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最終更新日:2023/2/17

相続関係説明図の作成手順|法定相続情報一覧図との違いは?

本間 剛 (行政書士)
この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

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この記事でわかること

  • 相続関係説明図について理解できる
  • 簡単な相続関係説明図を自分で作成することができる

相続関係説明図とは、家系図のようなもので、相続に関わる人を一覧できるようにしたものです。

相続の場面では必要になることが多い図なので、概要について知っておきましょう。

また、簡単な親子関係や家族関係の場合であれば、自分で作成することも可能です。

相続関係説明図とは

相続関係説明図は、被相続人(相続される人)と相続人(相続する人)の関係を一覧図としてまとめたものです。

相続関係説明図があれば、誰がどういった関係で相続人になるのかということが一目瞭然にわかるようになっています。

いわゆる家系図のようなものですが、家系図との違いは、書式がある程度決まっていることと、あくまでも相続人が中心になって書かれている点です。

家系図の場合は、始祖から子孫に至るまでずっと繋がっていますが、相続関係説明図の場合は、相続される本人を中心として、親や子、孫が記載されます。

相続関係説明図例
引用:法務局ホームページ「相続関係説明図」

相続関係説明図が必要になるケース

相続関係説明図が必要となるケースは多岐に渡ります。

相続で名義を変えたいとか、相続のために借金の調査をしたいので、信用情報機関に照会をするなどの時に必要となるケースがあります。

利用目的は主に2つ

相続関係説明図の主な利用目的

相続関係説明図の利用目的の1つは、相続手続きの書類を還付してもらうことです。

相続に関する書類の中で、戸籍全部事項証明書などの戸籍関係の書類は、遺産の種類によって何通も必要になります。

相続関係説明図を提出すれば、それらの書類を返還してもらえます。

結果的に、書類を発行する時間や手数料を省けるのがポイントです。

相続関係説明図の2つ目の目的は、被相続人と相続人との関係が整理できて、分かりやすくなることです。

子どもが多い場合や養子がいたり、前妻(前夫)との間に子がいたりする場合は、相続関係が複雑になります。

しかし、相続関係説明図があれば、相続人自身の立場も確認できます。

弁護士や税理士に相続を依頼する際の説明も簡略化できるでしょう。

相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い

相続関係説明図 法定相続一覧図
記載内容 比較的自由に記載できる 必要事項が決められている
利用場面 戸籍関係書類の原本を返還してもらえる 戸籍関係書類の提出を省略できる
証明力 ・公的な書類ではない ・公式に認証されている

相続関係説明図は、あくまでも個人が作ったものです。

相続関係説明図と、被相続人の生涯の戸籍、相続人の戸籍などを添付して法務局に提出すると、法定相続情報一覧図を発行してもらえます。

発行にかかる費用は、現時点(2020年1月現在)では無料です。

法定相続情報一覧図と、相続関係説明図との違いは、法務局による認証の文言が入っているかどうかです。

法務局のお墨付きであるということで、法定相続情報一覧図は被相続人の生涯の戸籍、相続人の戸籍と同じような効力を持ちます。

例えば、銀行の預金口座の名義を変更したいというときや、土地の名義を変更したいときでも、被相続人の生涯の戸籍と相続人の戸籍をいちいち全部用意しなくても、法定相続情報一覧図を使えば良いのです。

法定相続情報一覧図があれば、法務局で不動産名義変更をするときでも戸籍を返却してもらえます。

法定相続情報一覧図がない場合は、返却されません。

名義変更が何かと多い場合は、相続関係説明図を作成して法定相続情報一覧図にしておくことをおすすめします。

戸籍は、昔の戸籍であれば一通750円、現在の戸籍でも450円程度かかります。

一通でそれだけかかるということは、相続人の数が多くなれば戸籍を集めるだけでも大変です。

名義変更のつど戸籍を請求するのは大変な手間ですので、法定相続情報一覧図を活用してください。

相続関係説明図の書き方

簡単に、相続関係説明図の書き方をご紹介します。

まず書類を集めよう

まず、必要な書類を集めます。

  • 被相続人の一生涯分の戸籍(出生〜死亡まで)
  • 被相続人の最後の住所を証明する住民票の除票か戸籍の附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続人の住民票

相続関係説明図を作るためには、相続人の一生涯分の戸籍が必要です。

ただし、実際には保存期限が切れていたり、かつての日本の領土で今は外国になっている地域で生まれたりと、全部揃えようとしても難しいことがあります。

どうしても揃わないときは、法務局とのやりとりが必要になったりすることもあるので、もし戸籍集めで難航してしまったら、この時点で専門家に相談することをおすすめします。

戸籍を集めてみたら、知らない子供が出てきた場合(例えば前婚の子や異母異父兄弟姉妹など)でも相談した方がいいでしょう。

情報を書き込んでいく

法務局のホームページには見本が掲載されています。

相続関係説明図例
引用:法務局ホームページ「相続関係説明図」

いくつかの家族のパターンに分けて紹介してあるので、まずは近いものを見てみましょう(法務局ホームページ「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」)。

相続関係説明図は、内容的には法定相続情報とほぼ一緒なので、見本を見ながら作成するといいでしょう。

法務局ホームページ「相続関係説明図」の2ページ目に、注意事項も含めてわかりやすく書かれています。

タイトルの部分は、相続関係説明図の場合「被相続人 ○○○○ 相続関係説明図」とすることが一般的です。

法定相続情報の場合は「被相続人 ○○○○ 法定相続情報」としてください。

被相続人の氏名、出生日、死亡日、最後の本籍、最後の住所などを記入します。

相続人の名前の下には、出生の年月日、住所を記載し、名前の横に今回土地や建物を相続する人の場合であれば(相続)と書きます。

今回は相続しない人の場合は(遺産分割)、今回の相続を放棄した人は(相続放棄)、法定相続情報を申し出る人は(申出人)と記載してください。

この図を作成した人については、作成日と作成者の住所と氏名を記載し、押印してください。

作成ツール・ソフトを活用するのもおすすめ

相続関係説明図は、Wordなどのソフトを使えば簡単に作成できます。

ここでは、代表的な作成ツールを3つ紹介します。

家系図作成システム

家系図作成システムはWeb版のツールで、クラウドを利用したシステムです。

インターネットの環境があれば、パソコンなどのデバイスでいつでも、どこからでも利用できます。

作成した家系図のデータは、クラウドに保存されているため、ログインすればいつでも確認できます。

もちろん、デバイスにダウンロードして保存することも可能です。

料金は月額1,000円ですが、最低利用期間が6ヶ月に設定されているため、最低料金は6,000円であることに注意してください。

そうぞく工房

相続工房3は、自由なレイアウトと多彩な表現方法が特徴です。

自分が見やすいものを選んで相続関係説明図を作成しましょう。

クラウドではなく、ソフトをダウンロードして使うタイプであるため、オフラインでも使えます。

試用版は無料でダウンロードして使えますが、製品版は有料です。

料金は、株式会社リプロに問い合わせしないと分からない仕組みになっているます。

興味がある人は、直接問い合わせて料金を確認してください。

PM_相関

PM_相関は一覧編集すれば、ツリー編集に連動しているため、複雑な相続関係でも続柄入力だけで相続関係説明図を作れることが特徴です。

レイアウトを編集したり、調査票を出力したりできます。

また、クラウドソフトではないためオフラインでも稼働します。

料金は、7日間なら無料です。

7日をすぎると1ライセンスで22,000円、追加ライセンスは1ライセンスにつき11,000円の費用がかかります。

月額制ではないため、ライセンスを購入すれば追加費用はかかりません。

相続関係説明図に関するよくあるQ&A

手書きで作成しても大丈夫?

パソコンで作成し、プリントアウトした方が読みやすいですが、相続関係説明図には手書きではダメという決まりはありません。

黒色ボールペンなど、摩擦で消えないものを使って手書きをすれば大丈夫です。

紙は、長期間保存しても問題ない紙にしましょう。

文字は、あまりにも雑だと後から読めない場合もあるので、常識的な範囲で丁寧に書いてください。

紙いっぱいに記載しても問題ない?

相続関係説明図の場合は大丈夫ですが、法定相続情報の場合は下から約5cmの範囲には記載しないでください。

その部分に認証文が入ります。

養子縁組などよくわからない事項がある場合の対処法は?

養子縁組など、馴染みがないものが出てきたと思ったら、専門家に任せることをおすすめします。

戸籍や相続に詳しい行政書士、司法書士、弁護士などにご相談ください。

まとめ

今回は、相続関係説明図についてご紹介しました。

少し勉強すれば、自分でも作成できますし、法務局に持参して法定相続情報を発行してもらえば、相続手続きの際にも使うことができます。

ただし、複雑な家族関係の場合は間違って相続関係説明図を作成したら大変なことになってしまうので、専門家へ依頼をおすすめします。

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