この記事でわかること
- 主に3種類ある遺言書の特徴やメリット・デメリットが理解できる
- 遺言書が持つ主に8つの法的な効力について理解できる
- 遺言書の期限や開封された場合の扱い、無効になるケースがわかる
- 相続人に与えられる遺留分を侵害する遺言書の扱いがわかる
- 遺言書があっても必ずしも従わなくてよいことがわかる
相続の際に遺言があれば、自分の財産を遺族にどう配分するかについて、相続人任せにせず自分の意思を優先させることができます。
法律で認められる範囲内であれば、相続人や財産を指定して、思ったとおりに分け与えることが可能です。
また、相続人には当たらない人に財産を残すことや、内縁関係にあった人との間に生まれた子を、死後に認知することも認められます。
ただし、遺言書の作成には厳格なルールがあり、それを守っていない場合は無効になってしまうケースもあるため、正確な知識を持つことが大切です。
この記事では、遺言書が持つ特徴やメリット・デメリット、法的な効力や期限、無効になるケースについて紹介します。
また、相続人の遺留分を侵害する遺言の扱いや、従わなくても良い遺言についても、併せて紹介します。
目次
遺言書には3種類ある
遺言書は、生前の思いを書きとどめ、死後に配偶者や子どもたち、親しかった人などに伝えるための有効な相続の手段です。
ただし、法的な効力を持つ遺言書の作成方法は1つではなく、それぞれ作成についてのルールが定められています、
一般的に作成される遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言、そして、秘密証書遺言の3種類があります。
一方、緊急時や隔離された場所にいて、これらの遺言が作成できない場合は、特別な方式で作成することも認められます。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、名称のとおり、作成者が自筆で書き記す方法で作成して、自分で保管するものです。
自筆証書遺言と認められるためには、遺言者が全文及び日付、氏名を手書きで書いて、印鑑を押すことが要件です。
ただし、財産目録については、パソコン利用や代筆も可能で、不動産の登記簿謄本や銀行の通帳コピーなど既存の資料による代用もできます。
だれにも頼らずに、単独で作成して保管することによって遺言書として成立させることができ、作成も書き直しも自由にできることがメリットです。
一方、自分だけで作成すれば、遺言としての形式要件を満たさない結果を招きやすく、無効となるケースも発生しやすいデメリットがあります。
また、保管方法や保管場所によっては、死後に遺言書が発見されないケースや、相続人などに隠匿や偽造、変造されやすいこともデメリットです。
さらに、遺言書を発見した相続人は、勝手に開封することはできず、家庭裁判所による検認という手続きが必要であることもデメリットといえるでしょう。
なお、自筆証書遺言の場合は、法務局に保管を依頼できる制度が開始されたため、保管を依頼した場合は検認手続きが不要です。
公正証書遺言
公正証書遺言は、公的な書類の作成を任務とする公証人が、依頼者から伝えられた内容をもとに作成する方法です。
公証人のほか、2名以上の証人が立会う中で作成し、公証役場に保管されるため、有効な遺言書を残すために最も確実な方法です。
自筆証書遺言のように、形式要件を満たさない不安や発見されない心配がなく、隠匿や偽造などの恐れもないことがメリットです。
ただし、公証役場に出向く必要があり、立ち会ってもらう証人を依頼する必要があるなど、時間がかかるとともに、費用もかかるデメリットがあります。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、自分で作成して封印した遺言を準備し、その存在を公証人と証人に証明してもらい、保管は自分自身で行う方法です。
自筆証書遺言のように手書きで作成する必要はなく、パソコンや代筆を利用してもかまいませんが、氏名は自書し、押印が必要です。
遺言を封筒に入れて封印するまでは、遺言者単独で、だれにも内容を知られないまま作成できることがメリットです。
しかしながら、遺言書としての形式要件を満たさずに無効となることや、自筆証書遺言と同様、死後に発見されにくいなどのデメリットがあります。
また、公正証書遺言と同様、公証役場に出向き、証人を依頼する必要があるなどのデメリットもあります。
さらに、自筆証書遺言と同様、遺言書を発見した相続人は、家庭裁判所の検認手続きが必要であることもデメリットとなります。
特別方式の遺言書
事故など死に直面しているような緊急時や、船舶や伝染病で隔離されている状況で死が目前に迫っている場合には、特別方式の遺言書が認められます。
複数名の証人立会いの下で作成するもので、必ずしも本人が自書する必要はなく、聞き取った証人が記述することも可能です。
状況によって証人の職種や人数の指定がありますが、作成された遺言書は、証人の署名と押印によって有効となります。
ただし、緊急時に作成した遺言書については、家庭裁判所の確認手続きが必要とされています。
なお、この方法による遺言は、あくまでも緊急で止むを得ない状況で認められるものであって、一般的な状況下で利用することはありません。
遺言書の主な法的な効力8つ
法的効力が認められる遺言の内容として、「財産の承継・処分に関する行為」、「相続人に関する行為」、「身分に関する行為」の3種類があります。
また、これらには区分されないものの、遺言執行者の指定や祭祀承継者の指定なども、遺言で法的効力が発生します。
これらを総称して「法定遺言事項」と呼びます。
遺言書の法的な効力は大きく分けて8つあります。
以下で詳しくみていきましょう。
財産の承継・処分に関する行為
財産についての法的効力が生じる記載について、主なものを確認していきましょう。
(1)相続分と分割方法の指定
相続人には、基本的な相続財産額の割合が「法定相続分」として決められていますが、遺言によって相続分を自由に決めることができます。
たとえば、配偶者と長男、長女の合計3人が相続人の場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子はそれぞれ4分の1ずつです。
遺言では、この割合とは無関係に、配偶者に4分の1、長男に2分の1、長女に4分の1などと指定することが可能です。
一方、相続人ごとの受け取る財産割合を指定する方法のほかに、相続させる財産を指定することもできます。
これが分割方法の指定で、不動産や預貯金などの財産ごとに、相続人を指名する方法です。
たとえば、自宅の土地家屋を妻に、長男には預貯金を相続させるなど、遺産分割の方法を指定することもできます。
(2)「特別受益の持戻し」免除
婚姻や学資など特別に受けた贈与は「特別受益」と呼ばれ、他の相続人に不公平にならないよう、相続額を調整する仕組みとなっています。
この制度は、「特別受益の持戻し」と呼ばれ、特別受益額が相続時にあったものとして財産額に戻し、他の相続人の取り分に加算するよう配分し直すものです。
つまり、特別受益がなかったことと同じ結果になりますが、遺言によって、贈与したまま持ち戻ししない「免除」を指定できます。
(3)分割の禁止
子どもたちが兄弟間で仲違いの状態にあり、遺産相続が揉めそうな場合などは、相続開始から5年を超えない範囲で、遺産の分割を禁止できます。
禁止期間中に冷静な状態に戻り、争うことなく財産を分かち合うことも期待できることになります。
(4)遺贈
相続分の指定や分割方法の指定は、相続人に対する財産の指定ですが、遺言によって、相続人ではない人に譲ることが認められます。
たとえば、介護など老後の面倒を見てくれた長男の嫁に対しても、遺言で財産を譲ることができます。
義理の娘は相続人に該当しないため、遺産を相続させることはできませんが、この方法なら遺すことができます。
相続人に関する行為
相続人についての法的効力が生じる記載としては、相続人の廃除と廃除の取消しがあります。
(5)相談人の廃除と取り消し
遺言者に対する虐待や重大な侮辱、著しい非行などを行った相続人がいる場合は、遺言により、相続人から廃除し、相続する権利をはく奪できます。
これとは逆に、生前に家庭裁判所に請求して排除した相続人について、遺言により、相続人からの排除を取り消すこともできます。
身分に関する行為
相続人の身分に関して法的効力が生じる記載としては、認知や未成年後見人の指定、生命保険金の受取人の変更があります。
(6)認知
遺言により、死後に認知することができ、認知された子は相続人となるため、財産を相続させることができます。
(7)未成年後見人の指定
親のどちらかが死亡している場合や、離婚している場合は、残る片親が亡くなれば、未成年の子は親権者がいなくなってしまいます。
遺言では、あらかじめ未成年の子について、親権者となる後見人を指定しておくことができ、子の財産管理を委ねることも可能です。
後見人だけでは財産管理が不安な場合は、後見監督人を指定して、後見人に不正行為がないよう監督させることもできます。
(8)生命保険の受取人変更
生命保険金は死後に発生する財産で、相続財産には含まれず、受取人単独で申請して受け取ることができるものです。
遺言では、生命保険の受取人を変更することができ、相続財産に含まれない生命保険についても、配分を指定できることになります。
遺言書が無効になる事例
せっかく準備した遺言も、法律で決められたルールに従っていない場合は、遺言書として無効になるケースや、一部が無効になるケースがあります。
そのようになる可能性のある事例をみていきましょう。
遺言できる人に該当しない
たとえば、未成年者や判断能力に劣る人が不動産の購入契約をしても、当然無効であるように、だれでも遺言書を作成できるわけではありません。
遺言があっても、法的に有効であると認められるためには、遺言能力があると認められる人が書いたものでなければなりません。
まずは、遺言書の作成方法や記載のルールの前に、有効な遺言を作成できる人について確認しておきましょう。
15歳以上で意思能力があると認められる人
遺言は、15歳以上の人ならでき、15歳未満の人が作成したものは、たとえ親権者の同意があったとしても無効です。
契約とは違い、15歳以上であれば、未成年者であっても親など法定代理人の同意なしで、有効な遺言書を作成することができます。
ただし、15歳以上の人のうち、意思能力があると認められる人でなければ、法的に有効な遺言書を作成できません。
意思能力とは
意思能力は、「自己の行為の結果を判断することができる能力」とされ、認知症などの場合は能力がないと判定されるケースがあります。
能力がないかどうかは、個別に判定されることになりますが、意思能力がないと判定された人の遺言書は無効となります。
【ケース別】遺言として無効となる事例
自筆証書遺言や公正証書遺言、秘密証書遺言、特別方式遺言といった遺言書ごとに、遺言自体が無効になる事例をみていきましょう。
なお、冒頭で確認したように、15歳未満や認知症などの遺言能力がない方が作成したものは、遺言自体が無効です。
自筆証書遺言
法務局に保管を依頼していない自筆証書遺言が発見されたときは、遺言の形式を満たさず無効になるケースが多いため、注意が必要です。
法的効力が認められない、形式を満たさない自筆証書遺言としては、以下のような事例が代表的です。
本文がパソコンで作成された遺言書は、遺言書本体を自書しなければならない要件を満たさないため、無効となります。
また、自筆ではなく、代筆により作成された遺言書や、CDやDVD、メモリーなどの電子記録媒体に録音や録画した遺言も効力がありません。
また、夫婦など2人以上が共同で書いたものや、相続する財産が特定できないものも効力が発生しません。
特に、遺言書は単独で記す必要があり、配偶者などと共同で作成することができないことに、注意が必要です。
ほかにも、日付の記載がないケースや、「●月吉日」など日付が特定できないケースも、日付や氏名の自署、押印の形式について要件を満たさないため、無効です。
また、署名がないケースや押印がないケースも効力がありません。
公正証書遺言
公正証書遺言でも無効になることがあります。
代表的な事例として、証人になることができない人が立ち会ったケースがあります。
公正証書遺言を作成する際は、最低2人の証人を依頼する必要があるのですが、証人になることができる人には要件があります。
証人には、遺言者本人であることの確認や、遺言者の精神状態の確認、公証人が遺言者から聞き取って作成した遺言書の正確さを確認する役割があります。
このため、その役割を適正に果たすことが期待できない、未成年者や推定相続人、受遺者、受遺者の配偶者や直系血族は、証人として依頼できません。
また、遺言を作成する公証人の配偶者や、4親等内の親族、書記、使用人も証人を依頼することができません。
未成年者以外は、利害関係者に該当するということが、証人を依頼できない理由です。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、作成して封印までを遺言者本人が行うため、自筆証書遺言と同様、形式を満たさず遺言が無効になる事例が代表的です。
自筆証書遺言と異なる点は、遺言書本体をパソコンや代筆で作成できることと、日付が不要なことです。
日付は、封印された封筒の外側に記載されるため、遺言書本体に記載する必要はありません。
したがって、「遺言書本体の内容」や「氏名の自署、押印の形式」について要件を満たさないものが、秘密証書遺言が無効になる主な事例です。
また、もうひとつの代表的な事例として、遺言書本体に押印した印と、封印に使用した印が異なるケースがあります。
自筆証書遺言は必ずしも封印が必要ではないのに対し、秘密証書遺言では必ず封印が必要です。
封印した遺言書の場合は、遺言書本体に押印した印鑑と、封印するために押す印鑑は、同一でなければならないと定められているのです。
特別方式遺言
特別方式遺言は、緊急時や隔離された状態で死に瀕しているときに、複数名の証人立会いの下で作成するもので、緊急時の遺言書は家庭裁判所での確認が必要です。
作成するときの状況により、証人の人数や職種が定められているほか、証人の署名と押印が必要です。
このため、証人の要件や署名・押印漏れ、家庭裁判所での確認が行われていないときは、有効な遺言書とはなりません。
遺言内容の一部が無効となるケース
公正証書遺言ではこのようなケースはありませんが、自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合では、次のようなケースで一部が無効となります。
修正がルールに従っていない
手書きの場合、書き間違えが発生しやすいデメリットがありますが、修正する場合のルールに従っていない場合は、その部分が無効になります。
訂正箇所は二重線などで線を引き、その上に押印するとともに、横に正しい文字や数字を記載します。
さらに、遺言書の末尾などの余白部分に「〇行目〇文字削除〇文字加入」と自書して、署名が必要です。
表現が曖昧で解釈できない
遺言は、第三者が読んだときに明確にわかる必要があり、記載内容に曖昧な部分があって解釈できない場合は、その部分が無効になる恐れがあります。
財産の特定や相続人の指定など、財産を分けるために必要な事項が曖昧な場合は、相続人に混乱をもたらす恐れもあります。
財産が特定できない
勘違いや書き間違えなど、遺言書に記載された財産と一致するものが実在しない場合は、その記載部分は無効となります。
自筆証書遺言では、財産目録について、パソコンや代筆による作成や、既存資料の利用が新たに認められたため、有効な解決策と期待されます。
遺留分を侵害している
遺言が、相続人の権利である遺留分を侵害しているときは、その部分が無効になる恐れがあります。
詳しくは、後ほど紹介します。
遺言書の効力の期限
では、遺言書の効力に期限はあるのでしょうか。
遺言書の有効期限はない
遺言書は、消滅時効制度のような「権利の上に眠るものは保護に値せず」との考え方には該当せず、遺言書の効力に期限はありません。
法的に有効な形式を満たしていれば、遺言書はいつ書かれたものであっても有効です。
したがって、自筆証書遺言を2回、3回と作成し直した場合でも、形式を満たしていれば、すべて有効なのです。
ただし、矛盾する記述がある場合は、新しい遺言での記述が効力を持ち、古い遺言の記述は無効となります。
また、遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合は、協議が無効であることを主張する相続人がいれば、遺言が優先されることになります。
つまり、遺産分割協議は無効となり、基本的には遺言によって財産の配分をやり直さなければなりません。
開封された遺言書の効力
自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所の検認時に開封する手続きが必要で、勝手に開封することは禁じられています。
このため、検認手続きを経ずに遺言書を開封した場合は、5万円以下の過料を科される恐れがあります。
ただし、開封されてしまったからといって、遺言書の効力がなくなることはありません。
また、開封された遺言書も、その効力は、未開封の遺言書と同様、期限がありません。
なお、自筆証書遺言は封印義務がないため、家庭裁判所の検認手続き前に、相続人が遺言を読んだとしても、遺言書が無効になることはありません。
なお、遺言書の改ざんや差し替えなどがあった場合、その行為を行った相続人は、相続の権利を失うことにつながります。
遺留分を侵害する場合の遺言書
遺言では、「配偶者に2分の1」など相続分の指定や、「配偶者に自宅不動産を相続させる」など分割方法の指定を行うことができます。
では、長男に財産のすべてを相続させることや、不倫相手に全てを贈与することも可能になるのでしょうか。
遺留分は侵害できない
相続人の遺留分を無視した指定は請求によって覆され、相続人が請求した場合は、遺言の該当部分が無効になります。
遺言で遺留分を侵害された相続人には、侵害の原因となる受贈者に対し、遺留分の返還を請求する権利があります。
この請求は、家庭裁判所での調停や地方裁判所での民事訴訟で解決する方法も用意されるなど、無視してはならない権利です。
ただし、遺留分は権利であって、侵害された相続人が請求しなければ、権利を侵害する遺言でも無効とはなりません。
遺留分とは
相続人の生活保障を図るため、相続人に保障される最低限の取り分を、「遺留分」と呼びます。
その取り分は、法定相続により受け取る財産額の一定割合として、取得する権利が認められます。
遺留分が認められるのは、すべての相続人ではなく、配偶者と子、直系尊属に限定され、兄弟姉妹は対象外です。
兄弟姉妹は、亡くなった方とは別の生計で暮らすことが通常であるため、生活保障の対象としては縁が遠いと判断されるのです。
「一定割合」は、原則的に2分の1ですが、直系尊属だけが相続人の場合は3分の1に減少します。
たとえば、相続人が配偶者と子の場合、配偶者の法定相続分は2分の1ですから、遺留分は財産額の4分の1、つまり25%です。
亡き夫が遺言で、不倫相手に財産全てを贈与した場合、単純に表現すると、妻は不倫相手に贈与額の25%を請求できます。
遺言書に従わなくてよいケース
形式を満たさない遺言や、相続人の権利を侵害する遺言など、法的に無効な遺言に従う必要はありません。
また、ここまでに確認してきた無効なケース以外にも、必ずしも遺言に従わなくてもよいケースもあります。
相続人全員が合意
遺言がある場合でも、相続人全員が別の方法で財産を分けることに合意すれば、その合意を遺言より優先させることができます。
この場合は、相続人全員で話し合う遺産分割協議によって、財産を分けることになります。
また遺言書を無効にしたい相続人は、家庭裁判所で「遺言無効確認調停」か「遺言無効確認訴訟」の申し立てを行います。
調停において相続人らが「遺言書を無効とする」ことに納得した場合、遺言書の無効が確認され、遺言書を無視して遺産相続が進められます。
反対に調停により解決しない場合は、訴訟を提起することになります。
提訴から判決までの期間は、事案によって異なりますが、大体1年くらいの期間がかかります。
付言事項
遺言には、遺言書に記載すれば法的効力が認められる、相続分の指定や分割方法の指定などの「法定遺言事項」以外の事項を記すこともできます。
これは「付言事項」と呼ばれるもので、遺言者が自由に記載することが認められますが、法的な効力はありません。
たとえば、葬儀の方法に関する指定や、遺族の世話に関する依頼、感謝や遺言理由の記述などを書き記すことができます。
遺言書・相続について不安があれば専門家に相談しよう
遺言書・相続について不安がある人は、専門家の相談がおすすめです。
ここからは専門家に依頼するメリットを紹介します。
適切なアドバイスをもらえる
専門家に相談すると、遺言・相続について適切なアドバイスをもらえます。
「遺言書があるけど、どこまで効力があるの?」
「相続ってどうやって手続きすればいいの?」
とわからないことがたくさんあるかもしれません。
自分たちで相続の手続きは可能ですが、間違った手続きをするリスクがあります。
一度手続きを完了すると、もし間違っていた場合に修正するのも大変です。
そこで最初から専門家に相談することで、自分たちの相続状況を見てもらいながら、どのように手続きを進めればいいのかアドバイスをもらえます。
相続税の対策ができる
相続では、財産が一定金額以上があると相続税の支払いが発生します。
相続税は他の税金に比べて税率が高く、対策しておかないと高い税金を支払うことになります。
相続税の対策としては、非課税枠を増やせる「特例」という仕組みがあります。
特例には種類があり、適用条件を満たしている場合のみ、活用できます。
相続の状況を確認して、自分たちが活用できる特例を使って、非課税枠を増やすと節税できます。
しかし知識がない状態で適切な特例を使うことが難しかったり、そもそもどんな特例があるのかどうか知らないと、相続税の対策ができません。
そこで相続の経験が豊富な専門家に依頼することで、適切な特例を利用でき、もっとも効果の高い節税ができます。
「相続税で損をしたくない」という人は専門家に依頼しましょう。
効力をもった遺言書を作成できる
「相続に備えて遺言書を作成しておきたい」という人もいるかもしれません。
遺言書は自作もできますが、確実に効力を持った遺言書を作成するなら、専門家に依頼して作成するのがおすすめです。
わざわざ遺言書を自作したのに、ちょっとしたミスで効力を発揮できないケースもあります。
作成した遺言書が効力を持って、スムーズな相続ができるように、専門家に相談しつつ作成するのが確実でしょう。
相続トラブルを避けられる
専門家に依頼すれば、相続トラブルを避けられます。
相続では財産を巡って、親族同士を話し合うため、トラブルになりやすいです。
お互いに感情的になってしまい話し合いが難航すると、相続の手続き自体に支障をきたします。
そこで第三者である専門家に入ってもらえば、冷静に話し合いが進み、相続トラブルを避けられます。
「相続でトラブルになりたくない」という人は、専門家への相談がおすすめです。
まとめ
普通に生活している状況で作成できる遺言は3種類あり、なかでも自筆証書遺言は、自分一人で完結できる手軽さが大きな魅力です。
ただし、全文を自書しなければならない負担や、発見されない懸念、要件を満たさず無効となる心配などのデメリットがありました。
しかしながら、2019年の法改正により、これらのデメリットは大きく改善され、今後は利用者が増加していくと予想されています。
遺言の法的な効力や無効なケースなどを把握しておけば、今後の作成や将来発生し得る相続に役立つことは間違いないでしょう。
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ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
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