相続トラブル対策の必要性・重要性は理解しているものの、親が存命だと先延ばしにしやすい傾向
ベンチャーサポート相続税理士法人 (東京都中央区 代表税理士 古尾谷裕昭 https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/ )は、「相続トラブル対策」に関する実態調査を実施いたしましたので、お知らせいたします。
<相続トラブル対策に関する調査トピックス>
- 対策をしていない理由は「必要性を感じない・何をしたらいいかわからない・話をしにくい」ためであることが明らかに
- 一方で、4割以上が相続トラブル対策の必要性を感じている
- 必要性を感じている人の8割以上が、対策を講じることでトラブル回避に繋がると回答した
<調査概要>
- 調査方法:ゼネラルリサーチ株式会社のモニターを利用したWebアンケート方式で実施
- 調査の対象:ゼネラルリサーチ社登録モニターのうち、相続のトラブル対策ができていない40代~50代男女(両親がご存命の方)を対象に実施
- 有効回答数:876人
- 調査実施日:2022年5月18日(水)
対策をしていない理由は「必要性を感じない・何をしたらいいかわからない・話をしにくい」ためであることが明らかに
今回、全国40代~50代男女(両親がご存命の方)1,017人を対象に調査を実施。
その中で、「相続のトラブルを避けるために対策はしていますか?」という質問に対し、『していない』と回答した876人を対象に、さらに調査を進めた。
まず、相続トラブル対策をしていない(できていない)理由について調査(複数回答可)。
結果、「特に対策の必要性を感じないから」、「何をしたらいいかわからないから」、「親が生きているのに相続の話はしにくいから」がそれぞれ3割以上となり、上位を占める結果となった。
4割以上が相続トラブル対策の必要性を感じている
続いて、相続トラブル対策の必要性について調査。
結果、4割以上が必要性を感じている(とてもそう思う10.8%、ややそう思う36.1%)と回答した。
必要性を感じている人の8割以上が、対策を講じることでトラブル回避に繋がると回答した
相続トラブル対策の必要性を感じている人に具体的な方法を調査(複数回答可)。
結果、半数近くが「兄弟や親族と相続について話し合いをする」と回答した。
他にも「親の財産を把握する」が4割以上、「親に遺言書を書いてもらう」も3割以上という結果となった。
相続トラブル対策することでトラブル回避ができると思うかについても調査。
結果、8割以上が避けられる(完全に避けられる10.2%、やや避けられる75.2%)と回答した。
トラブルを避けられると思う理由について聞いたところ、
- 両親の親が亡くなった際の両親の兄弟への相続は、両親の兄弟間での話し合いのみで うまく相続されたため(40代/女性/公務員/京都府)
- 事前に状況を把握して、流れを整えておけば、ある程度のトラブルは避けられると思うので(40代/女性/会社員/静岡県)
- 親の意向がわかっていれば揉めることも減ると思うので(50代/男性/会社員/大阪府)
- 遺言書が一番効力があると聞いたことがあるから(50代/女性/自営業・自由業/新潟県)
などの回答が得られた。
【まとめ】
相続トラブル対策の必要性を感じているものの、親が存命の場合、先延ばしにしている実情が明らかになった
親が存命であることから必要性を感じない、話をしにくいといった理由で相続トラブル対策をしていないだけでなく、何をしたらいいか分からないという人も3割以上であることが明らかになった。
一方で、4割以上が相続トラブル対策自体の必要性は感じており、先延ばしにしている現状が垣間見える結果となった。
専門家からのアドバイス
「これだけはやっておきたい。相続トラブル対策5つ」
相続が発生した場合、特に問題もなくスムーズに決着する例もあれば、相続人同士が裁判で争うケースもあります。
両者の違いは「生前対策の有無」にあるといえるため、次の対策だけは最低限やっておきましょう。
①財産目録を作っておこう
相続対策を考えるときは、まず財産目録の作成からスタートしてください。
被相続人(亡くなった方)の財産は配偶者でも把握できていないケースが多く、本人が死亡した後は、財産調査を行う例も珍しくありません。
時間や労力がかかることはもちろんですが、不明な財産があると相続税の申告漏れに繋がり、追徴課税などのペナルティが科される場合もあります。
また、被相続人の借金もマイナスの相続財産になるため、金額の大小に関わらず、誰かが返済義務を引き継がなくてはなりません。
「知らなかった」では済まされないことも多いので、財産目録は必ず作成しておきましょう。
②相続税がかかるかどうか?基礎控除内に収まるかを確認しておこう
相続税には基礎控除があるため、相続税がかかるかどうかは以下の計算式から判定できます。
例えば、法定相続人が1人の場合、基礎控除は3,600万円(3,000万円+600万円×1人)となるため、相続財産の総額が3,600万円以下であれば、相続税はかかりません。
財産目録を作成し、各財産の評価額も記載しておけば、相続税がかかるかどうか、すぐに判断できるでしょう。
また、相続財産が基礎控除以内のときは、相続税申告も不要になります。
③誰が相続人になるのか確認しておこう(相続人の範囲)
「相続人は調べなくても分かる」という人もいますが、被相続人の戸籍を辿ると、離婚歴が発覚するケースもあります。
元配偶者との間に子供がいれば、法定相続人として遺産分割に参加するため、必ず本人に連絡しなければなりません。
相続人が1人でも欠けていると、遺産分割協議は成立しないので注意が必要です。
また、相続人の数は基礎控除の計算にも影響するので、相続人を間違えると、相続税の過少申告や無申告に繋がる恐れもあります。
相続人を正確に把握しないまま遺言書を作成すると、法定相続人に保障された遺留分の侵害が発生し、思わぬ相続トラブルに発展する可能性もあるでしょう。
④親(被相続人)の意見を聞いておこう
相続の話題は本人の死に触れてしまうため、「親の前で相続の話はできない」など、タブー視されているケースも多いです。
しかし、親の意見は生前にしか聞けないので、話しの切り出し方を工夫して、一度は意見を交えておかなければなりません。
身近な相続の話題(親戚や友人)などに触れ、少しでも意見を聞き出しやすい状況をつくっていきましょう。
ただし、親が認知症になると相続対策はできなくなるので、状況によってはすぐに本題を切り出す必要もあります。
「本人の想いや財産をどうやって孫やひ孫に引き継ぐか」というスタンスで話し合ってみましょう。
⑤相続人全員の意見も聞いておこう
かつては一緒に暮らした家族でも、それぞれが自立したり、家庭を持ったりすると、考え方も大きく変わっている場合があります。
お盆やお正月など、家族全員が顔を合わせる機会があれば、相続について話し合っておきましょう。
財産の分け方だけではなく、親が亡くなったときは誰が葬儀を取り仕切るかなど、あらかじめ決めておいた方がよいことはたくさんあります。
また、仮に全員が「親の実家は自分が相続する」と主張し言い争いになったとしても、親がまとめ役になれば、大きな問題には発展しにくいでしょう。
相続争いが生前に想定できれば、遺言書を作成するきっかけにもなります。
さいごに
相続トラブルは当事者同士の解決が難しく、争いが起きると長期化する傾向があります。
家族相手に訴訟を起こすケースも決して珍しくはないため、生前対策は重要となります。
しかし、当事者間のトラブル解決は間違った手法になりやすく、さらに問題を大きくする可能性もあるため注意が必要です。
遺言書もトラブルの原因になりやすいため、相続の悩みや不安があれば、必ず専門家に相談してください。
相続問題に強い税理士や司法書士であれば、相続税対策や遺言書の作成代行も依頼できるため、トラブルのない相続を実現できるでしょう。