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最終更新日:2024/7/24

30代でも遺族年金は受け取れる?受給要件や期間・金額も紹介

本間 剛 (行政書士)
この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

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30代でも遺族年金は受け取れる?受給要件や期間・金額も紹介

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この記事でわかること

  • 30代で遺族年金を受給するための要件
  • 30代で受給できる遺族年金の期間・金額
  • 遺族年金の受給権がなくなる場合

遺族年金とは、亡くなった人の遺族に支給される年金であり、亡くなった人の年齢や状況によって支給される期間や金額などが異なります。
「もし若くして配偶者が亡くなった場合、自分は遺族年金を受け取れるの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、30代で遺族年金を受給するための要件、受給期間や金額、受給できなくなるケースについて詳しく解説します。

30代でも遺族年金は受給できる?

30代でも、受給要件を満たしていれば遺族年金を受け取れます。
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、亡くなった人によって生計を維持されていた遺族が受け取れます。

仮に、30代の夫婦(夫が会社員、妻が専業主婦)と5歳の子どもの3人家族で、夫が亡くなったとします。
このケースで、それぞれの年金を受給できるのかを見ていきましょう。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金に加入していた人が亡くなったときに、子どものいる配偶者子どもが受給できる年金です。
ここでいう「子ども」とは、18歳になった年度の3月31日までの子ども、または20歳未満で障害年金の障害者等級1級または2級の子どもを指します。
ただし、子どものいる配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間は、子どもは遺族基礎年金の受給対象になりません。

先述したケースでは、夫婦に18歳未満の子どもがいるため、妻に遺族基礎年金が支給されます。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金保険に加入している人(会社員や公務員)が亡くなったときに、子どものいる配偶者子ども子どものいない配偶者父母祖父母が受給できる年金です。
上記の順番で受け取ることができ、亡くなった人に妻子がいる場合は、妻子が受給対象となります。

ただし、亡くなったのが妻で、遺族が子どものいない夫の場合、夫は55歳になるまで受給資格を得られません
つまり、遺族である夫が30代の場合は、遺族厚生年金を受け取れないことになります。
また、遺族が子どものいない30歳未満の妻の場合は、受給期間が5年間に限られるという制限もあります。

先述したケースでは遺族が30代の妻なので、特に制限されることなく遺族厚生年金が支給されます。

遺族年金の受給要件

30代で遺族年金を受け取るには、一定の要件を満たす必要があります。
先述したとおり、年金を受給するには、死亡した人に「生計を維持されていた」必要があり、遺族は、前年の収入が850万円未満(所得が655万5千円未満)である必要があります。
遺族が上記の収入を超えていると、遺族年金を受け取れないので注意が必要です。

遺族基礎年金と遺族厚生年金のそれぞれの受給要件を詳しく解説していきます。

遺族基礎年金の要件

遺族年金の受給要件として、「亡くなった人が国民年金に加入していたこと」と「亡くなった人が死亡日前日の時点で、死亡した月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと」の2つが挙げられます。

基本的に、亡くなった人がきちんと保険料を支払っていれば受給できますが、長期間の未納があった場合は要件を満たしていない可能性があるので注意しましょう。

遺族厚生年金の要件

遺族厚生年金の要件として以下の4つがあり、受給するにはいずれかを満たしている必要があります。

  1. 亡くなった人が会社員または公務員で厚生年金に加入していたこと
  2. 厚生年金に加入している間に病気や怪我などが原因で厚生年金の資格を喪失し、その初診日から5年以内に亡くなったこと
  3. 亡くなった人が障害厚生年金1級または2級を受給していたこと
  4. 亡くなった人が死亡日前日の時点で、死亡月の前々月までの1年間に保険料の未払いがないこと

ほとんどの会社員や公務員は保険料が給料天引きのため、未納していることは可能性は低いでしょう。
しかし、勤続期間が短かった人は要件を満たしていない恐れがあるため事前に確認しておくとよいでしょう。

遺族年金を受給できる期間

30代の場合、どれだけの期間、遺族年金を受給できるのでしょうか。
ここからは、遺族基礎年金と遺族厚生年金のそれぞれの受給期間について詳しく見ていきましょう。

遺族基礎年金の受給期間

30代の遺族基礎年金の受給期間は、子どもが18歳に到達する年度末(3月末)までです。
また、障害者等級1級または2級の子どもがいる場合は、その子どもが20歳になるまでとなります。

遺族厚生年金の受給期間

遺族厚生年金の受給期間は、配偶者の年齢や子どもの有無によって異なります。

たとえば、厚生年金加入者である夫が亡くなったときに、妻に子どもがいる場合または妻が30歳以上の場合は、亡くなった日の翌月から一生涯遺族厚生年金を受給できます
一方で、妻に子どもがおらず、妻が30歳未満の場合は、受給期間が亡くなった日の翌月から5年間となります。

遺族年金の受給金額

実際に、30代の遺族は年金をいくら受け取れるのでしょうか。

ここからは、受給できる金額の目安や計算方法について詳しく解説していきます。

遺族基礎年金の受給金額

2024年度の遺族基礎年金の受給額は、一律81万6,000円であり、これに子どもの加算額が加わります。
子どもが2人までは1人当たり23万4,800円、3人目以降は1人当たり7万8,300円が加算されます。
子供の人数によって受給できる遺族基礎年金の金額は以下のとおりとなります。

子供の人数 受給できる金額
1人 105万800円(81万6,000円+23万4,800円)
2人 128万5,600円(81万6,000円+46万9,600円)
3人 136万3,900円(81万6,000円+46万9,600円+7万8,300円)

4人目以降も、子供の人数が増えるごとに7万8,300円ずつ加算されてます。

遺族厚生年金の受給金額

遺族厚生年の受給額は、以下の計算式で算出できます。

平均標準報酬月額×1000分の7.125 ×(平成15年3月以前の加入月数)= a
平均標準報酬額×1000分の5.481×(平成15年4月以降の加入月数)= b
(a+b)×4分の3=遺族厚生年金の受給額(年額)

「平均標準報酬月額」とは、平成15年3月以前に被保険者であった期間の「標準報酬月額の合計」を「平成15年3月以前の加入期間」で割った金額を指し、
「平均標準報酬額」とは、平成15円4月以降に被保険者であった期間の「標準報酬月額の合計と標準賞与額の総額」を「平成15年4月以降の加入期間」で割った金額を指します。

また、亡くなった人の厚生年金の加入期間が300カ月(25年間)未満の場合は、一律300カ月とみなして計算できるというルールがあります。

たとえば、子どもがいる30代の妻が遺族厚生年金の受給者であり、平成15年3月以前に厚生年金の加入期間がない場合で計算すると、遺族厚生年金の受給額は以下のようになります。

夫の平均標準報酬額 目安となる年間支給額
20万円 24万6,645円
30万円 36万9,967円
40万円 49万3,290円
50万円 61万6,612円
60万円 73万9,935円

ただし、上記の表はあくまで目安であり、条件によって受給額は異なります。
正確な厚生年金受給額を知るには複雑な計算が必要なので、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に確認するのがよいでしょう。

遺族年金の受給権がなくなるケース

遺族年金を受け取っていても、途中で受給権を喪失する場合があります。
ここからは、30代の人が遺族年金を受給できなくなるケースを紹介します。

配偶者が再婚した場合

配偶者が遺族年金を受給していても、配偶者が再婚すると受給権がなくなります。
また、婚姻関係になくても、夫婦の共同生活と認められる場合(いわゆる事実婚)も、受給権を喪失するので注意しましょう。
ただし、再婚した配偶者に子どもがおり、子どもが受給要件を満たしていた場合は、配偶者が遺族年金を受給していた期間に停止していた子どもの受給権が配偶者の再婚とともに解除されます。
つまり、配偶者に代わって子どもに遺族年金が支給されることになります。

子どもが結婚または養子になった場合

子どもが結婚または直系血族または直系姻族以外の養子になると、子どもの遺族年金の受給権が消滅します。
ただし、たとえば子どもが直系血族である祖父母と養子縁組を結んだ場合は、遺族基礎年金の受給権は消滅しません。

まとめ

30代であっても遺族年金を受け取れますが、個々の状況によって受給期間や受給金額が異なります。
また、受給金額の計算方法はとても複雑なので、個人で正確に算出するのは難しいでしょう。
自分が受給要件を満たしているのか、いくら受け取れるのかを知りたい場合は、お近くの年金事務所や、社会保険労務士などの年金に詳しい専門家に確認することをおすすめします。

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