この記事でわかること
- 除籍謄本とはなにかわかる
- 除籍謄本の取り方には4つあることがわかる
- 除籍謄本を取るときの注意点が理解できる
- 専門家に依頼して除籍謄本を取得するメリットがわかる
身近な方が亡くなれば、遺族は死亡届の提出から葬儀の手配、市町村役場や金融機関などでの事務手続きが必要になります。
また、遺言書がなければ遺産を調べ、相続人の調査を行った上で、遺産分割協議を行って財産を分割する相続手続きも必要です。
相続人の確認は、相続手続きを進める上でも、基礎控除額の計算など相続税の申告を行う上でも重要です。
後になって新たな相続人が出現すれば、遺産分割協議をやり直さなければならず、相続税も修正申告などが必要になってしまいます。
相続人の調査に際しては、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍記録を確認する必要があり、除籍謄本などを取得して確認します。
以下では、除籍謄本とは何か、除籍謄本の取り方について紹介します。
また、除籍謄本を取得する際の注意点や専門家に取得を依頼するメリットについても、併せて紹介します。
目次
除籍謄本とは
除籍謄本は、戸籍に記録されている親族が、婚姻や死亡、転籍などによって全員いなくなった戸籍を指します。
戸籍は、生まれてから死亡するまでの間、出生、親子や兄弟姉妹の関係、養子縁組、婚姻、死亡などの親族関係を公的に記録するために作成されます。
親族関係の証明が必要な際は、本籍地のある市区町村で戸籍の写しを交付してもらうことができ、これを戸籍謄本と呼びます。
一方、戸籍に記載された夫婦や子は、婚姻や死亡などがあれば戸籍から削除され、やがては全員削除されることになります。
また、本籍地を移動する場合にも、それまでの戸籍が削除されて、転出先の市区町村で新たな戸籍が編成されることになります。
このような全員が削除された戸籍を取得する場合は、戸籍謄本ではなく除籍謄本と呼ばれることになります。
除籍謄本は相続で必須
「除籍謄本ってなにで使うの?」と思うかもしれません。
結論からいうと、除籍謄本は法定相続人の確定で必要になります。
相続が始まったら「誰が相続の権利を持っているのか?」を確認して、法定相続人を確定しなければいけません。
法定相続人は、亡くなった被相続人の配偶者・子供・両親などが該当します。
もし亡くなった被相続人に、隠し子がいた場合に、その子供は法定相続人になります。
隠し子のような誰も知らない法定相続人が発見されるケースもあります。
法定相続人の確認に抜かりがないように、亡くなった被相続人に関する戸籍を全て揃えなければいけません。
そのためには現在の戸籍だけではなく、亡くなった被相続人の除籍謄本まで取り寄せて、法定相続人がいないか確認します。
このように法定相続人を確定するのに、除籍謄本は欠かせません。
除籍謄本が必要になる手続き
除籍謄本は法定相続人の確認だけではなく、下記の手続きで必要です。
- ・不動産登記
- ・預金払戻し/名義変更
- ・株や車の名義変更
これらの手続きがある場合は、除籍謄本を準備しなければいけません。
除籍謄本の取り方4つ
戸籍は、本籍地のある市区町村において、筆頭者ごとに記録・管理されています。
このため、除籍謄本を取得したい場合は、本籍地を確認して、その市区町村役場に申請することになります。
申請方法は、戸籍謄本を取得する場合と同様、窓口での直接申請の他、郵送による申請も可能です。
また、親族に依頼する方法や第三者に委任して申請を行う方法もあります。
以下では、除籍謄本の取り方について4つの方法を確認しましょう。
窓口申請
戸籍に記載されている本人や親戚・相続に関係する人なら、本籍地のある市区町村役場に出向き、戸籍を扱っている窓口で直接申請することができます。
窓口で使用目的を告げて相談すれば過不足なく取得できるため、戸籍などの書類を取得することに慣れていない方にもおすすめです。
取得手続きの流れと手数料
通常、窓口では、平日の開庁時間に受付と発行が行われています。
窓口には請求用紙が備え付けられているため、その場で必要事項を記入して提出します。
窓口では記入方法が分からない場合でも担当者に確認しながら記入できるため安心です。
提出時には、請求者の本人確認書類の他、請求した戸籍に請求者が記載されていない場合は、戸籍謄本など関係が確認できる書類が必要になります。
取得費用は、1通について750円です。
窓口申請用の請求書について、横浜市の様式を用いて作成した記入例を紹介します。
郵送請求
本籍地が遠方にある場合は、郵送で請求することもできます。
往復の郵送に日数もかかるため、窓口申請のような迅速性では劣るものの、わざわざ市区町村役場に出向く必要がないため便利です。
取得手続きの流れと手数料
郵送で請求する場合は、請求書の他、必要書類や手数料を同封しなければならないため、事前の準備が必要になります。
また、請求書の記載内容に不備がある場合や必要書類が不足している場合、手数料が足りない場合などは処理が滞ってしまうことに注意が必要です。
請求書は、それぞれの市区町村役場のホームページで提供され、ダウンロードして利用することが一般的です。
また、請求書と同封する本人確認書類の写しなどの書類、郵送先などの指定についても、それぞれのホームページに説明があります。
請求書を記載したら、必要書類と手数料、切手を貼った返信用封筒を同封して、指定された住所に郵送します。
手数料は現金ではなく、郵便局で定額小為替を購入して同封する必要があります。
なお、配達が記録されるレターパックや特定記録郵便などを利用して送ると、郵便物の配達が確認できて安心です。
通常、交付された除籍謄本が返送されるまでに1~2週間前後かかります。
少しでも急ぎたい場合は、返送用封筒も含め、速達を利用すると良いでしょう。
取得費用は、窓口請求同様1通について750円ですが、定額小為替の購入手数料の他、往復の郵送切手代もかかることになります。
郵送申請用の請求書について、横浜市の様式を紹介します。
窓口申請用とは様式が少し異なっているものの、記載する事項については基本的に変わりがありません。
親族に請求手続きを依頼
本籍地が遠く離れている場合や郵送請求が不安な場合などで、窓口での請求も郵送による請求も利用が難しい場合があります。
この際、本籍地やその近くに居住している親族がいる場合は、親族に請求手続きを依頼する方法があります。
除籍謄本は、戸籍に記載されている本人だけでなく、配偶者や父母、祖父母、子、孫など直系の親族なら、請求が認められています。
第三者に請求手続きを委任
前述したように、時間が割けない、郵送請求に自信がない、本籍地近くに親族がいないなど、請求者本人が請求手続きを行うことが難しい場合があります。
この場合は、委任状によって相続の専門家などの第三者に取得を依頼することも可能です。
委任する方は必要書類と委任状を準備し、委任された方は自身の本人確認書類を提示して取得することになります。
取得費用は、最低、窓口申請と郵送申請にかかる実費がかかる他、専門家に依頼する場合は報酬が発生することになります。
除籍謄本を取るときの注意点
相続が発生した場合は一般的に、亡くなった方の出生から死亡までの連続する戸籍を取得する必要があります。
出生時の戸籍にさかのぼるためには、亡くなった方の親の戸籍を取得することになりますが、この場合は通常、除籍謄本を取得することになります。
また、転籍などによって除籍された戸籍簿がある場合にも、当時の本籍地で除籍謄本を取得する必要があります。
では、それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。
出生から死亡まで連続している必要がある
出生から死亡までを連続して確認するためには、除籍謄本や改正原戸籍、戸籍謄本を、記録が1日でも途切れないように取得しなければなりません。
それぞれの除籍と新たな戸籍の編製日が一致するか、亡くなった方の婚姻や転籍などの日付が連続するかを確認しながら、漏れなく取得する必要があります。
死亡届を提出した直後は取得できない
亡くなった方の死亡届が提出されても、戸籍や住民票に反映されるまでには10日前後かかることが一般的です。
このため、死亡届を提出した場合でも、直後には取得できないことに注意が必要です。
取得できないこともある
除籍謄本にも150年の保存期限があるとともに、戦災や震災などによって消失してしまい、除籍謄本が取得できないこともあります。
なお、このような場合は、焼失証明や廃棄証明を発行してもらうことによって代用することができます。
戸籍制度の改正で戸籍の様式が異なる
現代の戸籍制度は、明治5年に始まり、明治19年、同31年、大正4年、昭和23年、平成6年と制度が改正されてきました。
大正初期から昭和23年頃までに生まれた方が亡くなった場合は、大正4年式戸籍がスタートとなり、現在の様式とは大きく異なっています。
この様式が使われている除籍謄本を読み取るためには、戸籍に関する基礎知識が必要になります。
戸籍制度の改正でも新たな戸籍が編成される
婚姻や転籍などによって新たな戸籍が編成されると、それまでの戸籍から除籍され、削除されます。
これと同様に、戸籍制度の変更があった場合も新たな戸籍が編成され、従来の戸籍は削除されることになります。
ただし、この場合は、除籍謄本と区別して改正原戸籍と呼ばれます。
昭和になって以降、2回の改製が行われているため、転籍などがない場合でも複数の戸籍が存在していたことになります。
相続で出生から死亡までの連続した戸籍が必要な場合は、除籍謄本だけでなく、改正原戸籍も取得する必要があります。
このため、請求時に、連続した戸籍が必要であることを説明することが大切です。
判読できないこともある
現在のようにコンピュータ化された様式とは異なり、毛筆手書きの旧字体で記載されている戸籍や除籍の記録は、簡単には読み取れないことも珍しいことではありません。
発行した市区町村や地元の市区町村の戸籍担当などに相談する方法もあるものの、判読できなければ相続人を確認することができません。
コンビニでは取得できない
「わざわざ役所まで行って取得するのが大変だから、コンビニで手続きできないの?」と思うかもしれません。
除籍謄本は、コンビニで取得できません。
自治体にもよりますが、コンビニで取得できるのは現在の戸籍のみです。
除籍謄本は役所に行かないと取得できないので注意しましょう。
有効期限に注意
除籍謄本を提出する場合に「取得から1年以内」と期限が決められているケースがあります。
金融機関などでは、提出する除籍謄本の有効期限が定められていることが多いです。
すべての期間が有効期限を定めているわけではなく、法務局・裁判所などは有効期限を設定していません。
金融機関などで手続きする場合は、事前に除籍謄本の有効期限を確認しておきましょう。
専門家に依頼して除籍謄本を取得するメリット
日々の仕事や暮らしに追われる中で、漏れなく連続する戸籍を取得するのは簡単ではないケースも少なくありません。
このような場合は相続の専門家に依頼すれば、時間や労力の無駄がなく、取得漏れなどのミスが発生することを防ぐこともできます。
以下では、除籍謄本の取得を相続の専門家に依頼する場合のメリットを確認しましょう。
労力や時間の無駄が省ける
出生から死亡までには、通常でも婚姻や転籍、戸籍制度の改正などによって、新しい戸籍が複数回作成されることが通常です。
戸籍書類に不慣れな方が、全てを自分で取得するとなれば、どうしても無駄な労力や時間がかかってしまいます。
専門家に依頼すれば、安心して全てを任せることができるため、このような無駄を省くことができ、手続きの心労からも解放されます。
取得漏れが発生しない
同一市町村で生涯を過ごした場合を除けば、複数の市区町村から除籍謄本を取得しなければなりません。
特に、転籍が多い場合や同一市町村への転出入を行った場合などは、除籍謄本を取得する際に漏れが発生しやすくなります。
せっかく除籍謄本を集めても、出生から死亡までが連続しなければ、相続人を確定することができません。
相続に詳しい専門家に依頼すれば、このような事態を防ぐことができます。
相続手続きも依頼できる
相続手続きは、除籍謄本を取得するだけで終わりではありません。
遺産分割協議を行うとなれば、相続人全員が参加して話し合いを行う必要があり、証拠として遺産分割協議書も作成しなければなりません。
預金があれば金融機関での手続きがあり、不動産があれば所有権移転登記の手続きも必要です。
専門家に依頼すれば、このような処理についても相続手続きの一環として引き受けてもらうことができます。
身内だけでの話し合いでは時として争いに発展する可能性もあり、客観的な立場で相談できる専門家がいれば安心です。
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「専門家に依頼したいけど費用が気になる」という人もいるでしょう。
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まとめ
除籍謄本を取得する際は、出生から死亡までの記録が途切れることなく、すべて連続しているかどうかが重要です。
たとえば、転居のたびに本籍地を変更していた場合などでは、一か所でも謄本が欠けていれば記録が不連続となり、証拠として成立しないことになってしまいます。
特に、同一市町村への転入と転出を複数回行ったケースでは、1回の申請で謄本が揃わないことも起こりがちです。
また、コンピュータ化以前の手書きの謄本を取得した場合には、文字が判読できないことも珍しいことではありません。
改製年月日の読み間違えや転籍の原因となった日付の勘違いなども起こりやすく、このようなケースでは連続した謄本を取得できない事態も発生します。
戸籍の見方に不慣れな方、時間や労力が割けない方、取得手続きに不安のある方などは、相続に詳しい専門家に相談することがおすすめです。
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