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最終更新日:2023/1/13

二次相続の相続税を早見表でチェック!税額の決まり方も解説

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
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二次相続の相続税を早見表でチェック!税額の決まり方も解説

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この記事でわかること

  • 相続税の金額が決まる2大要素がわかる
  • 早見表から一次相続の相続税がわかる
  • 早見表から二次相続の相続税がわかる
  • 相続税の早見表をチェックするときの注意点がわかる
  • 二次相続の相続税が高くなる理由がわかる

相続税は自己申告の税金であり、税額は自分で計算しなければなりません。

とはいっても相続税の計算は少々わかりにくく、不慣れな人が計算すると間違えてしまうこともあるでしょう。

はっきりした税額がわかりにくいため、相続税はどこか不気味な税金ともいえますが、概算だけでもわかれば相続税対策をする・しないの判断もできます。

また、相続税対策は長期的にみておく必要もあり、一次相続では税金を抑えたものの、二次相続の相続税が高額になるケースもあります。

今回は相続税の目安に使える「早見表」の見方やチェックポイントを解説しますので、相続税対策を考える上での参考にしてください。

相続税の金額はどのように決まるのか?

相続税の計算には様々な要素を反映させますが、税額に大きく影響するのは「遺産総額」と「法定相続人」です。

遺産総額とは単純にプラス財産(現金や預貯金など)を指しているわけではなく、借金などのマイナス財産も含めています。

また、法定相続人は民法で定められた一定範囲の血族や親族であり、優先的に相続できる順位も決められています。

相続税の大部分は遺産総額と法定相続人によって決まるので、それぞれの内容をもう少し詳しくみていきましょう。

遺産総額とは?

相続財産には多くの種類があり、預貯金や現金、有価証券や不動産など、何らかの利益になる財産をプラスの財産と呼びます。

一方、マイナス財産には借金などがあり、すべて含めた財産が「遺産総額」になります

ただし、相続税はプラスの部分だけで計算するため、プラス財産からマイナス財産を差し引いて「正味の遺産総額」を算出しなければなりません。

さらに基礎控除を差し引いた「課税遺産総額」から相続税を計算するため、相続税額がわかるまでには多くの計算ステップを踏むことになります。

法定相続人とは?

被相続人の財産を相続する権利がある人を「法定相続人」といいます。

法定相続人の範囲は民法で定められており、優先的に相続できる順位も以下のように決められています。

  • ・被相続人の配偶者は常に相続人となる
  • ・第1順位の相続人:被相続人の子ども(死亡している場合は孫)
  • ・第2順位の相続人:被相続人の親(死亡している場合は祖父母)
  • ・第3順位の相続人:被相続人の兄弟姉妹(死亡している場合は甥や姪)

順位が上の人から相続財産を取得するため、被相続人に配偶者と子どもがいる場合は、配偶者と子どものみが相続人となり、次順位の人が相続することは原則ありません。

また、相続税の計算では正味の遺産総額から基礎控除を差し引きますが、基礎控除は相続人の数に応じて上がるため、相続人が多いほど税負担は軽くなります

一次相続の相続税額を早見表でチェック

夫婦(両親)のどちらかが亡くなった場合を一次相続といい、一般的なケースでは配偶者と子どもが相続人になります。

一次相続で発生する相続税は以下の早見表からわかるので、遺産総額と「配偶者+子どもの数」から相続税を把握してください。

なお、相続税は以下の条件で計算しているため、早見表は子どもが負担する相続税のみとなっています

  • ・法定相続分どおりに相続(配偶者1/2、子ども1/2)
  • ・配偶者は「配偶者の税額軽減」を適用するため相続税はゼロ円
遺産総額 配偶者と子1人 配偶者と子2人 配偶者と子3人 配偶者と子4人
4,000万円
5,000万円 40万円 10万円
6,000万円 90万円 60万円 30万円
7,000万円 160万円 113万円 80万円 50万円
8,000万円 235万円 175万円 138万円 100万円
9,000万円 310万円 240万円 200万円 163万円
1億円 385万円 315万円 263万円 225万円
1.5億円 920万円 748万円 665万円 588万円
2億円 1,670万円 1,350万円 1,218万円 1,125万円
2.5億円 2,460万円 1,985万円 1,800万円 1,688万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,540万円 2,350万円
3.5億円 4,460万円 3,735万円 3,290万円 3,100万円
4億円 5,460万円 4,610万円 4,155万円 3,850万円
4.5億円 6,480万円 5,493万円 5,030万円 4,600万円
5億円 7,605万円 6,555万円 5,963万円 5,500万円
10億円 1億9,750万円 1億7,810万円 1億6,635万円 1億5,650万円
20億円 4億6,645万円 4億3,440万円 4億1,182万円 3億9,500万円
30億円 7億4,145万円 7億3,80万円 6億7,432万円 6億5,175万円
50億円 12億9,145万円 12億5,380万円 12億1,615万円 11億7,850万円

子どもの法定相続分は遺産総額の1/2ですが、複数いる場合は人数で均等割りします。

また、相続税は遺産総額に応じて高くなる累進課税方式であり、相続人が多いほど1人あたりの負担額は少なくなります。

従って、表の下側は税金の比率が高くなり、右へ行く(相続人の数が増える)ほど相続税は安くなります

二次相続の相続税額を早見表でチェック

一次相続の相続人であった配偶者も亡くなり、子どもだけが相続人になる状況を二次相続といいます

以下の早見表は二次相続に対応したものですが、相続税は一次相続よりもかなり高くなっていることがわかります。

たとえば子ども2人が5,000万円を相続する場合、一次相続の早見表では10万円でしたが、二次相続の場合は8倍に跳ね上がり、80万円の相続税になっています。

相続税は現金一括納付が原則となっているため、一次相続の納税資金は準備できたとしても、二次相続では相続税対策が必要になるケースもあるでしょう。

遺産総額 子1人 子2人 子3人 子4人
4,000万円 40万円
5,000万円 160万円 80万円 20万円
6,000万円 310万円 180万円 120万円 60万円
7,000万円 480万円 320万円 220万円 160万円
8,000万円 680万円 470万円 330万円 260万円
9,000万円 920万円 620万円 480万円 360万円
1億円 1,220万円 770万円 630万円 490万円
1.5億円 2,860万円 1,840万円 1,440万円 1,240万円
2億円 4,860万円 3,340万円 2,460万円 2,120万円
2.5億円 6,930万円 4,920万円 3,960万円 3,120万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円 4,580万円
3.5億円 1億1,500万円 8,920万円 6,980万円 6,080万円
4億円 1億4,000万円 1億920万円 8,980万円 7,580万円
4.5億円 1億6,500万円 1億2,960万円 1億980万円 9,080万円
5億円 1億9,000万円 1億5,210万円 1億2,980万円 1億1,040万円
10億円 4億5,820万円 3億9,500万円 3億5,000万円 3億1,770万円
20億円 10億820万円 9億3,290万円 8億5,760万円 8億500万円
30億円 15億5,820万円 14億8,290万円 14億760万円 13億3,230万円
50億円 26億5,820万円 25億8,290万円 25億759万円 24億3,230万円

相続税の早見表をチェックするときの注意点

一次相続・二次相続ともに、早見表の相続税は概算値です。

配偶者のみ使える「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」は適用されていますが、より正確な税額を計算するためには基礎控除も反映させなければなりません

では正味の遺産総額や課税総額の計算をおさらいし、基礎控除や配偶者の税額軽減も詳しくみていきましょう。

正味の遺産総額とは?

相続税を計算する際にはプラス財産からマイナス財産を差し引きますが、他にも以下のような加算や減額要素を反映させます。

  • ・相続時精算課税制度による贈与財産:相続財産に加算
  • ・相続開始前3年以内の贈与財産:相続財産に加算
  • ・死亡保険金等のみなし相続財産:相続財産に加算
  • ・死亡保険金等の非課税枠:相続財産から控除
  • ・葬儀費用(非課税財産):相続財産から控除

プラス財産に加算するもの、差し引くものをすべて反映させた結果が「正味の遺産総額」であり、ここから基礎控除を差し引いた額が課税遺産総額になります。

課税遺産総額がわかった段階で本格的な相続税計算に入るため、正味の遺産総額の把握は相続税を計算する上で重要なポイントになります。

相続税の基礎控除

正味の遺産総額がわかれば、次は基礎控除を差し引いて課税遺産総額を計算します。

  • ・相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
  • ・課税遺産総額:正味の遺産総額-基礎控除

では以下の例で基礎控除や課税遺産総額を計算してみましょう。

  • ・相続人:2人
  • ・プラス財産:6,000万円(預貯金や不動産など)
  • ・マイナス財産:800万円(借金や未払金)
  • ・非課税財産:200万円(仏壇・仏具など)

課税遺産総額の算出は以下の手順で計算していきます。

  • (1)正味の遺産総額:6,000万円-(800万円+200万円)=5,000万円
  • (2)基礎控除:3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円
  • (3)課税遺産総額:5,000万円-4,200万円=800万円

課税遺産総額800万円に対する税率は10%なので、相続税の総額は80万円となり、さらに各人の取得割合を乗じると1人あたりの相続税がわかります。

配偶者の税額軽減(配偶者控除)

被相続人の配偶者は常に相続人となるため、特別枠のような位置付けになりますが「配偶者の税額軽減」という強力な優遇税制も設けられています。

配偶者の税額軽減を使うと、相続した財産は「1億6,000万円または法定相続分」のどちらか多い方までが非課税になります。

相続税の申告によって使える制度ですが、仮に相続財産が1億6,000万円だった場合、配偶者がすべて相続すると相続税は1円も発生しないことになります。

また、1億6,000万円を超える財産を相続したとしても、法定相続分の範囲内であれば相続税はかかりません。

ただし、配偶者の税額軽減を最大限に使うと、配偶者名義の財産が膨れ上がってしまうため、二次相続が発生した際の相続税が高額になってしまいます。

二次相続の相続税額が高いのはなぜ?

早見表からもわかるように、一次相続に比べて二次相続の税金はかなり高く、家族構成によっては相続した財産の半分以上が相続税になってしまうケースもあります。

さて、ここで注目したいのが二次相続の相続税が高くなる理由です。

相続税対策を検討する上でも重要なポイントになるため、配偶者の税額軽減や基礎控除の特徴をしっかり押さえておきましょう。

配偶者の税額軽減が使えない

一次相続では配偶者の税額軽減が使えるため、被相続人の夫や妻は非課税相続が可能になり、相続税の総額もかなり低く抑えられます。

また、配偶者の税額軽減では1億6,000万円まで相続税がかからず、以下のように法定相続分で相続する場合も相続税が発生しません

  • ・配偶者と子どもが相続人:配偶者1/2、子ども1/2
  • ・配偶者と被相続人の親:配偶者2/3、親1/3
  • ・配偶者と被相続人の兄弟姉妹:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
  • ・相続人が配偶者だけの場合は100%

仮に相続財産が10億円だった場合、配偶者と子どもで均等分割すると、それぞれ5億円を取得することになります。

しかし配偶者は法定相続分の範囲内になるため相続税はかからず、子どもが相続する5億円だけが相続税の対象となります。

ただし、配偶者の税額軽減は夫婦間相続だけの優遇税制なので、二次相続には使えません

相続人の数が減るため基礎控除額も低くなる

相続税は基礎控除を超えた部分の財産に課税されるため、基礎控除額が高ければ高いほど課税額は低くなります。

基礎控除の計算式は以下のとおりですが、計算結果(控除額)は相続人の数に左右されます

  • ・相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

たとえば1億円の財産を相続する場合、相続人1人と4人では以下のような違いが出ます。

  • ・相続人1人の基礎控除:3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円
  • ・相続人4人の基礎控除:3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円

それぞれ1億円から控除して課税額を計算するので、1人の場合は課税額6,400万円で税率は30%、4人であれば課税額4,600万円で税率は20%です。

課税額・税率ともに低くなるため、相続人が多いほど税負担は軽くなりますが、逆に法定相続人の数が減ってしまう二次相続では課税額が高くなります

死亡保険金などの非課税枠も低くなる

死亡保険金や死亡退職金には非課税枠があり、以下のように計算します。

  • ・死亡保険金などの非課税枠:500万円×法定相続人の数

相続人の数が多いほど非課税枠も拡大されるので、考え方は相続税の基礎控除と同じです。

最低でも500万円の非課税枠が使えるため、現金や預貯金相続よりも有利ですが相続人が少なくなる二次相続では非課税枠のメリットも十分に活かせないでしょう

相続税を抑えるためにやるべきこと

二次相続が発生すると、相続税が高くなるケースが多いです。

二次相続は一次相続に比べて、非課税枠が少なくなったり、相続人ひとりあたりの相続遺産が多くなったりするからです。

二次相続が発生する可能性があるなら、相続税の対策をしておかなければいけません。

ここからは相続税を抑えるために、やるべきことを紹介します。

生前贈与を活用する

二次相続が起きる前に、生前贈与を活用すると相続税対策になります。

生前贈与とは、生きているうちに財産を譲り渡す行為です。

贈与にも非課税枠が設定されており、うまく活用することで、税金を払うことなく贈与ができます。

例えば年間110万以下の贈与であれば、非課税になる「暦年贈与」という仕組みがあります。

もし暦年贈与を使ってコツコツ10年贈与すれば、1,100万円分の贈与が非課税になります。

暦年贈与以外にも、生前贈与での非課税枠はあります。

非課税枠をうまく使って生前贈与しておけば、二次相続での相続財産をうまく減らして、相続税を抑えられます。

相続税の対策をしたいなら、二次相続が起きる前に生前贈与を活用しましょう。

相次相続控除を利用する

二次相続では、相次相続控除の利用ができるかもしれません。

相次相続控除とは、一次相続から10年以内に二次相続が発生したときに、相続税を減額できる制度です。

一次相続と二次相続の期間が短いほど、相続税の控除金額が多くなります。

相次相続控除を利用するためには、下記の3つの条件を満たさなければいけません。

  • ・二次相続の相続人であること
  • ・一次相続から10年以内に二次相続が発生
  • ・一次相続で相続税を納付している

ひとつでも条件を満たしてないと、相次相続控除は活用できないので注意しましょう。

相次相続控除を利用するために、申請書の提出も必要になります。

税理士に相談する

二次相続の相続税対策をしたいなら、税務のプロである税理士に相談するのがおすすめです。

税理士に相談すれば、一次相続・二次相続のトータルを考えて、どうすれば節税できるのかアドバイスしてくれます。

相続では法的な専門知識が必要になるため、知識のない状態で手続きを進めるよりも、最初から税理士に相談した方が確実です。

また相続では書類作成・税務署への申請など、面倒な作業も多いです。

税理士に依頼すれば、面倒な相続税の手続きを任せられます。

「相続税で損をしたくない」「面倒な手続きができるか不安だ」という人は、税理士への相談がおすすめです。

まとめ

相続は1回限りのものではなく子どもや孫の代へと繋がるため、10年単位の長期的視点で相続税対策を考える必要があります。

一次相続の節税にこだわり過ぎると二次相続が不利になるケースもあるため、孫が相続する状況もイメージしながら相続税対策を検討するべきです。

しかし相続税や贈与税に関連する法律は都度変更されるため、十分に練り込んだ節税対策が数年後には通用しなくなる可能性もあります。

二次相続まで想定した節税対策は臨機応変な軌道修正も必要になるので、子どもや孫の代まで、長期にわたって付き合える税理士事務所を探しておくとよいでしょう。

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