したうえで、書類の準備を進めると良いでしょう。

遺産分割協議書が不要であれば、預金だけ先行して名義変更することも可能です。

すぐに現金が必要なら払戻制度を利用する

凍結された口座から現金の引き出しが必要な場合は、預貯金の払戻制度の利用をおすすめします。

預貯金の払戻制度とは、遺産分割協議が行われる前でも、被相続人の預金口座から一定額の現金を引き出せる制度です。

払戻制度を利用すれば、全ての相続人の承諾がなくても引き出した現金を葬儀代や生活費などに用いることができます。

払戻制度を利用する際は、対象の金融機関での手続きする方法と、家庭裁判所で手続きを行う方法のどちらかを選択しなければなりません。

金融機関で手続きを行った場合は上限が150万円までです。

一方で、家庭裁判所で手続きを行った場合は、引き出す現金の上限は定められていません。

150万円を超える現金を引き出す必要がある場合は、家庭裁判所で手続きをするようにしましょう。

払戻制度を利用するメリット

金融機関で払戻制度を利用するメリットは、直接金融機関に足を運び手続きをするだけで現金の引き出しが可能になることです。

150万円未満の現金を引き出す場合は、金融機関での手続きの方がスムーズに行えます。

家庭裁判所で払戻制度を利用するメリットは、150万円以上の現金の引き出しが可能になることです。

払戻制度を利用するデメリット

金融機関で払戻制度を利用するデメリットは、引き出せる金額に上限が設定されていることです。

150万円を超える金額は引き出せません。

また、複数の金融機関に対し利用する場合は、それぞれの窓口で手続きする必要があるため手間がかかります。

手続きには被相続人の戸籍謄本や、払戻制度を利用する人の本人確認書類、実印、印鑑証明書などの用意も必要です。

家庭裁判所で払戻制度を利用するデメリットは、理由の説明と手続きに費用や時間がかかることです。

払戻制度の必要書類

払戻制度を利用する際に必要なものは、以下のとおりです。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から亡くなるまで)または法定相続情報一覧図
  • 全ての相続人の戸籍謄本
  • 払戻制度を利用する人の本人確認書類(運転免許証など)、印鑑証明書
  • 払戻制度の申請用紙

金融機関の窓口で手続きする場合は、以下の準備も必要です。

  • 通帳
  • カード
  • 届出印

払戻制度の利用で発生しうる問題と対策

仮払い制度を利用しても、相続の手続きを進めるうえではトラブルが生じる可能性があるため注意が必要です。

トラブルとなるケースの1つ目は、相続放棄をしようとした場合です。

仮払い制度を利用して銀行口座の払い出しを行った後、被相続人に多額の借金があることがわかったとします。

相続放棄すれば、その借金を相続して返済する必要はありません。

しかし、仮払い制度を利用したばかりに、相続放棄ができなくなる場合があります。

仮払い制度を利用して払い出したお金を、葬儀費用や入院費用などの支払いに充てたのであれば問題にはなりません。

しかし、仮払い制度を利用して引き出したお金を個人的に使った場合、相続放棄をできなくなります。

そのため、被相続人に借金があるかもしれない場合など、相続放棄する可能性がある際は仮払い制度を利用しない方が良いでしょう。

トラブルの2つ目は、遺産分割の際にもめる原因となる可能性があります。

引き出したお金を葬儀費用などの支払いに使っていれば、本来は問題となりません。

しかし、引き出したお金を何に使ったか説明できないと、他の相続人から自分で使ってしまったのではという疑いを持たれてしまいます。

その結果、遺産分割の際にその分を差し引いて計算されてしまうこととなるのです。

仮払い制度を利用する場合には、他の相続人にも話をしておくとともに、何に使ったか後から確認できるようにしておきましょう。

遺言書にしたがって解約する場合

亡くなった人が遺言書を作成していた場合は、その遺言書に書かれた人が銀行口座の残高を引き継ぎます

遺言書には被相続人が自ら作成した自筆証書遺言と、公証役場で公証人が作成した公正証書遺言があります。

このうち自筆証書遺言が有効に成立するためには、家庭裁判所で検認の手続きを受けなければいけません。

検認を受けたことを示す検認調書または検認証明書がないと、銀行で解約手続きができないため注意が必要です。

一方、公正証書遺言は公証役場に遺言書の正本が保管されており、公証役場でその副本を取得し、銀行に提出しなければなりません。

この他、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書などが必要です。

遺産分割協議を行って解約する場合

相続人で話し合いを行って遺産の分割方法を決めた場合は、その内容を記載した遺産分割協議書を作成します。

銀行などの第三者は遺産分割の方法がわからないため、この遺産分割協議書がないと名義変更や解約などの手続きができません

銀行口座の解約を行う場合も、遺産分割協議の内容を記載した遺産分割協議書を提出する必要があります。

この他に、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書などを準備します。

遺産分割協議書も遺言書もない場合

相続人が1人しかいない場合、あるいは配偶者と子供といったように遺産分割協議を行う必要のない場合もあります。

このような場合、法定相続分で遺産分割するのであれば、遺産分割協議書などがなくても相続手続きができます

銀行口座の解約を行う場合にも、法定相続分に遺産分割するのであれば遺産分割協議書は必要ありません。

この場合は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書などがあれば解約手続きができます。

銀行口座の凍結に慌てないようにしておくべきこと

銀行口座は、亡くなったという事実が確認できたらすぐに凍結されてしまいます。

その凍結を解除して払い出しを受けるためには、手続きが必要ですが時間がかかります。

そこでこの章は、銀行口座を凍結されても困ることのないように、事前にできる準備を見ていきましょう。

  • 利用している銀行を把握しておく
  • 利用している銀行を整理する
  • 通帳・キャッシュカード・印鑑の保管場所を伝えておく
  • 相続についての相談をしておく
  • 遺言書を残しておく
  • 現金を先に引き出しておく
  • 生前贈与で相続財産を減らしておく

では詳しく説明していきましょう。

利用している銀行を把握しておく

被相続人が利用している銀行や支店名について、他の家族も知っておく必要があります。

これは、銀行口座が凍結された場合に備えるためだけではありません。

実際に遺産分割を行う際には、残高がわずかしかない銀行口座も遺産分割協議の対象となるからです。

もし、遺産分割協議の際に漏れている銀行口座があると、もう一度協議をやり直さなければなりません。

そのようなことにならないため、利用しているすべての銀行を把握しておくのが理想です。

特に、メインとして利用している銀行以外にも複数の銀行口座を保有している場合には要注意です。

また、インターネットバンクに口座を保有していることもあるため、この場合も注意しなければなりません。

銀行口座を保有していることを亡くなってから通帳や郵送物で確認する場合に、口座の存在に気付かないことがあります。

特にインターネットバンクの場合は通帳がなく、郵送物もほとんどないため生前に知らなければその存在を知るのは難しいでしょう。

どのような銀行に口座を保有しているのか、生前にあらかじめ確認しておくと安心です。

利用銀行を整理する

口座凍結で困らないためには、自分の利用している口座を整理しておくのも有効です。

複数の口座があったり、全然使っていないのにお金が残っている口座があったりすると、把握する側も大変です。

使っていない口座があると相続する側も混乱するため、なるべく解約するのがおすすめです。

生前に口座を整理して、預金の管理が簡単にできるようにしておきましょう。

通帳やキャッシュカード、印鑑の保管場所を決めておく

どのような銀行に口座を保有しているのかを知っていても、その通帳やキャッシュカードが見つからない場合もあります。

これでは、銀行口座の仮払いを受けるときや相続に関する手続きを行う際に支障が生じるでしょう。

できるだけスムーズにこのような手続きを行うためには、通帳やキャッシュカードの保管場所を決めておく必要があります。

できれば、家族で通帳やキャッシュカードの保管場所についての情報を共有しておきましょう。

また、どの印鑑を銀行印として利用しているかもあわせて確認しておくことが大切です。

日ごろから相続についての話をする

どういった種類の財産があり、どのような銀行に口座を保有しているのかという情報は、相続や遺産分割の際に重要です。

ただ、このような情報は家族同士であっても他の人に話すことはあまりないでしょう。

しかし、親としては遺産分割についての考え方を子どもに伝えておくことで、スムーズな遺産分割を実現できます。

また、子どもとしても親の思いを知ることで、「相続の際にもめないようにしよう」という意識が強くなるはずです。

親子や家族で情報を共有するためには、お互いの信頼関係が欠かせません。

普段は離れて暮らす親子でも、定期的に連絡を取ったり訪問したりすることで、相続についての思いを確認しておきましょう。

遺言書を残しておく

遺言についての話をするだけでは、相続時にトラブルが発生するかもしれません。

子供と話し合って、相続に関する内容が決まれば、遺言書を作成するのがおすすめです。

適切な遺言書を作成すれば、相続時に効力を発揮して、決まった内容で相続ができます。

生前の口約束だけでは、相続時にどんなトラブルが起こるかわかりません。

「相続のことで苦労してほしくない」と思う人は、遺言書を作成しておきましょう。

ただし遺言書は作成すればOKではありません。自作も可能ですが、書式や内容にミスがあると効力を持たない遺言書になります。

せっかく遺言書を作成したのに、相続で法的効力を発揮しないと意味がありません。

相続に精通した専門家に相談して、間違いのない遺言書を作成するのが確実でしょう。

現金を先に引き出しておくことも可能

亡くなった後に被相続人の口座から現金を引き出すことは、口座が凍結されてしまった場合、所定の手続きをしなければなりません。

しかし、亡くなってしまう前であれば、キャッシュカードと暗証番号さえあれば現金を引き出すことはできます。

もし家族に死期が迫っているかもしれないと感じたときには、銀行口座から現金を引き出すことも対策の1つです。

ただし、現金を引き出した人がそのお金を使ってしまわないように注意しましょう。

また、実際に使っていないにもかかわらず、使ってしまったのではないかと誤解を受けるようなことも避ける必要があります。

こうしたトラブルを未然に防止するためには現金を引き出しておくことは、他の相続人にも伝えておくことが大切です。

払い出した現金は厳重に管理し、必要に応じて使った分は領収書などでその金額がわかるようにしておきましょう。

亡くなった時点での残高が相続財産となるため、その点も間違えないようにしなければなりません。

生前贈与して相続財産を減らしておく

口座凍結で困らないためには、生前から財産を贈与しておく方法も有効です。

生前贈与は、暦年贈与といって、毎年110万円以下なら贈与税がかかりません。

暦年贈与以外にも、課税されずに贈与する方法はあります。

自分の財産を生前から贈与しておくことで、もし亡くなったときの相続財産を減らすことができます。

なにも対策しておらず、口座に多額の預金を残している場合は、口座凍結によってお金が動かせなくなるかもしれません。

葬儀費用の支払いなどで、残された子供・家族が困る可能性もあります。

そこで生前から贈与をして、財産を渡しておけば、もし亡くなったときに口座が凍結されてもダメージが少なくなります。

ただし生前贈与は非課税枠を活用しないと、高い贈与税を払うことになります。

生前贈与するなら、節税できる方法を選び、課税金額を減らした方がお得です。

口座凍結を解除して再開しない方が良いケースとは

被相続人の預貯金の口座凍結の解除を行わない方が良い場合もあります。

2つのケースを紹介します。

残高が少ない場合

口座凍結の解除を行う際は、金融機関や家庭裁判所へ直接足を運び、必要書類を集めて手続きをするなどの手間がかかります。

預貯金の残高が少なく、労力に見合った金額が残されていないなら、放置するのも1つの方法です。

マイナスの財産が多い場合

プラスの財産よりもマイナスの財産が多いケースは、口座凍結の解除はおすすめできません。

被相続人の預貯金を引き出した時点で相続を承認したと見なされるため、債務などの借金も相続することになり、相続放棄できなくなります。

凍結解除・指定口座への振り込みにかかる時間

口座凍結に関して「解除までどれぐらいかかるの?」と思う人もいるでしょう。

基本的には、手続きから口座の凍結を解除するまで10日程度かかります。

さらに凍結解除した口座から、指定の口座に振り込みするまでは1~2週間かかります。

つまり凍結解除から自分の口座に振り込まれるまでは、3~4週間程度かかります。

ちなみに、ゆうちょ銀行の場合は指定口座に振り込まれるまで1か月程度かかるので注意しておきましょう。

口座凍結・相続について悩んだら専門家に依頼しよう

「口座凍結されたけど、解除手続きが分からない」という人もいるでしょう。

手続きは自分だけでも可能ですが、不安な人は専門家への依頼がおすすめです。

専門家に任せると、口座凍結の解除だけではなく、相続の手続き・税金の対策まで任せられます。

ここからは、専門家に依頼するメリットを紹介します。

面倒な手続きを任せられる

相続・口座凍結の解除を経験している専門家であれば、安心して手続きを任せられます。

もし凍結された口座を解除したいなら、必要書類を集めて、金融機関に提出しなければいけません。

書類の不備があれば再提出を求められて、被相続人の預金を自分の手元に持ってくるまで時間がかかります。

「凍結解除の手続きがよく分かってない」という人は、自力で行わずに、最初から専門家へ依頼した方が安全でしょう。

相続税対策ができる

税理士に依頼すれば、口座凍結の解除だけじゃなく、相続税の対策もできます。

相続税は他の税金に比べて税率が高く設定されているため、対策をしておかないと、高い税金を払うことになります。

また相続では、税金を抑える「特例」という仕組みがあります。

特例をうまく活用すれば節税できますが、特例が適用される条件を満たしていたり、期限内に手続きしたりしなければいけません。

税務の専門的な知識が必要であり、さらに書類を揃える手続きの手間もあります。

相続に精通している税理士に依頼すれば、バッチリ相続税対策ができます。

「相続税で損をしたくない」という人は、税理士への依頼がおすすめです。

初回の無料相談から利用しよう

「専門家に依頼したいけど、費用が気になる」という人もいるでしょう。

たしかに専門家に依頼するには、費用が発生します。

費用が気になる方は、無料相談を利用しましょう。

多くの専門家は、初回の相談を無料で受け付けています。

無料の範囲で相談をしてみて、実際に料金の見積もりをもらってから、依頼するかどうか判断できます。

無料相談の範囲内なら、費用も発生しないため、損することもありません。

まとめ

被相続人の名義の銀行口座については、相続手続きを行わなくてもATMで現金を引き出すことができると考えているかもしれません。

しかし、死亡した事実を確認した銀行は、その口座をある日突然凍結します。

親族から申し出なくても凍結される場合もあるため、注意しなければなりません。

凍結されてしまった銀行口座については、その後に払い出しを受ける際には所定の手続きが必要となります。

難しい手続きではありませんが、書類をそろえて平日の営業時間中に窓口に行く必要があるため、かなり制約があります。

また、急いで支払いを受けようとしても思いどおりに進まないこともあるでしょう。

亡くなってから慌てることのないよう、今回紹介した事前準備を進めておくことが大切です。

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古尾谷 裕昭

税理士:古尾谷 裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士。
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三ツ本 純

税理士:三ツ本 純

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税理士・元国税調査官:桑原 弾

ベンチャーサポート相続税理士法人税理士。
昭和55年生まれ、大阪府出身。
大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
プロフィール

行政書士:本間 剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。
昭和55年生まれ、山形県出身。
はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。
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司法書士:田中 千尋

ベンチャーサポート司法書士法人 代表司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。
相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。
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弁護士:川﨑 公司

ベンチャーサポート相続税理士法人運営協力/弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所(https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/) 所属弁護士。
新潟県出身。
相続問題は複雑なケースが多く、状況を慎重にお聞きし、相続人様のご要望の実現、相続人様に合ったよりよい解決法をアドバイスさせていただくようにしています。
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税理士:高山 弥生

ベンチャーサポート相続税理士法人 税理士。
相続は、近しい大切な方が亡くなるという大きな喪失感の中、悲しむ間もなく葬儀の手配から公共料金の引き落とし口座の変更といった、いくつもの作業が降りかかってきます。おひとりで悩まず、ぜひ、私たちに話してください。負担を最小限に、いち早く日常の生活に戻れるようサポート致します。
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