この記事でわかること
- 自分で相続手続きを行うやり方がわかる
- 相続登記のパターンは3つあるのがわかる
- 法務局へ行く前には、集めた証明書を十分にチェックする理由がわかる
- どうしても悩んだ時は、結局、専門家などに相談する理由がわかる
自分で相続手続きを行うには、時間と労力が必要になります。
とくに、相続人の数が多すぎたり、資産家などは自分だけで手続きを行おうとすると書類だけが煩雑となり難しくなります。
相続人が1人だったりすれば、自分でやろうと思えば可能でしょう。
大きければ大きいほどトラブルが多く出てきやすいため、関係者の数と相続財産の大きさによって、手続きの煩雑さが異なってきます。
自分でやろうとしてできる相続事案は、相続人が少ない場合は利害関係人が少なく、相続財産の規模が小さければ登記手続きは簡単ということになります。
できれば、不動産登記簿謄本の見方など、ある程度の知識を身につけておいたほうが、手続きを進めるうえで、スムーズに進みます。
この記事では、自分で相続手続きを法務局で行うときの流れや注意点を解説いたします。
目次
そもそも相続手続きは自分でできるか?
相続が発生したときに「自分だけで手続きできないのか?」と思うかもしれません。
自分だけで相続手続きができれば、専門家に依頼する費用を節約できるというメリットがあります。
結論からいうと、相続の手続きが簡単な場合は自分だけでできますが、相続が複雑になると専門家に依頼した方がよくなります。
そこで下記では、自分で相続手続きができるケース・できないケースを紹介します。
相続人・相続財産が少ない場合は可能
相続手続きの大変さは、相続人の人数・相続財産の多さによって変わります。
例えば相続人が子供だけで、相続財産も少ないといったケースであれば、自分だけ手続きできるかもしれません。
しかし相続の手続きでは、戸籍を取得したり、役所に行って財産の名義変更をしたりします。
さらに相続人が複数いる場合は、全員の合意がないと手続きが進められません。
そのため時間に余裕があり、日中でも役所に行ける人ではないと、手続きがうまくできないでしょう。
「仕事があって日中は忙しい」という人は、できれば専門家に依頼した方が安全です。
相続人・相続財産が多いなら専門家に依頼した方がいい
「相続人が複数いる・相続財産が多い」という場合は、自分で手続きせずに専門家に依頼しましょう。
なぜなら相続人・相続財産が多いと、話し合いが難航したり、財産調査・名義変更したりと手続きが複雑化するからです。
相続では手続きのことだけでなく、相続税の支払いも考えなければいけません。
相続財産が多いと、相続税の支払い金額も多くなるため、素人で手続きするのは危険です。
税理士といった専門家に相談しつつ、着実に節税をしながら手続きを進めないと、税金の支払いで損をします。
迷ったら専門家へ無料相談をしてみよう
「自分の相続は専門家に依頼した方がいいのか、それとも自分だけで手続きできるのか?」と迷うかもしれません。
そのようなときは、専門家への初回無料相談を利用してみましょう。
税理士・弁護士など、多くの事務所では初回の相談を無料で受けつけています。
相続の知識・経験がある専門家に話を聞いてもらい、「自分でできるのか?依頼した方がいいのか?」と判断しましょう。
自分で手続きをして費用を抑えたい人でも、無料相談の範囲内なら、依頼費用は発生しないので安心してください。
ただし相続では財産を巡ってトラブルが起きたり、手続き・相続税の支払い期限が短く設定されたりと、知識のない状態で手続きを進めるのは危険です。
少しでも相続で不安があるなら、プロである専門家に依頼するのが確実でしょう。
相続登記の基本は3パターン
遺産相続を行うとき、最も手続きが煩雑なのは不動産の相続登記です。
不動産の相続登記は、相続後に相続登記しない物件が多いですが、それでは売買契約を結ぶこともできず、ずっと放置していたら次々と相続が発生し、相続人が増えてしまうリスクもあります。
自分で登記を行う場合に、知っておくべき相続登記における3つの基本パターンを紹介します。
遺産分割の協議をして登記するパターン
被相続人が死亡し、相続が開始されると相続人たちは遺産分割協議を実行し、遺産を分けようとします。
遺産分割協議は、相続人間の協議によるものですから、分割内容が決まったら、遺産分割協議書に署名と実印を押印し作成します。
相続登記は、遺産分割協議書に基づいて行うことになります。
遺言の内容に従って登記するパターン
被相続人の遺言がある場合は、1人でも相続人が遺言に同意・主張すれば遺言は優先権を持ちますから、遺言どおりの内容として相続登記を行うことができます。
遺言には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
遺言があらゆる優先権としてある理由は、遺言を遺して死亡した故人の遺志を尊重するためにあるからです。
法定相続分で登記するパターン
法定相続分は法律ですでに決まっている法定相続権利の割合で、夫が死亡すると配偶者は1/2、子どもが2人いると残った財産分に1/2×1/2=1/4ずつが法定相続されると定められています。
最も簡単に遺産分割できる方法ですから、相続人単独で申請が可能です。
不動産の相続登記を法定相続分で分割することは、土地・建物を相続人名義で分割して登記することになります。
敷地である一筆の土地を分割登記すると、将来、物件の売買について相続人全員の同意が必要になってきますので注意が必要です。
売買する時、少なくても相続人1人分の分割された土地だけを売買することは、経済商取引上においてありえませんから、将来的に、不動産相続は相続人の内1人だけを選定し相続名義登記をすることが理想的でしょう。
また、法定相続に注意点として、直系血族である嫡出子と愛人に産ませた非嫡出子の法定相続分は、長い間、非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2とされていましたが、最高裁の判例において相続分を同等とする判決が下されましたから注意してください。
以上の3つが相続登記するときの基本パターンです。
なお、登記申請する方法も3つあります。
- (1) 法務局へ行き申請
直接指導してもらえるのがメリット - (2) 郵送による申請
出向いていく時間が省けるのがメリット - (3) オンライン申請
出向いていく時間が省ける+手数料が少し安いのがメリット
法務局へ行く前にチェック!相続登記4つのポイント
簡単なケースの相続登記手続きの流れは以下のとおりです。
- 相続財産の特定
- 被相続人の戸籍などを収集(相続人調査)
- 相続人の確定及び必要書類の収集
- 遺産分割協議書の作成(遺言がない場合)
- 登記申請書の作成及び申請
相続登記は個人財産の権利を確定しますから、多くの書類が必要になります。
そのため、自分で法務局の窓口に行く場合は、書類集めや書類作成に時間を要し、不備が無いことを何度もチェックをしなければいけません。
それでは以下に、相続登記手続きのポイントを4つ紹介します。
不動産情報の取得
法務局から登記簿謄本(登記事項証明書)を取り寄せます。
相続不動産の現所有者、担保設定などの権利関係者がすぐに判明するようにできています。
自分では、現所有者はすでに故人になった被相続人名義と思っていても、証明書確認をしなければ法的根拠となり得ません。
権利関係は、根抵当権や抵当権設定など借金のためによるものが多く、相続は不動産物件の借金も一緒に引き継ぐことになりますから、物件情報をよく把握しておきます。
住民票・戸籍を取得
市役所の市民課が発行する住民票・戸籍を取り寄せます。
すでに死亡した被相続人と相続人の関係を法的に証明する書類となります。
- (1) 被相続人の住民票
- (2) 登記する相続物件の所有者になる相続人の住民票
- (3) 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- (4) 相続人全員の現在における戸籍
適正なる相続人であるかどうか、証明するために必要なる書類です。
当然、死亡の事実があれば死亡届、出生したら出生届を市役所に提出しなければなりませんから、個人情報は役所側において適正に管理されています。
固定資産税評価証明書を取得
市役所の固定資産税課から、固定資産税評価証明書を取り寄せます。
固定資産税は国税ではなく自治体に収納される税ですから、自治体が調査・管理・請求を行っています。
固定資産税の計算は、すべて固定資産税評価額に税率を乗じて算出されており、所有者の住所地に請求がなされます。
同時に法務局に支払う登録免許税などの計算根拠として、固定資産税評価証明書を基準として算出しますから、欠かせない証明書となっています。
相続登記の書類作成
証明書以外の書類として、次の書類を自力作成します。
- (1) 登記申請書
- (2) 相続関係説明図
- (3) 遺産分割協議書
手書きかパソコン・ワープロでも認められています。
ただし、行政側への申請書類一式は、コピーを取っておくようにしてください。
原本は行政の審査書類となり、申請人として、後で何を記述したかわからないようでは困りますから複写が必要です。
なお、原本還付は請求書を申請すればできます。
証明書には有効期限があり、発行から概ね3カ月以内が多いです。
法務局で相続手続きをする際の流れ
法務局の申請窓口に行く前に、書類や証明書を収集しチェックを終えると、いよいよ法務局に行くことになります。
法務局は相続不動産物件が所在する管轄法務局に出向いていかなければならず、管轄外の法務局へ行ったら手続きができませんので、管轄の法務局にいきましょう。
それでは、法務局で相続手続きをする際の流れを紹介します。
- (1) 受付窓口に行く
- (2) 受付窓口の係官に、登記申請書類一式を提出する
必要書類が揃っているかどうかの確認です。 - (3) 収入印紙の購買所に行き、登録免許税に必要な収入印紙を購入して貼付する
- (4) 受付窓口の係官に再度申請し、登記受付番号を聞きメモ書きで控える
- (5) 受付窓口カウンターの横に掲示された登記完了予定日を確認し、登記完了日付を聞く
- (6) 無事に登記完了されたら、もらった日付に法務局へ行き、完了書類をもらう
((4)に示した登記受付番号が必要となります)
登記申請窓口は日常的に混雑しがちですから、登記義務化・実施される時期になると窓口の大混雑も予想され、法務局窓口が少ない現状もあり、登記完了予定日が遅れる場合が想定されます。
できるだけ早めに登記申請を行いましょう。
相続手続きで悩んだ時の対処法
自分で行う相続手続きは、書類関係一式を揃えても、法務局に登記申請して滞りなく一度で登記されるとは限らず、書類の不備などがあると後で連絡が入り、再度、法務局へ出向いていかなければなりません。
自分で行う行政関係書類申請には、ある程度以上の知識がなければ対処できない場合があります。
とくに、専門知識が要求される書類ほど煩雑で難しくなります。
専門家に依頼する料金を節約したいから、自分で申請することもありますが、どうしても思うようにいかず悩む場合も少なくありません。
そのような事態になったときは、専門家(弁護士、司法書士、行政書士)に委ねるしかなくなることもあるでしょう。
手続きについては、司法書士が多くみられます。
弁護士の場合は、遺産分割協議でトラブルになった際に相談する場合が多いようです。
または、専門家への依頼を見送りたい場合は、法務局の無料相談窓口を利用することも可能です。
まとめ
専門家に頼らず自分で相続手続きを行うには、時間と労力が必要になってきます。
とくに相続不動産の登記にはとても苦労するでしょう。
不動産物件は地番と家屋番号で登記されていますから、まず登記簿謄本から始め、被相続人および相続人たちの各種証明書を集めなくてはならなくなります。
さらに、登記申請書などの記述書類は、すべて自分で作成しなければならなくなります。
自分で行う場合はある程度の知識をつける必要があると考えておくとよいでしょう。
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