この記事でわかること
- 名義預金の相続税申告書の書き方がわかる
- 相続税申告書に添付する書類がわかる
- 相続税申告書の提出期限がわかる
- 相続税申告書の提出方法がわかる
口座名義と実質的な預金者が異なる預金を「名義預金」といいます。
名義預金となる例には、子どもや孫名義で口座開設し、いずれ本人に渡すつもりで親や祖父母が入金しているケースがあります。
名義預金自体に問題はありませんが、実質的には預金者の財産ですから、当人(親や祖父母など)が亡くなったときには相続財産にカウントしなければなりません。
しかし多くの方は自分の財産という認識がないため、相続税申告から漏れやすく、税務調査で指摘されるケースが増えているようです。
つまり、申告さえしておけば問題はないものということです。
今回は名義預金の相続税申告を詳しく解説します。
申告書の書き方や添付書類もわかりやすく解説しますので、名義預金に該当する財産がある方はぜひ参考にしてください。
目次
名義預金の相続税申告書の第11表に記載する
引用:国税庁
名義預金は実質的には預金者の財産なので、当人の相続財産に含まれます。
相続税が発生するときは相続税申告書を作成しますが、名義預金を記載する様式は相続税申告書の「第11表」です。
第11表は相続財産の明細となっており、最終的には第1表の課税価格や申告納税額にも反映させましょう。
相続税申告書は税務署窓口や国税庁ホームページから入手できますが、ネット上からダウンロードするときは最新様式を選択してください。
名義預金の相続税申告書の書き方・添付書類
相続税申告書は第1~15表までありますが、今回は以下の4種類について書き方を解説します。
第1表 | 課税額等の合計を記載 |
---|---|
第2表 | 課税遺産総額や各自の相続税額を記載 |
第11表 | 財産の明細(名義預金など)を記載 |
第15表 | 各相続人別の取得財産や取得額を記載 |
実際に作成するときは、第11表→第15表→第1表→第2表の流れになります。
なお、第1表と第15表は機械読み取りなので、必ず黒ボールペンを使用し、指定された書体で記載しましょう。
相続税申告書第11表の書き方
引用:国税庁
相続財産に名義預金があれば、以下の要領で相続税申告書の第11表に記載します。
共通部分
- 被相続人:亡くなった方の氏名
- 遺産の分割状況:一般的には全部分割なので、先頭の「1」を丸で囲みます
- 分割の日:遺産分割した年月日
財産の明細の部分
- 種類および細目:どちらも「現金預貯金等」と記載
- 利用区分、銘柄等:上部に普通預金などの預金種別、下部に「○○名義」と記載
- 所在場所等:金融機関名および支店名
- 数量および単価:空欄で構いません
- 価額:相続発生時の残高
- 取得した人の氏名:名義預金を相続した人の氏名
- 取得財産の価額:実際に取得した金額
合計表については、空欄部分に相続人氏名を記載し、下に向かって分割財産の価額等も記載します。
(各人の合計)欄まで記載すれば第11表は完成です。
相続税申告書第15表の書き方
引用:国税庁
申告書の第15表は第11表の内容に基づいて記載します。
様式は左右の列に分かれていますが、左側は相続人全員が取得した財産の合計額、右側には各相続人が個別に取得した財産額を記載します。
名義預金については、まず左側(被相続人の欄)の「現金、預貯金等」の欄に預貯金の総額を記載し、次に右側へ実際に取得した金額を記載してください。
最後は両方とも課税価格の欄に合計を記載しておきます。
なお、相続人が複数いるときは「第15表(続)」を追加しますが、左右どちらの列も相続人の記載欄になっているので注意してください。
この表は少しわかりづらい様式になっていますので、この時点で不安に感じた方は早めに税理士に相談することをおすすめします。
相続税申告書第1表の書き方
引用:国税庁
相続税申告書の第1表は、第11表や第15表の内容を転記するイメージです。
左側に相続人全員が取得した財産の合計額、右側に個別の取得額を記載しますが、相続人が複数いるときは第1表(続)を追加してください。
なお、「遺産に係る基礎控除額」よりも課税価格の合計が低いときは、相続税はかかりません。
ただし、特例控除などを使って非課税になる場合は申告が必要です。
相続税申告書第2表の書き方
引用:国税庁
申告書第2表は「相続税の総額」を計算するための様式です。
まず課税価格の合計額から基礎控除を差し引き、課税遺産総額を計算します。
次に相続人の氏名を記載し、法定相続分に従った分割割合で各自の課税額を計算しておきます。
最後は相続税の速算表から税率や控除額を適用し、各自の税額を合計すると相続税の総額がわかります。
相続税の総額が計算できたら第1表に戻り、「各人の算出税額の計算」の欄を使って、実際の相続割合で按分して各自の相続税額を算出しておきましょう。
相続税申告書の添付書類
相続税申告書には以下の書類を添付します。
相続税申告書の添付書類
【市町村役場で取得する書類】
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍の附票
- 相続人全員の住民票
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書を提出する場合)
- 固定資産評価証明書や名寄帳(不動産がある場合)
【法務局で取得する書類】
- 登記事項証明書(不動産がある場合)
【金融機関で取得する書類】
- 残高証明書
【その他】
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
- 遺言書
- 遺産分割協議書(遺言書がない場合)
上記は代表的な添付書類なので、財産内容によってはさらに多くの書類が必要になります。
参考:国税庁
相続税申告書の提出期限
相続税には申告期限と納付期限があり、どちらも相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内となっています。
一見余裕がありそうに思えますが、相続人の確定や相続財産の調査、遺言書がない場合は遺産分割協議も必要なので、期限ぎりぎりになるケースも少なくありません。
期限に間に合わなかったときは延滞税も加算されるので、できるだけ早めに対応しましょう。
相続税申告書の提出方法
相続税申告書には3種類の提出方法があります。
相続税申告書の提出方法
- 税務署窓口へ提出
- 税務署へ郵送提出
- 電子申告(e-Tax)
具体的な提出方法は次に解説しますが、いずれも被相続人の最後の住所地を管轄する税務署あてになるので、不明な場合は国税庁ホームページから検索してください。
被相続人の最後の住所地は住民票の除票から確認できます。
なお、相続税申告は全員共同が原則なので、全員の連名・押印による申告書を提出しましょう。
参考:税務署の所在地(国税庁)
税務署窓口へ提出
もっとも一般的な提出方法です。
相続税申告書の記載漏れや記載ミス、添付書類はすべて提出前に再チェックすることをおすすめします。
税務署へ郵送提出
管轄税務署あてに郵送する方法ですが、相続税申告書は「信書」にあたり、用紙サイズ(A4)の関係もあることから、以下の郵送方法しか利用できません。
- 手紙(定形外郵便物)
- レターパック
どちらも日本郵便のサービスなので、近くの郵便局を利用しましょう。
電子申告(e-Tax)
2019年10月から相続税の電子申告も可能になりました。
インターネットに繋がったパソコンがあれば、場所や時間(通常は平日のみ)を気にせず申告できますが、導入時の設定がかなり複雑です。
相続人全員の利用者識別番号が必要となり、送信できるデータ容量も決まっているため、添付書類が多いときは郵送扱いになる可能性もあります。
パソコンが苦手な方には窓口提出や郵送提出をおすすめしますが、電子申告に慣れている税理士に依頼してもよいでしょう。
まとめ
名義預金をする方の多くは「子どもや孫にあげたもので自分の財産ではない」と考えられているため、生前贈与の感覚といえるでしょう。
しかし贈与の証拠がなければ実質的に預金者の財産になるので、相続税は必ず申告しなければなりません。
申告書の書き方は本コラムでご理解いただけたでしょうが、他にも記載する財産は多数あり、添付書類が膨大になるケースもあります。
「どこまでが名義預金になるのかわからない」「相続税申告書の作成が難しい」と悩んでいる方は、できるだけ早めに税理士へ相談しましょう。
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