この記事でわかること
- 実家を相続する時にしてはいけないことがわかる
- 利用・活用する予定のない実家を相続するデメリットがわかる
- 相続した実家の利用方法や手放す方法を知ることができる
進学や就職のために、生まれ育った土地を離れて都会に出てくる人が多くいます。
都会に住むこととなれば、実家には親しか住んでいない状態となり、いずれはその実家を相続することとなります。
しかし、自身の住まいは都会にすでにあるため、実家を相続しても、結局は空き家になってしまうことが多いようです。
今回は、遠く離れた場所にある実家を相続することの注意点や、その後の活用方法、手放す方法などを解説していきます。
目次
実家の相続でやってはいけないこと4つ
実家には両親だけが住み、子どもは全員別の場所に住んでいるという人が少なくありません。
進学や就職のため、あるいは結婚により別世帯を設けたため、実家に住むのは両親だけというケースが多いことがその理由です。
このようなケースで両親ともに亡くなると、実家は空き家となります。
しかし、土地や建物は相続人が相続しなければならないため、遠方に住む子どもが相続することとなります。
この時、相続人がしてはいけないことをご紹介します。
相続登記せずに放置してはいけない
相続が発生すると、亡くなった人(被相続人)が保有していた遺産は、すべて相続人が相続しなければなりません。
そのため、価値のない遺産や利用する予定のない遺産であっても、相続人の誰かが相続する必要があります。
実家を相続した場合、その土地や建物の所有者が変わったことを明らかにするため、登記しなければなりません。
ただ、登記を行うには登録免許税や司法書士への報酬などの費用がかかります。
そのため、相続登記を行わないまま、放置してしまうことも考えられます。
しかし、相続登記をせずに放置していると、誰が所有者なのかわからない状態となってしまいます。
また、将来的に土地や建物を売却や取り壊す際に、正しい登記になっていないと手続きは進められません。
令和6年4月には、3年以内に登記しなければならないとする法律が施行されるため、相続登記が義務化されていきます。
今後は、相続登記せずに放置しておくことのないようにしなければなりません。
共有名義にしてはいけない
誰も使わない土地や建物を1人で維持するのは大変だからと、2人以上で共有にすることがあるかもしれません。
2人以上の子どもが共有すれば、1人1人の負担は半分以下に軽減されると考えるためです。
しかし、できるだけ不動産を共有すべきではありません。
それは、不動産の共有者が亡くなると、共有していた財産も相続財産となり、新たな相続人を決定しなければならないからです。
また、共有となっている不動産を売却や他の用途に転用するには、共有者全員の同意が必要となります。
この時、共有者全員の同意がいつも得られるわけではないことから、不動産の活用ができなくなってしまうことがあり得ます。
共有にすることで得られるメリットより、デメリットの方がはるかに大きいと考えられるため、共有にしないようにしましょう。
何も考えず保有し続けてはいけない
実家を相続して、その後どのような形で利用するのか、何らかのイメージをしておく必要があります。
ただ実際には何も考えず、誰かが相続しなければならないからということで、相続することが多いかもしれません。
しかし、何も考えずに実家を相続しても、保有するだけでプラスになることはありません。
すぐには形にならなくても、これからどのように利用するかを考えながら、実家を相続し、保有するようにしましょう。
建物だけ先に壊してはいけない
実家を相続した場合、とりあえず使わないからという理由で、建物を取り壊してしまうことがあるかもしれません。
しかし、実家の建物を取り壊すと、土地に対する固定資産税が翌年から一気に6倍程度に跳ね上がる可能性があります。
もちろん、倒壊しそうな建物を取り壊すことは必要であり、この場合は自主的に取り壊さなければなりません。
しかしそうでなければ、実家の取り壊しは今後の利用方法を決めてからにしましょう。
活用予定のない実家を相続するリスク・デメリット
活用予定のない実家を相続することには、どのようなリスクやデメリットがあるのでしょうか。
土地や建物を保有することには、金銭的・精神的な負担が付き物であることから、様々なリスクが関係してきます。
詳しくみていきましょう。
①相続税の負担が発生する
相続税は、遺産を相続した相続人に対して発生します。
田舎の土地や建物を相続した場合でも、その相続税評価額は意外に高くなるケースもあります。
また、小規模宅地等の特例などの税額軽減措置が適用できず、相続税が発生することがあります。
相続税の負担が発生すると、相続が発生してから10か月以内に納付しなければなりません。
田舎の土地は簡単には売れないため、納税資金は相続財産から用意するか、相続人自身で用意するケースが多いでしょう。
②相続した実家の維持費がかかる
実家を相続すると、相続時の相続税だけでなく、その後も維持費が毎年発生します。
たとえば、固定資産税は実家の所在する市町村に対して、毎年決まった時期に納付しなければなりません。
田舎の土地は評価額が低くなる傾向にありますが、それでも数万円の固定資産税が毎年発生することもあります。
毎年固定資産税の負担をすると、かなりまとまった支出になることが想定されます。
また、遠方の実家を適切な状態で維持するには、業者に依頼する必要があります。
こうすることで、草刈りや剪定などの作業を自身でするのではなく、業者にお願いしてやってもらうことができるようになります。
ただ、このような業者への支払いも毎年発生することとなれば、大きな負担となってしまうことが予測できます。
③空き家を取り壊さなければならない場合がある
先ほど、実家の建物だけ先に取り壊してはいけないとご紹介しました。
しかし、建物が老朽化し、災害などの際に他の人に危害を加えかねない状態にある場合は、建物の取り壊しが必要です。
特に危害が及ぶ場合には、地元の市町村から取り壊しや建物の補修などの対応を求められます。
所有者は対応を迫られることとなりますが、取り壊しあるいは補修工事のいずれにしても、多額の費用が発生します。
しかし、この費用を市町村や近隣の住民が負担してくれるということはありません。
結果、実家を相続したために、多額の費用を負担しなければならないこともあり得ます。
相続した実家を活用する方法
実家を相続することにリスクやデメリットを感じるのは、相続した土地や建物を利用できず、負担ばかりと思うためです。
しかし、うまく実家を活用すれば、逆にメリットしかないようなケースも考えられます。
具体的にどんな方法があるのかをみていきましょう。
建物を賃貸する
相続した実家をそのまま第三者に貸し出すことができれば、家賃収入を得られるようになります。
また、建物は使わなくても、土地を駐車場などに使いたいという人がいるかもしれません。
賃貸すれば、家賃収入が毎月決まった時期に入ってくるため、相続人にとっては大きなメリットとなるでしょう。
民泊を開業する
実家の周辺に温泉や有名な観光地があるような場所の場合には、民泊を開業することもできます。
観光客が宿泊してくれれば、その分売上も増えて、大きな利益を得られるようになるはずです。
しかし、民泊を開業するには初期投資が必要であり、場合によっては銀行からの融資を検討する必要もあるでしょう。
また、スタッフを雇用し、宿泊客を獲得するために、新たな悩みが生じることも考えられます。
シェアオフィスを開業する
ワーケーションとして、田舎に滞在しながら仕事をするという働き方が注目されています。
そこで、田舎にある実家をワーケーション用の滞在型シェアオフィスに改装する方法も考えられます。
民泊と同様に初期費用はかかりますが、観光地の近くである必要はないため、実家の場所に関係なく開業できる可能性はあります。
土地を賃貸する
建物を取り壊した上で、その土地を貸し出すことも考えられます。
土地のまま駐車場として利用する場合もあれば、建物を建てるために借りる人もいるでしょう。
事業用定期借地権を利用して、年数を限定して貸し出すことも可能となります。
相続した実家を手放す方法
実家の活用には、その実価を利用するだけのニーズがなければ成立しません。
しかし、過疎化が進む田舎では、なかなか活用方法も定まらないということが考えられます。
そこで、実家を手放すのも選択肢となってきます。
不動産業者に売却する
田舎の土地を購入したいという人を探すには、非常に時間がかかります。
そこで、その地域に強い不動産業者にその土地を買い取ってもらうのが、早く土地を売却できる方法だと言えます。
自分で売却先を探す時より売却価格が低くなりますが、早く売却できる点はメリットとなります。
売却先を探して売却する
その土地を利用したいと考える人がいれば、その人に土地を売却することができます。
売却価格は時価となることから、不動産業者に売却する場合より高くなります。
しかし、田舎の土地を利用したいと考える人が現れるかどうかはわかりません。
というより、簡単には買主を見つけることはできない方が多いかもしれません。
まずは隣地の所有者など、実家の場所をよく知っている近隣の人に購入希望者がいないか、確認してみましょう。
また、購入希望者を自身で見つけた場合も不動産業者に仲介してもらい、法的な問題が発生しないようにしておきましょう。
まとめ
実家の相続をする場合、その評価額がそれほど高くないと、相続税の負担も大きくなりません。
そのため、利用する予定のない実家も気軽に相続してしまうことが多いでしょう。
しかし、一度相続した実家は簡単に手放すことができず、維持費がかかるため、その負担は決して小さなものではありません。
実家を相続する場合には、その後の活用方法や処分方法をよく考えておきましょう。
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