この記事でわかること
- 遺言書を司法書士に相談するメリットがわかる
- 司法書士に依頼した場合の料金・費用がわかる
- 自筆証書遺言と公正証書遺言について理解できる
終活ブームの影響を受けて、遺言書を作成する人が増えています。
核家族化が進み、親戚づきあいも疎遠になりがちな現代においては、親交のない親戚が法定相続人となり、遺産分割協議がなかなか進まず苦労することも珍しくありません。
また、配偶者や子どもがおらず、遠方に住む親族が遺産整理に悩まされることもあります。
死後、残された親族の負担を軽減するためにも、生前に遺言書を準備しておきたいものです。
しかし、法的に有効で相続税対策などニーズを満たす遺言書を作成するには、ある程度の知識が必要になります。
そのため、最初から一人で簡単に作成できる人はいません。
今回は、司法書士に遺言書を作成してもらうメリットや気になる費用について、詳しく説明します。
司法書士が遺言書作成においてできること
司法書士は登記の専門家として知られていますが、遺言や相続に関する相談にも対応しています。
遺言書の書き方だけでなく、何を書けばよいか、何を書くべきか相談できます。
自分で書いた遺言書について具体的なアドバイスを受けたり、希望に合った内容の文案を作成してもらったりすることができます。
また、戸籍謄本や登記簿謄本などの必要書類の取り寄せや公証人との打ち合わせといった、遺言書作成に関連する業務にも対応しています。
さらに、司法書士に遺言書作成してもらう公正証書遺言の証人をお願いしたり、遺言執行者を引き受けてもらったりすることも可能です。
このように、司法書士は遺言書作成とその関連業務、死後の遺言執行や相続登記に対応しています。
なぜ司法書士に依頼するといいのか
遺言書作成を相談できる専門家は、信託銀行、弁護士、税理士、行政書士、司法書士などです。
信託銀行や弁護士は高い専門性と信用力がある一方、報酬が高額になり、報酬体系が複雑でトータルコストがわかりにくい傾向にあります。
また、税理士は節税対策、行政書士は許認可の専門家ですが、遺言書の作成に必要な民法の知識が必ずしも豊富とは限りません。
以下、司法書士が遺言書の作成に適している理由を説明します。
理由1 民法の知識が豊富
11科目からなる司法書士試験では、民法の配点が高く出題範囲も広範にわたっています。
民法の非常に細かい内容まで問われる国家試験に合格しているため、民法に関する知識は国のお墨付きと言っても過言ではないでしょう。
また、実務においても、不動産登記業務に至るまでの相続や不動産取引に関する相談に対応するためには、民法の知識が不可欠です。
このことから、司法書士は豊富な民法の知識を有する専門家と言えるのです。
理由2 紛争を予防する法律文書作成に長けている
司法書士といえば登記のプロですが、登記手続きで取り扱うのは法務局へ提出する申請書だけではありません。
例えば、土地の境界線を当事者間で確認する合意書などの法律文書の作成も、業務の範疇になります。
所有者の権利関係を定める法律文書の作成に精通しているので、遺言書の作成も安心して任せることができます。
理由3 不動産登記のプロ
自宅や土地など、不動産が相続財産に含まれるケースは非常に多くあります。
不動産登記のプロである司法書士に相談することで、不動産の分配方法などの課題に的確なアドバイスをもらえるほか、財産目録への記載ミスもなく遺言書が無効になることを防ぐことができます。
遺言執行時には、不動産の相続登記に関する手続きがスムーズになります。
司法書士が遺言書を作成するメリット
遺言書を作成する際に、司法書士に相談することでどのようなメリットがあるのでしょうか?
受けられるメリットは、作成する遺言書の種類にもよります。
まずは、一般的な遺言書の方式として、自筆証書遺言と公正証書遺言について説明します。
気軽に書ける自筆証書遺言
遺言者本人が費用をかけずに、思い立ったらいつでも作成(または書き直し)できるのが自筆証書遺言です。
一方で、詳細な方式要件に従って財産目録を除く全文を手書きする必要があるため、方式不備で無効になってしまったり、内容的な不備により後に紛争の原因となってしまったりするリスクがあります。
従来、遺言書の開封には家庭裁判所の検認を受ける必要がありました。
しかし2020年7月以降は法務局で遺言書を保管できるようになったことに伴い、法務局で保管されていた遺言書は検認が不要となったことから、今後は気軽に書ける遺言書として積極的な活用が期待されます。
安全確実な公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人に遺言内容を伝え、証人立会いの下公証人が作成した遺言書を公正証書にするものです。
手続きが厳格で手間や費用がかかるため一見すると大変そうですが、公証人が整理して作成してくれるため遺言書が無効となることは基本的にありません。
また、遺言執行時に裁判所の検認も不要なため、安全で確実な方法といえるでしょう。
司法書士に依頼する具体的なメリット
遺言書を司法書士に作成してもらうことで、多くのメリットがあります。
以下、メリットを一つずつ説明します。
遺言書の内容を相談できる
いざ遺言書を書こうとしても、何を書いたらよいか迷う人も多いと思います。
また、書くべき事項と書いておいたほうが良い事項がきちんと盛り込まれているか、判断が難しいこともあるでしょう。
相続税対策や二次相続、遺留分なども考慮した内容にするためには、司法書士に相談したほうが安心です。
正しい遺言書が作成できる
自筆証書遺言の場合、署名や日付、財産目録などの書き方が正しくなかったために、せっかくの遺言書が方式不備で無効と判断されてしまうケースも少なくありません。
司法書士に相談すれば不備のない遺言書を作成でき、遺言書が無効となるリスクを回避することができます。
必要書類を取り寄せてもらえる
公正証書遺言の場合、多くの書類を取り寄せる必要があります。
本人確認資料に始まり、遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本、相続財産が不動産の場合登記簿謄本、固定資産評価証明書(または固定資産税・都市計画税通知書中の課税明細書)の準備が必要です。
法定相続人以外の第三者への遺贈を希望する場合は、住民票が必要です。
最近は、ユニセフや赤十字などへの「遺贈寄付」を希望する人も増えていますが、法人へ遺贈する場合はその法人の登記簿謄本を取り寄せることになります。
必要な書類がケース毎に異なるため、どのような書類を用意すればよいかわからない、取り寄せに手間がかかるといったことが考えられます。
法務局や役所の窓口受付時間に何度も足を運ぶのは、なかなか骨が折れる作業です。
司法書士に必要書類を取り寄せてもらえば、こうした手間を省くことができます。
公証人とのやり取りを任せられる
公正証書遺言の場合、公証役場に出向き、公証人との打ち合わせを重ねて公正証書を作成してもらうことになります。
東京や大阪など都市部では複数の公証役場がありますが、地方によっては公証役場が3カ所しかない県もあります。
公証役場が自宅の近くにない場合、何度も公証役場に出向くのは大変です。
また、公証人に遺言書の内容をうまく伝えられず希望した通りにならなかったり、遺言書が完成するまでに時間を要してしまったりすることも考えられます。
最終文案が出来上がるまでの公証人とのやり取りを司法書士に任せることで、こうした手続きがスムーズに進みます。
証人を依頼できる
公正証書遺言には、証人が2名必要です。
親族などの法定相続人、その他財産を譲り受ける人などの相続関係人は証人になれません。
また、財産状況など非常にプライベートな事柄を知ることになりますので、友人・知人など親しい人には頼みにくいという事情があります。
そのため、公証役場で紹介してもらうか、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することが多いようです。
司法書士に遺言書の作成を依頼した場合、証人にもなってもらえます。
また、司法書士から証人を紹介してもらうことも可能です。
コストを抑えられる
一般的に、司法書士の報酬は弁護士や信託銀行ほど高額にはなりません。
もちろん、自筆証書遺言をすべて自分で作成する場合に比べれば費用はかかることになりますが、司法書士に依頼するメリットを考えれば決して法外なものではないと言えるでしょう。
遺言書を保管してもらえる
自筆証書遺言の場合、遺言書があることを気づかれず、親族が遺産分割協議を行ってしまうことがあります。
また、本人が認知症になり遺言書を書いたことや保管場所を忘れてしまうといったこともあります。
死後何年も経ってから遺言書が発見されても、すでに相続が終わっており、相続人も亡くなっているような場合やり直しは難しくなります。
司法書士に遺言書を保管してもらうことで紛失を防げるほか、相続手続きの際に相続関係人が遺言書の存在を知りやすくなります。
作成後もフォローしてもらえる
遺言書の作成から時間が経ち、状況が変われば書き直したいと思うこともあるでしょう。
作成時には知りえなかった法定相続人や相続財産が後から発覚し、遺言を撤回したい場合も出てくるかもしれません。
このような場合も遺言書の書き直しや撤回を同じ司法書士に相談できれば安心です。
遺言執行者を依頼できる
遺言書には、死後正しく遺言が執行されるよう、信頼できる遺言執行者を指定しておきます。
相続人への説明や、遺言書に従わない相続が行われる場合に対応しなくてはならないため、遺言執行者にはある程度の知識と対応能力が求められます。
司法書士が遺言執行者となることで相続人間の争いを防ぎ、遺言書に従って正しく執行してもらえるでしょう。
司法書士に依頼した場合にかかる費用
では、気になる費用についてみてみましょう。
司法書士に遺言書を作成してもらう場合にかかる費用は、自筆証書遺言で10万円前後、公正証書遺言で10~20万円が相場です。
以下、費用の内訳を細かく説明します。
遺言書案の作成費用
司法書士に遺言書を作成してもらう場合、メインとなるのは遺言書案を作ってもらうことです。
司法書士に支払う費用は、相続財産や個別事情に応じて若干前後しますが、10~15万円程度です。
料金体系によって上記に付随する業務の費用が含まれる場合もあれば、個別に費用が発生する場合もありますので、きちんと確認しておきましょう。
親族関係図の作成費用
親族関係図は、親族にどのような人がいるのかを整理するものです。
特に、法定相続人以外の人に財産を残す目的で遺言書を作成する場合は、必要な書類になります。
また、作成しておくことで、公証人への説明や相続手続きの資料として役立ちます。
遺言書作成費用に含まれている場合が多いですが、個別に費用が発生する場合であっても1万円程度でしょう。
戸籍謄本など必要書類の取り寄せ費用
戸籍謄本などの必要書類を取り寄せてもらう場合、一通に500~1,000円程度、または一式3,000~5,000円程度の費用がかかります。
遺言書作成費用に含まれている場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
なお、法務局や自治体の窓口に支払う発行手数料が別途発生します。
公証人との打ち合わせ
公正証書遺言の作成に伴う公証人との打ち合わせにかかる費用は、公正証書遺言書案の作成費用に含まれている場合がほとんどです。
ただし、遠方の公証役場へ出向く場合は、都度旅費や出張費(実費)が発生することもあります。
また、公証役場に支払う手数料が別途発生します。
証人への謝礼
公正証書遺言の証人への謝礼として、通常一人1万円程度の費用がかかります。
司法書士ではなく、証人に直接支払う場合もあります。
また、依頼者の自宅など公証役場以外の場所で行われる場合は、別途旅費がかかることもあります。
遺言書の保管料
遺言書を司法書士に保管してもらう場合、年間1万円程度の保管料が発生します。
なお、公正証書遺言の場合、原本は公証役場で保管することになりますが保管料はかかりません。
自筆証書の遺言書を法務局で保管してもらう場合は、法務局へ支払う保管料は別途発生します。
遺言執行者の報酬
司法書士に遺言執行者になってもらう場合は、遺言書作成費用とは別に費用が発生します。
予め遺言書で遺言執行者を決めておく場合は報酬額についても一緒に決めておきますが、死後に遺言執行者を決めることもあります。
司法書士が遺言執行者となる場合は、財産価額総額の1~3%程度、または20~100万円程度が相場です。
まとめ
以上、司法書士に遺言書を作成してもらう場合について詳しく説明しました。
司法書士に依頼するメリットはたくさんありますが、生前の相談から死後の遺言執行や相続登記までワンストップで対応してもらえるのが最大の魅力といえるでしょう。
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