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最終更新日:2022/4/15

代襲相続による基礎控除で相続税を節税する方法と注意点

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

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基礎控除は、相続税を計算するうえで、相続人全員に等しく節税の恩恵を与えてくれます。

相続の発生時に、相続人がすでに亡くなっている場合や同時に死亡してしまうケースなど、代襲相続が発生している場合の基礎控除はどうなるでしょうか。

ここでは、代襲相続での相続人の決まり方や、基礎控除の額、注意点について解説します。

代襲相続とは

代襲相続とは

遺産の持ち主であった被相続人より先に、子や兄弟姉妹などの相続人が亡くなっていた場合に、代わりに相続する仕組みを、代襲相続と呼びます。

配偶者や親には、代襲相続は発生しません。

相続人が亡くなっていた場合、代わりに相続できるのは、相続人の相続人です。

子の場合なら孫、兄弟姉妹の場合なら甥や姪になります。

代わりに相続できる相続人は、代襲相続人と呼ばれます。

配偶者と子が相続人の場合について、具体的な相続の仕方を確認しましょう。

被相続人の死亡前あるいは同時に、子が亡くなっている場合は孫が、孫も死亡している場合は曾孫が代襲することになります。

ただし、代襲者となることができるのは、被相続人の直系卑属に限られます。

被相続人の養子の子は、実子と同じ直系卑属に当たりますが、養子の連れ子は被相続人の直系卑属ではないため、代襲はありません。

孫など直系卑属がいない、あるいはすでに亡くなっている場合は、相続の順位に従って、親など直系尊属が相続人になります。

直系尊属がすでに亡くなっている場合は、代襲相続はなく、兄弟姉妹が相続人となります。

この時点で、兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子が代襲相続します。

ただし、被相続人の子の場合とは違い、兄弟姉妹の孫への再代襲はありません。

なお、代襲相続が起きるのは、死亡、廃除、欠格によって相続人が欠けた場合に限られます。

相続放棄の場合には、代襲相続は発生しません。

代襲相続による相続分は、あくまでも「代わりに相続する分」となります。

孫が譲り受ける遺産は、子の相続分です。

代襲相続によって、他の相続人の譲り受ける相続分が変わることはありません。

代襲相続による法定相続人の人数

代襲相続があると、法定相続人の数が増えるケースもあります。

相続人が、配偶者と子3人(A、B、C)の場合は、法定相続人の数は4人ですが、相続人の子Aが亡くなっている場合には、孫が代襲相続します。

ここで、孫の人数が2人以上なら相続人の数が増えることになります。

Aに2人の子(被相続人から見れば孫DとE)がいれば、ともに代襲相続人になります。

つまり、相続の発生時にAが生存している場合の法定相続人は4人ですが、Aが亡くなっていれば、法定相続人は、配偶者、子のBとC、子Aの代襲相続人である孫のDとE、合計5人に増えます。

代襲相続による基礎控除で相続税を節税

相続税は、亡くなった人から譲り受けた財産のうち、課税対象となる遺産をもとに課税額が決められます。

この際、課税の対象となる遺産については、評価の対象から外されるものや、減額されるものもあります。

また、税の減額も用意されています。

その中の一つに、「基礎控除」とよばれる減額の仕組みがあります。

この控除は、収入や年齢などとは無関係に、相続する人に等しく与えられます。

この仕組みは、2種類の減額が組み合わされてできています。

一つは定額、もう一つは、相続人の数によって変動する減額です。

具体的には、定額が3,000万円、相続人一人当たりについて600万円です。

基礎控除は、「定額3,000万円+相続人一人当たり600万円×法定相続人の数」で表すことができます。

つまり、代襲相続が発生して相続人の人数が一人増加するごとに、基礎控除という非課税の枠が600万円ずつ増えることになります。

そして、この恩恵は、自動的に相続人全員が受けることになります。

代襲相続による注意点

代襲相続で相続人の数が増えれば、基礎控除額が増えることから、節税につながります。

遺産額が基礎控除額以内であれば、相続税はゼロで、申告の必要さえありません。

しかしながら、遺産分割の手続き面で、煩雑さが伴うことに注意が必要です。

遺言書がなく、遺産分割協議書を作成することになれば、基本的に相続人全員が集まって協議を行います。

協議が整えば、全員が署名と押印を行って書類ができあがります。

全員の印鑑証明書も必要です。

しかしながら、生前贈与など遺産の特定や、寄与分など亡くなった方への貢献度の主張、法定相続分とは異なる分け方をする場合の不公平感など、トラブルの原因はさまざまあります。

遠方に住んでいて、普段は意思疎通も図られていない疎遠な状態であれば、遺産分割協議がスムーズに運ばない結果につながりやすくなります。

遺産分割の協議だけでなく、協議書への署名や実印の押印、印鑑証明書の提出までの一連の手続きがスムーズに運ばなければ、遺産を分割することができません。

そうなれば、10ヵ月以内に行う相続税の申告や相続税の各種控除の利用にも、支障が生じる恐れもあります。

まとめ

代襲相続によって基礎控除額が増えれば、相続税を節税するためには有利です。

しかしながら、遺産分割に当たっては、トラブルが発生しやすいことを念頭に置く必要があります。

このような場合、トラブルを防止するために、遺言で相続分を指定しておく方法も有効です。

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