相続はそれぞれのご家庭でお悩みのポイントが大きく異なるため、専門家に相談しようにも誰に相談していいか判断できない方という方が多いです。
身内がお亡くなりになって、相続の手続きをどう進めていいか?誰に相談していいか?わからないという方のために、相続のお悩みごとに税理士、司法書士、弁護士など、どの専門家に相談すべきかをわかりやすく解説します。
目次
相続はどこに相談する?弁護士、税理士、司法書士、行政書士の違い
税理士と司法書士の弁護士の違い
相続に関する業務は、税理士、司法書士、弁護士などそれ以外にも多くの専門家の力を必要とする様々なケースがあります。
これら士業(しぎょう)と呼ばれる国家資格を有する専門家には「独占業務」といって、法律的にその資格保有者でなければサポートしてはいけない業務があります。
まず、どの専門家がどういった独占業務を持っているのかその違いを確認しておきましょう。
税理士の業務
税理士の独占業務は、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つです。
相続に関する具体的な業務は、相続税申告、所得税の準確定申告、それらに関わる節税提案や税務調査対策などになります。
司法書士の業務
司法書士の独占業務は、不動産登記・商業登記の申請代理です。
相続に関する具体的な業務は、相続登記といわれる不動産の名義変更、抵当権の設定や抹消、あるいは民事信託や成年後見人制度の対応などになります。
弁護士の業務
弁護士の独占業務は、有償にて裁判書類の作成や法律相談業務、民事裁判の代理人になることです。
相続に関する具体的な業務は、遺産分割協議の調整や遺産分割調停、遺留分侵害額請求の対応などになります。
相続の相談を誰から先にするべきか
先ほど説明した各専門家の独占業務を考慮したうえで、相続が発生した場合に誰から先に相談すべきかを見ていきましょう。
相続に関する業務にはそれぞれ期限が設定されているため、期限の早く到来する問題から解決していくのが合理的です。
相続業務 | 期限※ | 解決できる専門家 |
---|---|---|
相続税申告 | 10カ月以内 | 税理士 |
準確定申告 | 4カ月以内 | 税理士 |
相続登記 | 3年以内 | 司法書士 |
遺産分割協議 | なし(相続税申告より先) | 弁護士 |
遺留分侵害額請求 | 1年以内 | 弁護士 |
相続放棄 | 3カ月以内 | 司法書士・弁護士 |
- ※
- 期限の始期は基本的に「相続の開始があったことを知った日」となります。ほとんどの場合は死亡日を指しますが、音信不通などで死亡後すぐにその事実を知らされない場合が想定されています。
表より、相続放棄の判断が一番早く迫られ、その次に準確定申告、その次が相続税申告の期限より先に済ませなければならない遺産分割協議となります。
相続放棄を検討する場合
まず相続放棄ですが、これは亡くなった方が財産以上に借金などの負債を抱えていて相続したくない場合にその権利を自ら放棄する手続きです。
3カ月以内のこの手続きを怠ると、自分で作ったものではない借金を背負うこととなるため最優先で確認すべき事項でしょう。
借金がない場合でも相続放棄を選択するケースは稀にありますが、基本的に相続放棄を検討する場合は総財産額がマイナスであるかとても少ないことがほとんであるため、相続税を申告する必要がなく、司法書士か弁護士(いずれでも可)に相談しましょう。
遺産分割で揉める場合
亡くなった方の財産が残っていて、相続放棄を一切検討しない場合は遺産分割協議を終わらせることが重要となります。(次に期限が早いのは準確定申告ですが、特殊なケースを除いて重要度は遺産分割協議より低いです)
遺言書があるケース、ないケースいずれにしても遺産分割で残された相続人同士が揉める場合は、相続税申告よりも先に遺産分割を確定させる必要があるため、弁護士に相談しましょう。
遺産分割で揉めない場合
亡くなった方に借金などの負債がなく、相続人同士で弁護士を介入させるほど揉めてないという場合(過去の経験からして約70%以上の相続人はこのケースに該当します)は、所得税の準確定申告、相続税申告が重要となります。
申告義務があるにも関わらず期限内に申告・納税を済ませなければ、加算税や延滞税という余分な負担が発生するからです。相続に関する税金が厄介なのが、自分では「申告義務があるかどうかわかりづらい」という点です。
そのため、税金が発生するかどうかも含めて、とりあえず税理士に相談しておくというのが安全策です。
税理士・司法書士・弁護士のそれぞれの費用相場
相続税申告にかかる税理士の費用相場は、遺産総額のだいたい0.5%~1%程度が相場と言われています。仮に、遺産総額が1億円なら50万円~100万円程度が税理士報酬の相場となります。
ここ数年、インターネット上に相続税申告の税理士報酬が当たり前のように記載されるようになってようやく形成された相場のため、葬儀会社や金融機関が紹介する税理士は大幅に高いケースがあることにご注意ください。
不動産登記にかかる司法書士の費用相場は、1カ所につき10万円前後が相場と言われています。
複数まとめて依頼する場合の割引率などは事務所によって費用の計算方法がバラバラのため、ご自身で実際に調べて比較してみるのも良いでしょう。
遺産分割協議や遺留分侵害額請求にかかる弁護士の費用相場は、最低限の着手金と成功報酬の足し算で計算されることが多いです。
どの弁護士事務所も、本人同士の和解で終わるのか、調停や審判にもつれ込むのか、争いの程度と段階で料金帯が大きく異なるため一概にいくらという相場がありません。
税理士や司法書士では一般的になってきている「初回無料相談」も、弁護士は実施していない事務所が多く、1時間1万円程度の有料相談をしたうえで、依頼するかどうかを決めるのが一般的な相談の入口となります。
相続に税理士のアドバイスが必要になるケース
相続財産の合計額が基礎控除額を上回る場合
相続発生後10カ月以内に相続税の申告義務が生じるのは、相続財産の合計額が「相続税の基礎控除額」を上回る場合です。
しかし、相続財産の合計額の計算方法が複雑なため、そもそも基礎控除額を上回るかどうか?を確認することも専門家でない人には難しいという問題があります。
土地を相続した場合の財産評価や、生前に預金移動があったり別の人名義の預金口座を残していたりすると、思いがけずに基礎控除額を超えることもあります。
ある程度まとまった財産があるご家庭は、基礎控除額を超えるかどうかの概算をするためにも、税理士のアドバイスを受けておくほうが良いでしょう。
特例が適用できる場合
相続税には、税負担が軽減される特例や控除がいくつか設けられています。
例えば、被相続人が住んでいた自宅を相続した場合、取得者の要件や相続する土地の面積の上限などをクリアすれば「小規模宅地等の特例」が適用され、土地の評価額が大幅に減額されます。
ただし、これらの特例や控除には適用を受けるための要件がそれぞれ定められており、正しい手続きを取らなければ余分な相続税を払うことになりかねません。
ネットで調べながら相続税の申告を自分で作成しようとする方もいますが、相続税はアドバイス次第で数百万円以上軽減できるケースもあるため、税理士を頼るのが賢明でしょう。
相続に司法書士のアドバイスが必要になるケース
不動産を相続する場合
相続財産の中に不動産がある場合、亡くなった方の名義をずっと残しておくわけにはいきません。相続後にその不動産を売却処分したりする場合は、名義変更が必須となります。
そのため遺産分割が終わった後、速やかに不動産の登記を変更する必要がありますが、法務局への手続きはかなり複雑なものとなっています。
不動産の相続手続きや売買手続きに関しては司法書士に依頼することを真っ先に検討しましょう。
民事信託を行う場合
近年利用が増えているのが、高齢者の認知症対策として活用される民事信託です。
認知症を発症して正常な判断がおぼつかなくなってしまうと、自己の財産をまともに管理できなくなり、家族すらその財産に触れない「デッドロック状態」になってしまう懸念があります。
民事信託とは、誰かの財産の所有権やそこから得られる利益を元の所有者に残したまま、その維持運営などの管理を所有者以外の人に任せる契約書面を交わすことで実施されます。
対象財産に含めるかどうかは契約者同士の任意で定めることができますが、とくに維持運営・管理が難しく、その判断ひとつで財産価値が大幅に変わってしまうのが不動産です。
そのため信託財産には不動産も含めることが多いのですが、その際、民事信託をしている旨の登記が必要となります。そこで司法書士への依頼やアドバイスが頼りとなるでしょう。
相続に弁護士のアドバイスが必要になるケース
相続争いで遺産分割が決まらない場合
遺産の取り分に納得がいかず、相続人同士の話し合いでもそれが解決できない場合は、典型的な弁護士への相談が必要なケースとなります。
相続争いは財産の総額に関わらず、たとえ少額な財産であっても非常に起こりやすいトラブルです。
家族内での揉め事を弁護士に相談するのはちょっと・・・と気が引けるのもわかりますが、お互いに歩み寄らないと最終的にどういう着地になるか?という今後の流れを確認するために弁護士に相談する方もいらっしゃいます。
遺言書の内容が権利侵害している(されている)場合
家族内での相続争いを避けるために、亡くなった方が遺言書を残してくれているケースがあります。遺言書があると、相続人同士で揉める確率はかなり低くなりますが、それでもゼロというわけにはいきません。
遺言書があっても揉めるケースの代表例が、遺言書が書かれた内容が遺留分(いりゅうぶん)を侵害している場合です。
遺言書がある場合、基本的にはその内容どおりに遺産の分配が行われますが、最低限の生活保証という意味合いで、亡くなった方との関係性に応じた最低限の遺産の分配が相続人の権利として保証されています。
その保証されている権利が守られず、他の相続人にほとんどの財産が行き渡ってしまう場合に、遺留分侵害額請求という訴えを起こすことができます。あるいは、他の相続人から遺留分侵害額請求の訴えを起こされる場合があります。
どちらの立場であっても、弁護士を通じて法的に最大限の自分の権利を守ることが最善策となります。
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ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
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