最終更新日:2024/3/11
登記簿謄本(登記事項証明書)をオンラインで取得する方法や手順・費用を解説
ベンチャーサポート司法書士法人代表司法書士。
東京司法書士会所属(登録番号:第7627号)
1987年生まれ、香川県出身。
青山学院大学卒業後、都内の司法書士法人に補助者として勤務しながら、2014年司法書士試験に合格。合格後から今日に至るまで、相続分野を専門とし、多岐にわたる知識、経験を培う。
2018年ベンチャーサポート司法書士法人の代表社員に就任。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tana
この記事でわかること
- 会社・法人の登記簿謄本の概要
- 会社・法人の登記簿謄本をオンライン取得する際の料金
- 会社・法人の登記簿謄本をオンライン取得する方法や手順
法人の登記簿謄本とは、正式名称は「登記事項証明書(履歴事項全部証明書)」といい、商号や本店所在地、事業目的、役員など会社の登記事項が記載されています。
銀行口座の開設や融資、補助金申請などでも登記簿謄本が必要となります。
なお、本店の移転、役員の交代、その他登記簿謄本の記載事項に変更が生じた場合は、 会社法の規定により、2週間以内に変更登記を行う必要があります。
登記簿謄本は、窓口や郵送での交付請求だけでなく、オンラインによる交付請求も可能です。
この記事では、会社の登記簿謄本をオンラインで取得する方法や手順、取得にかかる費用について解説します。
目次
登記簿謄本(登記事項証明書)とは
登記簿謄本とは、正式名称を「登記事項証明書」といい、謄本や登記簿などと呼ばれることも多く、会社の重要情報が記載されている書類です。
会社設立時に、法務局へ登記することによって法人格を取得し、法人名義で様々な契約ができるようになります。
登記簿謄本には「履歴事項証明書」「現在事項証明書」「閉鎖事項証明書」「代表者事項証明書」の4種類があり、登記内容すべてを確認する場合は、これらの全部事項証明書を取得します。
履歴事項証明書
履歴事項全部証明書
履歴事項全部証明書は、社名(商号)や本店所在地、代表者名や事業目的など、閉鎖されていない全ての登記事項が記載され、情報を広く一般に公開し、会社の信用保持や安全な取引を目的に役立つ書類です。
現在の会社情報だけでなく、交付日の3年前の日の属する年の1月1日以降に抹消された事項や変更履歴も記載されています。
一般的に会社の登記簿や謄本、登記事項証明書などと呼ばれるものです。
一部事項証明書
履歴事項一部証明書は、会社法人等番号や商号、会社設立の年月日、本店所在地など必ず記載される登記事項に加えて、資本金の額や事業目的、役員など、交付申請者が選択した登記事項が表示されます。
現在事項証明書
現在事項証明書には、現在、効力を有する登記事項が記載されています。
記載事項は履歴事項証明書と同じですが、現在の登記内容のみで、過去の変更履歴は記載されていません。
一般的に、銀行口座の開設などでは履歴事項全部証明書が必要となりますが、現在の登記内容だけを確認したい場合などは現在事項証明書の取得がおすすめです。
閉鎖事項証明書
閉鎖事項証明書は、閉鎖した登記事項に記録されている内容が記載されています。
会社が事業活動をやめて解散および清算する場合、法務局へ解散および清算人選任登記申請を行い、その後、最終的な債権・債務の整理などが終わったら、法務局へ清算結了登記を申請します。
この一連の登記手続きによって、会社の登記簿謄本は閉鎖されます。
なお、本店移転によって、管轄法務局が変更となる場合も登記簿謄本は閉鎖されます。
閉鎖事項証明書には、請求日の3年前の年の1月1日以前の情報も記載されるため、主に会社合併や本店移転などを把握するために用いられます。
閉鎖された登記記録の保存期間は20年で、閉鎖事項証明書にも全部事項証明書と一部事項証明書があります。
登記簿謄本のオンライン取得にかかる費用
登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法は、登記所または法務局証明サービスセンターの窓口での交付請求、郵送やオンラインでの交付請求があります。
登記簿謄本をオンラインで申請した場合、郵送のほか、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターの窓口で受け取りが可能です。
登記所の窓口で交付請求する場合の手数料は600円ですが、オンラインで交付請求した場合は以下のように手数料が安くなります。
- 登記所や法務局証明サービスセンターで受け取り:480円
- 郵送で受け取り:500円
閲覧のみなら登記情報提供サービス
登記事項の閲覧のみであれば、費用が安い登記情報提供サービスの利用もおすすめです。
- 全部事項証明書:332円
なお、登記情報提供サービスを利用するには、登録費用(個人は300円、法人は740円)がかかります。
登記情報提供サービスでは、登記情報をPDFファイルでダウンロードできます。登記情報提供サービスは、登記内容の確認を目的としています。そのため、登記事項証明書と異なり、証明文や公印などは付加されず、法的な証明力はありません。
会社・法人の登記簿謄本をオンラインで取得する方法や手順
(引用元:登記・供託オンライン申請システム)
オンラインで会社・法人の登記簿謄本を取得する場合、法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。
初回利用時に申請者情報登録が必要なため、以下の手順で進めましょう。
- 動作環境の確認
- 申請者情報登録
- 会社情報の検索~登記簿謄本の申請
- 電子納付による料金支払い
- 登記簿謄本の受け取り
今回は、Webブラウザのみで利用できる「かんたん証明書請求」の利用手順を紹介します。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
手順1.動作環境の確認
登記・供託オンライン申請システムには推奨の動作環境があります。あらかじめ、登記・供託オンライン申請システムの関連ページで確認しましょう。
パソコンの環境によっては設定変更なども必要になるため、操作手引書も一緒にダウンロードし、事前に目を通しておくとよいでしょう。
参考:
申請システムの利用環境(登記ねっと)
操作手引書のダウンロード(登記ねっと)
手順2.申請者情報登録
動作環境に問題がなければ申請者情報を登録します。
登記ねっとのトップページ左側にある「申請者情報登録」をクリックし、使用許諾書を読んでから画面下部の「同意する」をクリックしてください。
申請者情報の新規入力画面が表示されたら、IDやパスワード、氏名・住所などを入力して「確認(次へ)」へ進みます。
登記簿謄本を郵送で受け取る場合、住所欄には、会社または自宅のどちらか都合のよい方を入力してください。なお、交付申請画面からも郵送先の住所や氏名を変更できます。
申請者情報の内容を確認し、仮登録すると、入力したメールアドレスに「申請者情報登録用 認証情報のお知らせ」メールが送付されます。
メール本文に記載されている認証情報を、認証情報入力画面に入力すれば、申請者情報の登録が完了します。
手順3.会社情報の検索~登記簿謄本の申請
申請者のIDとパスワードで登記・供託オンライン申請システムにログインし、「証明書請求メニュー」画面から請求する証明書を選択します。
会社・法人情報に入力誤りがあると請求エラーとなるため、「オンライン会社・法人検索を使う」から検索して、請求する会社・法人を指定すると良いでしょう。
請求する会社・法人情報に間違いがなければ、登記簿謄本の種類(履歴事項証明書または現在事項証明書など)や通数を指定して、次へ進めます。
次の「交付情報の入力」画面で、交付方法(郵送または窓口受取)を指定し、住所や氏名などを確認して申請を確定させます。
手順4.電子納付による料金支払い
登記簿謄本の申請が確定したら、「納付情報入力」画面が表示されるため、電子納付で必要となる氏名または法人団体名を入力して送信します。
「処理状況照会」画面の「納付」ボタンを押すと、「処理内容照会(電子納付情報表示)」画面で納付情報が表示されるため、最寄りの金融機関のATMからペイジー(Pay-easy)で支払います。
なお、インターネットバンキングを利用する場合は、「処理内容照会(電子納付情報表示)」画面で「電子納付」ボタンを押し、画面の指示に従って電子納付を行います。
手順5.登記簿謄本の受け取り
登記簿謄本の申請や納付手続きが完了すると、郵送の場合は概ね2~3日程度で登記簿謄本が届きます。
登記所の窓口で受け取る場合は、即日発行されます(17時15分以降の交付請求は、翌業務日の8時30分以降に受け取りが可能となります)。
なお、登記・供託オンライン申請システムの利用時間は平日の8時30分~21時です。
24時間受付ではありませんが、法務局の閉庁時間である17時15分以降も利用できるため、かなり便利に登記簿謄本を取得できます。
登記簿謄本をオンラインで取得するときの注意点
登記簿謄本をオンラインで交付申請すると、費用が安くなったり、窓口に行く手間や時間が省けたりとメリットがあります。ただし、以下の点に注意しましょう。
受取方法によって取得日数が異なる
会社の登記簿謄本をオンラインで交付申請する場合、受取方法によって以下のように取得までの日数が異なります。
- 登記所の窓口で受け取る場合:即日発行(17時15分以降の交付請求は、翌業務日の8時30分以降に発行)
- 郵送で受け取る場合:申請から到着までに2~3日程度
登記所または法務局証明サービスセンターの窓口では、平日8時30分から17時15分までの間で即日発行が可能です。
すぐに登記簿謄本が必要なときは、登記所または法務局証明サービスセンターを受取先に指定すると良いでしょう。
金融機関や不動産関係で必要なとき
金融機関での銀行口座開設や融資の申し込み、不動産関係の契約や取引をするときは、証明文や公印付きの登記簿謄本が必要です。
閲覧のみであれば、登記情報提供サービスの利用で対応できますが、以下のようなケースでは、金融機関や不動産会社などに証明文や公印付きの登記簿謄本を提出しなければなりません。
- 法人名義での銀行口座の開設、融資の申し込み
- 会社所有の不動産売却や賃貸契約
基本的には、履歴事項全部証明書の提出を求められます。
登記簿謄本のオンライン取得を活用しよう
会社・法人の登記簿謄本は、各種契約など様々なシーンで必要となります。
法務局の窓口でも申請できますが、多忙な場合は、オンラインで交付申請できる「登記・供託オンライン申請システム」の「かんたん証明書請求」を利用することで、法務局の閉庁時間である17時15分以降も申請できます。
法務局の窓口の業務取扱時間内に、交付申請が難しい場合は、オンラインでの交付申請を利用すると良いでしょう。