最終更新日:2024/5/30
法人登記簿謄本(登記事項証明書)とは?記載された会社情報や取得方法を解説
この記事でわかること
- 法人登記簿に記載されている内容
- 法人登記簿、登記簿謄本、登記事項証明書の違い
- 登記簿謄本や登記事項証明書が必要になるケース
- 登記簿謄本や登記事項証明書の取得方法
- オンラインで登記事項を確認する方法
会社設立が完了すると、会社の登記簿謄本(登記事項証明書)がしばしば必要になります。たとえば、法人口座を開設するときや許認可申請を行うときなどがその一例です。
また、必要になる登記簿謄本は、必ずしも自社のものだけとは限りません。
クライアントや取引先がどのような会社なのかを調べるときには、その会社の登記簿謄本が重要な資料になります。法人登記簿に記載された「事業目的」や「資本金の額」などは、会社の信用度を把握するために有効な指標です。
この記事では、法人登記簿(登記事項証明書)の記載事項や種類、取得方法などを解説します。法務局で直接取得する方法のほか、自宅のパソコンからオンラインで登記情報を閲覧する方法も紹介します。
目次
法人登記とは?商業登記との違い
法人の登記簿謄本(登記事項証明書)が取得できるのは、法人登記が完了したあとからです。
ここでは「そもそも法人登記とは何か」「法人登記簿には何が記載されているのか」を解説します。
法人登記とは会社の基本情報を法務局に登録すること
法人登記とは、設立する法人(株式会社や合同会社、一般社団法人など)の情報を法務局に登録する手続きのことです。登記した情報は公示され、誰でも閲覧可能になります。
法人登記の正式名称は「商業・法人登記」です。厳密には、会社の情報を登記するのが商業登記、一般社団法人などの法人の情報を登記するのが法人登記とされています。会社は法人の一種であるため、便宜上この記事では「法人登記」という表現に統一して話を進めます。
なお、法人登記の詳しい流れについては、以下の記事もご参照ください。
法人登記簿には商号や資本金の額、役員に関する事項などが記載
法人登記により登録した会社情報は、法人登記簿に記載されます。登記簿に記載される代表的な項目は、以下のとおりです。
- 商号(会社名)
- 本店所在地
- 公告をする方法
- 会社設立日
- 事業目的
- 発行可能株式総数 ※株式会社の場合
- 資本金の額
- 役員に関する事項など
これらの基本的な会社情報が、次に解説する「登記簿謄本」や「登記事項証明書」からも確認できます。
法人登記簿、登記簿謄本、登記事項証明書の違い
法人登記簿と似たような書類に「登記簿謄本」や「登記事項証明書」もあります。証明内容はどの書類でも同じですが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。
以下では、法人登記簿、登記簿謄本、登記事項証明書の違いを解説します。簡単にまとめると、次のとおりです。
- 法人登記簿:登記情報を記録した帳簿の原本
- 登記簿謄本:法人登記簿の写し(コピー)
- 登記事項証明書:登記情報を印刷した証明書
法人登記簿は原本で登記簿謄本はコピー
まずは法人登記簿と登記簿謄本の違いです。簡単にいうと、これらの違いは原本か写し(コピー)かという点になります。
法人登記簿は、登記事項を記入するために登記所(法務局)に備え付けてある公の帳簿のことです。現在の登記簿はコンピューターによる管理が主流ですが、電子化が進む以前はおもに紙の状態で保管されていました。紙で管理されていた頃の名残で、法人登記簿は帳簿の原本のことをいいます。
一方、登記簿謄本は法人登記簿のコピーという意味です。登記簿の全部をコピーしたものが登記簿謄本になります。
ちなみに登記簿の一部分だけのコピーは「登記簿抄本」と呼ばれます。
登記簿謄本は法務局によって正式に複写されたものです。原本と同じ内容である旨の認証文言も記載されています。
登記事項証明書は登記簿の情報を印刷したもの
登記事項証明書は、登記簿の情報を紙にプリントアウトして登記官の認証を付したものです。
法務局は磁気ディスクで登記事項を記録し、コンピューター・システムを使って登記事務を行っています。電子的に管理された登記事項の全部または一部を証明したものが、登記事項証明書です。
なお、登記事項証明書と似通った書類に「登記事項要約書」もあります。こちらは記載内容や発行方法に制限があり、登記官の認証も付されません。
登記事項証明書も登記簿謄本も、証明する内容は同じです。電子化が進んだ現代では、登記簿謄本よりも登記事項証明書を求められることのほうが多い傾向にあります。
ただ、現在でも口頭では「登記簿謄本」と呼ばれることもあり、「登記簿謄本(登記事項証明書)」と記載されることもあります。また、次項で解説する「履歴事項全部証明書」の提出を指定されることも多いです。
登記事項証明書には履歴事項全部証明書などの種類がある
登記事項証明書には、次の4種類があります。
- 履歴事項証明書
- 現在事項証明書
- 閉鎖事項証明書
- 代表者事項証明書
履歴事項証明書、現在事項証明書、閉鎖事項証明書は、さらに全部事項証明書と一部事項証明書に分けられます。なかでもよく提出を求められるのは「履歴事項全部証明書」です。
以下では、履歴事項全部証明書、現在事項証明書、閉鎖事項証明書、代表者事項証明書の記載内容について解説します。
履歴事項全部証明書
履歴事項全部証明書には、以下の項目が記載されます。
- 現在効力がある登記事項
- 過去3年間で抹消された登記事項
ポイントは、現在の登記事項だけでなく、すでに抹消された過去の登記事項も確認できるという点です。具体的には、交付申請をした日の3年前の年の1月1日から申請日までの間に抹消された事項などが記載されます。たとえば、2024年5月8日に履歴事項全部証明書の交付申請をすると、2021年1月1日から2024年5月8日までに抹消された事項が確認できます。
登記事項証明書の提出が求められた場合、とくに指定がなければ履歴事項全部証明書を用意するのが一般的です。
現在事項証明書
現在事項証明書は、現在効力がある登記事項を記載した書類です。
履歴事項証明書とは異なり、抹消された事項の記載はありません。ただ、商号と本店所在地については、変更前(1つ前)のものが下線を付した状態で記載されます。
閉鎖事項証明書
閉鎖事項証明書は、交付申請をした日の3年前の年の1月1日よりも前に抹消された事項を記載したものです。
たとえ本店が移転して管轄の法務局が変わっても、もとの法務局にはその会社の登記事項が保管されます。閉鎖された登記記録の保存期間は20年間です。
閉鎖事項証明書を取得すると、履歴事項証明書にも記載されていない会社の過去を知ることができます。
代表者事項証明書
代表者事項証明書は、現在効力がある「会社代表者の代表権」を証明する書類です。会社の代表権を持つ人の資格証明書として利用できます。
履歴事項証明書、現在事項証明書、閉鎖事項証明書とは異なり、全部事項証明書や一部事項証明書という分類はありません。
法人登記簿謄本(登記事項証明書)が必要になるケース
ここまで、法人登記や登記簿謄本(登記事項証明書)について解説しました。
ここからは、登記簿謄本がどのようなときに必要になるのか例をあげて説明します。登記簿謄本が必要になる代表的なタイミングは、次のとおりです。
- クライアントや取引先を調べるとき
- 各自治体に届出をするとき
- 金融機関で法人口座を開設するとき
- 許認可申請を行うとき
- 賃貸借契約などを結ぶとき
1つ目は他社の登記簿謄本が必要になるケース、それ以外は自社の登記簿謄本が必要になるケースです。以下、それぞれのケースについて解説します。
クライアントや取引先を調べるとき
仕事を依頼してきたクライアントや新規の取引先など、ビジネス上で関わりを持つ会社を調べるときに登記簿謄本は有用です。「その会社は実在する法人なのか」「どのような法人なのか」「資本金はどれくらいなのか」など、登記簿謄本を取得すればその会社の信用度をはかることができます。
とくにクライアントや取引先が中小企業の場合、企業のWebサイトなどもなく、内情がわかりづらいケースもあるでしょう。そのようなときに会社の登記情報を確認できれば、少しでも多くの情報を得て安全な取引につなげることができます。
また、クライアントや取引先だけでなく、競合他社をリサーチするときにも登記簿謄本の取得は有効です。
各自治体に届出をするとき
ここからは、自社の登記簿謄本が必要になるケースです。
会社設立の直後には、市町村役場や年金事務所などにさまざまな届出をしなければなりません。法人設立の届出書や社会保険・厚生年金の新規適用届などを提出するときには、添付書類として登記簿謄本や登記事項証明書が必要になります。
会社設立後の届出については、以下の記事もご参照ください。
金融機関で法人口座を開設するとき
法人登記が完了したら、金融機関で法人口座を開設できるようになります。その開設手続きに際して、登記事項証明書が必要です。
口座開設だけでなく、融資を受けるときにも登記事項証明書の提出が求められることがあります。このほか、国や各種支援機関による助成金・補助金の申請をするときにも登記事項証明書が必要になるケースがあります。
許認可申請を行うとき
事業のなかには、国や自治体から許認可を得なければならない特殊なものもあります。飲食業や不動産業などがその一例です。
許認可が必要な事業を行う場合、許認可を申請する際に登記簿謄本の提出が求められます。
賃貸借契約などを結ぶとき
不動産の賃貸借契約や売買契約を結ぶときにも登記簿謄本が必要です。
オフィス用に賃貸物件を契約するときなど、法人名義での不動産契約の際には登記簿謄本の提出が求められます。
登記簿謄本(登記事項証明書)の取得・閲覧は誰でも無料でできる?
ここまで、登記簿謄本(登記事項証明書)が必要になるタイミングについて解説してきました。
なかには、実際に登記簿謄本が必要になったらどこでどのような手続きをとればよいのか疑問に思っている人もいるでしょう。法務局に行けば、誰でも無料で登記簿謄本や登記事項証明書を取得・閲覧できるのでしょうか。
ここでは、登記簿謄本を取得できる人や、取得にかかる費用について解説します。
登記簿謄本は誰でも取得・閲覧できる
結論、登記簿謄本や登記事項証明書は、手数料を払えば誰でも取得・閲覧できます。身分証の提示といった本人確認も必要なく、登記簿謄本を取得したことが取引先に知られることもありません。
法人の登記簿謄本が誰でも入手可能なのは、安心安全な取引を実現するためです。登記簿謄本や登記事項証明書は、手数料さえ納付すれば、とくに複雑な手続きもなく交付申請することができます。
登記簿謄本の取得には手数料がかかる
誰でも取得できる登記簿謄本ですが、法務局に出向いたからといって無料で閲覧できるわけではありません。登記簿謄本や登記事項証明書の取得には一定の手数料がかかります。手数料の金額は、下表のとおりです。
区分 | 手数料額 | |
---|---|---|
登記事項証明書 (登記簿謄本・登記簿抄本) | 書面請求 | 600円 |
オンライン請求・送付 | 500円 | |
オンライン請求・窓口交付 | 480円 | |
登記事項要約書の交付・登記簿等の閲覧 | 450円 |
登記簿謄本や登記事項証明書の取得方法には、法務局に出向いて紙の申請書で請求する方法とオンラインで請求する方法があります。オンライン請求のほうが手数料が安いため、何通も取得する場合にはオンラインでの請求がおすすめです。
なかには、単に登記情報を知りたいだけで証明書としての機能は求めていない人もいるでしょう。そのような場合、法務局のシステムとは別のサービスを利用して法人登記簿と同じ情報を取り寄せることも可能です。この方法は、のちほど解説します。
登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する方法
登記簿謄本や登記事項証明書は、手数料さえ納付すれば誰でも請求できることがわかりました。そして手数料は「法務局の窓口での交付申請」か「オンラインでの申請」かによって変わってきます。
以下では、これら2つの取得方法の詳細、メリットやデメリットについて見ていきましょう。
法務局の窓口で交付申請をする
まずは、法務局に出向いて交付申請をする方法です。
法務局では、各種申請用紙が用意されています。その中から「登記事項証明書・登記簿謄抄本・概要記録事項証明書交付申請書」を取得し、必要事項を記入します。自宅でインターネットやプリンターが使えるなら、事前に様式をダウンロード・印刷して記入するほうが時短です。
参考:登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式(法務局)
記入が済んだら、その申請書に手数料分の収入印紙を貼って提出します。収入印紙は法務局内の印紙売場で販売されています。添付書類はとくに必要ありません。ただ、登記簿謄本を取得したい会社の「商号」や「本店所在地」はあらかじめ押さえておくことが必要です。
なお、法務局によっては「証明書発行請求機」を設置しているところもあります。証明書発行請求機を使った交付申請の手順は、次のとおりです。
- タッチパネルで請求情報を入力する
- 機械から発行される整理番号票を受け取る
- 手数料分の収入印紙を購入する
- 名前が呼ばれたら窓口で証明書を受け取る
証明書を受け取る際には、整理番号票と引き換えにもらう申請用紙に収入印紙を添付します。証明書はその場で受け取ることが可能です。
法務局で交付申請するメリット
登記事項証明書や登記簿謄本の交付申請を法務局で行うメリットは、その場ですぐに発行してもらえるという点です。
書面申請の場合だと申請書への記入に時間がかかりますが、証明書交付請求機を利用すれば待ち時間も短くなります。法務局が自宅や勤め先から近い場合には大きなメリットになるでしょう。
注意点として、法務局の窓口業務は平日の8時30分から17時15分までとなっています。また、土日祝日と年末年始(12月29日~1月3日)は業務の取扱いがありません。
法務局で交付申請するデメリット
法務局で交付申請するデメリットは、場所によって混み具合が大きく異なるという点です。
とくに「本局」と呼ばれるような総合的なサービスを扱う法務局は混雑が激しい傾向にあります。一方「〇〇出張所」のような各地の出張所であれば、並んで待つようなことはほとんどありません。
登記簿謄本は全国の法務局で取得できるため、できるだけ待ち時間を減らしたい場合には近くの出張所で申請するのが賢明です。
オンライン申請で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する
続いて、オンライン申請で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する方法です。オンラインで請求する場合、以下の2パターンの取得方法がありました。
- オンライン請求・送付
- オンライン請求・窓口交付
指定した住所に送付してもらう方法だと手数料は500円、窓口で交付してもらう方法だと手数料は480円です。急ぎの場合は近くの法務局を指定した窓口受取にするとよいでしょう。
オンライン請求では、法務省による登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」を利用します。このシステムにある「かんたん証明書請求」を使えば、所要時間10分ほどで請求が完了します。「かんたん証明書請求」の手続きの流れは、以下のとおりです。
- 申請者情報を登録する
- 証明書を請求したい会社を検索する
- 請求書情報(証明書の種類や通数など)を入力・送信する
- 手数料を納付する
請求したい会社を検索するときには「商号または会社法人等番号」と「本支店・事務所の所在地」の入力が必要です。会社のWebサイトや国税庁「法人番号公表サイト」などから情報を集めておきましょう。
注意点として、オンライン申請システムが利用できるのは平日の8時30分から21時までです。24時間いつでも利用できるわけではありません。
オンライン申請のメリット
登記事項証明書や登記簿謄本をオンラインで請求するメリットは、場所や時間の制約を受けづらいという点です。自宅や職場の近くに法務局がない人や、平日の日中にまとまった時間が取れない人には、オンライン申請は非常に便利でしょう。
また、オンライン申請の場合、窓口で申請するよりも手数料が安いです。とくに複数枚の証明書を取得したい場合には、オンライン申請のほうが節約になります。
場所や時間の制約の少なさ、手数料の安さがオンライン申請のメリットです。
オンライン申請のデメリット
オンライン申請のデメリットは、思わぬタイムロスが生じうるという点です。たとえば証明書を郵送してもらう場合、正確な到着日はなかなか読めません。
また、オンライン申請の手数料は、インターネットバンキングやペイジー対応のATMから電子納付することになります。とても便利な方法ですが、ネットバンキングでの納付手続きに慣れていなかったり、すぐにATMが利用できない状況だったりすると、思いのほか納付完了までに時間がかかってしまうかもしれません。
一見するとスピーディーに済みそうなオンライン申請ですが、とくに初めて証明書請求を行うという人は、時間に余裕を持って手続きをする必要があります。
登記・供託オンライン申請システムと登記情報提供サービスの違い
前章では、登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法を解説しました。とくにオンライン申請による証明書の取得は利便性が高く、重宝する人も多いでしょう。
じつは、法務省の「登記ねっと 供託ねっと」を利用する以外にも、オンラインで登記情報を取得する方法があります。その方法は、一般財団法人民事法務協会による「登記情報提供サービス」を利用するというものです。
以下では、法務省による登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」と民事法務協会による「登記情報提供サービス」の違いを解説します。ポイントを簡単にまとめると、下表のようになります。
登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」 | 登記情報提供サービス | |
---|---|---|
おもな利用目的 | 各種証明書の発行・取得 | 登記情報の閲覧 |
手数料 | 郵送での交付:500円 窓口での交付:480円 | 331円 |
手数料の支払い方法 | 電子納付 | クレジットカード決済 |
利用可能時間 | 平日:8時30分~21時 土日祝日:利用不可 | 平日:8時30分~23時 土日祝日:8時30分~18時 |
登録料 | 無料 | 登録利用の場合 個人:300円 法人:740円 ※一時利用の場合は無料 |
対象外の書類・情報 | 登記事項要約書 | 現在事項証明書、代表者事項証明書、登記事項要約書に相当する情報 |
運営主体 | 法務省 | 民事法務協会 |
登記・供託オンライン申請システムは法務局に証明書発行を申請するもの
登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」は、登記事項証明書や登記簿謄本などの証明書を法務局に請求するシステムです(登記事項要約書は請求の対象外です)。
先述のとおり、手数料は郵送の場合だと500円、窓口交付の場合だと480円になります。支払い方法はネットバンキングやATMで行う電子納付です。費用は手数料のみで、とくに登録料などはかかりません。
「登記ねっと 供託ねっと」を利用できる時間帯は、平日の8時30分から21時までです。土日祝日や年末年始(12月29日~1月3日)の利用はできません。
登記事項証明書や登記簿謄本は紛れもない証明書であるため、自治体への届出や法人口座の開設などにおける重要な提出書類になります。
登記情報提供サービスは登記情報を確認するもの
一方、登記情報提供サービスは、法務局が保有する登記情報をパソコンなどの画面上で確認できる有料サービスです。
登記情報はPDFファイルで提供されます。認証文言や公印は付されませんが、履歴事項全部証明書に相当する情報を手軽に確認することが可能です。なお、現在事項証明書、代表者事項証明書、登記事項要約書に相当する情報はサービスの対象外になります。
登記情報提供サービスの手数料は、1件あたり331円です。支払いにはクレジットカード決済が利用できます。一時的な利用であれば登録料は無料です。継続的に利用する登録利用では、別途登録料(個人:300円、法人:740円)がかかります。
利用可能な時間帯は、平日の8時30分から23時までです。年末年始(12月29日~1月3日)の利用はできませんが、土日祝日は8時30分から18時まで利用できます。
ダウンロードした登記情報には証明書としての機能はありません。ただし「照会番号」と呼ばれる10桁の番号が付けられます。照会番号は、発行から100日間を限度として、行政機関などにオンライン申請をする際、登記事項証明書の代わりに添付することができます。
法人登記簿謄本(登記事項証明書)は誰でも取得・閲覧できる
法人の登記簿謄本や登記事項証明書には、商号や本店所在地、資本金の額など、会社の基本情報が記載されています。これらの登記情報は、手数料を払えば誰でも取得可能です。
各種証明書を取得するには、法務局への交付申請が必要になります。取得方法は、窓口で申請する方法とオンラインで申請する方法の2つです。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて自身の状況に合った方法を選択しましょう。
また、オンラインで登記情報を取得する場合、法務省の申請システム「登記ねっと 供託ねっと」のほか、民事法務協会による「登記情報提供サービス」も利用できます。登記情報の証明でなく閲覧や確認がしたいだけであれば、登記情報提供サービスを活用するとよいでしょう。