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最終更新日:2023/8/1

【早見表つき】子供が遺産相続する際にかかる税金|相続税の計算方法を解説

古尾谷 裕昭

この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
YouTube:相続専門税理士チャンネル【ベンチャーサポート相続税理士法人】

【早見表つき】子供が遺産相続する際にかかる税金|相続税の計算方法を解説

この記事でわかること

  • 相続税の計算方法
  • 相続税の申告方法
  • 相続人が子供のみの場合の相続税
  • 相続人が配偶者と子供の場合の相続税
  • お得な控除制度

遺産相続は被相続人が亡くなったことによって開始されます。

被相続人の子供は第一順位の相続人として、血族の中で最も有利な位置にあります。

しかし、それなりに多くの遺産を相続すれば、相続税が課されることもあるため注意が必要です。

無申告ならば当然ペナルティはあります。

また、たとえ子供が未成年者であっても、相続税の申告が必要です。

本記事では、相続税の基本からわかりやすく解説します。

子供のみが相続する際にかかる税金の計算方法や活用できる制度もあわせて確認しましょう。

相続が開始されたときに備え、基本的な知識を得て役立ててください。

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相続税の基本について

税金を課せられるのは、誰であってもやはり嫌なものです。

できることなら、課税されないことを皆さん望むことでしょう。

しかし、自分の肉親の遺産であっても、租税の公平性という意味でやむをえない措置と言えます。

また、遺産を相続するには正確な遺産総額を計算し、正確な申告が必要です。

遺産を取得しても必ず課税されるわけではない

相続が開始されるとまずは被相続人のプラスの遺産総額から、負債(借金等)や葬儀費用等が差し引かれます。

その後に残った「正味の遺産額」から基礎控除額が差し引かれ、課税遺産総額を決めます。

課税遺産総額を民法に定める法定相続分で按分し、その金額へ税率を乗じるのです。

そのため相続税が課される相続人は、それなりに多額の遺産を受け継いだ方々となります。

基礎控除内に収まれば申告や納税はいらない

相続を受けた財産の合計額が基礎控除の金額よりも少ない場合は、確定申告はもちろん納税も不要です。

ただし、相続財産がある場合は正確に起算しなければなりません。

誤った金額を算出すれば、本来申告や納税義務があることに気付けない可能性があります。

土地・建物などの不動産や有価証券などを遺産相続する場合は、被相続人が亡くなった時の評価額で相続財産の正しい価値を求めましょう。

相続税率はこちら(2015年1月1日以後の場合)

前述したように、遺産を取得した場合でも、負債や葬儀費用等を差し引いたうえではじめて課税さます。

法定相続分に応じた取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0円
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超~ 55% 7,200万円

※参考:No.4155 相続税の税率|国税庁

表をみれば、遺産相続で多額の法定相続分に応じた取得金額が多くなるほど、税率も増大していくことがわかります。

いくらまで無税?相続税における基礎控除の計算方法

相続税における基礎控除の計算方法

相続について申告し、実際に納税をするには正味の遺産額を計算して判断する必要があります。

しかし相続税には基礎控除の存在があるため、ほとんどの相続人は相続税の支払いを免れているようです。

ここでは、基礎控除を解説し実際に相続税を計算します。

相続税の基礎控除の計算式

基礎控除の計算式は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となります。

法定相続人とは、法律で定められた相続人のことで、相続税の基礎控除額の算出に不可欠です。

例えば、被相続人の配偶者や子供、両親・祖父母などの直系尊属、兄弟姉妹などが法定相続人に該当します。

つまり、遺産を取得する相続人が多いほど、基礎控除額は大きくなりますす。

例えば、被相続人に、配偶者(妻)と4人の子がいたとすれば基礎控除額は次の通りです。

3,000万円+600万円×5人=6,000万円

基礎控除額と同額またはそれを下回るなら、正味の遺産額に相続税は課税されず申告も不要です。

相続人からすれば基礎控除額内に収まるなら、後述する相続税の申告のため、提出書類の作成・収集に追われることも無くなりますよね。

実際に計算してみよう

相続人が多いと基礎控除が有利になるものの、相続税の算定はやや面倒なケースもあります。

ここでは具体例を用いて、どの位の相続税がかかるかシミュレーションしてみます。

(例)妻・子4人の場合

  • 遺産総額:1億円
  • 相続時精算課税に係る贈与財産価額:なし
  • 債務:なし
  • 葬式費用:1,000万円
  • 相続開始前3年以内の贈与財産価額:なし
  • 他の特例:配偶者の税額の軽減適用

① まず遺産総額1億円、差し引ける葬式費用1,000万円があるので、こちらを計算します。

1億円-1,000万円=9,000万円

②次に基礎控除を計算します。

3,000万円+600万円×5人=6,000万円

③正味の遺産額9,000万円から基礎控除6,000万円を差し引きます。

9,000万円-6,000万円=3,000万円

④法定相続分で分ければ次のようになります。

妻:3,000万円×1/2=1,500万円
子1人につき:3,000万円×1/8=375万円

⑤相続税を計算してみます。

妻:1,500万円×15%-50万円=175万円
子1人につき:375万円×10%=37.5万円

⑥その後、税額を合計すると

妻175万円+(子37.5万円×4人)=325万円

⑦相続税の総額は325万円となり、実際の相続割合で分けます。

妻:325×1/2=162.5万円
子1人につき:40万6,250円

⑧配偶者の税額の軽減適用があるので、実際に納める税金は次の通りです。

配偶者:相続税0円・子1人につき:相続税40万6,250円

相続税早見表「相続人が子供のみ」のケース

被相続人に子供がいれば、その子供が第1順位となり法定相続人となります。

もし子供が相続開始前に亡くなっていると、次順位の方々が法定相続人になるのかといえば、そうではありません。

子供に孫がいれば、その孫が代襲相続することになり第1順位の法定相続人となります。

なお、その孫も亡くなっていればひ孫が代襲相続します。

子供が遺産全額を取得できることも

前述した通り、被相続人の子供は第1順位なので非常に有利です。

ただし、子供1人だけが遺産全部を取得する場合、遺産額によっては多額の相続税を課されるケースもあります。

一方、子供が何人もいる場合は遺産分割をしなければいけません。

その分、相続人1人が得られる遺産は減るものの、基礎控除額は増えるので相続税が課される可能性も減ります。

早見表(子供のみ)で相続税をチェック

こちらでは、子供が1人~3人までの相続税をシミュレーションしてみましょう(単位:万円・千の位で四捨五入)。

正味の遺産額/人数 1人 2人 3人
4,000万円 40万円 0円 0円
5,000万円 160万円 80万円
(1人40万円)
21万円
(1人7万円)
6,000万円 310万円 180万円
(1人90万円)
120万円
(1人30万円)
7,000万円 480万円 320万円
(1人160万円)
219万円
(1人73万円)
8,000万円 680万円 470万円
(1人235万円)
330万円
(1人110万円)
9,000万円 920万円 620万円
(1人310万円)
480万円
(1人160万円)
1億円 1,220万円 770万円
(1人385万円)
630万円
(1人210万円)
1億1,000万円 1,520万円 960万円
(1人480万円)
780万円
(1人260万円)
1億2,000万円 1,820万円 1,160万円
(1人580万円)
930万円
(1人310万円)
1億3,000万円 2,120万円 1,360万円
(1人680万円)
1,080万円
(1人360万円)
1億4,000万円 2,460万円 1,560万円
(1人780万円)
1,239万円
(1人413万円)
1億5,000万円 2,860万円 1,840万円
(1人920万円)
1,440万円
(1人480万円)
1億6,000万円 3,260万円 2,140万円
(1人1,070万円)
1,641万円
(1人547万円)
1億7,000万円 3,660万円 2,440万円
(1人1,220万円)
1,839万円
(1人613万円)
1億8,000万円 4,060万円 2,740万円
(1人1,370万円)
2,040万円
(1人680万円)
1億9,000万円 4,460万円 3,040万円
(1人1,520万円)
2,241万円
(1人747万円)
2億円 4,860万円 3,340万円
(1人1,670万円)
2,460万円
(1人820万円)

正味の遺産額が2億円ともなれば、子1人が相続する場合に相続税が5,000万円近くもかかります。

3人が相続する場合でも2,500万円近くになります。

高額な遺産だと、それなりの額になる税負担も無視できません。

相続税早見表「相続人が配偶者と子供」のケース

相続開始時に被相続人の配偶者が生存している場合は、もちろん配偶者も法定相続人となります。

配偶者は常に相続人です。

なお、配偶者と子供が相続人となるケースの場合、配偶者は必ず1/2の法定相続分となります。

配偶者がいると法定相続分で不利になることも

被相続人の配偶者も相続人となる場合、子供の人数によって法定相続分で大きく不利となることがあります。

前述したように法定相続分は配偶者が1/2となるため、子供の法定相続分は1/2です。

つまり、この枠内で相続するため子2人なら1/4・1/4、子3人なら1/6・1/6・1/6と、子の数が多くなる度その割合は小さくなっていきます。

この場合、課される相続税額は確かに小さくなりますが、子供であるご自分の納得する遺産額が取得できるとは限りません。

遺産分割に不満があれば、遺産分割協議で他の相続人とよく話し合って、その配分を決めていきましょう。

早見表(配偶者と子供)で相続税をチェック

こちらでは、配偶者および子供が1人~3人までの相続税をシミュレーションしてみましょう(単位:万円・千の位で四捨五入)。

なお、配偶者は「配偶者の税額の軽減」という制度を利用し、相続税0円と仮定します。

正味の遺産額/人数 1人 2人 3人
4,000万円 0円 0円 0円
5,000万円 40万円 10万円
(1人5万円)
0円
6,000万円 90万円 60万円
(1人30万円)
30万円
(1人10万円)
7,000万円 160万円 112万円
(1人56万円)
81万円
(1人27万円)
8,000万円 235万円 176万円
(1人88万円)
138万円
(1人46万円)
9,000万円 310万円 240万円
(1人120万円)
201万円
(1人67万円)
1億円 385万円 316万円
(1人158万円)
261万円
(1人87万円)
1億1,000万円 480万円 392万円
(1人196万円)
324万円
(1人108万円)
1億2,000万円 580万円 480万円
(1人240万円)
402万円
1億3,000万円 680万円 568万円
(1人284万円)
489万円
(1人163万円)
1億4,000万円 780万円 656万円
(1人328万円)
576万円
(1人192万円)
1億5,000万円 920万円 748万円
(1人374万円)
666万円
(1人222万円)
1億6,000万円 1,070万円 860万円
(1人430万円)
768万円
(1人256万円)
1億7,000万円 1,220万円 976万円
(1人488万円)
879万円
(1人293万円)
1億8,000万円 1,370万円 1,100万円
(1人550万円)
993万円
(1人331万円)
1億9,000万円 1,520万円 1,226万円
(1人613万円)
1,104万円
(1人368万円)
2億円 1,670万円 1,350万円
(1人675万円)
1,218万円
(1人406万円)

配偶者が存在があっても、正味の遺産額が1億6,000円を超えれば、税負担も1,000万円台になっています。

しかし、配偶者はどれだけ大きな遺産を相続しようとも配偶者の税額の軽減制度があれば課税されません。

相続に関して子供はともかく、正確な遺産総額の把握・スムーズな遺産分割を行えば、配偶者は相続税の心配をあまりしなくてよい仕組みと言えるでしょう。

子供が利用できるいろいろな控除制度

子供が利用できる控除・特例

これまで度々登場した配偶者の税額の軽減制度について、気になった方々も多いでしょう。

こちらは、税額軽減できる制度の中で、その控除額が最も多く盛んに利用されている制度です。

配偶者が取得した正味の遺産額が1億6,000万円または、その法定相続分相当額のどちらか大きい金額が控除対象となります。

少々唖然とした方が多いかもしれませんね。

他の相続人からすれば不公平感はぬぐえないことでしょう。

しかし、今まで誰よりも長く、ご夫婦で懸命に作り上げた資産である以上、配偶者が最も優遇されることになります。

一方、相続人の方々の中には、配偶者の税額の軽減制度ほど優遇されなくても「自分達が利用できる控除制度はないのか?」と、制度の活用を希望する人もいることでしょう。

こちらでは、条件によって子供が利用可能な控除制度を解説していきます。

未成年者控除とは?

未成年が相続人になる場合、まだまだ自立しているとはいえず、養育費・教育費等はかかるはずです。

そんな状況を踏まえ、未成年の相続人にかかる相続税の負担を軽減する控除制度です。

相続税申告時に、こちらの控除申告も行います。

未成年者控除の条件

次の条件すべてに該当する人が控除対象となります。

(1)遺産を取得したとき、日本国内に住所のある未成年者

仮に、そのとき日本国内に住所がない未成年者でも、

  • ①日本国籍があって相続開始前の10年以内に国内に住所があった
  • ②日本国籍はあるが相続開始前の10年以内に国内に住所を有していなかった
  • ③日本国籍がない人

でもOKです。

ただし、2の場合は被相続人が一時居住被相続人、非居住被相続人の時は対象外です。

また、3の場合は被相続人が一時居住被相続人、非居住被相続人、非居住外国人の時は対象外です。

(2)遺産を取得したとき、20歳未満であること

(3)遺産を取得した未成年者が法定相続人であること

相続の放棄があった場合、その放棄がなかったものとしたとき相続人といえるなら対象となります。

未成年者控除額を計算してみる

未成年の相続人がいるとき、成人へ達するまでの年数につき10万円が控除されます。

具体例をあげて計算してみましょう。

(例)未成年者:相続開始時6歳3ヶ月
未成年者が成人するまで13年9ヶ月なので、1年未満の端数が切り上げとなり14年で計算します。
14年×10万円=140万円

140万円の未成年控除が適用されます。

もしも、未成年の相続人に課される相続税よりも、この控除額が大きい場合は、その引ききれない部分の金額を、扶養義務者(配偶者、直系血族・兄弟姉妹、3親等内の親族で一定の者)の相続税から差し引きます。

障害者控除とは?

相続人である子供が障害者の場合もあります。

遺産を取得した障害者に相続税が課せられてしまうと、やはり日常生活への負担は大きくなるでしょう。

その負担軽減のため、この控除制度が利用できます。

相続税申告時に障害者である証明が可能な書類を添付し、手続きを行います。

障害者控除の条件

次の条件すべてに該当する障害者が控除対象です。

(1)遺産を取得したとき、日本国内に住所のある障害者

障害者であっても、被相続人が一時居住被相続人、非居住被相続人、非居住外国人の時は対象外です。

(2)遺産を取得したとき、障害者であること

(3)遺産を取得した障害者が法定相続人

相続の放棄があった場合、その放棄がなかったものとしたとき相続人といえるならば対象となります。

障害者控除額を計算してみる

相続人となる障害者が85歳未満の場合、相続税額から一定の金額が差し引かれます。

また控除額は、「一般障害者」か「特別障害者」かによって異なります。

1.一般障害者の場合

主に「身体障害者手帳上の障害等級」3級~6級、「精神障害者保健福祉手帳上の障害等級」二級または三級の方々が該当します。

控除額は満85歳までに、その年数につき10万円が控除されます。

具体例をあげて計算してみましょう。

(例)障害者:相続開始時32歳4ヶ月
満85歳まで52年8ヶ月なので、1年未満の端数が切り上げとなり53年で計算します。
53年×10万円=530万円

530万円の障害者控除が適用されます。

2.特別障害者の場合

主に「身体障害者手帳上の障害等級」1級または2級、「精神障害者保健福祉手帳上の障害等級」一級が該当します。

控除額は満85歳までに、その年数につき20万円が控除されます。

具体例をあげて計算してみましょう。

(例)障害者:相続開始時52歳5ヶ月
満85歳まで32年7ヶ月なので、1年未満の端数が切り上げとなり33年で計算します。
33年×20万円=660万円

660万円の障害者控除が適用されます。

1、2いずれの場合も、障害を持つ相続人に課される相続税より、控除額が大きい場合は、その引ききれない部分の金額を、扶養義務者(配偶者、直系血族・兄弟姉妹、3親等内の親族で一定の者)の相続税から差し引くことになります。

数次相続控除とは?

被相続人である父親が亡くなり、その子供である自分が相続税を支払った後、まもなく母親も亡くなってしまったという場合に利用できる制度です。

短期間に何度も相続税を課されることは大きな負担です。

そこで相続が10年以内に2回以上発生したら、相続税の金額から一定の金額を差し引くことができるというのが「数次相続控除」制度です。

数次相続控除の条件

次の条件すべてに該当する相続人が控除対象となります。

(1)被相続人の相続人

相続の放棄をした人は数次相続控除の対象外となります。

(2)相続開始前10年以内に開始した相続で、被相続人が遺産を取得

(3)(2)の遺産相続で被相続人に相続税が課税された

数次相続控除を計算してみる

一次相続で課税された相続税額のうち、1年につき10%の割合で逓減した後の金額を、二次相続に関する相続税額から控除します。

計算式は前述した2つの控除制度よりも、やや複雑になります。

「A×C/B-A(上限100%)×D/C×10-E/10」

  • A:二次相続の被相続人の一次相続時の相続税額
  • B:二次相続の被相続人の一次相続時の遺産取得額
  • C:二次相続の遺産合計額
  • D:本控除を受ける相続人の二次相続時の遺産取得額
  • E:一次相続~二次相続までの期間

具体例をあげて計算してみましょう。

(例)相続人:子供2人

  • 配偶者の相続税:一次相続1億円 →A
  • 配偶者:一次相続10億円遺産取得 →B
  • 子供2人相続分:5億4,000万円 →C
  • 子供1人相続分:各2億7,000万円 →D
  • 配偶者:4年後死亡 →E

それぞれを計算式にあてはめます。

1億円×5億4,000万円/(10億円-1億円)×2億7,000円/5億4,000万円×(10-4)/10=2,000万円

子供2人は各2,000万円の控除を受けられます。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、被相続人が生前に生活していた自宅の土地に対する評価額を減額できる特例措置です。

特例が適用されるためには一定の要件を満たす必要があります。

しかし適用されれば最大で80%の減額できます。

小規模宅地等の特例に該当するのは、被相続人の自宅(330平方メートルまで)などで、更地は対象外になっています。

被相続人の自宅の土地を相続する人にも満たすべき条件があります。

例えば、配偶者や同居していない親族(家なき子)には条件はありません。

しかし同居する親族、生計を一にする親族に該当する相続人は、相続開始前から相続税の申告期限までの期間に居住していなければなりません。

小規模宅地等の特例を申請するメリットは、相続した土地の評価額を最大80%まで減額できるため、相続税を最小限に抑えられることです。

一方で、上述したように土地の広さや種類、相続人に求められる適用条件などをクリアしなければならないことはデメリットとして挙げられます。

生命保険

手間のかかる養子縁組で基礎控除額を増やすよりは、生命保険をうまく活用した節税対策の方が手軽で有効です。

被相続人が保険契約を行い死亡保険へ加入した場合、被相続人の死亡後に受取人へ死亡保険金が下ります。

実はこの死亡保険金に「非課税枠」が適用されます

この非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で計算するルールです。

例えば、2,500万円の死亡保険金が下りた時、法定相続人が4人いれば

500万円×4人=2,000万円

死亡保険金2,500万円から非課税枠2,000万円を差し引けば

2,500万円-2,000万円=500万円

残りの500万円は他の遺産に加えて計算し、基礎控除からさらに差し引かれます。

つまり、預貯金にかなり余裕があれば、相続税対策で死亡保険に加入し、保険金として備えた方が相続税は軽減されます。

生命保険会社も生命保険が節税対策に役立つことをアピールして状況です。

節税目的で加入しても何ら問題はありません。

生前贈与

生前贈与とは、被相続人が生きている間に自身が所有する財産を譲渡することです。

例えば、親が存命中に子へ自身の財産の一部を譲渡すれば、生前贈与に該当します。

生前贈与を行った場合、贈与した財産に対し贈与税が発生します。

生前贈与を受ける受贈者は、生前贈与の際に「暦年課税」と「相続時精算課税」のいずれかを選ばなければなりません。

暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間で贈与を受けた財産の合計が110万円を超えた場合に贈与税が課される制度です。

相続時精算課税については後述する「相続時精算課税」の章をご覧ください。

生前贈与を利用するメリットは、上述の制度の利用によって贈与税の節税が可能なことです。

暦年課税を選んだ場合、年間110万円以内の生前贈与であれば贈与税は一切かかりません。

一方で、不動産の贈与を受けるとかえって高い税金が課せられる可能性があることは、生前贈与を受けるデメリットとして覚えておきましょう。

相続時精算課税

生前贈与で大幅な節税を受けたい場合は、相続時精算課税が有効です。

相続時精算課税とは、60歳以上の贈与者から成人以上の受贈者に対して生前贈与される場合に選べる制度です。

贈与を受けた財産の合計が2,500万円を超えた場合に贈与税が課されます。

例えば、60歳以上の祖父から20歳以上の孫へ2,000万円の生前贈与を行った場合、受贈者の孫は2,000万円の贈与を受けても贈与税は発生しないため、節税効果があると言えます。

仮に、2,500万円を超えた生前贈与を受けた場合でも、2,500万円を超過した分の財産にのみ一律で20%の贈与税が発生するため、2,500万円分の財産に対する贈与税の節税が可能です。

ただし、相続時精算課税を利用する場合は、税務署への申告が必要です。

毎年申告が必要なため、手間に感じる人もいるかもしれません。

また、相続時精算課税を利用した場合、暦年課税との併用・変更には不可能です。

一度利用すると以降もずっと暦年課税への変更が認められないため、相続精算課税を利用する際は慎重に検討することが大切です。

子供が相続人となる場合の注意点

いずれ被相続人となられる方々には、多額の資産を持っている人も多いことでしょう。

今のところ家族の仲も良く遺産相続で揉めることはなくても、自分の配偶者や子が相続税に悩まされるか不安を感じている人もいるかもしれません。

なかには養子縁組を活用した節税対策を考える人もいるでしょう。

たしかに養子縁組をすれば、血縁関係とは無関係の子供でも実子と同様に法定相続人となります。

この養子縁組で法定相続人を増やせれば、確かに基礎控除額は大きくなり、相続税を免れるかもしれません。

実態はどのようなものか、この章で詳しく解説します。

法定相続人と養子の数

養子縁組で法定相続人を増やすという方法は確かに使えます。

しかし、法定相続人としてカウントできる養子の数は制限されていることに注意が必要です。

被相続人に子供(実子)がいるなら1人まで、子供(実子)がいなければ2人まで、法定相続人の数に含まれる養子の数が定められています。

残念ながら、養子の数だけ法定相続人がカウントされるということはありません。

この点は相続対策を考える際に、留意しておきましょう。

基礎控除額を超える遺産額分は相続税の申告が必要

基礎控除分を超えると、相続税の申告が必要です。

相続人たちはそれぞれ、相続や遺贈(遺言による贈与)で取得した価額の範囲内で、お互いに協力し合いながら手続きを行います。

なかなか面倒な手続きにはなりますが、申告しないと税務署から指摘を受けるので注意しましょう。

なお、前述した事例では妻が「配偶者の税額の軽減」という制度で相続税を免れています。

配偶者のみが利用可能な制度です。

事例の妻もこの制度を利用しましたが、たとえ相続税はかからなくても申告をしなければいけません。

相続税の申告はどうする

相続人は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内で、被相続人の住所地を管轄する税務署が手続きの場所です。

被相続人の住所地と異なる相続人たちが、それぞれ自分達の住所地で手続きを行えるわけではありません。

なお、納税は原則として現金で一括納付しなければいけません。

提提出に必要な書類は相続税申告書のほか、次の通りです。

共通して提出する書類

こちらは市区町村役場で取得します。

1.被相続人

  • 出生から亡くなるまでの戸籍謄本(改製原戸籍謄本・除籍謄本)
  • 住民票の除票
  • 死亡診断書(写し)

2.相続人

  • 戸籍謄本(家族全員の記載あり):本籍地の市区町村役場で取得。
  • 住民票(家族全員の記載あり)
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等)の写し

3.遺言書または遺産分割協議書(どちらか必要)

遺産分割協議書の提出の際は、相続人の印鑑証明書

金融資産(預貯金等の場合)

被相続人の預金に関する証明は、口座のある金融機関から取得します。

  • 預金残高証明書(死亡日の残高が明記されている)
  • 既経過利息計算書(定期預金がある時)
  • 被相続人の過去の通帳(写し)
  • 家族全員の過去の通帳(写し)

不動産資産(土地・家屋の場合)

各行政機関から書類を取得します。

  • 登記簿謄本(全部事項証明書):法務局で取得
  • 地積測量図または公図の写し:法務局で取得
  • 固定資産税評価証明書:市区町村役場で取得
  • 実測図

なお、これ以外の被相続人の財産、負債がある場合はこれに関する証明書類も必要です。

未成年が相続税の申告をする場合

遺産を受け取り申告・納税する必要があるなら、相続人が未成年であっても行わなければいけません。

ただし、幼児(小学校に就学するまでの子供)のように、民法上で意思能力はないとされる人が行う法律行為ならば無効となります。

この場合には親権者が全て代理して行います。

実際には子供が小学生のときも同様、親権者が代理するのが一般的です。

幼児・小学生の場合は親権者が代わって署名・押印します。

中学生以上の未成年者なら、相続税の申告書の作成・提出するため、単に相続人本人の負担する納税額を確定させる行為は、単独で行えると解されています。

つまり、中学生以上の未成年者は自分で署名・押印しても有効です。

もっとも、親権者同伴で作成した方が無難と言えます。

もちろん、申告書の作成・提出は税理士等に委任も可能です。

しかしこの場合の委任契約は親権者が代理するか、中学生以上の未成年者なら親権者の同意に基づいて締結します。

相続税で不安があるなら税理士に相談しよう

「子供に遺産を渡したいけど、子供が相続税で困らないか心配」
「どうすれば相続税を抑えられるのか、よくわかってない」

という人がいたら、税理士への相談がおすすめです。

税理士に依頼する場合に費用が気になる人もいると思います。

初回の無料相談であれば費用はかからないため、まずは初回の無料相談から利用するのがおすすめです。

ここからは税理士に依頼するメリットを紹介します。

相続税対策ができる

税務のプロである税理士に依頼することで、しっかりと相続税対策ができます。

相続税は他の税金に比べて、税率が高く設定されています。

そのため、相続税の対策をしておかなければ、高い税金を払うことになるかもしれません。

相続の案件に慣れている税理士であれば、相続財産・相続人などを考えたうえで、一番効果的な方法を教えてくれます。

相続税の節税では、控除金額が増えるような「特例」が有効ですが、特例を使うには条件があります。

特例の条件・自分たちの相続状況などを考えて、どの特例を使うか決めなければいけません。

税務の知識がない人が相続手続きを進めてしまうと、せっかく使える特例を使わずに、余計な相続税を払ってしまう可能性があります。

プロである税理士に依頼することで、確実な相続税対策ができるでしょう。

相続トラブルを未然に防げる

相続では財産を巡って、親族でトラブルに発展するケースがあります。

「自分が亡くなったあとに、相続でトラブルを起こしてほしくない」という人もいるでしょう。

税理士に依頼することで、相続トラブルを未然に防げるようになります。

なぜなら相続したときに、トラブルになりそうなことを、先回りして対策ができるからです。

例えば相続時にトラブルを起こしそうな相続人がいたら、生前の段階で税理士を入れて話をつけたり、遺言書を作成して対策ができます。

親族だけで話をすると、感情的になってしまい、トラブルになる可能性が高くなります。

そこで第三者の税理士が入ることで、話し合いをスムーズに進め、トラブルを防げるようになるでしょう。

スムーズな手続きができる

相続が発生すると、10ヶ月以内に相続税の申告をしなければいけません。

特例を利用する場合は、相続税の申告と合わせて、特例の申告も必要になります。

被相続人が亡くなったら、葬儀の手配などで忙しいのに、他の相続人と話し合い財産の分配を決めて相続手続きしなければいけません。

もし申告を間違ってしまうと、再度修正する必要もあります。

そこで相続案件に慣れている税理士に依頼すれば、必要書類の手配・作成・手続きなどを任せられます。

相続手続きについて不安がある人は、プロである税理士へ依頼するのがいいでしょう。

まとめ

子供が唯一の相続人ならば、被相続人の親や兄弟姉妹より優先され、遺産全てが取得できます。

しかし、子供1人が法定相続人ならば、多額の相続税を課せられるリスクもあります。

そのため、被相続人は生前に不動産資産を現金化して金融資産としたり、死亡保険への加入したりなどの対策が必要です。

相続人が手続きの煩雑さに悩まされることなく、相続税の負担軽減もできるようにあらかじめ準備を進めておきましょう。

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