この記事でわかること
- 成年後見制度について理解できる
- 成年後見制度のパンフレットには、どのようなものがあるかわかる
- わかりやすいパンフレットは何かがわかる
成年後見制度は、2000年に従来の禁治産制度に代わって施行されました。
施行から約20年が経過していますが、一般の方には、まだ馴染み深い制度とは言えないようです。
成年後見制度は、特別な方々のための制度のように捉える方も多いと思いますが、知的障害や精神障害等だけでなく認知症等で判断能力が低下した方の財産や権利を守るためのものです。
日本では高齢化に伴い、認知症患者も増加しており、今後、成年後見制度の利用を検討する機会も増えていくのではないかと思われます。
ですが、成年後見制度の利用にあたり、「成年後見人の業務とは、いったいどのようなものなのか」「成年後見の申立て手続きを行うためには、どのような書類が必要になるのか」等、わからないことを調べるのも大変です。
そのような成年後見制度について詳しく知りたいという方には、ホームページ等の記事や解説に加え、パンフレットとして、まとまった情報を入手することをお勧めします。
本記事では、成年後見制度について解説しているパンフレットを一覧としてまとめ、各パンフレットを簡単に紹介しています。
気になったパンフレットを入手して、成年後見制度についての理解を深めてください。
目次
成年後見制度とは
認知症や知的障害、精神障害等によって判断能力が十分ではない人について、その人の財産や権利を守る人(成年後見人)を選ぶことで、法的に支援する制度です。
成年後見制度には、2種類の制度があります。
- ・判断能力が不十分になる前に利用する「任意後見制度」
- ・判断能力が不十分な方を対象とする「法定後見制度」
任意後見制度
本人の判断能力が不十分になる前に、あらかじめ本人が後見人を選んで契約を結んでおき、本人の判断能力が低下したときに、任意後見人に就任してもらうという制度です。
この契約を任意後見契約といいます。
任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって締結します。
本人の判断能力が低下した場合に、本人や配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者のいずれかが、家庭裁判所に手続きを申立てます。
手続きとは、家庭裁判所で任意後見監督人を選任してもらうものです。
任意後見監督人が選任されて初めて、任意後見契約の効力が発生し、あらかじめ選んだ任意後見人が就任します。
法定後見制度
本人の判断能力が不十分となった後、申立人が家庭裁判所に成年後見の申立てを行い、成年後見人等を選んでもらうという制度です。
本人の判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3種類に分かれます。
それぞれの制度の対象となる人に分けると
- ・判断能力が欠けていることが通常の状態という場合は「後見」
- ・判断能力が著しく不十分という場合は「保佐」
- ・判断能力が不十分という場合は「補助」
というふうになります。
成年後見人は、申立て時に候補者を設定することができますが、最終的に選任するのは家庭裁判所ですので、希望した人が成年後見人になるとは限りません。
簡単でわかりやすいのは裁判所発行のパンフレット
成年後見制度は、法的な手続きとなるため、全体像の把握から手続きの方法など、説明する場合、とても長くなってしまいます。
インターネットで、わかりやすいページや知りたい箇所を検索しても構いませんが、パンフレットとしてまとまっているものを読むと、内容が理解しやすいという場合もあります。
実際に、成年後見制度を支援するような機関で配布されていますが、ホームページ上でもPDFファイル等で公開されていますので、わかりやすいパンフレットを検索してみるのも良いのではないでしょうか。
成年後見制度に関するパンフレットは、数多くありますが、その中でも、わかりやすいのが、裁判所で作成されたパンフレットです。
成年後見の申立ては、家庭裁判所に対して行うものですので、正確な情報を入手することができます。
裁判所のホームページで公開されているパンフレットは、以下のようなものです。
- ・成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(1)
- ・成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(2)
(1)(2)と分かれていますが、実際は(1)の続きが(2)となっており、全部で16ページのパンフレットです。
簡単に内容を説明しておきたいと思います。
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ(裁判所)
下記のような「もくじ」で解説されています。
- (1) 成年後見制度の利用
- (2) 成年後見人等の仕事について
- (3) 成年後見制度について
- (4) 手続きの流れ
- (5) 申立てについて
- (6) 成年後見人等の選任
- (7) 適切な後見業務を行っていただくために
- (8) 後見等事務および報告
- (9) 後見等の終了
成年後見制度の概要はもちろん、実際の手続きの流れを説明した後、家庭裁判所への申立て、成年後見人等の選任、後見人の業務、報告と続き、後見等が終了するまでをイラストを交えて解説しています。
必要事項がしっかりと記載されたパンフレットですので、成年後見制度を把握するのに最適です。
成年後見制度について書かれているパンフレット一覧
簡単でわかりやすいパンフレットとして、裁判所のパンフレットをご紹介しましたが、他にも成年後見制度について説明しているパンフレットがあります。
抜粋ですが、発行者のホームページで入手できる成年後見制度のパンフレットの一覧表を作成しましたので、興味のあるパンフレットを確認してみてください。
発行元 掲載ページ案内 | パンフレット名称 | 記載概要 |
---|---|---|
裁判所 参考:各種パンフレット(裁判所) |
成年後見制度を利用される方のために 参考:成年後見制度を利用される方のために |
家庭裁判所の手続きを見開きで図解したもの (PDF:2ページ) |
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(1) 参考:成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(1) |
家庭裁判所の手続きや後見人の仕事について、手順に沿って図解で解説 (PDF:10ページ) |
|
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(2) 参考:成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(2) |
上記(1)の続き (PDF:6ページ) |
|
後見制度において利用する信託の概要 参考:後見制度において利用する信託の概要 |
後見制度支援信託の手続きなどを説明 (PDF:4ページ) |
|
法務省 参考:パンフレット・リーフレット・ポスター(法務省) |
成年後見制度・成年後見登記制度 参考:成年後見制度・成年後見登記制度 |
法務省民事局発行。 成年後見制度の概要と、登記に関する概要や費用などを細かく解説 (PDF:12ページ) |
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート 参考:成年後見関連冊子(公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート) |
成年後見物語 参考:成年後見物語 |
成年後見人の具体的な業務ついて、法定後見、任意後見だけではなく、遺言や死後の事務についても解説した小冊子 (PDF:9ページ) |
よくわかる成年後見 参考:よくわかる成年後見 |
日本司法書士会連合会と共同作成した小冊子。成年後見制度の説明はもちろん、制度の利用事例も紹介 (PDF:19ページ) |
|
日本税理士会連合会 参考:成年後見支援センター(日本税理士会連合会) |
あなたと歩む成年後見制度(税理士はあなたの暮らしのパートナー) 参考:あなたと歩む成年後見制度(税理士はあなたの暮らしのパートナー) |
税理士が財産管理の専門家として、成年後見制度をQ&A形式で解説 (PDF:4ページ) |
あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です) 参考:あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です) |
成年後見の申立てから死後事務までの流れを見開きで解説 (PDF:2ページ) |
|
社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会 かながわ成年後見推進センター 参考:社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会 かながわ成年後見推進センター |
あなたの権利を守る成年後見制度 参考:あなたの権利を守る成年後見制度 |
支援者向けの情報だけではなく、被後見人本人向けの情報も記載したパンフレットです。 |
成年後見制度に関するパンフレットは、一覧でご紹介したもの以外にもたくさんあります。
たとえば、最後の社会福祉協議会は、神奈川県だけではなく、全国の都道府県にありますので、お近くの社会福祉協議会のホームページで、パンフレットを制作しているか確認してみるのもよいでしょう。
また、パンフレットについては更新されることもありますので、そのような場合には、掲載ホームページで、ご確認ください。
パンフレットではありませんが、裁判所ホームページでは、成年後見制度についてビデオの配信も行っています。
興味のある方は視聴してみてください。
参考:ビデオ「わかりやすい成年後見制度の手続」(裁判所ホームページ:動画配信)
パンフレットを読んでも難しい場合は専門家に相談
成年後見制度に関するパンフレットを読んだり、ホームページの解説を読んだりしても、内容が難しく、わからないことがあるという場合、各市区町村の「地域包括支援センター」または「社会福祉協議会」に相談することができます。
相談窓口の連絡先などについては、各市区町村の窓口でご確認ください。
また、実際に成年後見制度を利用し、申立て手続きを行いたいと考えている方は、弁護士や司法書士に相談するのも良いでしょう。
成年後見制度は、申立人が内容を把握できても、本人(被後見人)に説明しなければならないケースもあります。
申立て手続きも、書類作成から必要書類の収集まで、手間も時間もかかります。
また、成年後見人に弁護士や司法書士といった専門職に候補者となってもらいたい場合は、申立て手続きも合わせて依頼すると、スムーズに進行できます。
成年後見制度は、成年後見人を選任する手続ですが、実際には相続問題なども絡んできますので、費用として報酬額は発生しますが、専門家に依頼すると、これらを総合的に相談でき、問題解決できることもあります。
無料相談を行っている弁護士や司法書士事務所もありますので、まずは相談してみるのも良いかもしれません。
まとめ
成年後見制度は、法的な手続きとなるため、内容が難しく、手続きも複雑です。
ホームページで、必要な情報を収集することもできますが、パンフレットとしてまとまったものを読むことで、理解が深まることもあります。
成年後見制度に関するパンフレットは、様々な機関で製作され、ホームページでも公開されていますが、実際の申立て先でもある裁判所が作成したパンフレットがお勧めです。
パンフレットを読んでも、よくわからない場合や実際に申立て手続きを行おうとする場合は、弁護士や司法書士といった専門家に相談することも検討しましょう。
専門家に依頼すると報酬は発生しますが、スムーズに手続きができ、その他相続などの相談にも応じてもらえるので、結果的にはお得かもしれません。
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