この記事でわかること
- 贈与とは何か
- 贈与の種類や相続・遺贈との違い
- 贈与税の課税方法「暦年課税」「相続時精算課税」
この記事では、贈与とは何か、贈与の種類や相続・遺贈との違い、贈与税に関する基本的な事項について解説します。
目次
贈与とは
贈与の種類
暦年贈与
定期贈与
したがって、年110万円の贈与税の基礎控除額を超えるため、贈与税の課税対象となります。暦年贈与のつもりが、その実態から定期贈与とみなされた場合には、課税の対象となるため注意しましょう。
負担付贈与
死因贈与
贈与と相続・遺贈の違い
贈与と相続の違い
これに対して贈与は、特定の財産の贈与をするもので、相続のように所有権者・債権者・債務者の地位をまるごと引き継ぐ相続とは異なります。
贈与と遺贈の違い
一方、贈与は契約行為であるため、贈与者の特定の財産を贈与する意思表示と、受贈者のその財産を譲り受けることを受諾するという双方の合意が必要です。
このように、遺贈は一方的な行為であるのに対し、贈与は双方の合意によって行われるという違いがあります。
贈与と相続はどちらが得なのか
税負担を考えた場合、贈与と相続はどちらが得なのでしょうか。贈与税と相続税を比較するために、それぞれの基礎控除と税率を確認しましょう。
基礎控除の比較
まず基礎控除については、次のような違いがあります。
贈与と相続の基礎控除の違い
- 贈与:年110万円(暦年贈与)
- 相続:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
相続ですべての財産を引き継ぐ場合と、暦年贈与ですべての財産を引き継ぐ場合であれば、基礎控除という観点からは相続の方が圧倒的に有利であるといえます。
なお、相続人が6人いて、すべての相続人に暦年贈与の基礎控除まで毎年贈与をした場合は毎年660万円、12年で7,920万円を非課税で譲り渡すことができます。
税率
贈与税の速算表
一般贈与財産用(特例贈与財産用に該当しない場合)
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
そのため、同じ金額の財産の贈与と相続では、贈与の方が税金は高いといえるでしょう。
贈与の際は贈与税が課されることも
そこで、贈与税の課税についてさらに詳しく確認しましょう。
贈与財産の課税方式は主に2種類
暦年課税
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度を利用すると、暦年課税は利用できません。相続時精算課税制度を利用するためには、最初に贈与を受けた年の翌年の贈与税の申告期限までに、相続時精算課税制度選択届出書を提出する必要があります。
贈与を行う際の注意点
贈与税の申告・納付を忘れない
そのため、基礎控除額を超える贈与を受けた場合には、贈与税の申告・納税が必要です。固定資産税のように、課税する側が税額を計算して、納付書が送られてくるわけではありません。
そのため、忘れずに贈与税の申告をきちんと行い、納付期限までに納付しましょう。贈与税の申告は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日まで、納付も翌年の3月15日が期限となっています。
贈与を隠しても課税される恐れ
申告をしていない場合には無申告加算税・延滞税の対象となるため、きちんと贈与税の申告・納税をしましょう。
内容・履歴がわかるよう贈与契約書をつくる
しかし、契約書を作成し、贈与者と受贈者の双方が自筆で署名することで、贈与が成立していたことを証明できます。
相続のときに他の相続人から、被相続人の預貯金を勝手に引き出したのではないかと疑われたり、相続税の税務調査において、贈与が成立していないとして相続財産に加算して相続税を計算し直すように処分を受けたりしないためにも、贈与の内容を明確にする贈与契約書の作成をしておきましょう。
相続税対策としての贈与では相続税額のシミュレーションをしよう
また、相続開始前7年以内の贈与や相続時精算課税制度による贈与は相続財産に加算して相続税を計算する決まりがあり、贈与しても必ずしも相続税の負担が軽くなるわけではありません。相続税対策としての贈与は、税理士に相談し、相続税額のシミュレーションをしてから行うことをおすすめします。
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