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最終更新日:2023/6/2

資産管理会社に不動産を移転する方法・費用・必要書類まとめ

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

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書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
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この記事でわかること

  • 資産管理会社を設立する際に必要な手続きを知ることができる
  • 資産管理会社に不動産を移転する際の費用を知ることができる
  • 個人から資産管理会社に不動産を移転する方法がわかる

個人で不動産を所有している人の中には、多額の税負担や相続に関して不安を持っている方も多いでしょう。

そのような不安を解消する方法の1つとして、資産管理会社を利用することができます。

資産管理会社とはどのようなもので、どのような手続きが必要なのか確認していきましょう。

また、不動産の移転にかかる費用や必要書類などもご紹介します。

資産管理会社設立時には不動産の移転が必要

資産管理会社とはその名のとおり、資産の管理業務を行うための会社です。

資産管理会社で管理を行う資産の種類は、不動産だけに限りません。

資産管理会社で、株式や投資信託などを購入することもあります。

ただ、資産管理会社を設立する際は、まず個人で所有している不動産を会社に移転することが必要になります

個人で所有する不動産を資産管理会社に移転する際に必要になるのが、不動産の登記簿の所有者を個人から会社に変更する所有権移転登記です。

所有権を移転するには、売買価格を決定した上で、個人と会社で売買契約を行う必要があります。

資産管理会社に不動産を移転する費用相場

資産管理会社を設立するには、多くの費用がかかります。

ここでは、不動産を移転する費用の他、資産管理会社を設立する際の費用やその会社を運営するための費用もご紹介します。

不動産の移転費用

会社を設立した後、個人で所有している不動産を会社の名義に変更するためには、多くの費用がかかります。

不動産の所有権移転登記は最寄りの法務局で行いますが、この時、登録免許税という税金がかかります

登録免許税は、土地や建物の固定資産税評価額の2%となっています。

また不動産を購入した会社は、不動産取得税を支払わなければなりません

不動産取得税は、固定資産税評価額の3~4%となっています。

不動産の名義変更が行われてしばらく後で都道府県から納付書が送られてくるので、これを利用して支払います。

会社の設立費用

資産管理会社を設立するためには、法人の設立登記や定款認証などの費用がかかります

株式会社の設立費用

登録免許税 最低15万円
定款認証 5万円
定款印紙代 4万円
その他の経費 1~5万円程度

資産管理会社を合同会社とした場合、設立登記の登録免許税の金額は最低6万円からとなります。

また、定款認証を受ける必要はなくなるため、定款の印紙代4万円だけかかります。

その他の経費を含めて、トータル10万円程度の設立費用を準備しておく必要があります。

なお、会社の設立を司法書士に依頼することもできます。

この場合、設立費用とは別に司法書士への依頼費用が発生するため、10万円前後の費用がかかることもあります。

一方で、電子定款を利用すれば印紙代は不要となるため、設立費用を抑えられます。

会社の運営費用

資産管理会社を設立すると、毎年法人税の申告を行う必要があります

法人税の額は、会社で発生する利益に応じて変動しますが、赤字でも7万円程度の地方税は必ず負担しなければなりません。

また、申告書の作成や提出は税理士に依頼するケースが多く、この場合は税理士報酬も毎年必要になります。

会社で役員報酬や給与を支払っている場合、会社も社会保険料を負担しなければなりません

その加入手続きが必要になる他、給与額の約15%となる社会保険料の負担も考慮しておく必要があります。

個人から資産管理会社へ不動産を移転する方法・必要書類

個人で所有する不動産を資産管理会社に移転する際、どのような流れで行うのでしょうか。

必要な書類もあわせて確認しておきましょう。

個人から会社に不動産を移転する流れ

個人で所有する不動産を会社に移転するには、以下のような流れで手続きを進めていきます。

  1. ①資産管理会社を設立します
  2. ②個人と会社で不動産の売買契約を締結します
  3. ③会社から個人に対して売買代金を支払います

会社を設立したばかりの時期に個人から不動産を購入するため、会社には十分な資金はありません。

そのため、③の売買代金の支払いは、毎月の家賃収入から分割払いを行うのが一般的です。

いくらの支払いであれば資金繰りに問題がないのか、あらかじめシミュレーションしておきましょう。

必要書類

不動産の売買による所有権移転登記を行うためには、多くの書類が必要になります。

売主となる個人が準備する書類は以下のとおりです。

売主が準備する書類

  • 登記識別情報または登記済権利証
  • 印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 本人確認書類
  • 実印

一方、買主となる会社で準備する書類は以下のとおりです。

買主が準備する書類

  • 会社の謄本または代表者事項証明書
  • 本人確認資料
  • 会社の実印

売却する不動産のために借入をしている場合

個人が不動産を購入した時に金融機関から借入をしていた場合、不動産に抵当権が設定されているのが一般的です。

この場合、金融機関の抵当権が設定されたままでは売買できません

金融機関に今後の展望を説明し、抵当権の抹消を行うことが可能か、事前に確認しましょう。

一番望ましいのは、会社が金融機関から不動産の購入資金の融資を受ける方法です。

融資を受けたお金は、そのまま個人に対して売買代金として支払われます。

個人は、受領した売買代金で金融機関の借金を返済し、同時に抵当権を抹消してもらいます。

一方、会社の名義になった不動産に対しては、金融機関が抵当権を設定するという形になります。

まとめ

資産管理会社を設立するには、会社の設立と不動産の移転という手続きをほぼ同時に行う必要があります

そのため、非常に手間がかかる他、費用もかかります。

しかし、一度資産管理会社を設立すれば、その後の節税や相続は非常に楽に進めることができます。

自分ですべての手続きを完結するのが難しい場合は、専門家のアドバイスも受けながら進めるといいでしょう。

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