この記事でわかること
- 学資保険とはどのような目的で利用される保険契約かがわかる
- 学資保険の契約を有する場合に相続税が発生する場合があるとわかる
- 学資保険の受取時に発生する税金の種類を知ることができる
学資保険とは、文字どおり教育資金を確保するために利用される保険契約です。
保険契約であるため、定められた一定の事由が発生すれば保険金を受け取ることができます。
ただ、お金を受け取る際には何らかの税金が生じると考えられます。
ここでは、学資保険から発生する税金について詳しく解説していきます。
目次
学資保険とは
学資保険とは、主に生命保険会社で取り扱われている保険契約の1つで、利用する目的は子どもの教育資金を確保することです。
特に高校や大学に進学する際には、入学金や授業料の他、学用品や教科書代など多くのお金が必要となります。
そこで、まだ子どもが小さいうちに子どもの進学のタイミングに合わせて保険金を受け取ることができるように契約します。
毎月あるいは毎年保険料を支払い、その支払額より大きな保険金を受け取ることができるのです。
また、保険契約者である親が契約期間の途中で死亡すると、それ以後の保険料の支払いは免除されます。
保険ごとにその内容は異なっており、定められた年齢で祝金を受け取ることができるものもあります。
また、親が死亡あるいは要介護状態になってしまった場合には、子どもに養育年金が支払われるものもあります。
学資保険で相続税が発生するケース
学資保険に加入する場合、契約者と保険金の受取人は親であり、被保険者は子どもとなるのが一般的です。
学資保険の受け取りは、子どもが一定の年齢になった時に発生するものであり、相続税が発生することはほとんどありません。
しかし、契約者であり受取人でもある親が亡くなった場合、学資保険で相続税が発生する場合があります。
主に2つの理由で相続税が発生すると考えられるため、該当する場合は必ず相続財産の計算に含めなければなりません。
契約者が死亡してその契約を引き継いだ場合
ほとんどの学資保険では、学資保険の契約者である親が死亡するとそれ以後は保険料の支払いが免除されます。
一方、契約者が死亡しても学資保険の受け取りは発生しないため、この時点で受け取る保険金はありません。
そのため、相続税の計算に関するものは何もないように思われます。
しかし、親が保険金の受取人となっている場合、その受取人を変更する必要があり、その変更により相続税が発生するのです。
多くの場合、亡くなった人の配偶者に受取人を変更することになるでしょう。
保険会社での手続きは受取人を変更するだけですが、この時、税法上は配偶者に学資保険を受け取る権利が移転したと考えます。
そこで、相続発生時点での解約返戻金を計算し、その解約返戻金相当額を相続人である配偶者が受け取ったものとします。
解約返戻金相当額が相続財産に含まれることとなるため、保険会社でその額を算出してもらう必要があるのです。
養育年金を一時金で受け取った場合
養育年金がある学資保険の場合、契約者である親が亡くなると養育年金の支払いが開始されます。
この時、その養育年金の受取方法によって相続税の対象になる場合があるため、注意が必要です。
相続税の計算対象となる場合とは、養育年金を一時金として受け取る選択をした場合です。
養育年金は、文字どおり年金として相続人が受け取ることができます。
ただ年金としてではなく、亡くなった時にその全額を一時金として受け取ることもできるのです。
ただ、一時金として受け取る場合はその受取額が相続財産となり、相続税の課税対象となります。
受取方法を検討する場合は、まず一時金とする場合いくらになるのか、年金の場合いくらになるのかを確認しましょう。
その上で、どのような受け取り方をするといくらの税金が発生するのかを試算しておくのが望ましいといえます。
学資保険にかかる相続税以外の税金
前述したように、学資保険から保険金などを受け取る場合、税金が発生することがあります。
ただ、その受取方法や契約の内容によって、発生する税金の種類や金額が変わることとなります。
どのような場合にどういった税金が発生するのか、確認していきましょう。
保険契約者と受取人が同じ場合
学資保険の契約者である親が、そのまま保険料の支払いを継続し、保険金を受け取る場合です。
最もオーソドックスなパターンであり、最も多くの人に該当するでしょう。
当初の契約に定められたとおり、子どもが高校や大学に入学する年齢になった時に保険金を受け取ることとなります。
また、祝金として数年ごとにお金を受け取ることができる場合もあります。
これらの保険金や祝金は、受取人の一時所得となる金額です。
一時所得となる金額は、「総収入金額-収入を得るために支払った金額-50万円」で計算されます。
総収入金額は、学資保険金や祝金として実際に受け取った金額のことです。
また、収入を得るために支払った金額とは、それまでに支払った保険料のことをいいます。
支払った保険料より、受け取った保険金の方が大きいため、差益が発生すれば所得金額となります。
ただ、一時所得の計算には、特別控除が認められています。
特別控除の金額は最大50万円とされているため、差益が50万円以内であれば課税対象となる金額はゼロとなるのです。
なお、差益が50万円を超えれば、特別控除50万円を差し引いた後の金額の1/2を他の所得に加算します。
保険契約者と受取人が別の場合
保険契約者は、その保険料を支払い続ける人であり、受取人となった人はその保険金や祝金を受け取る人です。
契約者と受取人が別の人の場合、受取人自身では保険料を負担していません。
そのため、保険契約者と受取人が異なる場合は、保険契約者から受取人に対する贈与があったものとされます。
贈与税の対象となる場合でも、受け取った金額が年間で110万円以内であれば贈与税はかかりません。
これは、贈与税には110万円の基礎控除があるためです。
ただ、学資保険以外にも贈与された金額がある場合は、それらをあわせて贈与税の計算を行う必要があります。
この場合、贈与税が発生する可能性があるので注意が必要です。
養育年金を年金として受け取る場合
学資保険の契約をしていた親が亡くなったり、要介護状態となったりすると、養育年金の支払いが始まります。
養育年金を受け取る人には所得税が発生し、相続税の対象とはなりません。
この場合の所得区分は、保険金や祝金を受け取った場合の一時所得ではなく、雑所得となります。
雑所得の金額は、受け取った金額からその収入を得るために支払った金額を差し引いた額となります。
一時所得のように最大50万円の特別控除はないため、発生した金額はすべて課税対象となります。
納付する所得税の額は、給与所得など他の所得金額と合計して求めます。
なお、養育年金を受け取る人には雑所得が発生する可能性が高くなります。
子どもが養育年金を受け取る場合、その子どもに所得が発生することとなるため、扶養から外れてしまうことも考えられます。
誰を受取人にするか、よく考えて契約する必要があります。
まとめ
学資保険に加入するのは、子どもが生まれてからすぐにという場合が多いのですが、その受け取りは十数年後になります。
同じ保険金を受け取った場合でも、税金の負担が出るかどうかで、使える金額に差が出てしまいます。
学資保険の契約をする際には、あらかじめどのような税金が発生するのかを知っておきましょう。
そして、余分な税金が発生しないような方法を考えておくようにしましょう。
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